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岩佐徹のOFF-MIKE

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アナが抱える病気~アーカイブから~ 17/09/30

心の病がアナを襲う!

~プロセスが想像できる~( 2011.07.19 初出 )  

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「ジェスチャー」の名司会者として鳴らしたNHKを離れ、

フジテレビに移籍したあとは奥様向けの朝のワイドショーを

仕切った小川宏さんは超有名なアナでした。日本の放送史に

名前が残るアナウンサーの一人です。

しっかりと準備をしたことがよく分かる、いかにも、NHK

アナらしい、きちっとした仕事ぶりでした。時代の空気とも

うまくマッチしたのがアナウンサーとして成功した“秘密”

だったと思います。


俳優・高島忠夫さんは大きな体に柔らかな笑顔で映画やドラマに

登場する一方、優しい語り口で映画の解説をしたり、奥さんの

寿美花代さんと料理番組に出たりして、やはり、幅広い人気を

持つ人でした。


お二人とも、ずいぶん長い間 元気な姿を見ていません。

たまにテレビで見かけるときは 本人か家族が“ウツ”について

語っていることが多いです。“語弊”があるかもしれませんが、

痛々しく、こちらも辛くて、見続けることができません。


全国に、アナウンサーや俳優を職業とする人は数千人単位で

いると思います。確率的にも、“心の病”を背負いこむ気の毒な

人がいてもおかしいことではありません。


1960年代、私の後輩にもいました。同じカテゴリのアナを

目指しながら、後輩に先を越され 自分にはチャンスが来ない…

きっと、もんもんとしていた時期があったのだと思います。

ようやく、望んでいた仕事が回ってきたとき、その高揚ぶりは

誰の目にも明らかでした。これまで蓄えてきた経験や知識を

生かすチャンスを得て、自分でもコントロールできないほど

気持ちが高ぶってしまったようです。そのとき、すでに精神の

バランスが崩れていたのかもしれません。“躁”状態でした。


彼の場合は悲しい結末になりました。

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小川さんや高島さんはご本人も周囲も認める“ウツ病”でした。

2人が華やかなスポットライトを浴びる舞台から降りた直後に

始まったように見えました。心の動きが分かる気がします。

私のようなささやかな経歴しか持たない者でさえ、ある程度の

年齢になってからは、将来への不安がありましたから。


フジテレビで、自分から希望してアナウンサーを辞めたとき、

本人的には納得していたつもりですが、横で見ている妻には、

やはり普段とは様子が違っていて「心配だった」と、ポロっと

言ったことがあります。

かなり頑張って、若いころからの夢を実現して入った仕事です。

日々 変化があってとても刺激の強い仕事です。

最終的にWOWOWマイクを置こうと考え始めたとき、

「この刺激から離れたら、いったいどうなるのだろう?」と、

自分でも心配したものです。


幸いなことに、私の場合は深刻な事態に至りませんでしたが、

同業の先輩・後輩でウツ病になった人は相当数いるようです。

自ら死を選択したケースもあります。

当然 さまざまな要素が重なっているでしょう。担当している

番組がなくなる、出番が減って行く寂しさは他人の想像を

はるかに超えて大きいと思います。

「こんなはずじゃ…」という思いは日増しに強くなるはずです。

活躍ぶりが華やかだった人ほど強いのかもしれません。


成功者が“その後”にウツになるのとは別に、重圧に負ける

というケースもあるでしょう。

せっかく与えてもらった仕事がこなせない。期待されている

レベルに達していないという自覚がある。起用された新しい

仕事を自分の力でこなせるか自信がない。周囲からのイジメ…

どんな仕事をしていても似たような悩みはあるでしょう。


しかし、アナウンサーの場合はプロデューサー・ディレクター、

上司、同僚のほかに、“視聴者”という 目に見えない存在からの

批判にもさらされますから、厄介です。

まっとうな批判には耐えられても、2chなど、匿名を盾にした

コメントの中には“人格の否定”にまで及ぶものがありますから、

並みの神経ではもたなくなることもあるのです。


「松本和也アナウンサーに代わって司会をします徳田章です」

17日の「のど自慢」の冒頭で徳田アナがそう言っていました。

1週前の10日の放送でも司会を交代していましたが、こういう

言い方はしなかったようです。松本アナは 司会することに

なっていた新番組「セカイでニホンGO!」(14日スタート)

降板しています。


ネット・ニュースによれば、松本アナが新番組のテスト収録を

取りやめ、発表会見も中止になったと伝えられたとき、「原因は

“体調不良”、病名は不明」となっていました。

この時点で“心の病”が理由であることは十分 推察できました。

数日後、NHK広報局は交代の理由を「多忙によるストレスで、

心身のバランスを崩したため」と説明したようです。


はじめから真相を発表するのが理想ですが、遅れたとはいえ、

この時点で公表したことはよかったと思います。

隠せば隠すほど無用の憶測を呼び、本人だけでなく家族、友人、

関係者まで巻き込んで、さまざまな誹謗中傷が飛び交うことに

なりがちですから。


「英語でしゃべらナイト」に出演していたころの松本アナは

よく見ていました。多くのNHKアナを楷書とするなら、

彼は行書と呼びたい話し方をするアナでした。“きちんと”、

“きれいに”話すことよりも自分をさらけ出して行くタイプです。

へたをすると先輩・三宅民夫アナの“亜流”に見られそうですが、

NHKには珍しい、バラエティに対応できるタイプでしたから

制作陣には重宝されたのだろうと思います。


「のど自慢」の担当になって1年少々、前任者(徳田アナ)との

比較も耳に届いたでしょう。

放送する街の下調べなどで多忙の中、リフレッシュの時間が

なくなったかもしれません。しかも、新番組への起用が決まる…

関係者が彼の仕事量の調整に失敗したという話も聞きます。

少しずつ、少しずつ、ストレスがたまって行ったのでしょう。

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何度も書いていますが、アナウンサーになろうと思う人間は、

“程度”の差こそあっても、揃って“自意識過剰”の傾向があり、

“自己顕示欲”が強いのです。むしろ、この仕事はそれなしには

成功しないのかもしれません。

ただし、神経の太さは人それぞれです。

それだけに、うまくいかなくなったときに精神のバランスを

取ることは普通の職業よりも難しいのだと思います。


松本アナはきっとまじめな性格の人なのでしょう。番組の中で

“失敗”があったとは聞いていません。それが何よりです。

名前も顔も知られているだけに大変でしょうが、早く戻ろうと

焦らないことが大事です。早い段階で病気に気づき、本人も

周囲も認めたうえで療養に入ったのは“不幸中の幸い”だったと

思います。


志半ばで“戦列”を離れ、無念の思いは強いことでしょう。

同情を禁じえません。

いまは、“傷んだ心”を癒すことに専念してほしいです。

同じような病に見舞われながら、克服してマイクの前に戻った

アナは何人もいるのですから。
by toruiwa2010 | 2017-09-30 08:20 | アーカイブから | Comments(2)
Commented by Vevey at 2017-10-02 10:03 x
岩佐さん、こんにちは。

私も松本アナが好きで、「英語でしゃべらナイト」「ダーウィンが来た」等楽しみに見ていました。彼は見た目とは違ってバリバリの洋楽ファン、のど自慢の番組で体調を崩したのですよね?

私は演歌というものが肌に合わず、一番嫌いな番組はNHK「のど自慢」なんです。演歌だけではないにせよ、一言で言うと気持ち悪いのです。いじって盛り上げる、泥臭く楽しそうにするNHK的な段取りが生理的に無理〜〜〜
だから、松本アナがよくこんな番組引き受けたな〜と思っていました。彼の心身の不調がこの番組をきっかけにという事であれば、私は納得できます。NHKでは嫌な番組を断ることはできないのでしょうかね?もう元の職に戻ることはないのでしょうか、お元気ならいいのですが残念です。
Commented by toruiwa2010 at 2017-10-02 10:12
Veveyサン、こんにちは。

何が松本アナを追い込んだかは
定かじゃありません。
「のど自慢」の仕事が合わなかったのか、
新しい番組に自信が持てなかったのか?
おそらく、過労も含めていろいろな要素が
重なり合ったのでしょうね。

あのあと、アナウンス室を離れ、すでに
NHKを退職しているようです。
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