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岩佐徹のOFF-MIKE

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「偽りなき者」がいい!~「…アムール」「シャドー…」についても~13/03/22

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常連さんは“しぶしぶ”ながらでも読んでいただいていますが、
“騒動”につられてやじうま気分でのぞきに来た“映画通”には
すこぶる評判が悪い映画レビューです。
「映画が分かってない」「勉強不足」「最低」…

はいはい、単なる映画好きに過ぎませんから、“足らざるところ”は
多いでしょう。しかし、これは評論ではなく感想です。自分が見て
感じたことを記しています。読む人の好みなどは考慮していません。
どうか、その点を分かったうえで読んでください。
少しでも参考になれば幸いです。



愛、アムール 85

パリのアパルトマンの一室。
ドアがこじ開けられた。消火服の消防士が3人、その後ろに近所の住人らしい姿も
数人見えている。室内に入った消防士たちが各部屋をチェックしていく。
消防士の一人が窓を開けた。異臭がするようだ。寝室のドアが開かない。

「ドアが開いた」と聞いて、リーダー格の男が入っていくと、ベッドの上に老女が
一人横たわっていた。両手を黒いドレスの胸の上で組み、枕のウエアの顔の周りは
色とりどりの花びらで飾られていた。
暗転した画面に文字が浮かび上がる。 AMOUR …
ジョルジュとアンはともに元ピアノ教師でしたが、80歳代の今は悠々自適の生活を
送っています。映画が始まって間もなく、二人で教え子の演奏会に出かけた翌朝、
窓際の小さなテーブルで食事の準備をしているとき、妻の様子がおかしいことに
夫・ジョルジュが気付きます。話しかけても全く反応しないのです。頸動脈閉塞の
発作が起きていました。

重いといえば重いし、暗いといえば暗いかもしれません。しかし、鑑賞後の気分は
決して重くも暗くもありませんでした。むしろ、すがすがしい気分でした。きっと、
年齢と関係があるのでしょう。私たち夫婦は70歳代ですから、“老・老介護”は
身近な問題です。我が家の場合は間違いなく、私が介護される側になるわけですが。
ハハハ。

初日の1回目の上映を見に行きました。渋谷Bunkamuraの常連客にとって完全な
“ストライクゾーン”の作品と思われるのに、かなり空席が目立ちました。
若い人にはよさが分からないかもしれませんが、できれば少しでも多くの人の目に
触れさせたい映画だけに、その後が気になります。

アンを演じたエマニュエル・リヴァがアカデミー主演女優賞候補になりましたが、
私には、ジョルジュ役のジャン=ルイ・トランティニャンの演技の方がはるかに
心に残りました。


偽りなき者 90

湖の周りに男たちが集まっていた。吐く息が白い。11月のデンマークはもう冬だ。
酒の勢いで一人の男が全裸になって水に飛び込んだ。冷たい水で足がつった。
別の男が服を着たまま飛び込んで助け上げ、大事にはならなかった。助けたのは
幼稚園で教師をしているルーカスだった。町に帰る一団からは笑い声が絶えない。
郊外の小さなコミュニティではみんな仲がいいのだ。

しかし、一人の園児の発言が小さな町を揺るがす大事件の発端になった。
ルーカスの親友夫婦の娘・クララが彼からいたずらを受けたというのだ…
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北欧・デンマークから小品ながら素晴らしい映画が来ました。
楽しめるタイプではありませんが、魅力のある作品に仕上がっています。
クララの“告発”を受けて幼稚園が専門家を呼んで調査を始めてからの1時間ほど、
スパイものやミステリーとは違う種類の“サスペンス”に引き込まれました。
同じような出来事を扱う場合、ややもすると周囲の反応の描き方が“パターン化”
されたものになりがちですが、この映画は違います。同じように“いかにも”でも
はるかにリアリティがあるのです。見ていて白けることがありません。

身に覚えのない罪をきせられ、窮地に追い詰められる物語ですが、男にとっては
“他人事”ではありません。電車の中で痴漢行為をしたとしてつかまる男を描いた
「それでも僕はやってない」でも同じことを感じましたが、コ・ワ・イです。
いくら潔白でも、若い女性(それも美人であればあるほど。ハハハ)に、いきなり
「このひと痴漢です」と指さされたら、一巻の終わりです。
デンマークには「酔っ払いと子供はうそをつかない」という諺があるそうです。
“純真無垢”とされる子供の告発…逃げるのはかなり難しいです。

そして、この種の犯罪は強盗や殺人以上に社会のバッシングを受けます。
ルーカスの目に映る風景もある一瞬から激変します。完全に溶け込んでいたはずの
コミュニティからはじき出されてしまうのです。

ルーカスを演じたマッツ・ミケルセンが素晴らしいです。泣いたり叫んだりする
場面は少なく、むしろ耐えることが多いのですが、非常に“抑制”がきいた演技で
カンヌの主演男優賞を獲ったのも当然です。
そして、クララ役の少女の演技に驚きました。彼女なくしてはこの映画の成功は
なかったと思うほどです。
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予告編の最後にこんな文字が現れます。

その想像を超えた結末は、あなたの心を打ちのめす

たしかに、最後のシーンには面食らいました。
えっ、なぜ? どういう意味があるの?それがコミュニティが出した答えなの?…
私もまだ「これだ」という答えに行きついていません。
“打ちのめされ”はしませんが。ハハハ。

ぜひ見てください、とお勧めするような楽しい映画ではありません。
しかし、もし「ジャンゴ」とどちらに行こうかと、仮にも悩んでいるなら迷わず、
こちらに行った方がいいですよ、と言います。ハハハ。


「シャドー・ダンサー」80

1973年、北アイルランドの首都・ベルファスト。
電話で話しながら父親が娘のコレットに「たばこを買ってきてくれ」と頼んだ。
「今日はあなたの番だから」と、コレットは弟のショーンに代役を頼む。数分後、
血まみれのショーンが担ぎ込まれてきた。イギリス政府に激しく抵抗する武装組織、
IRA(アイルランド共和軍)の活動が活発なこの街の日常だった。

1993年のロンドン。地下鉄のホームで女が電車を待っている。20年が経過して、
コレットはシングル・マザーになっていた。しかし、バッグを肩から下げた彼女の
目の配り方は一般人のものではなかった。家族ぐるみでIRAのメンバーになって
いたのだ。
ホームに電車が入ってこようかというとき、彼女が列を離れて歩き始めた。
階段の途中で素早く周囲を見回し、人がいないことを確認するとバッグを置いて
その場から立ち去った。バッグには爆弾が入っていた。
振り向くこともなく歩き続けた彼女はトンネルを利用して地上に出るが、そこで
待っていたのは英国の情報機関、MI5の男たちだった…
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コレットはMI5から目をつけられていたのです。
幼い子供を“人質”に、拘留しない見返りとして、IRAの主要なメンバーである
兄の動きを報告するように要求されます。スパイになれというわけです。
MI5の担当官、マックと家族の間でコレットの気持ちは激しく揺れ動きます。

オープニング・シーンから最後まで続く緊迫感はなかなかのものです。
しかし、コレットがスパイになる経緯やマックとの接触の方法など、描き方が甘く、
爆破や襲撃シーンの迫力不足とともに映画としての完成度は高いとは思いません。
それでも、時間があるなら、1800円出しても損はないと思います。ちなみに、私は
“シニア”料金の1000円ですが。ハハハ。

85 愛、アムール アカデミー外国語映画賞に輝いた作品 重くも暗くもない
90 偽りなき者 コミュニティからはじき出されたとき人は… 北欧から来た秀作
80 シャドー・ダンサー 作り方が甘いがそれなりの緊迫感があって楽しめる
by toruiwa2010 | 2013-03-22 10:16 | 映画が好き | Comments(0)
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