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岩佐徹のOFF-MIKE

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同じ75点でも意味が違う~「母と暮らせば」&「MOZU」~15/12/16

母と暮らせば 75

1945年8月9日の朝、原子爆弾を抱いた米軍のB29は小倉市を目指していた。
9時50分、目的地の上空に達するとそこは厚い雲に覆われていた。原爆の投下は目視が
絶対条件だったため、同機は第二目標である長崎市に向かった。

その日、長崎は朝から厳しい暑さだった。長崎医科大学の学生、福原浩二(二宮和也)は
いつものように 「気をつけてね」という母、伸子(吉永小百合)の声を背に学校に向かった。
運命の瞬間は午前11時2分、人気の川上教授の授業中に訪れた。

3年後、恒例の墓参りを終えて帰宅した伸子が浩二の遺影に語りかけていた。
「今日で陰善を終わりにしようと思うの」。
音もたてず、彼女のうしろ、二階へ上がる階段に学生服を着た浩二が腰を下ろしていた…
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さして驚いた風もなく、伸子は浩二と話し始めます。
そこからは、折に触れて姿を見せる浩二の幽霊と伸子の会話が原爆以前の二人の生活を
浮かび上がらせ、ひんぱんにこの家を訪ねる 浩二の恋人だった町子(黒木華)と伸子の
交流が福原家の今を語ります。

ファンタジーです。
気は進みませんでしたが、山田洋次が監督・脚本、吉永と二宮の主演で、黒木も出るなら
見ないわけにいかないでしょう。来年の賞レースに顔を出すかもしれないし。ハハハ。
しかし、やはり、違和感がありました。

広島を舞台に「父と暮らせば」を書いた作家・井上ひさしがいつか長崎を舞台にして
「母と暮らせば」を書きたいと望んでいたことを知った山田洋次がこの映画を作ろうと
決めたのだそうです。
申し訳ないのですが、このタイプのものは映画だけでなく、小説でも苦手です。
訴えたいことは現実の世界に存在する人物たちで表現できるはずなのに、肝心のことを
幽霊に語らせているようで納得できないのです。

そして、私が苦手だからそう思うのだし、好きな人にはそれがたまらないのでしょうが、
吉永小百合はどこを切っても吉永小百合…ですね。名女優のように言われるのに、
感情の表現がうまいとは思えません。演技の幅が狭いといつも思います。
山田洋次も同じです。訴えたいことがあるのでしょうが、いつも“回りくどい”。もっと
ストレートでいいのにと思います。井上ひさしへのオマージュだとしても、未練を残して
死んでいった幽霊と生きていることにうしろめたさを覚える人間を対比させるところまで
似せることはなかったのではないか。

こんな風に思うのは私だけ?
幽霊が登場する映画を抵抗なく受け入れる人の方が圧倒的に多いのかもしれません。
レビューを見ると評判がいいようです。ただし、高く評価している人のレビューを読むと
熱狂的な二宮ファンやサユリストだったり、山田洋次の熱心な支持者だったりします。
できれば、そうでない人たちの感想を聞きたいです。自分が人とどれほど隔たっているか、
考え方が偏っているかどうかを確認するためにも。ハハハ。

大監督・大女優・超有名アイドルが揃った作品だからでしょうか、メディアは正面切って
断じることはできないようです。朝日に載っていた佐藤忠男という高名(?)な評論家の
一文も“迷走”し、落としどころに苦しんでいるようにしか読めませんでした。
(読み取れなかったらごめんなさい)
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こまかいけど、疑問がひとつ。
8月9日、真夏の長崎で大学に向かう浩二は学生服姿だったし、満員のバスに乗る人たちも
きちんと上着を着ていました。戦争末期、政府や軍がそういうお達しを出していたのか?

ああ、もうひとつ。
浩二は伸子との会話の中で「頭に来た」と言っていました。
私の記憶では、若者たちがこの言葉を使い始めたのは昭和30~40年代になってからです。

新藤兼人監督の「一枚のハガキ」を見たときもクレームをつけました。
終戦直後、運命にもてあそばれた男女が再会したとき、女性が男性に向かって「キスして
ちょうだい」と言ったからです。当時の日本人は“キス”とは言わなかったはずなんです。
“せっぷん”、“くちづけ”、百歩譲っても“キッス”のどれかです。きりっ!ハハハ。

劇場版 MOZU 75

同じ75点でも、こちらの方は思ったほどひどくないじゃん…といいう75点です。
ドラマは全部見たし、劇場版を見ないのはもったいないと思いつつ、あまりにも世間の
評判が悪いのでなかなか腰が上がりませんでした。

フィリピンでかなり激しいロケを敢行したと聞きますが、たしかに、迫力のあるシーンが
ふんだんにあります。しかし、監督がその映像を気に入りすぎてしまって、ストーリーの
展開を描くことがおろそかになってしまった感があります。
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アクション映画はみんなそうだから文句を言っても始まりませんが、ビックリすることが
多すぎます。死んだはずの登場人物の多くが生きていたり、これだけボコボコにされたら
間違いなく“全治数か月”の重傷だろうと思った男が数日後にはわずかな包帯だけで姿を
見せたり…不死身すぎるわ。ハハハ。

出番は多くなかったものの、池松壮亮、カッコよし。
闇を支配する男を演じた北野武、初めて役がはまってると思ったぜ。
ただし、役名はふざけてるなあ。戦後日本の裏社会を牛耳り“フィクサー”と呼ばれた
児玉誉士夫という男がいた。分解して再構成すると“ヨシダコマオ”。何のつもりだ?

65 独裁者と小さな孫 独裁国家では民が苦しみ独裁者の末路は哀れ…ひどかった
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by toruiwa2010 | 2015-12-16 08:43 | 映画が好き | Comments(5)
Commented by at 2015-12-26 17:04 x
岩佐さん、こんにちは。
「MOZU」劇場版に関しては、御意見に同感です。
CG技術の発達で、困難な映像が実現しやすくなった反面、近年の作品ではありえないようなオーバー・陳腐な演出もあり、「どうせCGだろう・・」としらけてしまう事があります。
「母と暮らせば」は小生が単純なせいか、素直に感動したのですが、思い出せば、山田監督作品では、かつて「武士の一分」でも登場人物の台詞が武家社会とは思えない現代口調の言葉が目立ち、個人的に違和感を感じましたね・・。

吉永さんに関しては、東映・岡田裕介さんプロデュースの一連の作品があまりにも・・・(自粛致します)なので、小生が甘いのか、松竹・山田監督作品にはいつも満足していますが、厳しい邦画ファンの方々の意見は違うかもしれませんね・・。

野坂昭如先生の御冥福も心からお祈りしたいですが、昭和の任侠スター・安藤昇先生の訃報も昭和の映画ファンとして、悲しいです。

NHK・山形での問題、小生のような一般視聴者は、女性を悪者にしてしまいがちですが、岩佐さんの暖かい分析に納得致しました。









Commented by toruiwa2010 at 2015-12-26 17:47
巽サン、こんばんは。

好みはあくまで人それぞれですが、
私は昔から、山田洋次的、小百合的な
世界が好きじゃないので困ります。ハハハ。
Commented by at 2015-12-26 18:23 x
岩佐さん、ありがとうございます。
私の場合、拘りはないのですが、
確かに、周囲でも吉永さん、山田作品が好きでない方々はいらっしゃいますね。
「下町ロケット」のエントリーを拝見して、高島彩さんの女優出演に驚きました(小生、未見だったので)
お父上の故・竜崎勝さんの大ファンだったので、お芝居の才能も受け継がれたのか・・と感心致します。
「くいしん坊バンザイ」等、生前、フジテレビの御出演も多かったですが、岩佐さんは竜崎さんとは、御面識はおありだったのでしょうか?

では、寒さが厳しいので、御身体を大切に。


Commented by toruiwa2010 at 2015-12-26 18:42
巽サン、高島は演技を
しているようには見えませんでした。
それが良かったのだと思います。

私は彼女の父親と面識はありません。
Commented by at 2015-12-26 19:19 x
お返事、ありがとうございました。
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