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岩佐徹のOFF-MIKE

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MLB:案外知らないこと1~アーカイブから~ 17/07/15

MLBの公式戦が日常的に生中継されるようになって、

さまざまな情報がファンに提供されてきたと思う。

現地の音声を聞くことが多いのでNHKJスポの

アナが触れたかどうかわからないが、私が知っている

いくつかの“ネタ”を3日連続でまとめて提供する。


変わった・変わらない

~メジャーの周辺から~( 2011.05.19 初出 )

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少し前、ドジャースの試合を見ていると、翌日 先発予定の黒田が

ガムを噛みながらチームメイトに声援を送る姿が映りました。

おかしいな、と思いました。


私がメジャーを取材していた当時(30年前)、翌日の先発投手は

ダグアウトの一番キャッチャー寄りの場所でスコアをつけて

いたものです。相手ピッチャーの攻め方やバッターの弱点などを

記録し、翌日の試合に役立てていたのです。

黒田は明らかにこの作業をやっていませんでした。システムが

変わったのだと思いました。

…だとすると、今は誰がスコアをつけているのだろうか?

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こういう疑問はそのままにしておけない性格なので さっそく、

問い合わせてみることにしました。

今回は3球団にメールを出しましたが、回答をもらえたのは

アストロズだけでした。とても丁寧に、私が問い合わせたこと

すべてに答えてくれました。


私が黒田を見て抱いた最初の疑問はあっさり解決しました。

30年前とは段違いのレベルにあるコンピューターの存在を

すっかり忘れていました。

必要とするすべてのデータは“スカウティング・リポート”が

提供しているようです。

くわしいことは分かりませんが、たぶん、30球団が出資して

作った組織が全試合の1球ごとの分析を行い、データ化して

いるのだと思います。

日本と違って国土が広いアメリカでは、ドラフト用の情報・

データの収集なども各球団が個別にやっていたのでは経費が

果てしなく膨らみます。一つの組織が一括して情報を集め、

それを一律に分配することで経費を抑える…合理的です。


このやりかたなら、黒田がスコアをつける必要はありませんし、

得られる情報もはるかに詳しいものになりますね。


メールでは、ついでに、二つの質問をぶつけました。


一つは、ロースターの登録人数についてです。

25人に決まってるじゃないかですか?まあ、そうですけど、

そうでもないんです。ハハハ。


私が取材した1970年代後半はやっと100万ドル・プレーヤーが

生まれ始めたころです。それでも球団経営を圧迫していました。

すくなくとも、球団はそう主張していました。ハハハ。

そこでオーナーたちが考え出した妙案は “メジャーの登録枠

(25)24人にでした。1人減らすと、旅費・宿泊代などで、

年間で相当の金額が節約できるという説明でした。

日本より一人少なかったんだ…と思いますか?違うんですよ。


確かに日本は25人ですが、1軍登録は28人まで許されています。

28人登録の25人ベンチ入りが日本プロ野球のやり方です。

普通は、前日と翌日、翌々日の先発ピッチャーがベンチから

外れます。“上がり”と呼んでします。


メジャーには、“上がり”はいません。翌日の先発ピッチャーが

試合予定地に先乗りすることはたまにありますが、基本的に、

メジャー登録の25人は毎日ベンチに入ります。

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先日、松坂がリリーフ登板して話題になりましたが、限られた

人数で延長回数無制限の試合を戦うのですから、ピッチャーと

いえども、いろいろな役割で駆り出されます。

「慣れないリリーフで気の毒だった」とおバカなコメントを

する解説者やキャスターがいましたが、冗談もほどほどにして

ほしいものです。長い試合になれば、代走に出ることもあるし、

外野を守ることだってあります。松坂は“ピッチャーとして”

試合に出たのですから、まだいいほうです。ハハハ。


メジャーの選手会の何代目かの会長にマービン・ミラーという

弁護士がいました。選手会を世界でも1,2位と言われるほど

強力な労働組合にした男ですが、

彼のリーダーシップのもと、1990年以後は特別のときを除いて

“25-man roster”は不動のものとなっているそうです。


1979年7月13日のアナハイム・スタジアム。

地元エンゼルスのエース、ノーラン・ライアンがヤンキースを

相手に5回目のノーヒット・ノーランをめざして力投していた。

しかし、8回、ヤンキースのスペンサーの打球はセンターを襲い、

リック・ミラーが地上寸前で捕り損ね、はじいてしまった。

記者席で見ていた私にはヒットに見えた。

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しかし、この日 公式記録員だったヘラルド・エグザミナー紙の

ミラー記者は“E, eight”(センターのエラー)と記者席に告げ、

スコアボードにも「E-8」と表示された。

打ったスペンサーはベース上で記者席をにらみ、ヤンキースの

ダグアウトからは数人の選手やコーチがとびだして抗議の

ゼスチャーを見せた。


ミラー記者は全く動じる気配を見せなかった。

「ルールブックには確かに、疑わしいときは打者に有利にと

書いてあるが、 “記録”がかかっている場合は投手有利である

べきだし、記録を破るにはクリーンヒットが望ましいのだ」と。


9回にジャクソンがそのクリーンヒットを打って、ライアンは

7回目の1安打ピッチングに終わった。翌日のニューヨークの

新聞は「あんなことで記録を達成できたとして、ライアンは

喜んだろうか?」という論調だったし、それを転載したロスの

新聞はその横に「なに、ニューヨークでギドリー(ヤンキースの

エース)が投げていたらやっぱりエラーと記録されるさ」という

エンゼルス監督の談話をのせていた。

誰にも言い分はあるものだと苦笑するばかりだった。

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実は、この騒ぎには一ヶ月ほど前に逆のケースで伏線があった。

63日、ピッツバーグのスリーリバー・スタジアムだった。

パイレーツのキーソン投手は82死まで相手のパドレスに

ヒットを許さなかったが、とうとうエバンスにサードの

ガーナーを強襲された。


スコアラー、ピッツバーグ・プレスのダン・ドノバン記者は、

迷うことなく“ヒット”と判定した。試合後のロッカールームで

ドノバン記者をみつけたキーソンは「オレにとっては一生に

一度のチャンスだった。エラーにも見えただろう。地元なのに、

あの判定はなんだ」とかみついた。

翌日のプレス紙は、スポーツ面に社としての見解を記した上で、

「以後、本紙の記者は公式記録員を引き受けない」と声明した。


1979年、ベースボール・マガジン誌に書いた記事の一部です。


当ブログにはこのときの経験も踏まえつつ、「メジャーには

公式記録員がいない。記者が代行している」と何度か書きました。

30年前のことだから、これも変わっているかもしれないと思い、

質問の中に加えました。

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…変わっていないそうです。

3~4人の記者が交代でやっているようです。

MLBを代表しているから地元びいきになることはない」と

担当者は書いていましたが、イチローの“内野安打”を見ていると、

こればかりは、言葉通りに受け取るわけにはいきません。

ていねいな回答には感謝していますが。ハハハ。


30年を経て、変わったものも変わらないものもあります。

少しずつ書いて行こうと思います。「大した情報ではない」と

言う人もいるでしょうが、知った上で見ると楽しみが増えるかも

しれません。参考になれば幸いです。


by toruiwa2010 | 2017-07-15 08:16 | アーカイブから | Comments(0)
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