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岩佐徹のOFF-MIKE

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実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

2011年3月の記憶 9(終)~アーカイブから~ 17/04/02

大震災を振り返るシリーズは

昨日で終わる予定でしたが、

これもぜひ読んでほしくて…

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NHK 浴びせ倒し 民放?

~もの言いをつけておく~( 2011.03.31 初出 )


フジテレビの“不要音声混信”事件について、いまだに“女性の声

Aアナとするツイートが流れています。

思わず、「間違った情報をまき散らさないほうがいいですよ」と

何人かに呼びかけてしまいました。

すると「私には、情報をまき散らす意図も意味もありませんが、

誤解やったようですので訂正します」と、理解してもらえた

ようなリプライ(返事)があり、喜んでいたのですが、その人が

彼の友人と交わすツイートを見ると、そうじゃないらしいと

分かってがっかりしました。

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女性の声が出先のスタッフのもの…では納得しないようです。

Aアナでないと、自分のフジテレビ嫌いと重ならないので

その一点にしがみつくのでしょう。

“母局#のことですから、非難されている“報道姿勢”の実態は

大いに気になります。具体的な事実が分かり、問題があると

判断したら、私も非難する側に立つでしょう。

しかし、問いかけても具体的な事例については誰も答えません。

“付和雷同”…。誰かがこう言っている、とんでもないことだ、

もっと広めよう、結果として猛烈な勢いで拡散…


2chはもちろん、ツイッターも混乱時には“両刃の剣”になる

ことはすでに分かりましたから、これからは、ここに出てくる

情報を注意深く扱う習慣を身につけなければいけません。


今回の災害報道は、直後こそ、2台のテレビでNHKと民放を

73で見ていましたが、計画停電の開始後は1台にして、ほぼ

91の割でNHKを見ていました。

そして、民放は…ええ、主に見たのはフジテレビです。

注文はあっても母局ですから。


もちろん…と言わなければいけないのはつらいところですが、

NHKの圧勝でした。

普段の準備がいいことが分かります。福島原発の事故が問題に

なり始めたころから画面に出ずっぱりだった水野解説員の話が

分かりやすく、説得力がありました。東大教授らと同席しても

まったく気後れすることなく、自分の考えを述べていました。

ファッションもいいセンスでした。


TBSにもサキヤマという原発事故についてきちんと話せる

記者がいるようですが、NHKは水野記者以外にも原子力や

災害専門の人材がいます。専門の度合いは様々でしょうが。

かつて、昭和天皇が崩御される前、陛下の病状を分かりやすい

言葉で解説した橋本大二郎(元高知県知事)記者は放送界の

伝説になりました。得ている情報は同じはずなのに、それを

整理して伝える能力は他の追随を許しませんでした。当時も

NHKに激しい敵対心を持っていた私でさえ舌を巻きました。

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NHKの強みはこういう人材を“かかえて”いられることです。

普段、何をしているのだろうか、と思いますが、業務の大半は

専門分野の知識・情報を深めることにあてていると思います。

何年かに一度、こういう“活躍”をすればペイするのでしょう。


しかし、民放にはそんな人材を“飼って”おく余裕はありません。

受信料収入があるNHKと広告収入に頼る民放では経済規模に

決定的な差があります。


想像ですが、現地に送り込んでいる人数も民放各局とは比較に

ならないほど多いはずです。いつものことです。

取材する対象を“選べる”有利さはあるだろうと思います。

張り巡らせたアンテナの数が多ければ多いほど、キャッチする

情報の量も多くなります。災害発生地域が限定的ならともかく、

今回のように広さになると人数が多いほうが圧倒的に有利です。


民放はと言えば ただでさえ数が少ないのに番組ごとという

効率の悪い縦割りの取材態勢で臨んでいるでしょうから、

太刀打ちできません。丁寧さに欠ける取材や放送があっても、

理由がないわけではないのです。


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だから勘弁してやってよ、と言っているのではありません。

予算が少ないことや人手が足りないことは放送内容の貧しさや

報道姿勢の悪さの理由にはなりません。“工夫”はそのために

あるのですから。

同じことをやっても勝てないでしょう。しかし、金がなくても

人数が少なくても、工夫した内容でNHKに勝つそれこそ

民放で育った人間が持つべき矜持だろうと思います。

理想論であることは承知していますが、あきらめて愚痴って

いるだけでは、少しも前に進みません。奮起を期待したいです。


テレビは人もうらやむ、とても恵まれた業界です。

私がアナウンサーになりたてのころ、すぐ上の兄は石油会社

勤務でしたが、給与やボーナスの話はしたことがありません。

4歳も年下の私のほうがはるかに多いと分かっているからです。

どんな部署で仕事をしていても“〇〇テレビ”と名乗るだけで

誰もが認めてくれる便利さもある一方、派手な職場と思われる

つらさもあります。

しかし、若いうちは、どうしても自分が“何さま”かになった

ような錯覚に陥りがちです。不心得者も出ます。先輩としては、

「おい、頼むよ」と祈りたい気持ちにもなります。


「最後の日に身内の大バカ者のことをお

伝えしなくてはならないのは大変情けない」…


同期の露木茂は担当していた「スーパーニュース」の彼自身の

最終回にフジテレビ社員の不祥事を伝える羽目になったとき、

カメラに向かってそう語りました。彼の無念は理解できます。


考え違いをする“大馬鹿者”はNHKにだっています。

1万人以上の職員がいれば変質者や出張旅費のごまかしなど、

うしろ暗いことをする人間がいたっておかしくはありません。

仕事面でも、あえて言えば、“あのNHKとも思えないミスが

このところ続発しています。


1月に青山祐子アナが席巻をせきまきと読んだのに始まって、

野村アナは“:”を「どっと どっと」、名前の分からない中年の

男性アナはお彼岸の中日を「…のなかび」と、読み間違いの

オンパレードでした。


たまたま、“目撃”しただけでこんなにあるのですから、探せば

もっとありそうです。

明らかに異常です。“同業者”として恥ずかしいです。

今のアナウンス室長が誰だか知りませんが、きっと頭を抱えて

いることでしょう。一段落したら 全員、研修のやり直しですね。


そして、取材態度についても問題がないわけではありません。

民放には厳しい視聴者もNHKには優しい。なぜでしょう?

宮城・南三陸町で取材した“新しい命の物語”には驚きました。

勤務中に津波に襲われた医師の夫と、必死に連絡を取ろうとする

臨月の妻…。最後は夫の立会って、無事赤ちゃん誕生という

感動的なストーリーでした。

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しかし、数時間後の放送で、妻が夫に安否を確認するメールを

打つ映像があったとき、疑問が生まれました。たしか、携帯の

液晶画面のアップもあったと思います。

ドラマではあるまいし、そこは撮影しているはずがないのです。

ナレーションで十分に説明できるのに、余計な演出のおかげで

せっかくのいい話が台無しになりました。“やらせ”です。

見た人は多いはずですが、責める人はほとんどいませんでした。

「これは"やらせだよね。

いい話なのに、こんなこと

やらせなくても伝わるじゃないか」

…そうつぶやいたのは私でした。


NHKの評判がいいのは、たぶん(かど)”がない、あるいは、

少ないからだと思います。

視聴料に頼っているだけに視聴者の反発は何よりも怖い。

これまでに何度も不払い運動に悩まされています。番組作りは

どうしても“八方美人”的になりがちです。

ミスを恐れるからか、“南三陸町の住民の半分以上が行方不明”

という事実を伝えるのがかなり遅れていました。情報としては

摑んでいても、あまり衝撃的な内容だったために触れることに

躊躇があったのでしょう。NHKらしいな、と思いました。

この調子だと、この先、原発がもっと危ない状況になったとき、

それを伝えるのもたぶん、最後になるのではないかと思います。

どちらがいいかは議論の余地ありですが。


スポーツ実況でも、“正確性を追求し、ミスをしない”ことを

目指すようになります。スタンドにいる有名人たちをカメラが

とらえても、よほど自信がない限り“見て見ぬふり”をするのも

彼らの“教育・伝統”のようです。

たしかに、国家元首を間違えたらみっともないですが、「…では

ないでしょうか」ぐらいは言ってもいいのにと私は物足りなく

思いますが、それで結構という視聴者もいます。


大きな事件・事故が起きると、人はNHKの情報を信用する

傾向があるようです。視聴率の高さが証明しています。そして、

人の神経を逆なでするような映像やインタビューは放送しない

番組作りが 多くの人から歓迎されているのは事実でしょう。

長い年月をかけて、それだけの信用を獲得してきた実績には

敬意を払います。


しかし、「だからNHKだけあればいいのさ」という意見には

賛成できません。放送の形態やテーストが対極にある民放の

存在は絶対に必要です。国民に選択の余地が生まれるからです。

逆に言うと、国民は“正しい選択”をする義務があります。


憎まれるのを覚悟で書けば、日本のテレビがいまの体たらくに

なった責任の一部は視聴者にあると思っています。

WOWOWがテニス中継を始めたころグランドスラムのたびに、

「一般の人たちがプレーするテニスは大部分がダブルスなのに、

どうしてシングルスばかり放送するのか?」という苦情が局に

殺到しました。


ある年、それならばと「ダブルス特集」を放送してみたところ

その視聴率はサンタンたるものでした。ごく限られた人しか

見なかったのです。言いっぱなし…。

極論すれば、視聴者にはいい加減なところがあるのです。


「いいなあNHK」、「NHKはさすがだね」、「フジテレビなんか

見るもんか」と言っている人も、一段落すればまた、民放の

バラエティに富んだ番組に戻っていくはずです。

NHKは視聴率が気にならない分、工夫も面白みもいま一つの

番組を作り続けるでしょうし、民放は、ばかばかしい番組でも

視聴率がよければ、発想を変えることはないでしょう。


見る人、見たがる人がいる限り、“テレビが反省する”ことは

想像しにくいです。そこに問題があるのではないでしょうか。

見るか、見ないかはあくまで視聴者の自由です。

ボールはテレビの側にあるように見えますが、実は視聴者の

コートにあると考えることもできるのです。

どう打つかはあなたが決めることです。


おまけ:やるな、お主


つぶやきましたが、昨日の「ニュースウォッチ9」で

興味深いやりとりがありました。


番組の初めのほうで、原発の状況について大越キャスターが

「これは、事態が深刻化しているのか?」と問いかけたとき、

ゲストの専門家は「状況が悪くなっているわけではない」と

答えていました。

…おそらく、打ち合わせの段階で“悪化してはいない”ことは

確認されていると思います。それを踏まえ、大越キャスターは

最初の質問の“形”を決めたのでしょう。


単純に「今の状態をどう考えたらいいんですか」と聞くより、

ネガティブな聞き方をしてポジティブな答えを引き出すほうが、

効果は大きいと考えたのです。インタビューのテクニックの

一つですが、大越キャスターは心得ていました。

「原発は悪化していない」ことを印象付けたかったのでしょう。


このブログで災害関係の記事を大々的に書くのは

これが最後になるでしょう。

賛同していただけたもの、そうでないもの、

いろいろだったと思います。

こんなにささやかなブログで意見を発表しても

被災地や今も苦しみが続く被災者の役に立つことは

ないと分かっています。

しかし、私にできることはこれしかありませんでした。

熱心に読んでくださった方々にはお礼を申し上げます。


by toruiwa2010 | 2017-04-02 08:48 | アーカイブから | Comments(2)
Commented by パンダ at 2017-04-02 16:10 x
こんにちは、岩佐さん。
最近こちらのブログを拝見するようになった者です。
自分のブログを読むことで不快に思う人がいるかもしれないと
分かっているのに書くということは、大変勇気のいることです。
アナウンサーという仕事をされていたので、
充分承知してることだと思います。
でも、あえて書く。
その勇気に凄いエネルギーを頂きました。
そして私と同じ思いをしている人もいるはずです。
6年経った今でも被災地や被災者のことを心配している熱い気持ちは、
役に立っていると思います。
Commented by toruiwa2010 at 2017-04-02 17:09
パンダさん、こんにちは。

「アーカイブから」にコメントをもらうのは
何年ぶりでしょうか?
あなたのように言っていただくと書く勇気が
増します。感謝です。

口が悪いので嫌われることが多いですが、
できることなら是々非々でお願いしたいものです。
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