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岩佐徹のOFF-MIKE

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重いけどよかった「沈黙」~素晴らしい日本俳優陣~17/01/27

沈黙 サイレンス 85


真っ暗な画面に虫の鳴く声だけが数十秒。

画面の中央に白い文字が浮かび上がる。“SILENCE(沈黙)


時代は17世紀前半、日本に上陸し、貧しい人を中心に静かに

広まっていたキリスト教に対する弾圧が厳しさを増していた。

遠くポルトガルではロドリゴ、ガルーペという二人の神父が

地域の司祭に日本行きを直訴していた。師・フェレイラ神父が

棄教(信仰を捨てる)し、日本人として暮らしていると聞いて、

いても立ってもいられなかった。


「信じない。どこかに潜んでいるはずだ。行って探したい」…。

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日本に到着した二人は熱心な隠れ切支丹にかくまわれながら

活動を続けますが、困難の連続です。思うようにいかないこと、

とらわれた信者たちが受ける苦しみを目の当たりにすることは

彼らに耐えがたい精神的苦痛を与えました。


遠藤周作の小説をマーティン・スコセッシが映画にしました。

厳しい環境の中で信仰に生きようとする村人たちの苦しみや

それを助けようとあがく神父の苦闘と挫折を描いています。

最大のテーマは“沈黙”ですが、ここまでの文章に何度も使った

苦“も見る者の胸に迫ってきます。


力のこもった作品ですが、宗教を描いたものだけに理解するのは

なかなか難しいです。


高校1年のとき、肺結核で兵庫・西宮の療養所に入りました。

世話になったのはキリスト教系の病院でした。医師も看護師も

ほとんどがクリスチャンでした。入院から数週間が過ぎたころ、

事務職の人に「こんなんがあるんやけど?」と見せられたのは

“公教要理”についての説明会への申込書でした。カトリックを

分かりやすく説明するから聞きに来ませんか…ということです。

一度、出席しましたが、ちんぷんかんぷんでした。

それが、私が宗教、信仰というものに最も近づいた瞬間です。


聖書の言葉です。“正しい人はいません。一人もいません”


数年前、スクランブル交差点の人ごみを縫って歩いているとき、

耳に飛び込んできました。キリスト教系の団体の活動です。

なるほどと思いました。言い切ってくれると安心だと。ハハハ。


これも数年前のこと、京都でホテルに向かうタクシーの窓から

大きな寺の塀に描かれた、妙に腑に落ちる言葉を見かけました。


“今、いのちがあなたを生きている”


キリストの言葉、釈迦の教え…として、これまでにたくさんの

ありがたい話を聞いてきました。しっかり噛みしめたくなる

心に沁みるいい言葉もあり、いつか役に立つぞと思ったものも

数多くありました。


しかし、78年の人生のどの時点でも、神・仏にすがりたいとか、

信仰の力を借りたいと思ったことは一度もありません。

そんな私には難解なところも多い映画でした。

見る前は“沈黙”は隠れ切支丹が押し黙っているという意味だと

思っていましたが、信者や神父たちの苦しみを知りながら何も

告げない“神”の沈黙を指しているようです。その意味を。

違いますかね?

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難しいですが、俳優たちの演技を見るだけでも値打ちはあります。

ロドリゴ神父に扮したアンドリュー・ガーフィールドだけでなく

“らしい”キャラを作ったイッセー尾形、浅野忠信、窪塚洋介ら

日本人俳優も頑張っています。アメリカでは、ほかにも序盤で

ほぼ出番が終わる笈田ヨシ、塚本晋也と言った、地味な俳優が

高く評価されているようです。


最後にひとつ。

細かい時代考証については正直よくわかりません。

しかし、外国人が日本や日本人を描いたものを見るときに

よく感じる明らかな違和感がなかったこともこの映画に

85点を付けた理由です。

スコセッシの“敬意”が感じられました。


by toruiwa2010 | 2017-01-27 08:43 | 映画が好き | Comments(3)
Commented by ケイ at 2017-01-28 00:04 x
今晩は、岩佐さん。
沈黙は学生時代に読みました。
遠藤周作さんが大好きでたくさん読みまくっていた時代が懐かしいです。
高校生の私の心にとても響いた一冊です。

話はまったく変わってしまいますが、
懐かしいつながりで、
今、岩佐さんの実況と遠藤まなさんの解説で、
ウイリアムズ姉妹の試合をテレビで見ています。

なんとも言えない静かな雰囲気で進行していくゲームが
いいなぁ。
お二人の話し方がやさしくて・・・・。
若いです、ビーナスもセレナも。
また明日二人が戦うんだなぁと思うとなんとも言えない
気持ちです。
そして、フェデラーとナダルの決勝も。
岩佐さん見る?
見ないかな~?
なんて考えています。
Commented by desire_san at 2017-02-13 09:30
こんにちは、
私も映画『沈黙-サイエンス』を見てきましたので、詳しい鑑賞レポートを読ませていただき、映画『沈黙-サイエンス』の感動が甦ってきました。この映画ではポルトガル人宣教師の目を通し、信ずること、疑うこと、葛藤、懐疑心と、人間の弱さ、信ずることの意味、人間撮って大切なものは何か、生きることの意味は何かについてじっくりと描いて、色々考えさせられました。この映画の配役は絶妙で、特に弾圧される農民を演じた笈田ヨシと塚本晋也は、堂々とした風格のある演技で、気高く感動的なほど魅力があり、映画に深みを持たせていました。窪塚洋介が演じたキチジローも説得力のある熱演でした。

私も『沈黙-サイエンス』を観て、この映画の魅力と現代人はこの映画から何を学べるのかを整理してみました。読んでいただけると嬉しいです。ご意見・ご感想などコメントをいただけると感謝いたします。



Commented by toruiwa2010 at 2017-02-13 12:10
desire_sanさん、こんにちは。

映画や文学について、人が感じるものは
さまざまです。私は自分の感想を書きますが、
押し付ける気持ちはありません。逆も同じです。
相手がプロでない限り、他人の批評・感想に
コメントする気もありません。ごめんなさい。
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