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岩佐徹のOFF-MIKE

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うざいんだ、やめてくれないか~“ポエム実況”とか言われてるぜ~ 16/08/24

“病気”だね:ポエム実況


3位決定戦第2試合が終わった。喜びを爆発させ、国旗を背負って走り回っていた勝者が

ようやくマットを降りて画面は選手の入退場口に切り替わった。およそ5秒の沈黙のあと

河村亮アナの実況が始まった。

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吉田沙保里、4連覇に向けた決勝が今始まろうとしています。

この4年間、ロンドン以降、世界のこの階級、強敵は“打倒吉田沙保里”、

その一念で燃えてきました。当然、吉田はその流れを知っています。

今日の相手、アメリカ マルーリス、24歳、アテネ・オリンピック。吉田沙保里の

その優勝のシーンをテレビで見ていました。いつか自分はその頂きへ。

ただ、吉田はその言葉を聞いて「それがチャンピオンの宿命」。

十分にその立場を自覚しています。


(画面はスタンドの両親)


見つめる母、幸代さん、兄、栄利さん。

小さいころ吉田家は夏休みと言えば、遠征の試合に行くことが家族旅行でした。

お父さんが運転してお母さんが助手席で地図とにらめっこ。くるくると地図を回しました。

吉田沙保里は後部座席からお父さんの広い(ひろーい)背中と地図をのぞき込むお母さんの

丸まった背中、その二つを見ました。

お父さんとお母さんは何でここまでしてくれるんだろう? 

幼い吉田沙保里は分かりませんでした。ただ、今は分かります。親の無償の愛が。

そして、レスリングがこれまでの人生を作ってくれた。家族の支えがあったからこそ、

今の吉田沙保里がいる。そうハッキリと自分で頭に刻み込んでいます。


父、栄勝さんは一昨年 亡くなりました。

奇しくも、日本代表の合宿にこれから向かおうという車の運転の最中でした。

くも膜下出血でした。

その意識の中、おそらく父、栄勝さんは吉田沙保里、娘の将来を案じたことでしょう。

常々、「お前、大丈夫か?」、弱気になったときには「お前は強いんだ」…その言葉を

かけたと言います。

初めて吉田沙保里、4回目のオリンピック。一つ変わっていることは、その父、栄勝さんの

姿がセコンドにないことです。大きな声で指示を飛ばし、精神的に奮い立たせてくれた

栄勝さんが今、遺影で見つめています。

おそらく父は今自分のことを心配しているだろう。「お前、大丈夫か?」。

お父さんにできる一番の供養は「私は元気です。決勝で相手を倒します」。

そして勝利を届けること。

吉田沙保里はその一念でこの4回目のオリンピックを目指し、決勝の舞台まで進んで

まいりました。

これから女子53キロ級決勝戦。


(入場開始)


さらにいま、入場ゲートに両選手の姿、あらわになってボルテージは最高潮。


ヘレン・ルイーズ・マルーリス、24歳。

かつてはレスリングをやめようと思った。両親の説得がありました。

2004年、吉田沙保里が優勝したアテネ、種目に採用されて両親は種目を、このレスリングを

続けることを許可しました。


吉田沙保里、初めて4回目のオリンピック、父、栄勝さんの姿がセコンドにはありません。

ただ、吉田には寂しさはありません。

「父の姿がマットサイドになくても私は今こう思うんです。

今回はマットに父が一緒に立って戦ってくれそうな気がする。

ですから今回、マットの上で父と私で力が2倍になる。そんな不思議な感覚があるんです」。


(マットに上がる)


吉田沙保里、決勝へ。そして 今静かに、父、栄勝さんが寄り添っているでしょうか?

さあ、いよいよ大一番。吉田沙保里。

集中するマルリース。4連覇へ向けて…今、笛が鳴りました。


348秒の“渾身”の大演説だった。読むのが大変だっただろうと読者には同情する。

文字に起こしたものは、いやなら読まなければいい。しかし、試合を見るためにつけた

テレビから流れてくる音声は拒めない。ただただ“耐える”のは拷問に等しかった。

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この日の女子レスリングは河村アナの所属する日本テレビが地上波で独占放送した。

制作陣もコンソーシアムに送り込まれた日テレのスタッフが中心だったと思われる。

“画面はスタンドの両親”のところはコメントに12秒先行して画面が切り替わった。

アナが作ったコメントのコピーを参考に切り替えていたのだ。つまり“予定稿”だ。


「栄光の架橋」が持ち上げられ、多くの実況アナがコメントを用意するようになった。

イベントが大きくなればなるほど。

本来、そこにいる者だけが感じられることをその場にふさわしい言葉で伝えるのが彼らの

仕事だが、「“爪あと”を残したい」という欲求に負けるようだ。こんな失敗例があっても

視聴者は4年ごとにこんな“作文”を聞かされることになるだろう。原稿用紙とペンがあれば

家のリビングでも書けるからなあ。

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ただし、それにしてはこのコメントの完成度は低い。驚くほど低い。

聞き取れていない助詞があるかもしれないが、事前に準備されたものとしてはあまりにも

文章が“ぎくしゃく”して流れが感じられない。意味が通じないところが何か所もある。

マルリースの両親はやめようかと思った娘を説得したというのに 数年後には続けることを

“許した”という。“立ち位置”はいったいどっちなんだ?


私は 嫌いだし、ほとんどやったことがないので分からないが、予定稿のやり方の中には

完全に文章を完成させてしまうほかに、キーになる単語だけをメモにしたり、7割ぐらいの

完成度にとどめたりするやり方もありそうだ。どちらも 本番で語尾をつけてアドリブ風に

聞こえるようにするわけだ。河村アナは後者を選んだが、結局、失敗したのだと思う。


(試合開始)


果して、父とともに戦う6分間になるんでしょうか?

力は2倍になるのか?

さあ、ここで吉村さん、勝負のポイントはどこになりますか?


(1ピリオド終了後、家族が画面に)


母、そして兄が見つめる中、そして吉田の表現を借りれば父、栄勝さんは今、

吉田沙保里とともに、マットの上で戦っています。力は2倍になるか。残り3分間。


(2ピリオド開始直後)


私にとって3歳から磨いてきたレスリング。

タックルは父から… 本当に教えてもらったのは…

(その瞬間、両者が激しく動き始め、コメントの続きはなし)


(試合終了の笛)


吉田、無念敗れた。 金には届かなかった。 4連覇には届かず。

オリンピックで今、味わう無念の敗戦。しかし…マルリースが今歓喜の涙

絶対女王・吉田沙保里、気力を、死力を振り絞りましたが、今届きませんでした。

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試合が始まると、さすがに実況が中心になったが、全体が情緒に支配されていた。

私もそうだが、苦手とする人は多いと思う。尻がむずむず。ハハハ。

女子フィギュアスケートの塩原恒夫アナ(フジテレビ)はもっと“ポエム”だったのだが、

百歩ゆずって、あれは演技を競う競技だからいいとして(よくなかったが)、女子であっても

こっちは格闘技だ。“力は2倍”を3回も聞かされたらシラケる。


オリンピックのレベルの決勝なら 人はそれぞれの思いを込め、感情移入して見るものだが、

この試合に関しては、それがまったくできなかった。

まるで24時間テレビのオリンピック版を見せられている気分だった。

オリンピックはこれが最後だろうし、過去の功績を考えるなら吉田には勝たせたかった。

しかし、あえて言えば、この“情感タップリ”実況につき合されたあとでは、悪いけど、

負けてよかったかもしれない。勝っていたら「父、栄勝さんとともに勝ちとった4連覇!

力はやっぱり2倍になりました!!吉田沙保里は吉田沙保里でした!!」みたいな実況を

聞かされるのがオチだっただろうから。


おまけ


小池百合子知事が五輪旗を受け取ったとき、違和感があった。

本人も「思ったほど重くなかった」と話していた。

ロンドン五輪のときと写真を比較すると、人物との関係から、

棒が細く、旗そのもののサイズも少し小さくなっている印象が…

考えすぎかもしれないが、都知事が女性に決まったことを知った

組織委員会の“仕業”ではないか? だとすると優しいね。


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呟いたが、ほとんど反響はなかった。

口惜しいので「みんなのニュース」に投稿しといた。


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by toruiwa2010 | 2016-08-24 07:57 | アナウンサー・実況 | Comments(10)
Commented by えどたろー at 2016-08-24 17:17 x
岩佐さん、こんにちは。

日テレの実況陣って、なんでみんな
こんな感じなんでしょうかね。
ポエマーだったりシャウトしたり
ウルさくて仕方ないです(´д`)

そういえば、ボクシングや駅伝を
実況していたA澤アナ、三年ほど前に
亡くなったそうです。
Commented by toruiwa2010 at 2016-08-24 17:23
えどたろーサン、こんばんは。

"悪しき"伝統…でしょうね。
やらないと上からにらまれるんでしょう。
A澤が死んでいた! 面識はほとんどないけど
まだ60代でしょう?
Commented by えどたろー at 2016-08-25 00:00 x
岩佐さん、おはようございます。

1946年のお生まれなので、亡くなった時のお歳は
67歳だと思います。岩佐さんがWOWOWで
タイソン戦を実況される前までは
日テレでA澤アナが実況していたので
ぼくの中では、何となくお二人一緒に
思い起こしてしまいます。
申し訳ありません( ̄▽ ̄;)ゞ

夏の終わりが近づいて、疲れが出てくる
ころかと思います。お身体どうぞ
お大事になさってくださいm(_ _)m
Commented by ヤップンヤン at 2016-08-25 03:35 x
上の記事とは関係ないのですが、五輪期間中に岩佐さんがエピソードを書いていた豊田泰光さんが亡くなりました。岩佐さんも葬儀に出席されたと思いますし、いろいろな思いがあるかと思いまして…。私は昔、日経に書かれていた豊田さんのコラムを読むのが好きでした。
Commented by toruiwa2010 at 2016-08-25 06:16
えどたろーサン、おはようございます。

慶応の放送研究会の後輩ですが、
1,2度めであいさつされた程度だったと
記憶しています。フジテレビで後輩だった
大林宏と同期でした。

今はそうでもないようですが、あのころの
日テレは野球(巨人戦)担当以外のアナが
サッカーやマラソンを実況していました。
同時に報道も担当するという"変則"でした。
Commented by toruiwa2010 at 2016-08-25 06:19
ヤップンヤンさん、おはようございます。

たぶん、担当記者が話しを聞いて
まとめたものだと思いますが、言葉が
"豊かな"人だったので面白かったですね。
Commented by hhh2lucy at 2016-08-25 07:58 x
いつも楽しく拝読しています。

吉田選手の決勝、画面に集中していて幸いにも「ポエム」はほとんど耳に入ってこなかったのですが、「金には届かなかった」に違和感を感じました。ほかにもっと言い方があるのではと思います。

実況もいろいろですが、一番イライラしたのはレスリング高谷選手の試合の際、アナウンサーが得点の足し算ができず、延々と個人的な疑問を口にし続けた場面でした。アナウンサーがルールを理解していなかったとは思いません、だって見ていたレスリング素人の私は、まさにその実況アナウンサーの説明を聞いて高谷の勝利を確信したのですから。

実況アナウンサーは実況に徹して欲しいです、本当に。
Commented by toruiwa2010 at 2016-08-25 08:15
hhh2lucyさん、おはようございます。

金に届かなかった…
この日の実況の中ではそれはまだいい方です。
ハハハ。

簡単な計算ができないようならスポーツ実況を
やってはいけませんね。
Commented by ambean at 2016-08-25 17:39 x
初めまして。
強くうなずくあまり、コメント闖入させていただきました。

日テレアナの悪癖は、画面の動きが少なく、その分
「競技」よりも「ヒューマンドラマ」仕立てで語ろうとする
箱根駅伝中継の悪影響ではないでしょうか。
あるいは「間」を喋りで埋めつくすプロ野球中継の伝統か。

いまや地上波のスポーツ中継は皆バラエティ化に走っており、
視聴者をバカだと思っているようです。
ちゃんと「スポーツ」を見たい人をどんどんCSに追いやってしまい、
逆効果なのに。
Commented by toruiwa2010 at 2016-08-25 17:53
ambeanサン、こんばんは。

"闖入"、歓迎します。
箱根駅伝…よりはるか前の
巨人戦中継のころから、実況に
盛り込む情報の数を争う傾向が
ありましたね。
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