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岩佐徹のOFF-MIKE

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自薦・厳選300?敗者について、ふたたび14/10/12

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敗者もまた美しい ( 2008.08.21 初出 )

「オリンピックでは敗者さえ美しい」と、何回か書きました。100%の事実ではありません。
中には見にくい敗者もいます。「そうあってほしい」という願望もこもっています。

陸上・女子5000㍍の予選1組で終始後方に位置したまま7着に終わった小林を見たとき、
「勝負をしないで負けてしまったのは悔いが残るだろうな」と思いました。
しかし、彼女の話を聞いて考えが変わりました。「最後の1000㍍か400㍍で勝負しようと
思ったけどダメでした」と言ったのです。レースの中盤で仕掛けなかったからと言って
“勝負をしなかった”というのはシロート考えでした。
話を聞いて自分の判断が間違っていたと分かって、むしろよかったと思いました。ハハハ。

この種目の予選は、1-2組の6着までと、二組の選手からタイムのいい上位3人が決勝に
進める仕組みになっていました。
2組に出た福士はこう考えてレースに臨んだそうです。「かき回して、タイムを遅くすれば、
小林が決勝に出られる」と。
結果は…自分がつぶれてしまいました。ハハハ。
しかし、インタビューで終始笑顔だった福士を見ていると救われます。
“笑っている場合じゃないだろう”という考え方もあるでしょうが、精一杯やったのなら、
勝負が終わったあとの態度としてはこれが一番でしょう。
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オリンピックに限らず、厳しい、苦しい戦いを制してチャンピオンになったアスリートは
よほど、汚い手を使った結果でないかぎり、みんな“美しい”と思います。
そして、“Good Loser”がいると、勝負を含めてすべてが美しさを増すような気がします。
200㍍決勝のあと、ボルトをかつぎ上げていた3着に入ったウォルター・ディックスには、
「お前はたいしたやつだなあ」と、負けを認め、相手をたたえている雰囲気がありました。

その意味で、男子100㍍平泳ぎで敗れたハンセンが、優勝した北島のところまで祝福しに
来た光景や、谷本に一本負けして優勝を逃がしたドコスがメダル・セレモニーのときには
明らかに“いい顔”で対応していたらしいことを知ったときにはとてもいい気持ちでした。
男子400㍍メドレー・リレーが終わったあと、“3着”に沸く喜びの輪を抜け出した北島が
世界新記録で優勝したアメリカ・チームの一員だったハンセンのところに足を運んだ姿も
印象に残ります。“美しいチャンピオン”と言っていいでしょう。
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シドニーの柔道100キロ超級決勝で不可解な判定で敗れた篠原の例を持ち出すまでもなく
国際試合ではミスや誤審はつきものです。篠原のように「自分が弱かったから負けた」と
いさぎよく引き下がるのは簡単なことではありません。
今回のレスリングの男子グレコ・ローマン84キロ級で3位になったスウェーデンの選手は
準決勝での判定が納得できないとして、銅メダルをマットの上に置き去りにしています。
“いさぎよくあれ”と口では簡単に言いますが、“実践”は難しいのでしょう。

跳躍競技などで自分が教えている選手が最後の試技に失敗したとき、スタンドで見守る
初老のコーチの目がうるんでいたりすると、ぐっと来てしまいます。
「君がどんなに努力してきたかは、私が知っている。ご苦労さん」と言っているように
見えるのです。
オリンピックの舞台に出るためについやされる時間とエネルギーがどれほどのものかは
私たちの想像を超えていると思います。重量挙げ、レスリング、フェンシング…普段は
日の当たらない“マイナー・スポーツ”のコーチや関係者たちが喜怒哀楽を選手と分かち
合っている様子にも胸を打たれます。日ごろの“絆”を感じるからです。

男子5000㍍予選に出場した松宮は途中でほかの選手と接触した際に靴のかかとを
踏まれてしまいました。「中途半端がいやで自分で脱いだ」そうですが、残りは片足が
はだしという、“より中途半端”な状態で走ることになりました。ハハハ。
しかし、インタビューでの東北なまりの発言はさわやかなものでした。
「靴が脱げても脱げなくても、これが自分の実力なんで…。今から、またがんばります。
この舞台に立ててよかったです」
・・・そうです。明らかにベストを尽くしたと思える選手には、その場にいることだけでも
「おめでとう。よかったね」と言ってあげたいと思います。
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ベスト・コンディションではないのに国民は期待を寄せる…ハンマー投げの室伏はきっと
辛かっただろうと思います。結果は5位でしたが、落胆している様子はありませんでした。
「今の状態でやれることはやった」という充足感があったのでしょう。
日本のテレビの代表取材が終わったあと、顔なじみらしい、海外のリポーターから声を
かけられてにこやかな表情でインタビューに応じている室伏を見ていると、日本陸上界で
ただ一人、本当の意味で“世界に通用するアスリート”なんだという印象を持ちました。

試合や勝負のあとにも素晴らしいドラマがあるのに、“そそくさ”と中継を打ち切って
騒々しいスタジオにカメラを切り替えてしまうテレビには不満が残ります。
たぶん、番組を作っている連中には“スポーツごころ”がないのでしょう。ハハハ。
by toruiwa2010 | 2014-10-12 07:28 | 自薦・厳選300? | Comments(0)
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