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岩佐徹のOFF-MIKE

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自薦・厳選300?バンクーバーを振り返る8 14/02/22

スポーツ実況が専門でしたから、オリンピックや
ワールド・カップのたびに放送への注文を書き続けています。
今日は解説者及び解説者を選ぶ過程への注文です。
4年前の話ですから、そのつもりでどうぞ。

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解説者への注文 ( 2010.03.12 初出)

オリンピックの解説者についてはかねてから強い不満と疑問を抱いていました。
以下、感情的なものではなく、スポーツ・ファンの一人として、また、多くの解説者と
組んで仕事をしてきた経験者として、できるだけ整理して書いて見たいと思います。
“不満居士”の言うことです。愛する者への批判は気分が悪いでしょう。
関心のあるかただけに読んでもらえば十分です。ハハハ。

問題の根は、誰が、どういう基準で、何を求めて決めているのか…にあると思います。
“誰が”、はコンソーシアムの中でその種目を担当するディレクターなのでしょう。
担当ディレクターの所属する局がいつも頼んでいる人が選ばれる可能性は高いですね。
ふだん、ほとんど中継がない種目だと、“協会からの推薦”が考えられます。
この場合、協会側がそれまでの貢献や組織内での“ポジション”などを尊重するあまり
“とんでもない”人を押し付けてくることがあります。しゃべる能力に欠けている人を
役職優先で推薦され、散々な放送になった経験は何度もあります。
さすがにオリンピックですからこのケースそんなに多くないでしょうが、テレビとしては
頭が痛いところです。ハハハ。

“基準”と“求めるもの”はほぼ同じです。
視聴者に何を提供しようとしているかが最大のポイントになります。
裏返すと、視聴者はオリンピックの解説に何を求めるか、ということでしょう。
当ブログへのコメントやツイートを見ていると、この点についての考え方が“両極端”
だということが分かります。

ひとつは、一緒に楽しみたい。熱く燃えたい。
そのためには、少々、はしゃぎすぎて応援のようになっても、解説がおろそかになっても
ぜんぜん気にしない…というタイプです。

一方は、競技のポイントをきちんと知りたい。
そのためには、日本選手が絡んでいても出来るだけかたよらずに冷静に話してほしい、
今、試合がどうなっているか、これからどうなるかを話してほしい…と願うタイプです。

今回(トリノもそうだったらしいですが)、圧倒的に人気が高かった解説者はカーリングの
小林宏さんでした。ツイッターで“否定的”な意見を見ることはほとんどないのですから
すごいと思います。たまに見かけると、自分が書いたツイートだったりします。ハハハ。
人気の源は日本チームの一投ごとに、自分のことのように一喜一憂するところでしょうか。
それを聞きながら見ると“一体感”が得られるのだと思います。否定はしません。

ただし、これは解説の本質ではありませんね。
小林さんの解説は的確で分かりやすい…というツイートをいやというほど見ました。
しかし、本当にそうですか?
分かりやすいと“思い込んでいる”だけではないでしょうか?
もっと分かりやすく、ポイントをついた解説が出来る人はほかにいると思います。
もともと、チェスのように、戦術を組み立てて戦うスポーツなんですから論理的に考え、
人に説明できる人はいるはずです。探す努力が足りないのです。
あるいは、トリノで評判がよかったから、今回も…という安易な発想ではなかったのか。
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もうひとつの“熱い思い”も、誰だってその要素は持っているのですから、放送席に
座れば自然に燃えてくるのです。彼の熱さは決して貴重なものではないのです。
WOWOWの開局後間もないころにイタリアの名門・ユベントスが来日して日本選抜と
対戦しました。解説は加茂周さんと奥寺康彦さんでした。
日本がリードしたのですが、最後には追いつかれました。両者の力を冷静に比べたら
いつかやられると、私は思っていました。しかし、ふと横を見ると、落ち込んでいる
二人の姿が目に入りました。本気で勝てると思っていたのです。ビックリしました。

オリンピックというだけでも気持ちは高揚します。まして、目の前に日の丸をつけて
プレーしている選手がいれば“イヤでも”応援するでしょう。
“カーリングへの愛”は関係者なら、みんな持っているものです。解説者を選ぶときの
基準にするのは滑稽です。

私は長くいろいろなスポーツを見てきました。たいていの種目なら、説明を受ければ
基本的なことは理解できるつもりです。ポイントごとに、ここではこういう作戦が
考えられる、こういうプレーが必要、と言われれば「なるほどね」と納得することが
ほとんどです。
しかし、小林さんの解説はそこがとても分かりにくいのです。

自分がよく分かっているだけに、説明が中途半端になってしまうのです。
アナウンサーの補足を聞いて初めて理解できることが何度となくありました。
一試合に十数回もアナウンサーが補うのを聞いたこともあります。
解説が不十分だったか、不適切だったことを示しています。

“言葉の整理”が出来ていないことも、聞いていていらいらする理由のひとつでした。
“右”、“左”が画面上でどっちを指すのかがハッキリしません。
私がとなりに座っていたら「カンベンしてよ」と思ったことでしょう。これを伝えたいと
用意しておいた情報があっても、「どこかでフォローが必要な言い方をするのではないか」と、
彼の話に常に神経を使うことになるからです。
これでは、自分のペースで実況することはあきらめなければなりません。

2月22日はダブルヘッダーでしたが、藤井アナの実況が1試合目と2試合目で明らかに
変わりました。私のツイートを時系列で並べるとこうなります。

1試合目
実況経験者から見ると小林・藤井コンビは面白い。興味深いという意味だが。
「こうしゃべりたい」という思いがずれていて互いにやりにくそう。
小林解説には“相手に合わせる”タイプのアナでないと難しい。
藤井アナ、ふだんはオーソドックスだが、ここは自分を前に出している。

2試合目序盤
本人に聞いてみないと分からないが、藤井アナは小林氏との距離を変えたと思う。
思うままに話すとぶつかるので、自分は下がって相手にスペースを与える方法に、
したと見る。ロシア戦とくらべ2人の呼吸がよくなっているように聞こえる。
キャリアを積むと、こういうことが出来る。

2試合目中盤
小林氏の話し方もだいぶ変わったのか?
絶叫が少なくなり、「よし」、「ナイス」といったフレーズも減った気がする。
どの時点かで藤井アナを含めディレクターとの話し合いがもたれたかもしれない。

…アナウンサーの負担がある程度は理解できると思います。

思うに、“小林解説が絶対で最高…”と思っている人たちの多くは、最初に彼の解説で
カーリングを見たら、競技が新鮮で面白かったし、話っぷりも人柄も面白かったために、
「この種目の解説にはこの人が一番」と思い込んでしまったのではないでしょうか?
一種の“刷り込み”です。
生まれた直後に何かの理由で母親から離れ、人間に育てられた動物は、最初に接した
“人間”を親だと思い込んでしまうのだそうです。それが“刷り込み”です。

小林さんと、彼の解説に“はまって”いる視聴者の関係も同じだと思っているのですが、
一応“仮説”としておきます。ハハハ。
しかし、私が感じる不満、違和感と小林ファンの熱狂との落差を考えるとき、これ以上の
説明はありません。刷り込みじゃあ、しょうがない、と思わざるを得ないのです。
ここがダメ、とどれだけ説明しても、“理屈”は通じないし、聞く耳を持たないのですから。

小林さんの解説が一時的にせよこの競技が脚光を浴びるキッカケになったことは認めます。
しかし、貢献は貢献として、私の不満はそのまま残ります。
うまく解説できる人がほかにいくらでもいるはずなのに、みんな、不幸だなあ…。
“応援”はやるべき仕事をちゃんとやってからでないとねえ。

スピード・スケートの白幡圭史さんも、“応援”に傾いた解説で残念でした。
もちろん、気持ちは分かります。しかし、長野オリンピックの解説だった浜谷公宏さんも
「いいですねえ」の連発で人気になりましたが、応援はするけども、きちんと解説して
ほしいと思っている者には「なんだかなあ」でしかありません。

好きな種目だったせいもあったでしょうが、「いいな」と思ったのは、アイスホッケーで
解説を務めた信田憲司さんです。
決して、うまいとは思いませんが、的確でした。ゴールキーパー出身だけに、ゴール前の
速くて、激しくて、そのうえ細かい動きについての話が分かりやすくてよかったです。
解説のあと、スローがそれを証明する形になることが何度もありました。
種目としての人気面がいまひとつですから目立ちませんでしたが、しっかりした解説ぶり
だったと思います。
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実況アナは、どんな解説者と組んでも、放送に臨むときには、その人との“距離感”を
考えるものです。この人は、どの分野の話が得意なのか、こういう話は苦手だったなあ、
長話が多いから気をつけよう、yes/noで答えられる質問は、それだけで終わるから禁物、
間を空ければそのときに話すべきことを簡潔に話してくれるタイプだ…
相手の持ち味に応じて放送の進め方を考えるのです。
小林さんは、情熱は分かりますが、対応の難しいタイプの解説者です。

私の長い実況人生の中で、言葉が足りなくてフォローが必要、あるいは、言葉の整理が
出来ない解説者には5人しか出会いませんでした。名前は伏せますが。ハハハ。
逆に、整理された言葉で的確な解説をされたのは、テニスの遠藤愛さんでした。
彼女と組むと、安心して実況に専念できました。

…そんなわけで、私にとって“小林解説”は不合格、それを持ちあげるマスコミも
お粗末としかいいようがありません。
会ったこともない小林氏に対して、感情的なものは一切ありません。
出来るだけ論理的に書いたつもりです。
これでもお分かりにならなければ、「残念です。どうぞご自由に」と申し上げるだけです。
けんかを売っているつもりはありませんので、ヨロシク。ハハハ。

理由は知りませんが、今回のカーリング解説は
違う人がやっていました。国内の試合でも
聞いたことがある人ですが、私にとっては
聞きやすい解説でした。
もちろん、小林解説を懐かしんだ人がきっと
大勢いるんだろうな、とも思いますが。

by toruiwa2010 | 2014-02-22 09:08 | 自薦・厳選300? | Comments(0)
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