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岩佐徹のOFF-MIKE

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95点だ「ミリキタニの猫」~「健さん」「後妻業の女」もいい~16/09/09

ミリキタニの猫 95


20011月、寒さの厳しいニューヨーク。

ローワーマンハッタンの人ごみを縫って 背中を丸め、空のダンボール箱を引きずった男が

ゆっくりと歩いていた。たっぷり重ね着した上にダウンパーカを着込んでいる。

ジミー・ツトム・ミリキタ二は日本人の路上生活者だが、本人に言わせると“アートの

グランドマスター”だ…

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9年前に公開された作品にその後の取材も含めて渋谷ユーロスペースで上映されています。

最終的に95点にしましたが、前回見た直後は100点と書きました。それほど感動しました。


久しぶりで自然に涙があふれる映画を見ました。映画を見て

泣いたことはこれまでにもあります。しかし、その大半は

制作側が用意した“泣かせるための”脚本、演出。演技に

よるものでした。このドキュメンタリー映画の制作者

(リンダ・ハッテンドーフ監督)に初めから「感動的な作品」を

作ろうという意志があったとは思えません。


そのときに書いたブログ記事の書き出しはそうなっています。今回もまったく同じです。

むしろ、感動の深さは前回以上だったような気がします。15日で上映が終わるそうです。

時間がある方はドキュメンタリーですが、“物語”もあって、秀作です。是非、見て下さい。

見逃すのはあまりにももったいないです。


彼が描く絵にはしばしば猫が登場します。

全身を見せたものはきわめて少なく、多くは何かの陰から顔を覗かせています。

長い間、彼はそうやってアメリとカ社会を眺めてきたのでしょう。

路上生活をしていても施しは受けません。金を受け取るのは絵と引き換えのときだけです。

彼を支えているのはルーツである日本人としての強い誇りと、第二次世界大戦がはじまり、

強制収容所に入れられたときに、自分からパスポートを取り上げ、市民権を放棄させた

アメリカ政府への怒りです。


出会った年に“9.11”が発生し、有毒な煙が立ち込める街角はよくないと、リンダは彼を

自宅アパートに招きました。世話になっていてもジミーはまったく“卑屈さ”を見せず、

自分の“ルーツ探し”に奔走してくれるリンダにもまったく関心を見せず、「有難う」の

一言もありません。「やるなら、勝手にやりなさい、私は興味がない。アメリカ政府の

世話にはなりたくないし、年金も要らない」…心意気やよし。ハハハ。

生き方が見事です。そのいさぎよさは“美しい”とさえ感じます。この映画に深く感動を

覚えたのは彼の人間性と登場する人物たちの温かさのせいだったと思います。


絵の中にしばしば猫が登場するのは 収容所で彼を慕っていた猫好きの少年への鎮魂の

意味があるのだと思います。私には絵の評価はまったく分かりませんが、彼が描く猫の

目が優しいのはそのせいかもしれません。


この作品を見ると、“感動”とは何かを考えさせられます。

…実況と同じだという結論に至ります。登場人物や状況に感動する要素があるならば、

それを余計なもので“飾る”必要はないのです。

この映画にも“飾り”はいっさいありません。それでも、素材がよければ十分に人の心を

動かすことは可能なんだと思いました。

私の筆力では素晴らしさが伝わらないかもしれませんが、たくさんの人に見てほしいです。

(ユーロスペースでの上映は15日までです)


健さん85


“健さん”はもちろん、一昨年11月に亡くなった高倉健のことです。

中国・日本合作映画「単騎、千里を走る。」で共演した中国人俳優が来日し、高倉の足跡を

たどる形をとったドキュメンタリーです。

亡くなったあとの追悼番組でこの偉大な俳優の行動や言葉はさんざん聞かされましたから

もう新しい話はないだろうと思っていましたが、この映画でこれまで知らなかった一面を

見ることになりました。

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マーティン・スコセッシ(映画監督)、マイケル・ダグラス(俳優)、ジョン・ウー(映画監督)

降旗康男(映画監督)、梅宮辰夫(俳優)、山田洋次(映画監督)…多くの人の証言が男・高倉を

改めて教えてくれます。スコセッシをはじめとする海外の名のある人が社交辞令ではない

“ほんもの”のリスペクトを込めて語る高倉健のイメージが鮮烈です。


加えて、長く付き人をつとめた西村泰治さんがトツトツと話すいくつかのエピソードにも

胸を打たれました。広く知られている誰にでも優しかったという人柄が伝わります。

ダグラスの話を裏付けるのに不可欠な「ブラックレイン」の数カットをのぞくと映画の

フッテージは少ないのですが、それでいいと思います。近く、TSUTAYAに行って何本か

手に入れようと決めましたから。ハハハ。


モントリオール映画祭で長編ドキュメンタリー最優秀賞を獲得しました。おめでとう!


後妻業の女 85


白い波が打ち寄せる海岸にテントがいくつか張られている。その前の浜辺には数十人の

男女が集まっている。年配者が多いようだ。掛け声とともに簡単な体操が始まった。

少し離れたところで日傘をさして小夜子(大竹しのぶ)がその様子を見守っていた。いや、

品定めしていた…と言うべきか…

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集まりは柏木(豊川悦司)という男が主催する街の結婚相談所のイベントです。

この相談所では資産家の年寄りほど歓迎されます。持病があればなお都合がいい。ハハハ。

小夜子は“ジジイ殺し”です。相談所の“リーダー”として、狙いを定めた獲物に近づき、

篭絡して結婚にこぎつけると、さまざまな方法で命を奪い、遺産を手にするのです。


単純に笑える喜劇です。

作品そのものはともかく、大竹と豊川は演技賞の候補に上がると思います。特に、大竹の

“なりきり”の演技はすごみさえ感じさせて見ものです。


イングリッド・バーグマン 85


若い人にはなじみがないでしょうが、バーグマンは絵に描いたような美人女優でした。

年齢が親子ほど違う私もスクリーンに大写しになる彼女を見て「西洋の女性は、なんて

美しいんだろうか」とビックリしたものです。wikipediaを見ると日本で公開された作品は

ほとんど見ています。

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スウェーデン人ですが、広く知られているのはハリウッドに移ってからの活躍でしょう。

少なくとも日本では「別離」、「カサブランカ」、「誰がために鐘は鳴る」、「ガス灯」など

戦前の作品から人気がありました。私も、初期の作品はのちにテレビで見たものですが。


夫や子供がいるのにイタリアの映画監督、ロベルト・ロッセリーニと恋に落ち、アメリカで

大きなスキャンダルになったようです。当時、私はまだ子供でしたが、映画の雑誌などに

二人の名前が並んで出ていたのを覚えています。


このドキュメンタリーを見ると、いつ、どんなときもバーグマンは自分に正直に生きた

女性だと分かります。

懐かしい出演作品の断片が見られるかと思っていましたが、ほとんどありません。

“邪魔”をしたのは本人や父親が残した膨大な量のフィルムです。ハハハ。


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by toruiwa2010 | 2016-09-09 08:17 | 映画が好き | Comments(2)
Commented by 老・ましゃこ at 2016-09-10 00:06 x
ミリキタニの猫>>>
岩佐々さんの紹介文を読んで、みてみたいと思いました。
15日までなのですね…行けるとよいのですが。
Commented by toruiwa2010 at 2016-09-10 06:22
老・ましゃこサン、おはようございます。

ぜひ。
見ないのはもったいないです。
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