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岩佐徹のOFF-MIKE

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アメリカン・スナイパー90点~フォックスキャッチャーもグッド~02/23

アメリカン・スナイパー 90

廃墟と化した街を戦車がゆっくりと行く。
その戦車に隠れるように、銃を構え、周囲に警戒の目を配りながら海兵隊員が進んでいた。

少し離れたビルの屋上にクリス・カイル(ブラドリー・クーパー)がいた。
腹這いになってスコープ付きのライフルで敵の動きを探っている。彼の任務は地上を行く
海兵隊員の安全を守ることだった。
向かいのビルの屋上に一人の男が姿を見せた。携帯で誰かと話している。カイルが無線で
指揮官の指示を仰いでいるうちに男は建物の中に消えた。

別のビルから黒いヒジャブをまとった女が10歳ぐらいに見える少年とともに現れた。
カイルの指が引き金にかかる。「何かを抱えているようだ。見えるか?」と問う彼に
指揮官は「ネガティブ(見えない)。お前の判断で撃て」と答える。
女から少年に何かが渡された。対戦車榴弾だ!

進んでくる戦車に向かって走り出す少年。
カイルは静かに引き金を引いた。倒れた少年に駆け寄り、榴弾を拾い上げた母親に向けて
さらにもう一発。
それが アメリカ史上最強のスナイパー(狙撃手)とされるカイルの初めての仕事だった…
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緊張感漂う冒頭の数分間です。
この映画が公開されたとき、アメリカ国内では子供を含む160人以上を殺害したカイルを
ヒーローとして描くのはおかしいという批判があったと聞きます。
どこを見れば、そんな風に見えるのだろう? それが私の感想です。
終始一貫、自分の銃で敵を倒すことが国を守り、家族を守ると信じながら、撃っています。

そして、“伝説”(Legend)と呼ばれても的確に標的を仕留めることを誇ったり自慢したりは
していません。
むしろ、“YOUR CALL”(お前の判断)に任されることが多い極度のプレッシャーの中で
女性や子供を撃つことにはためらいがあり、「家族のもとに戻ってきてほしい」と懇願する
妻との確執に悩む男として描いています。

最後の数分間の処理がうまいと思います。エンドロールにかけてのストック映像を使った
ラストシーンに胸を揺さぶられました。
9.11のときグラウンド・ゼロに向かう警察官や消防隊員に敬意を込めて拍手を送っていた
市民の姿を思い出します。
帰還兵なのでしょうか、車いすで進み出て片手で星条旗を掲げた男性にぐっときました。
ヒーローっぽく扱った部分があるとすればこの数分間だけでしょう。
カウンセラーとの面談のとき、カイルが口にした言葉とともに心にしみました。
「なぜ彼らを殺したかを神に説明できる」。

イーストウッドは84歳ですが、賛否両論あるにしてもこれだけの力作を撮りました。
戦場の狂気と母国で家族と過ごす平穏な日々を鮮やかに対比させています。
彼の作品の主人公は“強い男”や“国を愛する男”が多いですが、必ず、心のどこかに
“傷”を負っていますね。それが観客の気持ちを惹きつけてやまないのだと思います。
公私ともに元気いっぱいのようです。あと何本か見せてほしいです。

余談1

クリス・カイルは2013年2月2日、元海兵隊員エディ・ルースの銃によって殺されました。
家族の依頼を受けて、PTSDに悩まされているルースに救いの手を差し伸べようとして
友人と一緒に出掛けて行った射撃練習場で撃たれたのです。
車の中でカイルは「こいつ、おかしいぞ」とメールで友人に警告しています。友人からは
「奴は俺の真後ろに座ってる。見張っててくれよ」と返しています。
警戒していたのに撃たれてしまったことが分かります。
ルースの裁判は現在進行中です。ここにもまた戦争の犠牲者が…

余談2

少なくとも二つの場面で 本物の赤ちゃんの代わりに人形を使っています。
予定していた赤ちゃんが熱を出したり来なかったりしたためだと、脚本家がツイッターで
呟いていました。(のちに削除)
一ヶ所は “見え見え”です。イーストウッドならもう少しうまく処理できたと思いますが、
なぜ、そのままにしたのか不思議です。


フォックスキャッチャー 85

マーク(チャニング・テータム)は84ロス五輪のレスリングで金メダルを獲った。しかし、
3年が過ぎたいま、名声の跡形もなく侘しい一人暮らしをしている。
同じように金メダリストの兄と地域の粗末なジムで翌年に迫った88ソウル五輪に向けて
トレーニングを続けていたが、ファストフードやインスタント食品で腹を満たす境遇に
不満を感じていた。

そんなマークに“ジョン・E・デュポンの代理”だと名乗る男から電話がかかった。
「ボスが会いたいと言っている。ペンシルバニアまで来てほしい」と。
世界的な大富豪のデュポンが誰なのかを知らないまま、マークは手配されたファースト・
クラスのチケットで出かけて行った。空港に出迎えた男とともにプライベート・ヘリに
乗って連れて行かれたのは想像を絶する広大な邸宅だった。

姿を現したジョン(スティーブ・カレル)は敷地内に完成したばかりの、練習機材が整った
豪華なジム“Foxcatcher”を見せ、兄弟でここに来てソウルを目指そうと誘うのだった…
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家庭を持っている兄は応じませんでしたが、ジョンの話に引き込まれたマークはいったん
帰宅するとすぐに荷物をまとめてペンシルバニアに居を移しました。
全米から選手が集まり、オリンピックに向けたトレーニングや予選が始まります。
すると、ジョンがレスリングにかける情熱は本物だとしても、デュポン家の跡取り息子の
思考回路や気性が異常であることを示す言動が見えてきます。そこには、絶対的な権力を
持っている母親に認めてもらえない“寂しさ”が濃い影を落としています。

カレルが狂気をはらんだジョンに扮して渾身の演技を見せています。感情を爆発させる
シーンは少ないのですが、無表情な動作にかえって凄みがあります。喜劇俳優だと聞くと、
“なおさら”です。アカデミー賞の候補になっているのもうなずけます。
テータムもかなりがんばったと思うのですが、あの程度では候補にはならないんですね。

細かいことですが、字数も関係ないのに、World Championships=世界選手権を
“世界大会”とか1回戦、2回戦を“第1ピリオド”などと訳すことに違和感があります。


君が生きた証 85

「30分後にカフェで」と携帯で話してから1時間近く過ぎても、息子は現れなかった。
留守電に「おやじをスッポカすとはたいしたもんだ」と伝言を残してサムは立ち上がった。
何気なく目をやったテレビの画面に思いもかけないものが映っていた。息子が通う大学で
銃の乱射事件が起きていた…
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妻と離婚し、寮生活を送りながら大学に通う息子が唯一の生きがいだったサムは失意の
どん底に突き落とされます。2年後、まだ立ち直れないでいるサムのところに別れた妻が
息子の遺品を持ってたずねて来ます。ギターやミュージックテープです。「2年かかって
整理した。音楽関係のことはさっぱりわからないし、家を売るので引き取ってほしい」と
言うのです。
妻が去ったあと、そのままゴミとして捨てようとしたサムですが、ノートにびっしりと
記された詩を見て気が変わります。

小品ですが、好きなタイプのドラマです。
出てくる曲がみんなすばらしいです。楽器で会話できる人たちがうらやましいです。


ついでに…

白鵬擁護論を書くと言ってまだ書かない某新聞のN記者ですが、
昨夜のこんなツイートが最後で白鵬についてはいまだに沈黙中。

やっぱり、
「夜の」
をつけると、何でもかんでも、なんだか
エロくなるじゃないですか。

夜のぶらんこ
とか
夜の通天閣
とか
夜の支度部屋
とか
夜の北の富士
とか

…確かに、とは思うけど、そんな時間があるならとも。
ああ、じれったい!まだ待ってるよ。ハハハ。
by toruiwa2010 | 2015-02-23 07:18 | 映画が好き | Comments(2)
Commented by じゅんじ at 2015-02-23 12:35 x
こんにちは、岩佐さん。

今夜のオスカー授賞式(吹)を心待ちに
読ませて頂きました、
出来るだけ情報をシャットアウトして
エンタテインメントを楽しみたいです。

WOWOWの数少ない喜びですから。
Commented by toruiwa2010 at 2015-02-23 12:40
じゅんじサン、こんにちは。

WOWOWの数少ない喜び・・・
私はドラマだけで元を取っています。
ハハハ。
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