ブログトップ | ログイン

岩佐徹のOFF-MIKE

toruiwa.exblog.jp

実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

「ブリッジ・オブ…」&「人生の約束」~2016 BESTはこの2本?~16/01/14

ブリッジ・オブ・スパイ 90

アパートの一室でアベル(マーク・ライランス)は鏡に映った自分の顔をじっと見つめていた。
やがて、カンバスに向き直った。自画像を描いているのだった。
あごの下の陰の部分に色を重ねているとき、電話が鳴った。受話器を耳にあてて数十秒、
何も言わないまま通話が終わった。数分後アパートを出たアベルが地下鉄の駅に向かうと
彼のあとを追う男がいた。それも複数。しかし、ホームの人ごみの中で見失ってしまう。

川の近くに現れたアベルは黙々と橋の絵を描き始めた。
途中、さりげなくベンチの下を探る彼の指先に平べったい小さな金属が触れた…
d0164636_8494174.jpg






アベルがアパートに持ち帰ったのは5セント硬貨でした。カミソリの刃を慎重にコインの
側面に押しあててひねると上下に割れます。折りたたんだ小さな紙が挟まれていました。
小さな文字がびっしりと並んでいます。暗号文です。彼はソビエトのスパイだったのです!

数日後、FBIが彼の部屋を急襲し、逮捕しました。ずっと内偵を続けていたのです。
政府は、アメリカではどんな罪人でも公平な裁判が受けられることをアピールするために
弁護人をつけることにします。指名されたのはジェームス・ドノバン(トム・ハンクス)です。
彼は固辞します。今は保険が専門だし、ソビエトのスパイを弁護すれば自国民を敵に回し、
家族を危険にさらすことになるからです。

刑務所でアベルに会い、彼の弁護を受け入れると言われて逃げ場がなくなったドノバンは
しぶしぶこの仕事を引き受けることになり、弁護人としての責任を果たします。
裁判の結果、アベルには“禁固30年”の刑が言い渡されます。死刑はまぬがれました。
いつか、アメリカのスパイがソビエトに捕まるかもしれない。アベルを交換要員にできる。
死刑にしたらそのチャンスがなくなる…と、ドノバンが判事を“口説いた”のです。

そのころ、アメリカはスパイ用偵察機U-2を実戦配備します。21000㍍の高度を飛んで
写真を撮るのが主な任務です。1960年、ソビエト領空を飛行中のU2機にミサイル弾が
命中しました。機体はパイロット、フランシス・ゲーリー・パワーズが爆破しましたが、
命令されていた自殺を遂行できずに捕まってしまいました。
ドノバンの予想が現実になったのです。

ドノバンに“捕虜交換”の交渉という新しいミッションが託されます。
そこからの彼の働きがこの物語の“核”になっています。

私が“ひいき”にしている映画評論家・町山智浩が先日のラジオでこう話していました。
「スピルバーグは2種類の映画を撮っている。“ジュラシック・パーク”や“インディ・
ジョーンズ”など、派手で楽しく、儲かる映画。それとは別に、金じゃなく、監督として
どうしても作らなければならないという“使命”でやっている映画。 “リンカーン”や
この作品がそっち系」。(別の所で“シンドラーのリスト”も後者に加えています)

つまり、スピルバーグは使命感に駆られてこの映画を撮ったわけです。うなずけます。
彼の作品にしては、派手な場面はないし、全体の作りがかなり地味です。
それでも観客がぐいぐいと惹きこまれるのは、1950年代、アメリカとソビエトが激しく
対立した冷戦下で起きた“事実の重み”とトム・ハンクスの抑え気味の熱演でしょう。
アベルに扮したイギリス出身の舞台俳優も見事でした。

新年早々、いきなり素晴らしい出来の映画に出会えてうれしいです。
言うのも愚かな話ですが、スティーブン・スピルバーグは凡庸な男ではありませんね。
アメリカでも評判がいいようですが、アカデミー作品賞、主演・助演男優賞、監督賞、
脚本賞など多くの部門で候補になっておかしくありません。

人生の約束 90

富山県富山市四十物(あいもの)町は海をはさんで雪をかぶったアルプスが見える漁師町だ。
晴天に恵まれたこの日、八幡宮の境内である儀式が行われていた。
町の人たちが代々大事に受け継いできた曳山(ひきやま)が隣の西町にゆずり渡されるのだ。
橋を渡って“引っ越して”ゆく曳山を 経営する理髪店の中から町会長の西村(西田敏行)が
無念の表情で見送っていた。

地元に戻った漁師小屋では若い衆が荒れていた。約束通りなら、あと一年は自分たちが
あの曳山を引けるはずだったからだ。彼らはそれを“つながる”と呼んでいた。曳山を
引くことは 家族と、友人と、地域と、自然と、神と“つながる”ことだった。それほど、
かれらにとって大事な行事なのだった。
まとめ役のテツ(江口洋介)を含め誰もがやり場のない憤りをもてあまして苛立っていた。

同じころ、東京で急成長しているIT関連企業の社長、中原(竹野内豊)の携帯に繰り返し
電話が入っていた。同じ人物からだった。誰からのものか分かっていた。ともに会社を
立ち上げ、意見の食い違いから辞任に追い込んだ塩谷だ。中原はその電話に出なかった。

秘書に促されて折り返した電話には応答がなかった。気になって塩谷の故郷、四十物町を
訪ねた中原は彼の死を知ることになる。呆然とする中原に強い視線が突き刺さる。テツだ。
塩谷の義理の兄でもある彼は塩谷が中原に会社を追い出されたのだと理解していた…
d0164636_8491415.jpg






12月に開かれたフジテレビのアナウンサーOB会で映画に詳しい先輩に勧められました。
そのときから楽しみにしていましたが、裏切られませんでした。
“つながる”という言葉の持つ意味を“しみじみ”と描いています。
石橋冠は元日本テレビのディレクターです。ドラマはたくさん演出していますが、映画は
これが初監督作品だそうです。それにしてはかなり完成度が高いと思います。この物語に
惚れ込んでいることが伝わります。

俳優陣が一つになって演出にこたえています。富山地方の言葉が“それらしく”聞こえて
まったく違和感がありませんでした。地方を舞台にした作品では大事な要素だと思います。

竹野内と江口の関係性がいいですね。
強引な手法で会社を大きくすることに夢中だった男が四十物町の人たちと触れ合うことで
周囲に目を配る人間に少しずつ変わっていく中原に扮した竹野内の“色気”もいいし、
江口が、“総代”として血気盛んな若者たちを束ねて、ストイックに、わき目もふらずに
信じる道を突き進むテツの愚直さをしっかり演じています。こちらにも色気を感じます。
男の私でも。ハハハ。

塩谷の一人娘・瞳役の女優、高橋ひかるが素晴らしいと思いました。
映画「奇跡」「あん」で感銘を受けた樹木希林の孫、内田伽羅や先日のドラマ「美しき
三つの嘘」の久保田紗友(ドコモのCMも)など、同じ年代に素直な演技をする美少女が
大勢いて、将来が楽しみです。
d0164636_8483073.jpg






何度か気持ちのいい涙があふれました。
この作品は、賞レースの主役になるとおもいますが、ネットでいくつかの映画サイトを
のぞいてビックリしました。軒並み、評価が低いのです。
私の趣味を知っていて、少しでも共感する部分がある方にはお勧めです。

人気ブログランキングへ

⇑ 面白かったらクリックしてください。

by toruiwa2010 | 2016-01-14 08:52 | 映画が好き | Comments(10)
Commented by 肥後男児 at 2016-01-14 12:30 x
岩佐さん、こんにちは。
人生の約束、3連休は沖縄に行きましておもろまちのシネコンで観賞しました。
月曜日のお昼だったんですが、お客さんが少なかったのが残念です。
江口洋介が意外と良かったですね。
新人の高橋ひかるに今後の可能性を感じました。
Commented by toruiwa2010 at 2016-01-14 17:18
肥後男児さん、こんばんは。

全体に優れた映画だと思います。
評価が低いのも気がかりです。
Commented by ヤップンヤン at 2016-01-14 18:10 x
香港の映画監督にも、儲かる映画で稼いで、それを元手に作りたい映画に注ぎ込むという監督がいました。
Commented by toruiwa2010 at 2016-01-14 19:57
ヤップンヤンさん、こんばんは。

香港映画…見ないなあ。
偏見があるわけじゃないんだけど。
Commented by もくでら at 2016-01-14 22:25 x
今年もよろしくお願いします。
竹野内&江口
二人とも好きな俳優さんなので、
観てみたいと思っていました。
90点という評価を見て
やっぱり観てみます。
Commented by Haru at 2016-01-14 22:47 x
岩佐さん、こんばんは。

スピルバーグ ( 特に使命感に駆られ系 ) は苦手ですが、コーエン兄弟が脚本と聞くと俄然興味が湧いてきます。

「 レヴェナント 」も監督がイニャリトゥと聞くとムムッとなりませんか?
Commented by toruiwa2010 at 2016-01-15 07:41
もくでらサン、おはようございます。

90点…あると思います。
違ったら、ごめんなさい。
Commented by toruiwa2010 at 2016-01-15 07:46
haruサン、おはようございます。

私はむしろ、"コーエン苦手派"。
面白いものですね。
「レヴェナント」は、物語が
めんどくさそうだったので敬遠する
つもりでしたが、こうなると
見ることになりそうです。
「ルーム」「キャロル」
「ザ・デイニッシュ・ガール」も
ノミネートされたら見ないわけに
いきませんね。
Commented at 2016-01-15 17:13 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by toruiwa2010 at 2016-01-15 17:29
ヤップンヤンさん、サゼッション感謝。

しかし、DVDを買うのも、オンデマンドで見るのも
面倒なのでせっかくですが…。お許しを。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。