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岩佐徹のOFF-MIKE

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翻訳者は大事だよね 自薦・厳選300?15/06/13

お恨み申す、“超訳”~永井淳氏 死去~ (2009.06.12 初出)

1980年代だったと思います。
大庭忠男の翻訳でシドニィ・シェルダンの「真夜中の向こう側」、「天使の怒り」などの
作品を読みました。ハヤカワ文庫だったと記憶しています。
もとの文章がそうなんでしょうが、シェルダン独特の展開の速い物語が、スピーディーで
とても読みやすい日本語になっていて、むさぼるように読んだものです。
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しかし、数年後、アカデミー出版が版権を手に入れたことで私の楽しみは奪われました。
一冊だけ読みましたが、2,3ページで呆然としてしまいました。
こまかいところまで丁寧に訳すことをせず、意訳を多用し大胆な省略で早く読めるように
訳してあったのです。それまでのすばらしい訳との差が大きくてガッカリしました。

彼の小説が面白いのは間違いないので、どうにかしたいと考えた結果、「いっそのこと、
原書を読んでみようか」となりました。どうぞ「スゴーイ」などと言わないでください。
私の英語は当時も今もたいしたことはありません。電車の中で読んでいるときに外国人が
隣に座ったりすると“焦る”し、「どうか話しかけないで」と祈るぐらいです。ハハハ。
ただ、70年代の終わりに大リーグを担当したとき以来、英語の資料はイヤというほど
読み続けていたので、何とかなるのではないかと思ったわけです。

読んでみると、“案ずるより産むが易し”…シェルダンがあまり難しい言葉を多く使わない
作家だったこともあって、結構ついていけました。話の流れをつかむためにどうしても、
という場合を除いて、辞書も引きませんでした。
主に、会社の行き帰りに読んでいましたから、辞書を持つのが面倒だったのです。
ですから、7割理解するのがやっとでしたが、頭の中で自分のボキャブラリーから選んだ
日本語に置き換えられるのは一種の快感で、やめられなくなりました。

「格好つけて」と思う方もおいででしょうが、ひとつには、“英語を読む”ことに慣れて
おきたいという思いもあったのです。テニスもサッカーも、海外の資料を読むときには
どうしたって英語になるわけですから。
毎年、全豪と全米のときに、行きつけの本屋で好きな作家の新刊本を手に入れることが
楽しみのひとつでした。全豪なら、メルボルンの繁華街にある「マイヤー」と「デビッド・
ジョーンズ」、全米のときは、定宿だったニューヨークのインター・コンティネンタルから
歩いて5分ほどの「バーンズ&ノーブル」が“行きつけ”の本屋でした。
今でも、どのコーナーに行けば誰の本があるか、思い出すことが出来ます。なんの役にも
立ちませんが。ハハハ。
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“超訳”のおかげで、英語で小説を読む“クセ”がついたのですから、感謝していますが、
すばらしい“訳”を失ってしまった無念さについては、今でもうらんでいます。ハハハ。

先週、新聞の片隅に永井淳さんが亡くなったことが報じられていました。
ジェフリー・アーチャーやアーサー・ヘイリーの作品でお世話になった翻訳者です。
この人の日本語も“流麗”と言いたいほど、見事でした。今でもアーチャーが好きなのは
彼の翻訳がよかったからだと思います。
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海外の作家の作品を初めて読むときは翻訳者の“フィルター”を通すことになります。
つまり、翻訳者は読者をその作家の世界に導いてくれる“ガイド”です。彼らが果たす
役割はきわめて大きいでしょう。

今、アカデミー出版がどんな本を出しているか知りませんが、あの当時と同じ状態なら
問題です。最初に“超訳”で読んでしまった人はその作家のよさを知らないまま終わって
しまう可能性もあるからです。

シェルダンの初期の作品(大庭忠男訳)のいくつかが
アマゾンにあるようです。
“シドニィ・シェルダン 大庭忠男”で検索して下さい。
“超訳”にあきれている方には、お勧めです。ハハハ。

おまけ:昨夜の献立

昨日のメインはガーリックライスと薄切り肉の炒め物・・・
はい、大好物です。

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by toruiwa2010 | 2015-06-13 08:55 | 読書・歌・趣味 | Comments(2)
Commented by なおぞう at 2015-06-13 13:17 x
学生の時の彼女のお姉さんも「超訳」に憤っていました。ぼくはそれを聞いてアカデミー出版には手を出しませんでした。その後、グリシャムがアカデミー出版から出た時は非常に残念な気持ちになり、いまだに読んでません。
Commented by toruiwa2010 at 2015-06-13 16:28
なおぞうサン、こんにちは。

超訳に怒った人は多いと思います。
しかし、ちゃんと訳したらどうだったのかを
知っている人はもっと多いと思います。
それが、「悲劇」ですね。
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