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岩佐徹のOFF-MIKE

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ユーロ・ダイアリー 7 自薦・厳選300?16/06/26

わかれ唄( 2004.07.26 初出 )

サッカー実況からの引退、ギャラクシー月間賞の受賞以来、多くの方からメールを頂き、
BBSにも温かい言葉を書き込んでいただきました。ありがとうございました。
サッカーについては、まだ書けないこと、書いてはいけないことがたくさんありますが、
いろいろな事情がありました。精神的に疲れた、勘弁してほしいというところでしょうか。

バッシングそのものは我慢の範囲内でした。母が生前よく言っていました。
「見んこときよし」と。ラーメン屋のオヤジがどんぶりをよこすとき、その親指が汁に
浸かっていても「見なければきれいじゃない?」ということです。ハハハ。
しかし、私の道連れのように、解説の皆さんや実況アナまでが非難の対象になり、それが
そのまま無神経にWOWOWのBBSに残されているのを見るのはつらいことでした。

ほかにもさまざまなことがあり、最後の引きがねになったのは二つの出来事です。
ひとつは、年齢からくる衰えが隠せなくなってきたこと。もうひとつは、私の胸に収めて
おきましょう。これで私も結構成長したようです。ハハハ。

以下は、私なりのサッカーへの“レクイエム”です。

ミラン・ダービー

91年から9シーズン放送してきたことから来る慢心があったのでしょうか、WOWOWが
セリエの放映権を失ったのは99年夏でした。あの、虚脱感は今でもときどき思い出します。
ミラン・ダービーは現地から9回、東京のスタジオで2回、イタリア・ダービー(ユーベ対
インテル)も現地から2回お伝えしました。私の中では凡戦は1試合もありません。どれも、
満員の観衆を興奮させる、緊張感に満ちた好試合だったと思います。
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セリエは私にとってはサッカーの“ルーツ”ですから今でも深い愛着があります。
風土、食べ物、国民性など、サッカーを取り巻く環境がピッタリ来たようです。歴史や
文化の押し売りもありませんしね。ハハハ。
チャンピンズ・リーグの最後の担当試合がミラノ・ダービーだったのは、やはり“縁”が
あったのでしょう。サンシーロの放送席には、もう一度座ってみたいものです。

ユーロ2000

かかわった3回のユーロの中でも、皆さんがおっしゃるとおり、この2000年のユーロは
最高に面白い大会でした。いつもは“はずれ”が多い私ですが、このときだけは別でした。
GL/スペイン 4-3 ユーゴ、QF/フランス 2-1 スペイン、SF/フランス 2-1 ポルトガルと、
いい試合が続きました。そして、決勝も、トレゼゲのゴールデン・ゴールでフランスが
イタリアをうっちゃっての“サヨナラ勝ち”と、中身の濃い試合でした。
サッカーの実況に本格的に取り組み始めたのは93-94シーズンからでしたが、このころが、
私のピークだったような気がします。少なくとも、サッカーに関しては。
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2002ワールド・カップ

最初で最後のワールド・カップでしょう。
まさか、60歳を過ぎてWCの実況をやれるなどとは夢にも思っていませんでした。
ハイビジョンとはいえ、それが現実のものになったとき、不思議な感覚でした。
一種の達成感があって、「これでいつやめてもいい」と思えるかと予想していたのですが、
むしろ、「これは通過点」という感じでした。精神的、肉体的に大きな充実感があって、
「まだやれる」と思えたからです。

GL/韓国vsイタリア、3位決定戦/韓国vsトルコ、ともに面白い試合でした。
しかし、鮮やかに思い出すのは、試合の内容より、真っ赤に染まった韓国のスタジアムと
夜遅くまで聞こえた、「テー・ハー・ミン・グック(大韓民国)」の大合唱です。
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奥寺康彦さん 

91年のミラン・ダービーでした。フランクフルトでの乗継ぎがうまく行かず、私たちが
打ち上げをしているところに姿を現したときも、2年ぐらい前、スケジュールを間違えて、
担当ではないのに深夜の控え室にノンビリ登場したときも悠然としていました。
そう、どんなときでもあわてない、いやな顔を見せないのが奥寺さんでした。それは
“作られた余裕”ではなく、身についたもので、気が小さい私には羨ましい限りでした。

そして、私が何かを間違えたとき、指摘して傷つけてはいけないと黙ってやり過ごして
くれる優しい心の持ち主でした。同じことでしたよ、奥寺さん。あなたの顔を見るだけで
「あっ、何かやっちゃったな」と私には分かったのですから。ハハハ。
WOWOWが放送するサッカーはリーガだけになりましたが、解説はお続けるのでしょうか? 
味のあるお話は捨てがたいものがあります。ぜひ、続けてください。
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早野宏史さん

ヒロシとトオルの“ビーバップ”は解散しましたが、2002年11月27日を忘れませんよ。
チャンピオンズ・リーグ第2節、ローマ対アーセナルの担当でした。この日をてぐすね
引いて待っていました。胸のポケットに手作りのイエロー・カードを仕込んでスタジオに
出かけました。ハハハ。

会心作でも駄作でも、ギャグが出たら、スタジオ部分でこれを出そうと決めていたのです。
「ギグーがぎぐっとしたでしょう」が出たときには思わずほくそ笑んでしまいました。
芸人ではない悲しさで、パフォーマンスとしてはあまりうまくできなかったのですが、
仲間内では結構受けました。スタジオで、私が最も楽しめた瞬間でした。
「お湯が張ってあると思って飛び込んだら水だったときぐらいびっくりしたでしょう」など、
ひねった表現が私は好きでした。
そして、一度でいいから、レイソルのベンチで赤いジャケットを着てください。ハハハ。
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信藤健仁さん

99年5月と2000年9月、かなり厳しいスケジュールを喜んで引き受けました。
99年は、全仏テニス開幕直前のパリからローマ経由で現地に入り、最終節、残留がかかる
ペルージャと優勝をかけたミラン、2000年は全米テニスが終わった翌日、ニューヨークから
ハンブルクに入ってチャンピオンズ・リーグのユーベの開幕戦を実況しました。二度とも、
信藤さんは、準備が万全にできない私のためにメモを作ってくれていました。なかなか
できないことです。
解説で楽しみだったのは“予測”です。早いときは、キックオフから30秒もたたないのに、
試合の展開を読んだことがありました。「どこを見れば、何がわかる」というキッチリした
物差しをお持ちだからでしょう。それが当たっているかどうかは関係ありません。
「言ったとおりになるのか」と視聴者や私の関心をひきつけるだけで意味があるのです。
おかげさまで、“いいコンビ”だと言われました。私の知識がもう少し高ければ、もっと
いい評価を得られただろうにと申し訳ない気持ちです。
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野口幸司さん

ユーロ2004で担当が終わって帰国の日、リスボンのホテル出発が“朝5時”だというのに、
ベルマ-レ時代の先輩・信藤さんに4時半まで付き合わされたそうですが、無事に日本に
帰れたのでしょうか?人がいいのもいい加減に して、“NOと言える人”になってください。
ハハハ。
私たちの間では、ある試合のことがよく話題になりましたね。
01-02シーズンのチャンピオンズ・リーグ/QF、レバークーゼン対リバプールです。
繰り返し「あれは楽しい試合だったですねえ。面白かったですねえ。すごかったですねえ」と
おっしゃいました。その都度、プロがそこまで喜ぶ試合をご一緒できてよかったと思います。
「面白おかしく」ではなく、お人柄を感じさせる誠実な解説には、私を含めて、多くの
ファンがついています。今のままの路線で行ってください。そして、夢だとおっしゃる
“スペイン留学”の実現を祈っています。
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柄沢晃弘アナ

ある意味“とほほ”な顔合わせになったユーロ2004ファイナルもあれだけ盛り上がって
、“いいとこどりの柄沢”はユーロでも健在だったね。ハハハ。
何よりも、こちらがバックスタンドで、厳しい西日を浴びながら観戦したポルトガル対
イングランドは同じ実況者としてよだれが出るほどしゃべりたい気持ちになる試合でした。
DVDに収録してあった君の実況は、帰国後見ないまま消去しました。だって、悔しいもの!! 
ハハハ。
これからが円熟期です。君自身のますますの成長とともに、若手アナを引っ張ってくれる
ことを期待しています。
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田中大士アナ

今度のユーロはいい試合に恵まれたみたいだね?「あんなにノリノリの彼は初めて見た」
という声をずいぶん聞きました。「はずれた試合がないぐらい」と、思わず背中でこぶしを
握りたくなるようなことをぬけぬけと言っていたほどだから相当でしょう。ハハハ。
いつだったか、テニスの全豪で、急に担当が替わって、君がほとんど資料なしの実況を
やったとき、島村アナと「今日の彼はいいね」で意見が一致したことがありました。
サッカーでは、クラシコでレベルが一段上がったと感じています。
アドバイスは一言。プレーの描写は“ぴか一”なんだから、“ハンドルに遊び”を。
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制作陣
*プロテックスさん


リーガの今後2シーズンの制作担当に決まったのは過去の努力が認められたからでしょう。
おめでとうございます。自己満足の追求ではなく、視聴者が求めている放送を提供して
あげてください。そして、番組に愛を!

*ウッドさん
テニス班を含め、長い付き合いだっただけに今回のことは残念です。
年寄りの感傷にすぎないかもしれないけど、この先何があっても、君らは僕の仲間。
気持ちの入れ替えが済んだら、新しい分野の仕事に向けて元気に歩き出してください。

*WOWOWさん
現場の人たちとの年齢差がどんどん開いていくのが気になっていました。
僕の実況を評価してくれる若手もいたそうだけど、残念ながら、その声は僕のところまで
届きませんでした。分かっていれば、サッカーも、もう少しがんばれたと思うのだけどね。
今回 君たちが出した結論はプロフェッショナルとしてのものです。あるスタッフからの
メールにもあったように、この結論が間違っていなかったことを証明する責任があります。
仕事はこれからです。がんばってください。

世の中すべてのことに、「しおどき」があります。変化、進歩、発展への節目。
今が、まさにそのしおどきなのだと思います。
私は、また、別のところでがんばりましょう。
ありがとうございました。

*"長期連載"になったユーロ2004シリーズは
 これで終わります。ご愛読、ありがとうございました。 


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by toruiwa2010 | 2016-06-26 08:30 | 自薦・厳選300? | Comments(2)
Commented by デルボンバー at 2016-06-27 12:38 x
岩佐さんこんにちわ。ユーロシリーズ、楽しく読ませて頂きました。にしても、今回WOWWOWは、現地からの実況はしないんですかねぇ。決勝トーナメントになってからもスタジオ実況なので......予算の都合?
Commented by toruiwa2010 at 2016-06-27 13:44
デルボンバーさん、こんにちは。

予算の問題もあるでしょうが、
テロがらみだと思います。
コメンタリーには気の毒ですね。

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