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岩佐徹のOFF-MIKE

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“やめどき”&“ひきぎわ”~永六輔の番組終了で思う~13/09/02

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08/29のツイート

tbs ラジオの長寿番組「永六輔の誰かとどこかで」が
9月いっぱいで打ち切りになるそうだ。
だいぶ、ろれつが回らなくなっていたから仕方がない。
この番組から多くのしゃべり手が生まれた。久米宏も
その一人だ。
ご苦労様でした。
放送界の大先輩としてリスペクトしていました。

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まず、番組が終わるのは永の衰えとは関係なく、別の理由があったようです。
また、久米宏が活躍したのは「土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界」の
間違いでした。申し訳ありません。お詫びして訂正します。そして、こちらの方は
10月以降も続くそうです。生半可な知識ほど怖いものはありません。猛省。

ニュースを聞いて、とっさに頭に浮かんだのは“やめどき”、“ひきぎわ”でした。

画家や小説家、俳優など、芸術関係の人はほかの分野にくらべると、年齢とともに
能力が衰えるということが少ないようです。
しかし、普通の職業では、どんなに節制し努力をしても越えられない壁が行く手に
立ちはだかります。年齢だったり、ケガや病気だったり。
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プロアスリートが引退するとき、決断の理由として「HEC(Hand Eye Coordination=
目と手の連動)がうまくいかなくなったので」と語ることがあります。目が認識し、
脳に伝え、脳が手や足に指令を出すことで体が動くのですが、年齢が進むとともに、
目から脳、脳から手足への伝達が少しずつ遅れるようになります。
「カーブだ。よし、ここにバットを出せばヒットにできる」、「いいパスが来た。
ボールのここを蹴って、このコースに打てばゴールだ」…若いときなら問題なく
やれたことが、HECの能力が低下して来ると、バットの角度がわずかにずれたり、
狙ったところをキックできなくなったりするようになるのです。

メジャーの有名どころでは、ヤンキースのマリアノ・リベラやデレク・ジーター、
そして、イチローが40歳近い年齢で頑張っているのは賞賛に値します。
日本では、中日の山本昌が48歳の誕生日を過ぎて勝利投手になっていますね。
彼にはHECも通用しないようです。ハハハ。

テニスでは42歳の伊達公子が見事な活躍を見せ、サッカーの三浦知良も46歳で
現役を続けています。
それでも、ここに名前を挙げた選手たちが若い人と同じレベルでプレーできるのは
あと1、2年でしょう。いずれ“そのとき”が訪れるのを避けることはできません。
何事にも“限界”はありますから。

スポーツ・アナウンサーだった私の場合は、同じような衰えが、手ではなく舌に
現れました。“タング(舌)・アイ・コーディネーション”の劣化です。
60歳を過ぎたころから、特にサッカー中継などで、目が認識したプレーや選手の
名前を言葉にするまでに時間がかかるようになりました。遅れる、次に、それを
カバーしようとして間違える…そんなことが増えて、視聴者の皆さんからお叱りを
受けるようになりました。テクニックだけでは誤魔化せなくなって、サッカーの
実況をやめたのは2004年、66歳でした。
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翌年、テニスの実況をやめたのは、ほかにもいろいろなことが重なった結果です。
大失敗でした。サッカーと違って、テニスは黙っていてもいい時間が多く、描写を
急がなければいけないような場面もありません。HECの衰えを経験やテクニックで
カバーできますから、まだまだやれたのです。
やり尽したと思って辞めてみたものの、未練で“グダグダ”になってしまいました。
ハハハ。

ただ、結果として、余力を残して辞めたのは正解だったかもしれないとも思います。
惜しまれるうちに辞めてよかったと。

永六輔の場合、“降板”ではなく番組そのものが終了するようですが、誰にとっても
やめどき、ひきぎわは難しいですね。
土曜日の番組を何度か聴きました。たまたま、調子が悪かったのかもしれませんが、
話の中身が伝わらないほど聴きとりにくいところが何か所もありましたし、舌が
回っていない印象が否めませんでした。若いころに聞いた、歯切れのいいトークと
くらべるのは無理があるにしても、正直、「寂しいな」という感想を持ちました。

テレビがまだモノクロだった時代のNHK「夢であいましょう」は絶品でした。
この番組をきっかけにして、作曲家・ピアニストの中村八大と組んでたくさんの
名曲を世に送り出しました。二人が作詞作曲し、坂本九が歌う“六八九トリオ”は
「上を向いて歩こう」という不朽の名作を残しました。
作詞家・放送作家として、しゃべり手として、そして、旅人として各地を飛び回り
私達を楽しませてくれました。放送史に大きく名前を刻む人です。

パーキンソン病が進行しているそうですし、コンディションが衰えてもラジオで
話してくれるだけでいいという人も大勢います。“味”というのでしょうか。

“味”というのは微妙な言葉です。
続けてほしい、続けさせたいと考える人たちは、その一言にすがる傾向があります。
永六輔を指して言っているのではなく、一般的にどの世界にも当てはまる話です。
身近であればあるほど、その傾向は強いようです。それだけ、当の本人の気持ちを
動かす力は大きいでしょう。少なくとも、“やめる”と決めるのをためらいます。

輝かしい“歴史”を持つ人だけに、周囲が何を言っても、自分で決断してほしいと
思うのです。私は、早々とテレビに見切りをつけ、ラジオに本拠を移した鮮やかで
潔かった“決断”を忘れません。

この記事を書いているときに、MLBの試合の実況をしている島村俊治アナの声を
久しぶりに聴きました。ダルビッシュが一昨日先発するのを失念して見始めるのが
遅れたために、夜の再放送を録画して1,2回を見たのです。
副音声にするのも面倒なのでそのままにしていたら、旧知の彼が登場しました。
もともと、スローな実況で雰囲気を出す人ですが、今は、もっとペースを落として
慎重にしゃべっている印象を受けました。しかし、長い経験に裏打ちされた実況は
まだ十分に通用すると思いました。私より3歳若いだけです。あっぱれ!

そうかと思うと、今も続けているらしい大先輩が、数年前に見たときかなりひどい
状態だったのにビックリしたこともあります。人気のある人ですが、残念なものを
聴いてしまったと思ったものです。

実況で黙るのも難しいですが、実況をやめる、番組を降りるのはもっとつらいかも。
しかし、永六輔の場合とスポーツ実況が決定的に違うのは、前者には受け手の側に
選択肢があり、後者には、その試合を見るためには“否応”がないという点です。
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ここまで書いて更新するつもりでしたが、今朝、宮崎駿の引退を耳にしました。
そうか、クリエイティブな仕事をする男にも“引退”はあるんだ、と思いました。
能力は落ちないけど、意欲や体力が持たなくなるんですかね。
彼の作品は幅広い支持を集めているようですから、残念がる人も多いのでしょうね。
アニメにまったく関心がない私は、特に感想はありませんが。ハハハ。

アニメにまったく関心がない私も、先日放送されたNHKのドキュメンタリーは
"人間観察"としてかなり楽しめました。最後の「プロフェッショナルとは?」が
問いも答えも抜けていたことを含めて彼らしいと思いましたが。ハハハ。

もちろん、これまでの数々の功績に拍手を送るとともに“おつかれさま”…です。
ただし、映画監督の引退宣言って、どこか違和感がありますね。
by toruiwa2010 | 2013-09-02 08:42 | 放送全般 | Comments(9)
Commented by デルボンバー at 2013-09-02 12:24 x
カズの場合は、現在のプレーぶりからすれば半分引退してるようなものだと思います。それ以外の部分でクラブ側にメリットがあるからじゃないでしょうか?
Commented by toruiwa2010 at 2013-09-02 12:33
デルボンバーさん、こんにちは。

そういうことでしょうね。
ちなみに私は、今の彼のプレーを見たいとは
まったく思いません。
Commented by 空虚 at 2013-09-02 15:58 x
宮崎駿"長編アニメの監督"を引退しますね、
駿氏のようなスタイルのアニメ映画監督(脚本、絵コンテ、原画、動画チェックとアニメ製作の工程殆どのこなす)が年とともにそのスタイルで映画を作り続ける事が難しくなってきているので"長編アニメ"はやらないと言っているだけで"短編アニメ"は続けるといっています。
(まあ、スタイルを変えれば続けられると思いますが、そのスタイルを変更する事はないでしょう)
だから“おつかれさま”てのも私は変だなと感じます。
(監督自体を止めたわけではなくこれからも作品は作り続けるわけですから)
"風立ちぬ"は今までの駿氏に求められてきたファンタジーや冒険活劇などを期待している人々には評判が悪いですが、そういうの抜きにして1本の映画としてみれば結構良かったと思いますよ。
登場人物の何気ない仕草や台詞に人間味があり楽しめました。
又、普段アニメに興味のない人がこの映画を見たときにどういう感想を持つか興味がありますね。
岩佐さんはアニメにまったく興味がないでしょうが、見る機会があれば見てみてください。
Commented by toruiwa2010 at 2013-09-02 16:33
空虚さん、こんにちは。

とりあえず「おつかれさま」は言ってあげれば
いいのではないですか?どうしても嫌なら仕方ないけど。
ハハハ。

一本も見ていないのですが、少し心が
動いています。もしかして・・・。
人間的には、友達になれそうもないみたいで
最後になって見るのもくやしいな。ハハハ。
Commented by toruiwa2010 at 2013-09-02 17:07
ルブランさん、あの文章で私が批判されているとは思いません。

自分で削除されたようですから、私のレスとあなたの
2度目のコメントも削除しておきます。
このレスも、あとで消します。
Commented by ヤップンヤン at 2013-09-02 20:03 x
遠藤泰子はどうなるのか気になるのはわたしだけでしょうか?
Commented by toruiwa2010 at 2013-09-02 21:13
遠藤泰子はどうなるのか気になるのは・・・
まあ、たぶん、ヤップンヤンだけでしょうね。
Commented by しょう at 2013-09-03 17:28 x
岩佐さん、こんばんは。
宮崎監督の引退宣言。
映画祭の最中の発表ということで、
「最後なんだから賞くれ」というメッセージ?
と宮崎作品に何の思い入れも無い私は思いました。
ファンの皆さんごめんなさい。
Commented by toruiwa2010 at 2013-09-03 19:52
しょうサン、こんばんは。

同じ印象を持ちます。あの場で発表する意味は
それ以外にないでしょう。
えーと、私も、ファンのみなさんごめんなさいと。ハハハ。
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