ブログトップ | ログイン

岩佐徹のOFF-MIKE

toruiwa.exblog.jp

実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

セレナの怒りが爆発した 自薦・厳選300? 16/09/10

セレナ・ウイリアムズが準決勝で敗退したようですね。

北の湖級の強さを見ると、とても負けそうにないのですが。

今日はと明日は セレナと全米オープンにまつわるエピソードを。

d0164636_06451725.jpg




「セレナを見舞った大誤審

~ホークアイ導入のきっかけになった~」11/09/10


全米オープンテニスは2週目を迎え、女子は今日から準々決勝に入っています。

2004年が思い出されます。

9日目のナイト・セッションでした。


何があってもポーカー・フェースのセレナがこのときばかりは表情を変えました。

文字通り主審に詰め寄って「What’s going on?」…

「どうしたっていうんですか?」という感じです。

その迫力は“ハリケーン・セレナ”がNYを襲ったみたいでした。ハハハ。

d0164636_07101044.jpg








無理もありません。場面は、勝負を決めるファイナル・セットの第1ゲームでした。

カプリアティのサーブでジュース。ここでセレナが打ったバックはダウン・ザ・ラインへ。

スタジアムで見ていた誰もが、「ナイス・ショット」と思うようなエースでした。…いや、

そのはずでした。実況していた私も「イン」と思って 次のポイントへ向けてのコメントを

しようとしたとき、雰囲気がどこか変でした。


スコア・ボードにカプリアティのアドバンテージを表わす“ad”がついています!!

このあたりまでは、プレーしていた二人とも「in」のつもりで動いていたと思います。

しかし、私が“ad”に気づいたのとほぼ同時に、一度はポジションについたセレナが

No,no,no」と大きく叫びながら、審判台に向かって歩き始めたのです。


ここで、私は、大きなミスをしてしまいました。

「問題なく 入っている」ことを示す最初のスローVTRを見たあと、セレナの表情、仕草を

見るため、モニター画面から目を離してコートに向けてしまったのです。 

ボールが着地したのは主審からは遠い位置で、しかも、誰もが「はっきり入っている」と

思ったほどでしたから、オーバールール(outに変更)があったとは思いもしませんでした。

カプリアティのポイントになったのは、きっと、私からは死角になるライン・パーソンが

「アウト」のコールをしたか、「イン」のジェスチャーのあと、自分から「アウト」と訂正

したのだと判断したのです。

それだけでなく、カプリアティが次のサーブに入る直前、ライン・パーソンが「イン」の

ジェスチャーをしている逆サイドからのスローが画面に出たのも見のがしてしまいました。

d0164636_07105962.jpg







実際は、主審がライン・パーソンのコールを「アウト」に変更したのです。

いま、ビデオを見ると、セレナの「どうしたの?」に対して「I overruled it」と答える

口の動きが分かります。

しかし、私は、試合が終わるまで、オーバールールに気づきませんでした。

視聴者をミスリードしたことになり、申し訳ないことをしました。

d0164636_07134568.jpg








試合の方は、その後も、セレナに気の毒なジャッジが続きました。このセットだけでも、

四つはあったでしょう。すべて、試験的に使っていたホークアイの画像で視聴者の前に

はっきりと映し出されました。

主に審判が判定ミスするHuman error =“人間的なミス”はスポーツにつきものですが、

これほど一方の選手に不利に出てしまうのは珍しいことです。


会見に現れたセレナは、こう話しました。

「言い訳をするつもりはありません。ストレートで勝たなければいけませんでした。

決していいプレーをしたなどとは言いません。馬鹿みたいなプレーぶりだったし、彼女は

いいプレーをしました。私は墓穴を掘ったのです」

…この年のウィンブルドン決勝でシャラポワに負けたときにも「あざやかな敗者」だった

セレナは、このときも見事でした。

d0164636_07113977.jpg









ただし、「I’m extremely angry. I feel cheated.Ifeel like robbed」だけは言いました。

「猛烈に怒ってます」以後は、一語一語をうまく日本語に置き換えることはできません。

ニュアンスとしては、「勝ったはずなのに、ほかの誰かに横取りされた気がするわ」と

言いたいのだと、私は受け取りました。そう言っても当然だと思える大きな誤審でした。

セレナの強打をよく拾ったカプリアティのガンバリは、勝者の名に値すると思いますが、

“誤審”が、その勝利に影を落としてしまったことは否めません。


その意味で、この夜 いやな思いをした人は数知れないでしょう。不幸な出来事でした。

トーナメント・レフェリーは、この夜遅くに、オーバールールは間違いであったと認め、

この主審は、今大会では、以後 主審をつとめないとする声明を出しました。


Capriati d.Serena W. 26/64/64


この試合こそが、現在のビデオ判定導入のきっかけになったのです。


主審を務めたのはマリアナ・アルベスさんでした。それまで、グランド・スラムの大きな

コートではあまり見かけない人でした。

当時の自分のブログを読み返すと「カプリアティ戦の時も何故この人かな?と思った」と

書いています。


アンパイアは技量や実績などによって、ゴールド、シルバー、ブロンズ…と、ランク付け

されています。騒ぎのあと、彼女はシルバー・バッジだったと知りました。そうなると、

ますます、何故、彼女があの試合を任されたのか不思議でした。経験豊富な一流審判でも

カプリアティvsセレナは“裁く”のが難しい試合ですから。ハハハ。


その後、アテネ・オリンピックで発覚した身分証偽造“事件”にからんで、3人の審判が

要員から外されたために、アルベスさんの“位置”が上がっていたのだと聞きました。

あるベテラン審判は「職を解かれたアンパイア達がいれば、あの試合を彼女が担当する

ことはありえなかった」と語っていたそうです。

d0164636_07141136.jpg








…アルベスさんの審判としてのキャリアはこのときに終わったものだと思っていました。

しかし、彼女は“タダもの”ではなかったようです。私が現役を離れた翌年、2006年の

全豪オープンを何気なく見ているとき、アンパイア席に座っている彼女を発見!ハハハ。


あまりにも致命的な誤審で非難の嵐を浴び、審判としてのランクも下げられていましたが、

今では、グランド・スラム決勝の主審を務めることもあります。

ポルトガル人です。いわゆる“テニス大国”出身ではなく、しかも、過去に大きな失敗を

したにもかかわらず ここまで地位を回復してきたかげには、地道できびしい努力・忍耐が

あっただろうと思われます。

小泉元総理ではありませんが、「よくがんばった、おめでとう」と、心から祝福したいです。

ハハハ。


人気ブログランキングへ


⇑ 面白かったらクリックしてください。


by toruiwa2010 | 2016-09-10 08:00 | 自薦・厳選300? | Comments(2)
Commented by ヤップンヤン at 2016-09-10 21:16 x
ホークアイは画期的だと思います。このあとバレーボールやバドミントンなど多くのスポーツに採用されましたし。
NFLがビデオ判定をチャレンジシステムとして、タイムアウトの回数と連動させることで乱用を防ぎつつ採用したのは、ホークアイがさらに他競技に広まる結果となった秀逸なアイディアだったと思います。
Commented by toruiwa2010 at 2016-09-10 21:26
ヤップンヤンさん、こんばんは。

ヒューマンエラー…懐かしいなと
思うこともありますね。
サヨナラゲームかと思ったら
さらに続くとか、ホームでタッチアウト
試合は延長へ…と思ったらサヨナラだったとか。
ドラマチックの中身が変わるし。ハハハ。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。