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岩佐徹のOFF-MIKE

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又吉直樹の快挙~2015:明るいニュース その1~15/12/30

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大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が重なり響いていた。

情景が目に浮かぶ、私の大好きなリズムで始まった物語は、著者自身が投影されている
駆け出しの漫才コンビ“スパークス”の徳永(僕)と先輩・“あほんだら”の神谷が作り出す
独特で密度の濃い世界を鮮やかに描いていました。
“僕”は熱海の花火大会に“営業”で出かけた夜、出番のあと飲みに誘ってくれた神谷と
師弟関係を結びます。「俺の伝記を書くこと」が神谷の出した条件でした。
コンビニでボールペンとノートを買い込んだ“僕”の気持ちは高揚しています。
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…今年、ピース・又吉直樹の快進撃ほど眺めていて心地よかった出来事はありません。
文藝雑誌「文學界」に小説が掲載されたと聞いたのは1月初めでした。
メディアが騒ぎ、とんでもない売れ行きになりましたが、妻が早い段階で入手しました。
10数年、読書と言えば英語の本、それもミステリーものばかりだった私も、好きな芸人・
又吉の本格的純文学デビュー作は読まないわけにいかないと、妻から借りて読みました。
私にしては珍しく、あっという間に読み終えました。すばらしいと思いました。
どうすばらしいのかは残念ながらうまく表現できません。好きなタイプのストーリーに
なっているのと、著者が好きだということが“冷静な評価”の邪魔をするのです。ハハハ。

涼しい風の吹く海沿いの道を歩きながら、どこから書き始めるかを
考えていた。見物客は宿に収まり切ったのか、人影はまばらで波音が
静かに聞こえていた。耳を澄ますと花火のような耳鳴りがして、次の
電柱まで少しだけ走った。


最初の“章”の最後の部分です。気に入りました。又吉直樹、あの顔でなかなかやるわ。
ハハハ。
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断固として村上春樹を認めないほど、文学のことはよく分かっていません。
そんな私でさえ、言葉の選択や文章の完成度に「えっ?」と思う箇所が多数ありました。
適当にページを開いて拾っただけでも、“畢生のあほんだら”、“混沌の様相を呈す場”、
“赤児が獣のような大きな声で”、“頭上には泰然と三日月”など、かなりの“無理”を
感じる描写があります。そこまで背伸びしなくても…と思いました。

私を含め、称賛の声が圧倒的でしたが、この一作でどうこうということはない。まして、
新人賞はともかく、芥川賞のレベルになると候補にもならないと思い、そう書きました。

しかし、読むだけでなく、“書いた”又吉。
しかも、優れた才能の片りんを示した又吉。バンザイ!

それだけでも相当すごいことなのに、6月下旬、「火花」は2015年上半期芥川賞の候補、
6作品の 一つに入りました。“候補にもならない”などとよくも言ったものだと思います。
はずかしい!
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“又吉旋風”は勢いを保ち続け、とうとう、芥川賞作家に仲間入りをしてしまいました。
いい大人が勝手に舞い上がっているようでみっともないと思いつつ、発表が行われる
7月16日の夜は7時過ぎから落ち着きませんでした。
7時半過ぎに“決定”を知ったとき、心から喜びました。あっぱれです。
“読書大好き”で知られていたし、エッセーなどを読んで視点が面白いと思っていました。
しかし、まさか・・・というのが正直なところです。
そして、当然とは言え、お笑いを本職とする芸人の作品を公平な目で評価した選考委員も
ファインプレーだなと思いました。

「芸人を100パー(%)やり、余った時間に小説を書いて行きたい」

受賞会見でお笑いと執筆の比重を聞かれた又吉はそんな言い方をしていました。
それが彼の仕事のペースだと思います。そのペースが守れるといいですが、心配です。
もっとも、本人は100万部売れようが、200万部売れようが、決して驕らず、偉ぶらず、
ひょうひょうとした態度がまったく変わりません。
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口うるさい作家たちが認めたのですから、才能に疑問はないのでしょう。
雑誌に掲載されてから今日まで、作品の出来や彼の才能について批判らしい声をほとんど
聞きません。先日の「ぴったんこカンカン」に出ていた芥川賞作家の先輩・石原慎太郎も
「面白かった」と彼にしては珍しく褒めていました。

その上で、次は「(芸人と)違う世界を書かないとダメだ」と言っていました。石原自身が
「太陽の季節」で世に出たあと、担当の編集者からそうアドバイスされたそうです。
その通りでしょう。その分、又吉が越えなければいけないハードルは高くなります。
彼がどんな目で周囲を観察しているか…つまり“世界観”が試されるのですから。

第2作…待ち遠しいですが、難しいですね。
少しずつ準備を始めているようですが、早く完成してほしいような、欲しくないような…。
「だから、お笑いやりながらじゃ無理なんだよ」と評価を下げるか、「忙しい中で、よく
これだけのものを書いたな」と感心されるか。

人を笑わせていた芸人がいきなり、日本で最も権威がある文学賞を手にしたのですから
周囲はみんな浮足立っています。最も冷静なのが本人という…。ハハハ。
しかも、忙しさはハンパじゃなさそうです。そんな環境で文章をつむぎ出すのは至難の
業でしょう。せっかくの才能だから酷使することですり減らさないでほしいと思います。

外から見ているだけですが、綾部祐二は理想的な相方ですね。
彼のペースを乱さないように…いや、守ろうと立ちまわっているようです。コンビの
一人が売れたとき、相方の立ち位置は難しいものだと思います。綾部はえらいです。
旅番組で見せる熟女タレントのエスコートぶりなどもたいしたものです。
ええ、私、綾部も好きなんです。ハハハ。

いつごろ、どんな題材で第2作が発表されるのか?
固唾をのんで待つことにしましょう。
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by toruiwa2010 | 2015-12-30 09:21 | 読書・歌・趣味 | Comments(0)
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