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岩佐徹のOFF-MIKE

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サイン盗み&カット打法~前者は“灰色”、後者は好きじゃない~13/08/26

08/21のツイート

花巻東の千葉が2塁走者のとき打者に
サインを送っているように見えた件は
“限りなく灰色に近いグレー”…可哀相だ。
しかし、カット打法はよくないなあと
思っていたら、大会から注意されていたとか。
特別ルールがあるならもっと早い段階で
やるべきだったね。


NHKが放送した準々決勝、鳴門高校との試合を見た。特に、注意を受けた千葉が
ランナーになった場面はじっくりと。
カメラが千葉の動きのすべてを見せているわけではないから、判断は難しい。
立場や見方によっても意見は違ってくる。

カット打法はいいけど、こっちはダメだろう、とする意見が多いようだが、彼らは
一体、何を見てそう言っているのだろうか。私が見た限り、怪しかったのは注意を
受ける直前のこの動きだけだった。
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コース…というか、キャッチャーの位置を知らせているように見える。
紛らわしい行為であったことは間違いない。しかし、ショートを見れば分かるが、
タイミング的に、キャッチャーがサインを送る態勢に入る前だった。
この行為を指して、“サイン盗み”だと断じることには大きな疑問がある。まして、
数万の観客とテレビカメラの前で“罰する”ほどではない。監督を呼んで警告し、
千葉に伝えさせるぐらいの手間をかけてもよかったのではないかたと思うがどうか。
そして、なぜ投球させてから注意したのかも分からない。“不正”だと判断したなら、
そのときに注意をするのが試合をさばく審判の仕事ではないだろうか。

…よって、この件は“限りなく灰色に近いグレー”。分からない人もいたようだが、
書きそこなったわけではない。つまり、グレーということだ。


カット打法についてはものの言い方が難しいね。
日本プロ野球には昔からたくさんのファウル打ち名人がいた。名前も同じ、巨人の
千葉茂やその流れを汲むやはり巨人の土井正三、現役では中日の井端などがそうだ。
しかし、プロなら投手が対処法を考えるから、たいして厄介なことにはならない。
ちなみに、MLBでこれをやるなら、デドボールを覚悟すべきだろうが。

花巻東の千葉の場合、猛練習を続けた結果、身につけたテクニックだと考えたら、
とても“全否定”はできない。
ビデオで、10打席以上見たが、たしかに“テクニック”ではある。
2ストライクになったら、両手の間隔を離してバットを短めに持ち、振り切らずに、
ヘッドを遅らせて、きわどい球はすべてファウルゾーンに叩きつける。
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狙いはいくつかあるだろう。

ピッチャーにできるだけ多くの球を投げさせる。
粘って、ヒットにできる球を待つ。
相手が根負けしてフォアボールで出塁する。


準々決勝の千葉は、第2打席で2球目をセンター前にクリーン・ヒットした以外は
この“打法”で四つのフォアボールを得ていた。5打席で41球を投げさせていた。
目標を100%達成して、チームの準決勝進出に貢献した。

おそらく、試合を見ていた高校野球ファンの間でも意見は分かれていただろう。
小さな体を生かすための創意工夫だと賞賛する人もきっと多かったはずだ。
NHKの解説者も「たいしたものだ」と“肯定的”なもの言いだった。
一方、フェアグラウンド内に打つ意志がまったく感じられないこの打法に違和感や
“高校野球らしくない”という感想を持った人も少なくなかったと思う。
大会本部にもたくさんの電話がかかったと思って間違いない。審判が協議した結果、
準決勝を前にしての“注意”となったのだろう。

私は後者の感想を持った一人だった。
ただし、この時点では“高校野球特別規則”のことはすっかり失念していた。
だから、漠然と感じた“高校野球らしくない”にしっかりした根拠はない。

頭にあったのは、何度も書いているが、3年前の履正社の作戦だ。
天理との2回戦の5回裏、3-1として、なお2死1,3塁のチャンスだった。
相手のピッチャーは左投げだから1塁ベースに正対してセットポジションに入る。
つまり、3塁走者は“ブラインド”になる。

ここで、履正社の1塁走者がベースから離れたところで転倒した。
ピッチャーはシメタとばかり1塁へボールを送る。
このとき、同時に、3塁走者はホームに向かってスタートを切った。
1塁走者が挟まれる間に1点が追加された。
1塁ランナーはピッチャーを引き付けるため、わざと転んだのだ!“ひっかけ”だ。
五萬を切って“カンリャンワン”で待ったり、立ち上がりにはたき込むのと同じだ。

今、思い出しても胸ク〇が悪い。放送席や翌日の新聞がこの作戦を褒めていたのも
理解できない。何が、「高校野球は教育の一環だ。ふざけるな」と思った。
(“頭脳プレー”? No kidding~履正社の4点目に思う~ bit.ly/b8WwtB )
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甲子園に駆けつけるファンもテレビを見る人も、心のどこかで高校野球らしさを
求めていると思う。少なくとも、勝つためなら何をしても許す…という気持ちでは
ないはずだ。
“高校野球らしさ”ってなに?という話になるが、松井秀喜の5打席連続敬遠も
履正社の“ひっかけ”作戦も千葉のカット打法も“ルール違反”ではないけど、
“正々堂々と戦うことを”誓ったはずの高校生のやることじゃないだろう。
ほかの人はどうか知らないが、私は好きじゃないってことだ。
冒頭のツイートに「カット打法はよくない」と書いたのはそういう意味だ。

ただし、高野連のやり方にもおかしな点がある。

あの打法が“特別規則17に抵触すると判断された”ことを知ったのは21日遅くに
なってからだった。

バントとはバットをスイングしないで内野をゆるく転がるように
意識的にミートした打球である。自分の好む投球を待つために、
打者が意識的にファウルするような、いわゆるカット打法は、
そのときの打者の動作(バットをスイングしたか否か)により、
審判員がバントと判断する場合もある」となっている。


打者がスイングしたかどうかが基準なら、“バスター”式だが、千葉はしっかりと
バットを振っている。バントとは明らかに違うじゃないか。

加えて、大会側から花巻東への通達についてネットでいろいろな記事を読んだが、
“どの打席の何球目が抵触している”と明快に指摘があった様子はない。
報道が正しいなら「高校野球特別規則に“バントの定義”という項目があります。
ご理解下さい」と伝えたという。明確に、「やめさせろ」とは言っていないらしい。
ずいぶんおかしな話じゃないか。第一、千葉はこの大会の初めから…もっと言えば、
県大会から同じ打法なのに、なぜ急に?と、ファンが騒ぐのは当然だ。ここにも、
野球だけでなく高校スポーツを監督する立場の連中の“事なかれ主義”が見える。
すっかり、“悪者”に仕立て上げられた花巻東や千葉が気の毒だ

もちろん、ルールではセーフでも、私の“好きじゃない”は変わらないが。

何もかもの責任を負わせるのは気の毒だが、花巻東の監督の立場も微妙だ。
預かる選手の数も多いから大変だとは思うが、少なくともグラウンドでの選手の
行動については責任を問われるだろう。
これまでの経歴は知らないが、監督としての手腕はあると思われる。
甲子園のマウンドに送りだせる投手を4人も揃えたのはすごいことだ。
きびきびした言動からも野球版マリーシア、“ずるい野球”を教える人とは思えない。
試合後の態度についてあれこれ言われているようだが、何かの間違いではないのか。
NHKのインタビューではおかしな言動はなかった。もっとも、アナウンサーが
聞くこともなかったわけだが。


彼のカット打法を見たとき、真っ先に頭に浮かんだのはメジャーの長い歴史に残る
ある“事件”のことだった。

1951年8月19日の午後、セントルイス・ブラウンズ対デトロイト・タイガースの
ダブルヘッダー第2試合でその“珍事”は起きた。
1回裏ブラウンズの攻撃が始まるとテイラー監督は1番のソーシアに代打を送った。
名前はエディ・ゲーデル。グラウンドに姿を現した彼を見て、観客がどよめいた。
ISSという病気のため身長が伸びない、きわめて“小さな男”だったからだ。
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しかも、その背番号はなんと“1/8”!(ユニフォームは野球の殿堂にある)
主審は監督を呼び「これはどういうことだ?」と詰め寄ったが、監督は契約書類を
振りかざして「彼は正式なブラウンズの選手だ」と主張した。
…すべて、“変り者”オーナーのビル・ベックが仕組んだことだった。
2日前の17日に連盟への登録申請を済ませていた。詳細なチェックが行われるのは
月曜日(つまり、試合の翌日の20日)だと知った上でのたくらみだ。

背中を丸めて構える身長109cmのゲーデルに対して、タイガースのピッチャーは、
懸命にボールを低めに投げたが、結果はストレートのフォアボールだった。すぐに
代走が送られ、ゲーデルはスタンディング・オベーションの中 ダグアウトに消えた。

公式記録に残されているゲーデルの成績はこの1打席だけだ。
連盟会長がその日のうちにゲーデルの出場停止を決めたからだ。

…勝つために手段を選ばなくなると、いつの日か、そこまで行くという話だ。
そんなことが高校野球で起きるはずがない…と笑うなかれ。
“5連続敬遠”も“わざと転倒”も現実に甲子園で起きたことではないか。
by toruiwa2010 | 2013-08-26 05:19 | 岩佐徹的考察 | Comments(4)
Commented by eita3 at 2013-08-26 22:04 x
岩佐さんこんばんは。

ゲーデルの話を読んで江川卓の空白の一日を真っ先に連想しました。どこにでもルールの穴をつく輩がいるものですね。
法の穴をつきまくる法律家ではないのだからやはりスポーツマンシップに則って行動してほしいものですね。
Commented by toruiwa2010 at 2013-08-27 06:21
eita3サン、おはようございます。

この記事にはもう少し「反応」があるかと
思いましたが、唯一のものが「ゲーデル」でしたか。
ハハハ。

本人の意気込みはなかなか伝わらないようで。
トホホ。
Commented by Yumi at 2013-08-27 07:45 x
千葉君のプレイをYouTubeで見てみました。カット打法については、打つ気が無いように見えますね。彼なりに努力しているのでしょうが、相手投手を疲れさす意味だけなら、もし仮に相手チームにも千葉君のようなプレーヤーがいたらどうでしょうか。また、サインは静止画面にすると明らかなような。。。

“正々堂々と戦うことを”誓ったはずの高校生、可哀相にネットで叩かれる事に。そして卒業しても、「あ、アイツか」となるんじゃないかと。その時に千葉君の真が表れるのではないでしょうか。

英語で、What goes around, comes around. という言葉があります。天は公平に見てると思いますよ。
Commented by toruiwa2010 at 2013-08-27 08:12
Yumiさん、おはようございます。

最近の高校野球がいろいろ、問題を抱えているのは
事実ですね。徹底的に”きれいごと”で進めていくのか、
”勝利至上主義”のどこが悪いんだ、と開き直るか?

結局、どっちつかずになるのでしょうが。ハハハ。

What goes around, comes around
・・・日本語で言うなら因果応報ですか。
子供には因果応報の意味を説明しなければ
言いたいことが伝わらない、という・・・。ハハハ。
英語のいい方の方がしっくりきますね。
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