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岩佐徹のOFF-MIKE

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自薦・厳選300?ナレーション 14/08/30

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今日の“自薦・厳選”は別のものを用意していたのですが、
「新・週刊フジテレビ批評」に元NHKの山根基世アナが
出ているのを見て急きょ変更しました。

NHKの歴代女性アナの中で“読み”を評価していたのは
3人でした。
私と同期、1963年入局の広瀬久美子、5年後輩の広瀬修子、
さらに3年後輩の山根アナです。
基本がしっかりしている上に声の質が柔らかく聞いていて
まったく“抵抗”がありませんでした。

最近、山根が「半沢直樹」。広瀬(修)が「軍師 官兵衛」の
ナレーターに起用されて大いに納得しています。
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忘れがたいナレーション( 2008.05.15 初出 )


イカルガノサトニツラナルナダラカナヤタキュウリョウ
「いかるがの里に連なる、なだらかな矢田丘陵」…

聞こえているのは、だいぶ若いころのものですが、間違いなく私の声でした。
フジテレビ入社のときから、ラ行、ダ行、ナ行が苦手、特に、それがつながった言葉は、
出来るだけ避けていました。どうしても噛みそうだなと思うと、「意味は変わらないので
こうしてもいいですか?」と、担当の記者に了承してもらって自分が読みやすい文章に
書き換えてニュースを読んだこともあります。正しい意味の“姑息”。ハハハ。

冒頭に書いた文章などは、「カンベンしてくれよ」という心境で読んだに違いないのですが、
驚いたことにひとつひとつの音がきちんと出ているではありませんか!

先日、何かを検索しているときに、“ナレーション:岩佐徹”という文字を見つけました。
さらに検索を続けてたどり着いたのは「古都奈良に十三佛を訪ねて 大和路・悠々散歩」と
題する4本セットのDVDボックスです。すぐに頭に浮かんだのは「?」です。ハハハ。
ナレーションを依頼された記憶はなんとなくあるのですが、出来上がった作品は手元に
ありません。どうも気持ちが落ち着かないので、ネットを通じて購入しました。
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収録したのはWOWOWに出向して数年たったころ、つまり、50歳を少し過ぎていたと
思います。フジテレビで8年半ほどマイクの前を離れていたあとにしては、口もよく動き、
滑舌もそれほど悪くありません。
「これなら、商品になっていても恥ずかしくはないかなあ」という感じです。ハハハ。
懐かしさも手伝って、全部見てしまいました。

“ナレーション”という仕事はもともとはアナウンサーだけがやっていました。
しかし、いつのころからか俳優やタレントたちによって“荒らされる”ようになりました。
ハハハ。
1990年ごろ、NHKが「シルク・ロード」のナレーターに石坂浩二を起用したときには、
読み方もアナウンサーに近く雰囲気もよかったのでそれほど違和感はなかったのですが、
しだいに、声はインパクトや魅力があっても、読みのテクニックは持っていない人たちが
始めるようになると、猛烈に腹が立っていきました。

アナウンサーは、文章の内容を汲んで、それが聞いている人に伝わるように読む訓練を
受けています。ですから、テクニックでは負けるとは思わないのですが、声に特徴がある
有名な俳優たちが読むと、声の魅力だけが前面に出て、読みがうまいかどうかはもはや
関係なくなってしまうところがあります。しかも、俳優が大物であればあるほどその人の
イメージが聞く人の頭の中で膨らみ、すばらしい“語り”に聞こえてしまうのです。
そうなると、個性を消すように教育されているアナウンサーは太刀打ちできなくなります。
「うまいとは思わないけどなあ」と“遠吠え”するしかありません。ハハハ。

それでも、安心して任せられる…ということでしょうか、アナウンサー人生の中で数々の
ナレーションをやらせてもらいました。
商品化されていて、手元にあるものを列記すると以下の通りです。

DVD

HISTORY of FOTBALL(THE BEAUTIFUL GAME) 6本セット
UEFA EURO 2004 PORTUGAL 3本セット
HISTORY of WIMBLEDON 2本セット
ウインブルドン・オフィシャルフィルム2004
ウインブルドン・オフィシャルフィルム2005

Video

高橋勝成や江連忠によるゴルフのレッスンものを多数やっています。
ほかに、面白いものでは‘94マスターズ、’95マスターズではジャック・二クラウスの
声を吹き替えたこともあります。ハハハ。

商品になっていないナレーションの中にも、記憶に残っているものがたくさんあります。
昭和天皇が亡くなったときに、全番組を中止して追悼番組を放送しましたが、この日に
流されたVTRの中に自分では一番気に入っている作品がありました。
戦中から戦後の復興まで激動の時代を生きられた昭和天皇の生涯をたどる壮大な物語です。
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天皇が亡くなることを崩御(ほうぎょ)と言います。
1901年生まれの陛下が70歳前後になられたころから、テレビ各局は、いつかやってくる
崩御の日を“Xデー”と呼んで、そのときに放送するな番組の制作に着手していました。
当時は確定していませんでしたが、崩御から数十時間は、ほかの番組をすべて中止して
特別編成になることは分かっていましたから、その時間を埋めるためのVTRを制作する
作業は早くから始める必要があったのです。

そして、フジテレビがまず手をつけたのがこの“一代記”でした。
今となっては正確な年代は思い出せませんが、私にナレーションの依頼が来たのはたぶん
1970年代の初めだったと思います。入社から10年前後、仕事も気持ちも最高に“乗って”
いたころです。指名を受けたことがプライドをくすぐりました。

しかし、実際の作業は遅々として進みませんでした。
素材を集め、ナレーション台本を作るのは想像を絶する時間と労力を必要としましたから
しかたがありません。結局、私がナレーションをつとめたのは最初の4本(4時間分)だけで、
それだけでも収録には3-4年の歳月がかかったと記憶しています。
海外出張が増えたり、報道局への異動があったりしたために、残りの数時間分は2人の
後輩が担当しました。

下読みにたっぷりと時間をかけ、あした。ディレクターの指示は“きわめてゆっくりと”
にしたがって、心をこめて読んだ日々が思い出されます。
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あるひとつの人生を語るとき、それを一国の歴史に
なぞらえることが出来る
人生に揺籃の時代あれば、国に草創期の苦闘の歴史あり
人生に青年客気の時代あれば、国に狂瀾怒涛の歴史あり
人生に成熟の時代あれば、国には爛熟した文化の時代がある


我々がいま、昭和という時代の終焉にあたって、大行陛下ご一代の足跡をたどるとき、
まさしくそれが一国の歴史であり、ひとつの人生と呼ぶにはあまりに歴史的な人生で
あったことを痛感せずにはいられない

昭和天皇の崩御は1989年1月でした。
最初の収録から15年以上の時間が経過していたことになります。
すでにWOWOWに出向していた私はこの日の放送を自宅で見ました。
昭和天皇の幼少時からの映像を見ながら、それに乗せて流れてくる自分のナレーションに、
特別な感慨がありました。

“その日”の空気を頭に入れて充分に読み込み、収録を終えたときには大きな満足感が
あったのですが、改めて聞くと、「幼い」「深みがない」という印象を免れませんでした。
こういうものを読みこなすにはもっと年輪が必要だったのだと思います。

実況やニュース・キャスターなどにくらべるとナレーションは地味ですが、考える以上に
奥が深くてアナウンサーとしてはやりがいのある分野です。
特に、自分で納得できる読みが出来たときの達成感は本人でないと分からないでしょう。
今ではもう舌の回転も充分ではありませんから、どこからも依頼はないと思いますが、
機会があったら“最後のナレーション”にもう一度、ぜひ、挑戦してみたいものです。
by toruiwa2010 | 2014-08-30 09:10 | 自薦・厳選300? | Comments(4)
Commented by ひろ☆はっぴ at 2014-08-30 10:38 x
災い転じて…となればよろしいのですが、今回の出来事で岩佐さんの存在を再認識した人は少なからずいらっしゃいます。チャンスは大いにあると思いますよ。
Yahooのスポーツナビの中にあるファンブログには「スローボール批判で炎上のアナは私の青春」というタイトルの記事がありました。よろしければご一読ください。リンクを貼り付けられませんでしたので、お手数をおかけしますが検索してみてください。
Commented by toruiwa2010 at 2014-08-30 11:02
ひろ☆はっぴさん、こんにちは。

元気が出る記事のご紹介、
ありがとうございました。
書いた人がが攻撃されなければ
いいのですが、
Commented by じゅんじ at 2014-08-30 12:24 x
岩佐さん、こんにちは。

ご紹介された記事、素敵でしたね
私の場合はテニスでした。
今見返してもやはり心地良です、
柳さんとのマッチングでしょう。

今回の件でお疲れではないかと気にしております、季節の変化にもお気をつけ下さい。
Commented by toruiwa2010 at 2014-08-30 14:06
じゅんじサン、こんにちは。

お気遣い、恐縮です。
初めてだったらきっと気も動転…
だったと思いますが、いいのか悪いのか
分かりませんが、「経験」があったので
対応できました。

言い返せないのがつらいです。
ハハハ。

少々、疲れているのは確かですが、
「あれ」が原因かどうかは不明です。
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