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岩佐徹のOFF-MIKE

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文章・挨拶をどう始めるか 自薦・厳選300? 15/06/14

勉強になるなあ (2009.01.29 初出)

フジテレビの1年先輩に扇谷杏杏子(ななこ)さんがいました。
父・正造氏は当時、週刊朝日の名編集長でした。
彼は、取材メモを前にして苦労している若手記者を見ると、こう助言したそうです。
「とにかく大変だった、と書き出してみたまえ」…

一昨日の「天声人語」(朝日新聞)はこの話を紹介したあと…
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(ハドソン川に不時着した旅客機の)機長のスピーチもまた
「とにかく大変でした」と切り出すことができただろう。(中略)
しかし、「大変さ」には触れなかった。「経験豊かな乗員がそろい、
みんなが訓練どおりに仕事をしたまでです」。
映画化を先取りしたような、大衆の期待にたがわぬ謙虚な言葉だ。

と書いていました。
“前フリ”と“本文”のつながりに少し無理があるような気がしますが。ハハハ。

実況を始めるときも、“第一声”には気を使ったものです。
何をしゃべるか、どんなトーンでしゃべり出すか…。
極端に言うと、その部分で視聴者とアナウンサーの“距離感”は決まってしまうとさえ
考えていました。それほど“しゃべりだし”は大事です。
文章を書くときも同じです。冒頭の文章がうまく書けるとそのあとをスムーズに続ける
ことができますし、読む人も“流れ”に乗れるはずだと思っています。
しかし、口で言うほど簡単ではありません。

書くことに関しては素人なので、さて、どう書き出そうかと悩むことが多いです。

・「分かったわ」と美代子が言った。強い意志がこもった言い方だった。
・建物の外に出ると、暗くなっていた。しかも、静かに雨が降り始めていた。
・「君たち。それくらいにしたらどうかね」。
 奥の席にいた紳士が声をかけて来た。知らぬ間に声が大きくなっていたようだ。
・久しぶりに長い距離を走ったが、楽勝だった。武史の顔に笑みが広がる。
・場内が明るくなったとき横を見ると、妻の目が潤んでいた。そうだよなと思った。
・1枚目はマルゲリータと決めていた。そのあとをクァトロフォルマッジにするか
 生ハムとルッコラのピザにするか、まだ迷っていた。
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ずいぶん前に書いたエントリー「文章作法」の一部です。
小説を書くとしたらどう書き出すだろうかと考えた結果がこんな具合でした。

これは架空のことですから、そんなに難しくはないのですが、実際にあったことを
書くとなるとそう簡単ではないのです。ハハハ。

“とにかく大変だった”か…なるほどね。
狂歌をつくるとき、上の句(五・七・五)さえできれば、それがどんな内容であっても、
下の句(七・七)を「それにつけても 金のほしさよ」とすれば、違和感なくおさまる
という話とよく似ていますね。参考になります。
もちろん、“大変だった”をそのまま使うことはないですが、似たようなフレーズは
いくらでも見つかるでしょうから、困ったときには“トライ”してみようと思います。

「天声人語」の“機長”のスピーチは、彼が、サンフランシスコ近郊の故郷の町から
表彰されたときのものです。
「経験豊かな乗員がそろい、みんなが訓練どおりに仕事をしたまでです」…
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事故の翌日に読んだコラムを思い出しました。

過去、日本のメディアについて「“ジャーナリズム”より“センセーショナリズム”に
流された報道の仕方」を私は嘆いてきました。
事故直後のアメリカでも、US Airways機を操縦していた機長について“奇跡”という
表現がかなり使われていたようです。
しかし、翌日のニューヨーク・タイムズには、定期的に寄稿している民間パイロットの
こんな意見が載っていました。

まずはじめに、昨日、ニューヨークオハドソン川に着水した
US Airways 1549便の同僚パイロットたちのパフォーマンスを
過小評価するつもりはない。素晴らしかった。
その上で、メディアには、“奇跡”と呼んだり、機長をヒーロー視
したりすることをやめてほしいと思う。
彼とクルーは訓練したとおりのことをやったのだ。
彼らはヒーローではなく、プロフェッショナルなのだ。
悲劇が避けられたのは、100%、二人のきわめて有能な
パイロットのおかげである。
(中略)
なによりも、幸運が大きくものを言った。
昼間だった、見通しがよかった、機長が飛行機を操作する
余地があって着水に適した場所を見つけることができた…
もし、夜間だったり、天候が悪かったり、着水する場所が
見つからなかったりしたら、大惨事になっていただろう。
(中略)
旅客機がハドソン川へ不時着するというのはスペクタクルだが、
メディアには、水面に降りることはそれほど異常ではないことを
知ってほしい。もっと印象的なのは、エンジンが二つとも止まった
ジェット機を操った、着水直前のパイロットたちの行動だ。
奇跡と呼べるものがあるとすれば、そのことだろう。
最後に、感謝すべきものがあるとすれば、それはプロフェッショ
ナリズムであり、よくある昔ながらの幸運である。


…賞賛相次ぐ同業者に対する嫉妬と読む人もいるでしょう。
しかし、事故直後から冷静だったと伝えられる機長のスピーチにはこの“コラム”の
影響を見ることもできますね。
“センセーショナリズム”に走るメディアに向けた“警鐘”と、私は受け止めましたが。
by toruiwa2010 | 2015-06-14 08:55 | 自薦・厳選300? | Comments(0)
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