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岩佐徹のOFF-MIKE

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US Open開幕 近づく 自薦・厳選300? 16/08/27

今年最後のグランド・スラム、全米オープンの開幕が近づいています。

舞台となっているニューヨークの思い出は尽きません。

グランド・スラムのときに試合以外のこともたくさん書きましたが、

その中から私の好きな2本を…。

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New York,New York 2

~美しい夕景・笑いあり涙あり~


Magic Hour ( 2005.09.04初出 )


昨日はウイリアムズ姉妹対決の実況を終えたあと、2時間ほどで会場を出ました。

全豪の会場へは歩いていきます。全仏は大会側が用意するシャトルバスを利用しますから、

スタッフが運転する車で会場に行くのは全米だけです。

私はいつも助手席に座ります。別に、決まっているわけではないのですが、いつの間にか、

“岩佐爺”の席として暗黙の承認を得ました。初めて制作に参加する若手のスタッフが

うっかり座ってしまうと、先輩から注意されます。ハハハ。


テニス・センターを出て5分ほどで国内線用のラガーディア空港の横を通過します。

タイミングによっては、私たちが走るフリーウエイぎりぎりの高さに左前方から飛行機が

舞い降りてきます。横風を受けるときは微妙にゆれながら…。実際には、必要な高度を

保っているはずですが、必ずと言っていいほど誰かが「低いっ!」と声を出します。我々が

乗っている車にぶつかるのではないかと思うほど低いのです。

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マンハッタンに近づいたのは710分ごろ…ちょうど、西日が摩天楼の向こうに沈もうと

していました。十分に美しい光景でしたが、15分か20分あとだったら、ビルに明かりが

灯りはじめ、摩天楼が最高に美しく見えただろうになあと、惜しい気もしました。

ニューヨーカーたちは“マジック・アワー”とオブそうです。

時間を選んで帰ることもできませんから、仕方がありませんが、ナショナル・テニス・

センターで一日を過ごして、ホテルに向かうときに、この時間帯に遭遇すると、疲れが

いっぺんに吹き飛ぶ思いです。


日没直前の薄明り中で、ビルの明かりがどんどん増えていくさまは、まさにマジックです。

フランク・シナトラの“New York,New York”が聞こえてきそうな気がしますね。ハハハ。

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飛行機が下りてくるところもビルに明かりがつくところも、日本でだって見ようと思えば

いくらでも見られる光景ですが、舞台がニューヨークだと、特別な感じがしてしまうから

不思議です。


長い出張では“中だるみ”に近い状況になることもありますが、こんな 日常的なようで、

じつは非日常的な光景を見ることで勇気をもらい、仕事での失敗や、いやみな書き込みも

無視して「明日もまたがんばろう」という気になるのです。ハハハ。

いつかきっと、7時半に会場を出るように画策してみましょう。


Laughters and Tears ( 2005.09.06初出 )


私のグランド・スラム中継は今回で42回目になります。勝負の世界でたくさんの勝者と

敗者を見てきました。テニスに限らず、どんなスポーツでも、喜びに沸く勝者を見るのは、

こちらも嬉しくなるぐらい気持ちのいいものです。

一方、敗者…これは、見るのがつらいです。スポーツとして取材を始めてから、よほどの

ことがない限り、敗れた選手には近寄らないようにしてきました。

「敗者はそっとしておく」は私なりのルールだったのです。

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ところが、最近はマスメディアの要求が厳しいせいか、個人競技でも、チーム競技でも

必ず、記者会見に応じるように義務付けられていることが多いです。

テニスの場合、勝者であれ敗者であれ、希望さえすれば、ATPWTAを通じて、試合後の

選手をプレス・ルームに呼ぶことができます。正当な理由がない限り、選手は断れません。

断わると罰金です。大金を稼いでいる選手たちの中には、まれに、罰金覚悟で会場から

“とんずら”することがあります。アンドレ・アガシは何度か。ハハハ。


罰金のほかに、彼(または彼女)に対するマスコミの論調は 当然 厳しいものになりますが、

彼らはこんなとき、新聞など読みませんから、痛くもかゆくもないのです。ハハハ。


世界のトップ・プレーヤーになると、インタビューするチャンスは極めて少ないですから、

大会のときには、負けた選手にもここぞとばかり質問が飛びます。

中には、かなり辛らつなものもあって女子の中には泣き出す選手もいます。

試合に関係のない、意地の悪い質問が続いたとき、カプリアティやグラフが顔を覆って

会見室を出て行ったこともありました。

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写真は、アーサー・アッシュ・スタジアムのスタンド下の通路です。

ジュニア選手とコーチでしょうか、歩きながらコーチがジェスチャーをまじえてしきりに

話しかけていました。放送席に向かうときに、こんな光景をよく見かけます。

これからコートに向かう選手、試合が終わった選手たちは、選手ラウンジからの行き帰り、

この通路を歩くのです。試合後の選手の場合なら、そのうしろ姿を見ただけで 勝ったか

負けたかが分かります。


はじけるような笑い声をひびかせたり、肩を落とし、とまらない涙をこらえたりしながら

コーチのうしろを行く選手たちの姿をどれだけ見てきたことでしょう。

勝った選手は、二日後の次のラウンドに備えなければいけません。

負けた選手は、大会本部で小切手を受け取って会場をあとにすることになります。


この通路を歩くたびに思い出すことがあります。

90年代の半ばのことです。私は、解説者と一緒に、男子決勝を実況するために放送席に

向かって歩いていました。そのとき、うしろから、「キュッ、キュッ、キュッ」と靴音が

聞こえてきました。誰かが走ってくるのです。


「誰だろう」と思っていると、私たちを追い越して行ったのは なんと1時間足らずのちに

決勝の開始を控えたピート・サンプラスだったのです!!

普通はあまり考えられないことです。

アップの一種なんでしょうが、「こんな時間に走るんだ」とびっくりしました。

同時に「ドラマは、コートの上だけで起きているわけではない」ことも改めて教えられた

気がしました。


ちなみに、スタッフの一人が指摘していましたが、ここの天井部分には 話題になっている

ア・ス・べ・ス・トが使われているようです。一部はむき出しです。

この建物ができてから8年間、毎年吸っていたかもしれません。おっそろし!


2005年全米オープンは私にとってWOWOWでの最後の

仕事になりました。現地にいるスタッフには一言も話して

いませんでした。

これが最後か…と思いながら書いた、この2本には、私の

感傷もにじんでいます。ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2016-08-27 06:52 | 自薦・厳選300? | Comments(0)
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