ブログトップ | ログイン

岩佐徹のOFF-MIKE

toruiwa.exblog.jp

実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

素晴らしい「アイヒマンを追え」 ~いきなり90点の作品に出会った~17/01/13

アイヒマンを追え 90


1957年のある夜、自宅の浴室でドイツ・ヘッセン州検事総長、

フリッツ・バウアーはゆったりと足を伸ばし、肩まで浴槽に

身を沈めていた。頼まれた買い物を届けにきた運転手が浴室に

声をかけたが、返事はなかった。


そのまま帰りかけた運転手だったが、目の端に異変をとらえた。

浴室のドアの下から水が流れ出ていたのだ。

眠り込んだバウアーが顔まで湯に浸かっていた。発見が早く

一命をとりとめたバウアーは復帰後、精力的に仕事を再開する。

戦争犯罪人、ナチの高官をつかまえて裁きの場に引き出すのが

ユダヤ系ドイツ人でもある彼の使命だった。


ある日、コペンハーゲンの妹に会いに行くために執務室を出た

彼に秘書が手紙の束を渡した。中の一通の差出人に心当たりが

なかったバウアーはその場で封を切った。

読み進むうちに、その顔色が変わっていった…

d0164636_08214798.jpg









遠くアルゼンチンから届いた手紙は、アドルフ・アイヒマンが

偽名を使ってブエノスアイレスに住んでいると告げていました。

アイヒマンは元・親衛隊将校で戦争中に数百万人のユダヤ人を

“強制的に移住”させた責任者でした。とんでもない大物です。


問題は バウアーの敵が旧ナチの高官だけではないことでした。

司法関係の組織を初め身内にもナチの残党がいて様々な妨害や

脅迫が行われました。睡眠薬を飲んで入浴したことが原因の

“浴室事件”のときも、捜査官が スキを見て、残された錠剤を

ポケットに入れていました。重責に耐えられず、バウアーが

自殺を図ったと見せて、辞任に追いこもうとする陰謀です。


正月からなんとなく暗い雰囲気の映画を見せてどうするんだと

思っていましたが、初日の土曜日の2回目、渋谷のbunkamura

ル・シネマは年配客を中心に満席でした。きっと、口コミで

いい映画だと知っている人が多いのでしょう。


2次世界大戦に敗れ、ヒトラー政権が犯した悪行を全世界に

さらけ出したにもかかわらず、終戦から10数年を経てなお

司法機関の中にまでナチの残党が大勢いて、ユダヤ人に対する

嫌悪が存在したという事実に驚きます。


この映画は、出来れば隠したい過去の“汚点”にも触れるなど、

バウアーをヒーローとして“かっこよく”描いていません。

そこに好感が持てます。

そして、この作品を成功に導いたのは間違いなく、バウアーに

扮したブルクハルト・クラウスナーの圧倒的名演技でしょう。


ドイツ語の原題はDer Staat gegen Fritz Bauerです。

意味は「国家対フリッツ・バウアー」。

英語のタイトルはThe People vs Fritz Bauer となっています。

国家=国民…という解釈でしょうか?

アメリカの法廷ミステリーなどを読むと、裁判で扱う事件名を

“○○州対XX(被告の名前)”と呼びますが、バウアーは被告では

ないので、この映画の題名はそれとは違うようです。

それにくらべ、邦題「アイヒマンを追え」は分かりやすいですね。

ハハハ。


去年は136本の映画を見ました。明らかに多すぎます。

今年は少し抑えようと思っていましたが、いきなり90点の

映画に出会えました。ハッピーです。


*映画の感想も書きたいときだけ書くことにします。


by toruiwa2010 | 2017-01-13 08:25 | 映画が好き | Comments(2)
Commented by pigu at 2017-01-24 14:24 x
岩佐さん、ご無沙汰しています。
サンプラスファンのpiguと申します。
ドラマ評、映画評もいつも楽しみにしています。
昨年は岩佐さんのレビューを読んで、「築地ワンダーランド」と
「奇蹟がくれた公式」を観ました。
この記事を読んだら、「アイヒマンを追え」も観たくなってきました~。
それにしても136本はすごいですね!映画好きの友人は昨年は40本だったそうです。これからも「映画が好き」のカテゴリー楽しみにしています。
Commented by toruiwa2010 at 2017-01-24 14:37
piguさん、こんにちは。

誰でもそうだと思いますが、
好き嫌いがはっきりしているので
私が高い点を付けた作品でも
人によっては「なによこれ」という
ケースがたくさんあるでしょうね。

勧めた作品に共感してくれる人が
一人でも多いといいのですが。

今年はまだ日本しか見ていません。
大幅に減る予定です。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。