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岩佐徹のOFF-MIKE

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ユーロ・ダイアリー 6 自薦・厳選300?16/06/25

祭りのあと( 2004.07.05 初出)

ギリシャの優勝で終わる


ユーロ2004が終わりました。ギリシャの見事な優勝でした。

強豪とされる国がグループ・リーグや準々決勝で敗れ去ったせいもあって、顔ぶれ的には
さびしい終盤になった感じは否めません。前回のユーロ2000が華やかなものでしたからね。
その結果、ポルトガルーギリシャという、思いがけないファイナルになりました。
もちろん、両国が勝ち進んだのにはそれなりの理由があるでしょう。
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ギリシャについては専門家のどなたもが「いいサッカーをしている」とおっしゃいます。
ある意味、イタリア以上の「守ってカウンター」。ハハハ。
つまらないと思う人も多いでしょう。私も「点が入るサッカー」が好きな半素人ですから、
正直にいえば、このタイプのチームは好きではありません。ただし、これがギリシャの
スタイルであることは予選の結果を資料として見たときから予想されました。

2連敗のあと6連勝、アウェイのスペイン戦に始まる最後の4試合すべてが1対0でした。
“快挙”でした。ドイツ人のオットー・レーハーゲル監督にはご褒美として「名誉国民」の
称号が与えられました。2002年のワールド・カップ当時、韓国で“大ヒーロー”だった
オランダ人のヒディンク監督を思い出します。
ギリシャ人は一般論として“自己中心的”だと言われているようです。いえ、言ったのは
私じゃありません。ハハハ。
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きっと、ナショナル・チームでも、その国民性が顔をのぞかせていたのでしょう。
レーハーゲル監督は、そこにdiscipline=規律、訓練を植え付け、チーム・スピリットを
育てたと言われています。練習のやり方などは、1980年代に彼が監督するブレーメンで
プレーした奥寺さんによると、「当時とまったく変わっていない」らしいです。
つまり、新しいことはやっていないのです。しかも、世界的には無名の選手ばかりです。
有名選手がずらりと並ぶ、スペイン、イタリア、イングランド、フランスなどが次々と
消えていく中でギリシャが優勝したことには大きな意味があると思います。
しかも、決勝トーナメントの3試合すべてが1-0と徹底していました。

ポルトガルは、別の意味で驚きのチームでした。
開幕戦のギリシャとの試合では、「どうしたのか?」と思うほどの出来の悪さでした。
あのストイチコフが「負けたのは当然。あれほどナーバスになっていてはまとまりのいい
ギリシャと戦っても、チームとして機能するわけがない」と酷評していました。
翌日の地元紙には厳しい批判が出ていました。ホテルのフロントで「一般の人の反応は
どうなのか?」と尋ねると、顔の前で手を振りながら「彼らは甘ったれてる。もっと、
ハングリーになって猛練習しなきゃ」と手厳しい意見が返ってきました。
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転機は2-0で勝った第2戦にあったのでしょう。スコラーリ監督が思い切ってメンバーを
4人変えました。「よくあること」かもしれません。しかし、第1戦で致命的なミスをした
P・フェレイラはともかく、長い年月、ポルトガル・サッカーを支えてきたF・コウト
(108キャップ)、ルイ・コスタ(91キャップ)までベンチに下げたのには驚きました。
会見で、思い切った選手起用について聞かれた監督の答えには笑ってしまいました。
「開幕前の20日間の合宿がすべて。一緒に生活するといろいろなことが見えてくる。
6,7年付き合って結婚しても、一ヶ月で別れることもあるだろう?朝、起きて彼女の素顔に
びっくりすることだってあるじゃないか?それと同じさ」。
女性の皆さんには賛成していただけないでしょうが、分かりやすいたとえに爆笑でした。

スペインを相手に「勝たなければ決勝トーナメントに進めない」という難しい条件になった
第3戦では「信頼している」はずのパウレタに代え、後半開始からヌノ・ゴメスを投入し、
12分の決勝ゴールに結び付けています。“スコラーリ・マジック”でした。
チームの主力を代えるのは簡単なことではありません。まして、国民的なヒーローです。
しかし、スコラーリに躊躇はありませんでした。驚いたのはイングランドとのQFでした。
0-1とリードされた後半30分にフィーゴをベンチに下げたのです!!

明らかに不満なフィーゴは2-2のあとのPK戦のときにもベンチに戻りませんでした。
しかし、そのフィーゴは、SFでは90分フルにプレーし、切れのあるドリブル、あふれる
闘志でチームをひっぱりました。「地元優勝」は実現しませんでしたが、国民に夢を与えた
ヒーローたちのがんばりに、リスボンはきっとスゴイことになっているでしょう。

個人的には、どこか消化不良に終わってしまいました。
やはり、“途中まで”でトーナメントを去るということに不慣れのせいか、気持ちを乗せる
ことができませんでした。つまらないミスも多く、帰国後DVDを見ながら情けない思いを
することがしばしばでした。私のところに直接は聞こえませんが、きっと皆さんからも
お叱りがあったことと思います。当然でしょう。
大きく年が離れたスタッフとのコミュニケーションがうまく取れなかったのも残念です。

“ビーバップ”解散 
ユーロのファイナルが、早野宏史さんの最後の解説になりました。“当面”の話ですが。
早野さんとの出会いは1993年のナビスコ・カップです。ベルディ戦でした。
先日 リスボンでも話題になったのですが、それが初めての解説だったそうです。収録を
担当した外部のディレクターはプロデユーサーから、「“読売”とは言わせないように」と
指示されていました。しかし、早野さんのような現場の人たちにとっては「ベルディ」は
馴染みが薄く、まだ「読売」だったのです。どうしても、「読売」と言ってしまいます。
収録は5分おきぐらいにストップしました。「これでは、流れが作れないよ。一度や二度は
いいじゃないか」と言っても 厳命を受けているディレクターは聞き入れず、大変な時間が
かかったことを思い出します。ハハハ。

当時のWOWOWはセリエの放送枠が増えて、加茂周さんと奥寺康彦さんだけでは手が
回らなくなっていました。加茂さんに「誰かいい人はいませんか?」とうかがったとき、
すぐに名前が挙がったのが早野さんだったと聞いています。“秘蔵っ子”としてみっちり
叩き込まれた戦術眼も一流ですが、放送中のダジャレも視聴者に大歓迎されましたね。
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「ルスチュが留守中」
「真ん中にいてもハジ」
「スールシャールがスルーシャール」
「ワシントンまで届かずニューヨークどまり」
「ギグーがギグッとしましたね」(イエロー・カードを出しました。ハハハ)
「ダルマが転びました」
「アウグストではなくて、あわないグスト」
「入れてクレスポ」
「他人のソラリ」
「ロタンを入れてロタン場で逆転、、、、」

もっとあるでしょうが、すでに古典になっているものだけでもこれだけあります。
私は早野さんと組むことが楽しみでもあり、ちょっと心配でもありました。どんな話題を
振っても答えが返ってくる、しかも、少しずつひねってあるところは楽しめました。
一方で、ロナウジーニョのノールック・パスのように、前触れもなく、さりげなく言う
ダジャレをしっかりキャッチできるかどうかが不安でした。

現場に戻る解説者を送りだすときの挨拶は難しいです。どれだけ、その思いが強くても
「早く帰ってきてください」とは言えませんからね。ハハハ。

逆に、復帰のときは困りません。早野さんが戻ったときは「帰ってきたオヤジギャグ」で
お迎えしました。実は、原博実さん向けに「いい時間帯に戻って来られた原さんです」を
用意しているのです(ハハハ)が、どうやら、実際に私が口にすることはなさそうです。

去年の今頃だったと思います、早野さんには、「監督の話があってもユーロが終わるまでは
駄目ですよ」と釘を刺していました。もちろん冗談としてですが。
96年も、2000年も、ちょうど現場にいたために解説をしていただけませんでした。今回は、
結果として、WOWOWの希望がかなったことになります。ありがとうございました。
たとえ、それが、ふたたびコンビが組めないことを意味するとしても、柏レイソルでの
ご成功を祈っています。

ユーロ決勝のスタジオ司会を終えたあと、一目散に帰宅しました。ひどく疲れました。
妙に寂しい、祭りのあとです。

おまけ…にしては長いですが、“ついで”ですから。

サプライズ・サプライズ ( 2004.07.16 初出 )

この年になると、驚くことは、もうそれほどないと思っていました。
しかし、世の中にオドロキのたねはいくらでもあるものですね。

このたび、ギャラクシー月間賞(6月)をいただくことになりました。テニスのローラン・
ギャロスとサッカーのユーロの実況が表彰の理由だと聞いています。

GALAXYといってもレアル・マドリッドのことではありません。ハハハ。
知らない人も多いと思いますが、この賞は、放送文化の質的な向上を目標に、優秀な番組、
個人・団体を表彰するもので、放送批評懇談会が1963年に創設しました。
本来、私のような一般的には名もないアナウンサーが対象になる賞ではないのです。
40年をこえる歴史を持つこの賞の重みは、テレビ業界に身をおく者にとって“半端”では
ありません。私の同期生である露木茂は1969年にギャラクシー賞をとっています。
フジテレビの顔としての彼の実績は受賞にふさわしいものでした。

もちろん「おめでとう」を言いましたし、同期としての誇りも感じたものです。しかし、
胸のうちは、「こういう賞をもらおうと思ったら、世間の注目を浴びるような大きな番組、
インパクトのある番組にかかわっていなきゃ駄目なんだ。スポーツ実況をやっている限り
縁はないよなあ」と少々屈折したものでした。ハハハ。

今回の私は「月間賞」(6月)ですが、WOWOWから連絡を受けたとき、しばらく呆然と
してしまいました。芸能人なら、「ドッキリカメラ」を疑ったところでしょう。
「それは、WOWOWがかなり売り込んだんだろう?」と思わず聞いてしまいました。
「売り込んで取れるものじゃないでしょう?」と広報の担当者に切り返されましたが、
それほど、ビックリしましたし、喜びも大きかったのです。

WOWOWは、加入者がおよそ250万世帯の小さなメディアです。
そこで、一般論で言えば“メジャーではない”種目の実況をしている私の仕事に注目し、
温かい目を向け、評価してもらえたことが信じられない思いでした。

今月に入ってからWOWOWと契約更新の話を始め、私からはある意思を伝えました。
その話し合いから帰宅して数時間後に受賞のニュースを受け取ったのです。なんという
皮肉でしょうか!
テニスに関しては実績もあり、いささかの自負や自信もありますが、サッカーについては
「祭り(s)のあと」に書いたとおり、ユーロのパフォーマンスに納得していません。
長い経験を持つ実況者として、冷静に、客観的に判断すると「バツ」です。悔しいし、
情けないと思っています。

それだけに、そのユーロも対象になっていると聞いて、思いは複雑でした。
受話器を置いたあと、「賞の権威を傷つけることにならないか。辞退したほうがいいのでは
ないか」と本気で考えました。
しかし、よーく考えてみると、「そうか、それならいただいてもいいのか」と思えるように
なりました。

どういうことかといいますと、「よくなかった」という判定は、しゃべりの専門家としての
私が下したものです。しかし、視聴者の大多数は、送られてくる音と映像を先入観なしに
見ているわけです。「年寄りだ」「サッカーを知らない」「間違いが多い」はナシです。
大部分の人はそんなことは考えずにご覧になっているはずです。
選考委員がその代表だと考えれば納得がいきます。いかないか? ハハハ。

委員の方々は今回以前に私の実況を耳にした事はないでしょう。
テニスやサッカーについて多くの知識をお持ちとも思いません。しかし、放送を見る目、
聞く耳は確かなはずです。そういう方たちの支持を得られたことはこの上ない喜びです。
まさに、私のターゲットですから。そして、一人ではなく複数の委員が、総意として
「この男に与えよう」と考えてくださったのですから、素直にお受けしようと決めました。
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朗報を聞いたとき、胸に浮かんだのは、「見る人は見てくれている」という思いです。
1年近く前、すさまじいバッシングを受けたとき、仲間は「声なき声」が大勢いるからと
励ましてくれたものです。当時の私はその言葉を素直に信じることはできませんでした。
しかし、今は信じられます。

何度も申し上げているように、すべての視聴者を満足させる実況は存在しません。
私について言えば、担当種目についての知識が足りないことは自覚しています。間違いも
たくさんあります。滑舌が悪くなっているのも事実です。しかし、私は、66歳近い今の
自分が持っているものでしか語りようがありません。
マニアには受け入れられなくても、普通にスポーツが好きな視聴者に喜んでいただける
放送を心がけてきたつもりです。

今回、その思いでやってきたことを、“トータルとして”評価されたことは、残り少ない
実況人生に自信を与えてくれます。
当然ですが、おごる気持ちはまったくありません。むしろ、「恥ずかしくないように、努力、
精進しよう」と考えています。
何よりも、この受賞は私の後輩であるWOWOWのアナウンサーや、スタッフに、大きな
励みになると信じています。サッカーの実況を辞めた直後の受賞は少々皮肉ですが。

日ごろの皆さんのご声援に感謝しつつ。


ショー・レー・ショー! ( 2005.06.29 初出 )

放送批評懇談会から「ギャラクシー・奨励賞」の賞状が送られてきました。
去年、全仏とユーロ(サッカー)の実況を評価していただいた「6月度月間賞」が、そのまま
年間のこの賞になるのだそうで、新たに受賞したわけではありません。
フランス滞在中の5月31日に表彰式が行われたため、残念ながら出席できませんでした。

私にとっては「フジテレビ・アナウンス部・麻雀名人」と並ぶ大きな勲章です。ハハハ。
だからと言って、自慢でここに載せるのではありません。
「ブログは日記代わり」のコンセプトで、写真をここに残したかったんです。
ご理解ください。
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by toruiwa2010 | 2016-06-25 08:34 | 自薦・厳選300? | Comments(0)
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