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岩佐徹のOFF-MIKE

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グリシャム&コナリー~劇的;死刑執行停止~13/07/05

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リハビリに通う病院の待合室でせっせと本を読んでいます。英語です。
病院に着いてから実施にリハビリが始まるまで、朝は3時間、午後は2時間あって、
時間には不自由しません。ふだんはそれほどページ数が“稼げ”ないのですが、
3ヶ月弱の間に3冊を読み切りました。私にとっては異常なスピードです。
一昨日、読了したのは大好きなマイクル・コナリーの「The Black Box」です。

大勢の人に読んでほしい、LAPD(ロサンゼルス市警)のハリー・ボッシュ刑事を
主人公にするシリーズの最新作です。
現在、ボッシュが所属しているのは未解決事件を再捜査する部署です。DNAなど
近代的な捜査手法が確立されたあと、未解決の事件を見直し、新しいアングルから
光を当てて犯人捜しをしようとしているのです。
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ボッシュが担当しているのは20年前、1992年5月1日に起きたデンマーク人の
女性ジャーナリスト殺人事件です。当時、ボッシュは初動捜査にあたったのですが、
十分な時間をかけることができませんでした。時期が悪すぎたのです。

ロドニー・キングという黒人青年に対してロス市警の警官たちが集団で暴行を働き、
裁判になりましたが、4月29日に無罪判決が出たことに激怒した黒人たちが市内の
至るところで暴動騒ぎを起こしていました。略奪や殺人が相次ぎ、市警は軍の手を
借りるなどして対応しましたが、発生する事件の数はその能力を超えていました。
ボッシュは気持ちを残しながら次の事件現場に向かわざるを得ませんでした。

結局、このデンマーク女性殺人事件は迷宮入りになっていましたが、ボッシュは
20年間眠っていた僅かな捜査資料を丹念に検証して真相に迫っていきます。

いわゆるクライム・ノベルですが、ハードな描写はありませんし、女性でも十分に
楽しめると保証します。生い立ちが影を落とすボッシュという男の魅力、周囲の
女性との関係や一人娘、マギーとの間に作られている空気に惹かれるはずです。

話は変わります。

ある日、カンザス州の小さな教会に一人の男が姿を現した。
男の名前はボイエット、元服役囚だと言う。求めに応じて
キース牧師が会うとボイエットは思いがけない告白をした。
十数年前、少女を誘拐して暴行のあと殺害したというのだ。
脳腫瘍で余命数ヶ月だという彼の告白は信用できるのか?

事件を追った警察が逮捕し、自白を得た無実の少年、ドンテ・
ドラムは死刑を宣告され、その執行が4日後に迫っていた…

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ジョン・グリシャムの小説「自白」(Confession:2010)は、このあと、キース牧師、
ドンテの弁護人、ロビー・フラックらが刑の執行停止を求めて奔走するスリルに
富んだ展開を克明に描いています。グリシャムらしいスピーディな筆致が心地よく、
一気に読みました。彼の作品の中でもレベルは高いと思います。ご一読を勧めます。

原書にはlast minute という単語が何度も出てきました。「最後の1分1(瞬間)」。
日本にくらべると、アメリカの司法制度は複雑で分かりにくいところがありますが、
キース牧師やフラック弁護士たちの行動は、死刑囚・ドンテを冤罪から救うために
最後の1分まで続くのです。

これまでに読んだ推理小説の中にも、弁護士たちが法律的に考えられるさまざまな
手段で刑の執行停止を訴える過程を描いたものがたくさんありました。功を奏して
裁判所や知事が動き、執行停止になるもの、相次ぐ却下で“時間切れ”になるもの、
いろいろですが、「そうは言っても 所詮、小説の中の話だよね」と思っていました。

…そうじゃないんですね。
先日、ネットをフラフラしているときにこんな見出しが目に飛び込んで来ました。

“Georgia execution halted at the last minute”

出ました、last minute! ハハハ。
「ジョージア州でギリギリの刑の執行停止」。
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1990年、ウォーレン・リー・ヒルは刑務所内で就寝中の囚人仲間を釘がついた板で
殺害しました。恋人を射殺し、終身刑で服役中だった彼には改めて死刑が宣告され、
この日、執行される予定でしたが、がきわどいタイミングで停止されたのです。
弁護側の「彼には精神障害がある」との申し立てを裁判所が認めたのです。
このとき、刑務所ではウォーレンの血管に致死量の薬物を注入する準備が進んで
いたそうです!

この決定は第11巡回控訴裁判所が出したものですが、実は この日、それ以前に、
ジョージア州の更生保護委員会や最高裁判所、さらには連邦最高裁判所が弁護側の
申請を却下していたと言います。きっと、最後のチャンスだったのでしょう。
裁判所の決定も2-1というものでした。これ以上はない“ぎりぎり”だったのです。


実を言うと、このエントリーの後半、ウォーレン死刑囚についての部分は4月末に
書いたものです。更新するにあたって、念のため、その後どうなったのかと思って
検索してみると、“執行停止”は一時的なもので、様々な検査や司法手続きののち
結局、刑は執行されることになっています。7月15日午後7時…。

2013年2月19日、執行に備えたウォーレンが最後の食事を摂っているときに
“一時停止”を勝ち取った弁護団も今度ばかりは打つ手がないようです。
by toruiwa2010 | 2013-07-05 09:11 | 読書・歌・趣味 | Comments(4)
Commented by tom☆ at 2013-07-05 20:32 x
こんばんは♪ ああ~まだ香港の話も翻訳出てませんのに・・羨ましいです!
岩佐さんお勧めでボッシュと巡り合いましたが、既に翻訳本は制覇してしまってずっと待ち状態です。。
グリシャムも面白いですね! こちらはまだまだ未読がたくさんあるので、読みながら翻訳を待ちますね☆

ところでトム・クルーズの映画【アウトロー】の原作はお読みになりましたか?・・私は嵌ってしまいました!!・・しかし全作翻訳にはなってないようで、映画人気でこれから翻訳出版されるよう願います。 
でも何年掛かる事か? 少しずつでも英語でトライすればいいのでしょうけど。。☆ 
Commented by toruiwa2010 at 2013-07-05 21:04
tom☆さん、こんばんは。

そんなに翻訳が遅れてるんですか。
もったいないですね。
アウトロー・・・チェックしてみます。
Commented by t at 2013-07-08 22:55 x
こんばんは。久しぶりにブログ拝読させていただきました。
テニス観戦から遠ざかっていましたが、マレーの「イギリス人」(いや、正確にはスコットランド人ですけど。)初制覇!に期待して久しぶりにNHKで観戦、岩佐さんのコメント期待していたんですが・・・

きっと観戦されていたこととは思っています。

先日妹に会ったら「最近の解説者、有名人が映っててもコメントがないんだけど!」って憤っておりました。(ちなみに彼女は実家でWOWWOWを観ています。)

ボッシュは先日電子辞書片手にやっと1冊読み終えました。生い立ちの件はどれを読めばよいでしょうか?因みに私が読んだのは"The closers"です。
Commented by toruiwa2010 at 2013-07-09 05:34
tサンおはようございます。

ボッシュの生い立ちやベトナム従軍の話はボッシュ・シリーズの
初期の作品によく書かれていました。シリーズを発表の順に
読むことをお勧めします。
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