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岩佐徹のOFF-MIKE

toruiwa.exblog.jp

実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

カテゴリ:アナウンサー・実況( 67 )

フジテレビ「みんなのニュース」

サプライズにからめて椿原アナ…

伊藤キャスターに乗せられていろいろ

しゃべらされてしまった。

ニュースとしてはどうかという意見も

あるだろうが、とても 楽しい空気だったし、

椿原アナの 違った面が見られた。

伊藤アナにあっぱれ!


CM明け、カメラは1ショットで椿原アナをとらえていた。予定通りだったはずだ。

彼女が口を開き「続いてはこちら…」と言ったところで伊藤アナが待ったをかけた。

「続いては、私の方で」と、引き取ったが、これは“予定だが予定外”だったのだろう。

「椿原さんに質問です」。

“天の声”が「椿原さんがこれまでにした、またはされたサプライズプレゼントは?」と

問いかける。「ええ!台本にない…」と慌てながら、立ち直って「私の誕生日に友達二人と

食事のつもりで出かけたら、友だち、後輩、同期がみんな集まっていた」と話した。

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ここで伊藤アナがまとめた。「小規模な食事会だと思ったところがみんなが祝福してくれる

サプライズだった…と」。

それだけで終わらない。一拍置いて「それが一つ目?」。彼の目は「まだあるだろう?」と

言っていた。スタッフから仕入れた別の話を引き出すための「それが一つ目?」だ。

椿原アナの顔には“やられた”と書いてあった。

「一番好きなサプライズはなんでした?」と畳みかけられた彼女は腹を決めて話し出した。

「ホワイトデーの食事中に彼が席を立った。店を出て行き、どこに行ったのかと思ったら、

抱えきれないほどの白い花束を…」。

恥ずかしながら、いい思い出として懐かしみながらがなす様子がキュートだった。


この項目全体がミニ・ドッキリだったわけだ。ニュースなのにどんなものかという意見も

あるだろうが、とてもいい雰囲気だった。日本の今のニュースはバラエティ色が濃いし、

目くじら立てるなら、“ゴミ屋敷”や“デパ地下”はどうなんだという話にもなる。

それより、フジテレビの女性アナでは珍しく 報道畑を歩き、どちらかといえば、“硬い”

イメージがある椿原の違った面が見られてよかったのではないか。


なにより、こういう企画はキャスターと視聴者の距離を近づける効果があると思う。

一気に視聴率に結びつくとは思わないが、親近感を持ってもらうことは大事だろう。

夏企画で木村アナが人力車で日光まで走ったのも企画として成功だった。

来年は富士山のふもとを目指すか?

キムタク、君は当分走ることから逃げられないと思うよ。ハハハ。


椿原アナの報道アナとしての力はよくわからない。しかし、結構 長く夕方のニュースに

かかわっている。「Mr.サンデー」でも宮根と息の合ったところを見せている。

性格もよさそうだ。しかし、順不同で、思い出すままに名前を挙げるなら、田丸美寿々、

渡辺真理、膳場貴子、笛吹雅子、小宮悦子…女性アナでキャスターとして一定の成功を

収めた人たちに比べると、“童顔”という点で損をしているかもしれない。本来の能力とは

関係ないのだが、案外 大事なポイントだよね。


褒めたあとはけなす


14日の夜の「No1歌姫決定戦」はひどかったね。

1年をかけて勝ち抜いた10人を集め、東野幸治と山里亮太の司会で放送された。画面には

LIVE”の表示はなかったものの、司会者たちが“生”であることを匂わせ、歌の評価は

視聴者がdボタンで投票するやり方だった。

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最大の疑問は途中から東野・山里の司会コンビが消えたことだ。

10時に始まったころにはもちろんいたが。113Bブロックの勝者が決まったときには

二人はいなかった。タレントの出演時間が重なると画面から消えることはあるが、どうも

そうではないらしい。説明はまったくなかった。大きな謎だ。


そして。最終ステージを迎えたとき、Aブロックの勝者もいなくて母親がいた。

中学生なのでここからは出演できない…旨のお断りがあったが、それが11時過ぎだった。

ナマなら、10時に始まる番組に出すのも児童福祉法的には問題があるだろうに。

結局、華やかな番組のフィナーレにチャンピオンもいなければメイン司会者2人もいない

という珍妙な映像になってしまった。企画や出演交渉のときのツメが甘かったんだろうね。

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2日後の「TEPPEN」はほとんど“詐欺”だった。

ピアノがうまいタレントが演奏を競うもので結構人気がある番組だ。2時間の番組の大半を

“予選”に使い、決勝進出者が決まったあと、CMをはさんでベンチプレス部門に移った。

まあ、まあ、よくある演出で“ひっぱる”、つまり、興味をうしろにつなぐやり方だ。


ところが、この日、決勝は放送されなかった!! 来年になるらしい。

日本中で怒りが渦巻いたことだろう。これでは、まるでケンカを売っているのと同じだ。

それでなくても、批判にさらされているのに、何をやっているのかと呆れる。


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by toruiwa2010 | 2016-09-27 08:47 | アナウンサー・実況 | Comments(4)

東国原の発言をとらえ「番組として

謝罪しないと訴訟問題になる」と

猪瀬元都知事がかみついた。かなり強硬だ。

難しい局面だが、石井アナは簡単に譲らない。

「確認をしないと謝罪はできない」と。

正しいと思う。

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この話のポイントは、かつての都知事選のときに猪瀬元知事がその資金として徳洲会から

5000万円を提供してもらったが、金を受け取るときに公用車を使ったかどうかだ。

スタジオの東国原が「お金を借りに行ったとき、公用車を使っていますよね」とカメラに

向かって言い放った。猪瀬は別のところにいた。「使ってませんよ」と猪瀬が小さい声で

言い返したが、直後に CMに入った。東国原のことだからたぶん、タイミングを“狙った”

のだと思う。「Nステ」で久米宏がよく使った手だ。


CMが終わり、ほかの項目をすませたあと、猪瀬からクレームがついた。

2点あって、猪瀬は初め、「金を借りに行ったとき、公用車は使っていない。記録にある。

だから訂正しろ」と求め、東国原は「そういう記憶があるが、確認して間違っていたら

訂正する」と応じていた。


もう1点は東国原が「使ったんじゃないですか?」と問いかけたのだと言ったのに対して

猪瀬は「いや、断定した」と主張した。そもそも彼は、不確かなことを言ってはいけない

という立場のようだ。

猪瀬、東国原、どちらの言い分が正しいかは簡単に結論が出ないが、このやり取りの際に

司会の石井亮次アナ(CBC)の対応が見事だった。

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「自分が言っていることは事実だから今、謝罪しろ」と要求する猪瀬に対して石井アナは

「番組として公用車記録を見て裏をとらないと私の口から軽々に言えません」と応じていた。

大正解だったと思う。猪瀬のように強い個性を持った人物の要求をはねつけるためには

こちらも相当強い気持ちで応じなければいけないのだが、心の準備がないと、なかなか

できるものではないのだ。発言した個人が謝るのは問題ないだろうが、MCが自分の判断で

「申し訳なかった」と言ってしまうと、あとで責任問題にもなるし、それ以上に 番組の

立場にも影響が出てしまうからだ。


元職のサガで、こういうとき、いつも「自分ならどう応対するだろうか?」と自問する。

彼のやり方が局アナとしてはベストだと分かっていても、実行は簡単ではない。

フジテレビ時代に失敗した“苦い”経験がある。

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遠い昔、奥様向けの番組にある事件の容疑が濃厚な人物を招いたことがある。形として

彼に好きなようにしゃべらせ、ゲストの推理作家に一つ一つ矛盾をついてもらった。

想定内だったが、途中で彼が怒って席を立った。

激高する彼にスタジオの出口で追いつき、戻るように促しても応じなかった。「私の言い分を

聞くと言うから出てきたんじゃないか」と言い張る彼と長い押し問答になった。


当時、36歳だった私は「報道機関だから あなたの言いぶんを“ジレが真実だ”と一方的に

伝えることはできない」という主旨のことを言わなければいけないと思ったが、頭の中で

言葉をまとめているうちにフロアディレクターが寄って来た。「とりあえず謝っておけと

Mさんが言ってます」とささやいた。Mは番組全体を仕切るプロデユーサーだ。

この“指示”の意味は 番組が彼を犯人扱いしたとあとでクレームをつけられないように、

“保険”として謝罪しておけということだ。


私は「申し訳ありませんでした」と謝った。指示を受けた以上、ほかの選択肢はなかった。

もう10秒早く文章がまとまっていたらなあ…と今でも口惜しい。ハハハ。


ゴゴスマの件だが、その日の午後、「一部、記憶違いがあり、それに基づいて発言したのは

申し訳なかった…と東国原がツイッターで謝罪した。猪瀬がそれで納得したかどうかは

定かでない。また、番組の方は、翌日、このことを報告した上で、「記録を確認した結果、

受け取りに“行く際に”公用車を使った記録はなかった。番組としてもすぐに事実確認が

できず、一日遅れの説明になってしまった」と言い、最後に「大変、失礼いたしました」と

頭を下げた。


“巧妙”と言うべきか。ハハハ。

石井アナの頭はたしかに下がっていたが、“失礼しました”という文言を 果して猪瀬が

“謝罪”と受け取るかどうか、微妙だ。

いずれにしても、このコメントは局の顧問弁護士と相談して作ったのだろう。

“変化”がいつごろから始まったのか分からないのだが、最近の情報系番組はこれまでの

スタイルを脱して、出演者同士が“やり合う”ことが多くなった。こうでなくちゃ…ね。


09/11のツイート

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by toruiwa2010 | 2016-09-14 08:49 | アナウンサー・実況 | Comments(0)

ABに定期的に金を送っていたのは事実のようだ。

送金はBが覚せい剤を使用していた時期と重なる(らしい)

Bの覚せい剤購入資金の一部がAの金だった可能性はある。


…なので“Bの覚せい剤の資金源はAである”説は論理的に成立するかもしれない。


Aとあるのは司会者・小倉智昭、Bは自称・画家&俳優で小倉の事務所の後輩でもある男だ。

Bは先月、覚せい剤取締法違反で逮捕された。

逮捕当時、冒頭に書いたことはまったく報じられなかったのだが、週刊文春が先週号で

“覚せい剤逮捕 俳優は小倉智昭が「資金源」だった”という 見出しで派手にぶち上げた。


この件については“この程度の中身でよくこんな見出しをつけたものだ”と先週 書いた。

番組で事実関係を説明する小倉に疚しさの気配がまったくなかったことも。

これで“一件落着”と思ったが、スクープ連発の流れを切りたくない天下の週刊文春は

そう簡単には引き下がらない。今週号でも“攻撃”が続いた。

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小倉が釈明の最後に「資金源と書かれるのだけは納得いきませんでした」と言ったのが

気に入らなかったのか、その部分をそっくり文字に起こして記事を書き始めている。

しかも“声を震わせ、目を真っ赤に充血させてこう述べた”と続けている。言っとくぞ。

少し目が潤んだようには見えたが、決して“真っ赤に充血”などしていなかったぜ。


で、今週号の目玉として雑誌が仕込んだネタが大笑いなのさ。

3ページに及ぶ記事の見出しは“小倉智昭 覚せい剤俳優との「資金源」証拠メール”。

“動かぬ証拠”としてつきつけたのは 当時、小倉が男に送ったとされるメールだ。

その大意は以下の通り。


昨年11月に国税の査察が入った。

あなたを始め、事務所のX、姉、プロゴルファー、スタジオの手伝いなど、

月々の送金が槍玉にあがった。最近は通帳に送金先が記入されるため、

言い訳ができなかった。

特に、あなたへの送金が長く、額も相当になるため、あなたの所得にする、

との見解だった。そうなると過去の所得税、地方税、重加算税、延滞税など、

多額の請求があなたに行く。

そこで、国税に勤める知人を介して、あなたの窮状を訴え、あなたへの請求が

及ばぬよう、贈与税で私の負担にしてくれと申し入れた。

その結果、あなたへの分を含め、およそ1億円の納付請求の通知が届いた」


つまり、“長期間、君に多額の送金をしていたことが国税にばれた。君の所得とみなされ、

かなりの額が君に追徴課税がされることになる。手を回して、贈与で処理し、私、小倉が

負担することにした”ということだね。


さらに・・・

個人預金は多くない。Bを含め数人への送金は妻も知らず、相談すれば離婚になりかねない。

(税務署への納金は) 時計や絵を売るつもり。最近、番組の視聴率が悪く先が見えて来た…

などを訴え、要は、“だから送金は打ち切る”と告げているわけだ。


どういう経緯なのか分からないが、文春がこのメールを入手した。読んだとき、編集部は

「これで小倉の息の根が止められるぞ」とほくそ笑んだに違いない。小倉がBに“長期間”

“多額の金”を送っていたことを本人が認めているのだから。

しかし!


そうじゃないんだね、これが。ハハハ。

木曜日の番組の中で小倉が“2週続きで申し訳ない”と話し始めた。

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Bが描く絵に興味があった。それに対して金を払った。

もっと興味があったのは彼の父親の絵だった。5点ほど持っていてそれにも金を払った。

そのほかに父親のコレクションがあって、それを預けるから金を貸してくれとBが言った。

絵を預かり分割で月々払った。ところがそのうちの20点ほどが贋作だと分かった。

そこで、Bとの関係を“修復”(本人の言葉)しようと思ってこのメールを出した」


やっぱり出したんだ。…そうじゃなくて、“続き”があるんだ。


11のメールで世に出ると思っていなかったから、“作り話”を書いた」


つ、つ、作り話!? ウソ?


そう、小倉はBにあきらめてもらうために話をでっち上げたのだ。

「査察もなければ納付請求も来てない。もちろんお金なんか払ってません!」

そう、言い切ったとき、きっといい気分だっただろうね。

腹の中は「ざまあみやがれ、“証拠メール”などと得意げに書きやがって」だったかも。

ハハハ。


惜しいのは、話がうまいはずの小倉にしては“メールは虚偽”という肝心のポイントが

少しぼやけていたことだ。


週刊文春の記事の中には 薬物依存からの回復を支援する団体役員の話として「Bにとって

小倉さんはいわばATMだ。小倉さんは金を渡すことでBを支援したのではなく結果的に

ダメにした」とまで書いている。


そして、“締め”はこうだ。


小倉は公共の電波を使って「納得がいかない」と発言した。ならば、

“長期にわたる高額の送金”の事実を認めた自らのメールについても

説明すべきではないのか。

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「どうだ、まいったか!」と大見得を切って示した“証拠”のメールが100%嘘だった。

実弾を込めて撃ったつもりだったのに空砲だったと分かった今、文春はこのシリーズに

どうケリをつけるつもりか? お手並みを拝見させてもらおうか。ハハハ。


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by toruiwa2010 | 2016-09-12 08:10 | アナウンサー・実況 | Comments(0)

当ブログの唯一いけない点はときどき“しつこい”所だと自覚している。ハハハ。

偉そうにしている奴と並んで批判の対象になるのは放送&実況だ。


おこがましいとは思いつつ、数年前に「岩佐徹的アナウンス論」を連載した。

長い経験を踏まえ、引退後に見たもの、聞いたものの感想・批評をまとめたものだ。

リオ五輪の前に更新した“自薦・厳選”シリーズで その中の“ダメ”な実況例に触れた

ためか、その古い記事( 2012.01.28 )にコメントがついた。2004 アテネ五輪の男子体操

団体戦の実況を取り上げた記事だ。

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NHK刈屋富士雄アナはもともと“苦手”だったが、このときの実況で決定的になった。

以後、何度か批判的な記事を書いた。理由は“言葉を用意する”ことに集中している。

一番ダメなのがアテネ・体操の実況だ。世間では名実況だとされている…らしい。

そうじゃないっ!と私は言う。


今回、投稿の中に本人のインタビューと名のあるスポーツ評論家が褒めた記事のURL

添付されていたので、“休載”中に読んでみた。“筆欲”が湧いた。ハハハ。


初めにいくつか

・この記事は長くなる。誤解を招かないためにできるだけ丁寧に書こうとするからだ。

・そう思われるだろうが、“ネタミ・ソネミ”で書いているわけではない。

・「どこかのへっぽこアナが…」と思う向きもあるだろう。それはそれでいいが、念の為に

書いておくと筆者はフジテレビとWOWOWで通算34年、スポーツ実況をしてきた。

オリンピックは経験がないが、MLBをはじめとする野球、ヨーロッパ選手権やUCL

セリエAを中心にサッカー、テニスのグランド・スラムなど、世界のトップレベルの

イベントにかかわった。悪いけど、月間賞だが“ギャラクシー賞”だってもらっている。

“へっぽこアナ”じゃない。まして、キャリアも実績も刈屋アナに劣るとは思わない。


いかん、もうムキになってる。ハハハ。


問題の実況だが、このときの団体戦には体操ニッポン復活の夢がかかっていた。

最後の演技者、冨田洋之が登場したとき、日本が優勝するためには8.962点が必要だった。

彼の力を考えれば“普通”の出来で十分だったが、誰もがハラハラして見守っただろう。

さて、そこからだ。

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インタビューで本人の言葉を読み、正確を期すため、改めて実況を聞きなおしてみた。

冨田が鉄棒の下で構えに入ってから着地までの実況は文字にするとこうなっている。


1. 「小学校のころソウル・オリンピックを見て自分もオリンピックでメダルを獲りたい…

夢を持った冨田。ニッポンが誇る最高のオールラウンダー」


このあと約5秒間の黙り。この間に冨田は鉄棒にぶら下がり、演技を始める。

2は演技が始まった直後にしゃべり始めた。


2. 「冨田が冨田であることを証明すれば日本は勝ちます」

( 途中で「自信もって」と解説者 )


3まで11秒間の黙り。


3.「離れ業はコールマン」


最大の山場・“コールマン”に挑む冨田をほぼ無言で見せる。

鉄棒を飛び越え、もう一度つかもうとする直前に“とれば決まります”と聞こえる一言が

やや“オフ”で入っているが、誰の言葉かハッキリしない。

どんなにくわしくても、いくらとっさでも、ベテランのアナウンサーが専門用語に近い

“とる”という言葉を使うとは思えないが、声の質、語調からは刈屋アナの声のようだ。

横を向く場面ではないのに、ヘッドセットをつけているにしては前後の言葉にくらべて

オフになっているのが不可解だが。

いずれにしても、“鉄棒をつかめば優勝が決まる”ことを言いたかったのだ。


3から8秒半の黙り。


4. 「さあ、あとは最後の伸身の新月面。(黙り3)

  着地に向かう。(黙り7秒、間で解説者が「さあ、あとは降りだ」)

  伸身の新月面が描く放物線は栄光への架け橋だ」(以上) 

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“小学校のころ”から着地まで65秒の実況のすべてだ。

夜明けの日本列島は28年ぶりに獲った男子体操の団体金メダルに沸いた。

翌日のスポーツ紙が褒めたことで“名実況”は確定した。聞いて感動した人も多かった

ようだから、一般の人がそう思うのは理解できる。


しかし、そこまでの流れを見ていれば、実況がなくても感動する場面だったのではないか?

私なら 優勝に必要な点数を説明し、場内の雰囲気を伝えたあと、冨田の演技開始“前に”

「いつもの演技ができれば日本の金メダルは確実です」、フィニッシュに入る直前に「さあ、

フィニッシュです」しか言わなかったと思う。WOWOWに移ってからの私のモットーは

“スポーツの感動は試合やプレーそのものの中にあるだったから。


ビッグ・イベント冒頭やここという場面で“事前に用意した言葉”を話すようになった…

つまり、予定稿がスポーツ実況に登場したのは1970年代だったと思う。しかし、世間が

注目したのは19851026日、ワールド・カップ メキシコ大会のアジア最終予選、

日本対韓国の冒頭アナウンスだった。

NHK・山本浩アナが「東京千駄ヶ谷の国立競技場の曇り空の向こうにメキシコの青い空が

続いているような気がします」と言ったのだ。

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サッカー・ファンの間では今も語り継がれる(…だよね)名ゼリフだ。

そう、“セリフ”であって“実況”じゃない。

それでも、世間は喝采を送った。そのときの気持ちとマッチしたからだ。


私が考える“理想的な実況”は、そのとき、放送席にいるアナにしか分からないことを、

その場にふさわしい言葉で分かりやすく伝える…ことだ。

その意味で 視聴者の気持ちにマッチすることは大事な要素だ。しかし、“すべて”ではない。


何より怖いのは、予定稿には“麻薬性”があることだ。

現に、山本アナも刈屋アナも、その後の実況でたびたび試みているが、成功例を見ない。

*以下2本の記事を参照されたい

・“用意した言葉”山本実況を考える: http://bit.ly/pMaJ6G

・わが“刈屋富士雄論” 先輩同業者から贈る言葉: http://bit.ly/1fjWPNu


今回、当時の日刊スポーツの記事を読んで「うん?」と思った。強い違和感があった。

“コールマン”を過ぎ、インタビューはフィニッシュに向かう場面にさしかかっていた。

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刈屋 考えたのは、金メダルを取ったことを日本にどう伝えるか。

1秒でも早く報告したかったし、着地をしちゃうと誰も僕の話なんか

聞いてくれない。考えていたのは「復活への架け橋」だったけど

「復活どころじゃないぞ」と。それで「栄光の架け橋」に変わった。

過去の栄光と未来、それをつなぐのが冨田の伸身の新月面だったんです。


…もちろん“字面通り”ではなかろう。

しかし、目の前で28年ぶりの“大事件”が起きようとしている。冨田の演技は“余さず”

伝えなければいけない。一瞬たりとも目を離せない。その中で、刈屋アナはこんなことを

本当にめまぐるしく考えていたのか? ウソだろ?できやしないぜ、そんなこと。


しかも、そのあとに取材記者はこう書いている。アナの話をベースにしているはずだ。


ここで、予想外のことが起きた。

冨田のフィニッシュへの入りが、1回転多かったのだ。

急きょ「伸身の新月面」と「は栄光への架け橋だ」の間に

「が描く放物線」を入れた。


一読、「すっげえ!」と思った。超・超・超人だ。ハハハ。

まともに実況していたら、そんなことを考えるひまはない。第一、1回多く回ったのなら

それを伝えるのが実況の仕事じゃないか。

つまり、"あとづけ"としか思えないのだ。

聞いて、感動した人が多かったのは認めよう。放送の実際を知らない人たちが名実況だと

褒めるのも分かる。しかし、本人が「その場で考えた」と言うのはおかしいと私は考える。

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投稿の中にあった“スポーツライター、音楽評論家、小説家、放送作家”(本人ブログより)

玉木正之氏のコラムも読んだが、すでに相当長くなっているので一点だけ書いておく。

“「栄光への架け橋だ!」は、五輪中継史上最高のアナウンスといえるかもしれない。”と

題した記事で以下のごとく“激賞”している。


(日本の男子体操陣が)低迷を乗り越えて四半世紀ぶりに復活しよう

とする瞬間、その瞬間が身体の動きの限界に挑戦した美しい放物線を

描くなかで訪れようとしたとき、その姿を表す言葉として、「栄光への

架け橋」という表現は、過去の歴史と現在と未来をつなぐという

意味合いのうえでも、眼前で展開される美しい形状を形容するうえでも、

これ以上にないふさわしく美しい言葉といえるものだった。


そう感じたのなら、他人がとやかく言う必要はない。しかし、ちょっと待ったあ!

彼は、その直前の段落で具体的にこのフレーズに触れる前にこう書いているんだよね。


…「栄光への架け橋」という言い方は、思わず口をついて出た言葉とは

思えない。これは想像でしかないが、おそらく金メダル獲得の可能性が

出はじめた頃から、アナウンサーは日本男子団体体操の復活にふさわしい

言葉を考えはじめたのではなかったか。

この想像が正しいかどうかはさておき、この言葉は、そう思えるくらいに

完成された形容であり、美しい表現といえよう。


フレーズそのものを褒めている。まさかとは思うが、彼はこの言葉が あのオリンピックで

NHKがオープニングに使った曲のタイトルだったことを知らなかったのではないか?

知っていればこういう書き方にはならないはずだ。あれだけひんぱんに流れていた曲を、

そのタイトルを知らなかった!?

だとすれば、笑うしかない。


そして、昨日、この記事の裏付けのためにネットを検索しているときに

きわめて興味深い記事に出会った。刈屋アナの過去のいくつかの発言を

つき合わせると「あれ?」と思うところがある。また別の機会に書く。


刈屋アナのインタビュー記事(日刊スポーツ): http://goo.gl/dlS56K

玉木正之氏のブログ記事: http://goo.gl/imcpPq


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by toruiwa2010 | 2016-09-08 08:00 | アナウンサー・実況 | Comments(8)

“病気”だね:ポエム実況


3位決定戦第2試合が終わった。喜びを爆発させ、国旗を背負って走り回っていた勝者が

ようやくマットを降りて画面は選手の入退場口に切り替わった。およそ5秒の沈黙のあと

河村亮アナの実況が始まった。

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吉田沙保里、4連覇に向けた決勝が今始まろうとしています。

この4年間、ロンドン以降、世界のこの階級、強敵は“打倒吉田沙保里”、

その一念で燃えてきました。当然、吉田はその流れを知っています。

今日の相手、アメリカ マルーリス、24歳、アテネ・オリンピック。吉田沙保里の

その優勝のシーンをテレビで見ていました。いつか自分はその頂きへ。

ただ、吉田はその言葉を聞いて「それがチャンピオンの宿命」。

十分にその立場を自覚しています。


(画面はスタンドの両親)


見つめる母、幸代さん、兄、栄利さん。

小さいころ吉田家は夏休みと言えば、遠征の試合に行くことが家族旅行でした。

お父さんが運転してお母さんが助手席で地図とにらめっこ。くるくると地図を回しました。

吉田沙保里は後部座席からお父さんの広い(ひろーい)背中と地図をのぞき込むお母さんの

丸まった背中、その二つを見ました。

お父さんとお母さんは何でここまでしてくれるんだろう? 

幼い吉田沙保里は分かりませんでした。ただ、今は分かります。親の無償の愛が。

そして、レスリングがこれまでの人生を作ってくれた。家族の支えがあったからこそ、

今の吉田沙保里がいる。そうハッキリと自分で頭に刻み込んでいます。


父、栄勝さんは一昨年 亡くなりました。

奇しくも、日本代表の合宿にこれから向かおうという車の運転の最中でした。

くも膜下出血でした。

その意識の中、おそらく父、栄勝さんは吉田沙保里、娘の将来を案じたことでしょう。

常々、「お前、大丈夫か?」、弱気になったときには「お前は強いんだ」…その言葉を

かけたと言います。

初めて吉田沙保里、4回目のオリンピック。一つ変わっていることは、その父、栄勝さんの

姿がセコンドにないことです。大きな声で指示を飛ばし、精神的に奮い立たせてくれた

栄勝さんが今、遺影で見つめています。

おそらく父は今自分のことを心配しているだろう。「お前、大丈夫か?」。

お父さんにできる一番の供養は「私は元気です。決勝で相手を倒します」。

そして勝利を届けること。

吉田沙保里はその一念でこの4回目のオリンピックを目指し、決勝の舞台まで進んで

まいりました。

これから女子53キロ級決勝戦。


(入場開始)


さらにいま、入場ゲートに両選手の姿、あらわになってボルテージは最高潮。


ヘレン・ルイーズ・マルーリス、24歳。

かつてはレスリングをやめようと思った。両親の説得がありました。

2004年、吉田沙保里が優勝したアテネ、種目に採用されて両親は種目を、このレスリングを

続けることを許可しました。


吉田沙保里、初めて4回目のオリンピック、父、栄勝さんの姿がセコンドにはありません。

ただ、吉田には寂しさはありません。

「父の姿がマットサイドになくても私は今こう思うんです。

今回はマットに父が一緒に立って戦ってくれそうな気がする。

ですから今回、マットの上で父と私で力が2倍になる。そんな不思議な感覚があるんです」。


(マットに上がる)


吉田沙保里、決勝へ。そして 今静かに、父、栄勝さんが寄り添っているでしょうか?

さあ、いよいよ大一番。吉田沙保里。

集中するマルリース。4連覇へ向けて…今、笛が鳴りました。


348秒の“渾身”の大演説だった。読むのが大変だっただろうと読者には同情する。

文字に起こしたものは、いやなら読まなければいい。しかし、試合を見るためにつけた

テレビから流れてくる音声は拒めない。ただただ“耐える”のは拷問に等しかった。

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この日の女子レスリングは河村アナの所属する日本テレビが地上波で独占放送した。

制作陣もコンソーシアムに送り込まれた日テレのスタッフが中心だったと思われる。

“画面はスタンドの両親”のところはコメントに12秒先行して画面が切り替わった。

アナが作ったコメントのコピーを参考に切り替えていたのだ。つまり“予定稿”だ。


「栄光の架橋」が持ち上げられ、多くの実況アナがコメントを用意するようになった。

イベントが大きくなればなるほど。

本来、そこにいる者だけが感じられることをその場にふさわしい言葉で伝えるのが彼らの

仕事だが、「“爪あと”を残したい」という欲求に負けるようだ。こんな失敗例があっても

視聴者は4年ごとにこんな“作文”を聞かされることになるだろう。原稿用紙とペンがあれば

家のリビングでも書けるからなあ。

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ただし、それにしてはこのコメントの完成度は低い。驚くほど低い。

聞き取れていない助詞があるかもしれないが、事前に準備されたものとしてはあまりにも

文章が“ぎくしゃく”して流れが感じられない。意味が通じないところが何か所もある。

マルリースの両親はやめようかと思った娘を説得したというのに 数年後には続けることを

“許した”という。“立ち位置”はいったいどっちなんだ?


私は 嫌いだし、ほとんどやったことがないので分からないが、予定稿のやり方の中には

完全に文章を完成させてしまうほかに、キーになる単語だけをメモにしたり、7割ぐらいの

完成度にとどめたりするやり方もありそうだ。どちらも 本番で語尾をつけてアドリブ風に

聞こえるようにするわけだ。河村アナは後者を選んだが、結局、失敗したのだと思う。


(試合開始)


果して、父とともに戦う6分間になるんでしょうか?

力は2倍になるのか?

さあ、ここで吉村さん、勝負のポイントはどこになりますか?


(1ピリオド終了後、家族が画面に)


母、そして兄が見つめる中、そして吉田の表現を借りれば父、栄勝さんは今、

吉田沙保里とともに、マットの上で戦っています。力は2倍になるか。残り3分間。


(2ピリオド開始直後)


私にとって3歳から磨いてきたレスリング。

タックルは父から… 本当に教えてもらったのは…

(その瞬間、両者が激しく動き始め、コメントの続きはなし)


(試合終了の笛)


吉田、無念敗れた。 金には届かなかった。 4連覇には届かず。

オリンピックで今、味わう無念の敗戦。しかし…マルリースが今歓喜の涙

絶対女王・吉田沙保里、気力を、死力を振り絞りましたが、今届きませんでした。

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試合が始まると、さすがに実況が中心になったが、全体が情緒に支配されていた。

私もそうだが、苦手とする人は多いと思う。尻がむずむず。ハハハ。

女子フィギュアスケートの塩原恒夫アナ(フジテレビ)はもっと“ポエム”だったのだが、

百歩ゆずって、あれは演技を競う競技だからいいとして(よくなかったが)、女子であっても

こっちは格闘技だ。“力は2倍”を3回も聞かされたらシラケる。


オリンピックのレベルの決勝なら 人はそれぞれの思いを込め、感情移入して見るものだが、

この試合に関しては、それがまったくできなかった。

まるで24時間テレビのオリンピック版を見せられている気分だった。

オリンピックはこれが最後だろうし、過去の功績を考えるなら吉田には勝たせたかった。

しかし、あえて言えば、この“情感タップリ”実況につき合されたあとでは、悪いけど、

負けてよかったかもしれない。勝っていたら「父、栄勝さんとともに勝ちとった4連覇!

力はやっぱり2倍になりました!!吉田沙保里は吉田沙保里でした!!」みたいな実況を

聞かされるのがオチだっただろうから。


おまけ


小池百合子知事が五輪旗を受け取ったとき、違和感があった。

本人も「思ったほど重くなかった」と話していた。

ロンドン五輪のときと写真を比較すると、人物との関係から、

棒が細く、旗そのもののサイズも少し小さくなっている印象が…

考えすぎかもしれないが、都知事が女性に決まったことを知った

組織委員会の“仕業”ではないか? だとすると優しいね。


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呟いたが、ほとんど反響はなかった。

口惜しいので「みんなのニュース」に投稿しといた。


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by toruiwa2010 | 2016-08-24 07:57 | アナウンサー・実況 | Comments(10)

自分も“元職”だし、専門分野だからどうしても実況が気になる。

体操・男子団体決勝の「内村航平、金メダルへの着地!」のように

相変わらず“受け”を狙った実況が多い。アドレナリンがあふれて

無駄なところで絶叫するアナもいて「おいおい」と思ったりしたが、

全体的には“可もなく、不可もなく…”だった気がする。

特に、マイナー・スポーツ担当のアナたちは頑張ったと思う。

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そんな中、書かずにいられない実況を終盤で聞いてしまった。

聞かれたアナは“不運”だと思ってほしい。気持ちとしては仮名に

したいが、「ああ、あの人ね」と分かるアナなので実名にする。

2回に分けるが、それでも長い。読むなら覚悟のほどを。ハハハ。

 

致命的なミス:「決まったあ!」


日曜日朝のサッカー決勝(ブラジル対ドイツ)はなかなか好ゲームだった。

ネイマール、マイヤーという両国キャプテンが鮮やかなゴールを決めた。

11で延長に入ったが、決着がつかず、PK戦にもつれ込んだ。

両国4人ずつきれいに決めて、44で先攻・ドイツは5人目のペーターゼン。

完ぺきにコースを読んだベベルトンが余裕を持って止めた。

このとき、実況していたNHKの鳥海貴樹アナが痛恨のエラーをしてしまった。


スポットにボールを置く

「ドイツ5人目 途中から入ったペーターゼン」

キック

「決めた 止めた ここで止めた」

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彼は、“決める”“決めた”をPK成功の意味で使っていた。ここは完全に止められたのに

なぜ“決めた”と言ってしまったのか?魔がさしたとしか言いようがない。

僅かな救いはすぐに“止めた”と叫んだことだ。“ミス”を引きずらなかった。

だから、多くの人は一瞬「うん?」と思っても、あまり気にならなかったかもしれない。

しかし、放送席に座った経験がある者にとってはそうじゃない。ミスだ、間違えた…と

騒ぐのは意地悪な私だけにしても、やってしまった本人としては長く記憶に残るミスだ。

下手をすれば“トラウマ”になる。

表彰式が終わったあとも鳥海アナはしばらく放送席から立ち上がれないかもしれない。

私ならきっとそうだ。そして、日本へのフライトは気が遠くなるほど長いものになる。


まさか、帰国後に“ペナルティ”などということはないだろうが、NHK のような体質の

組織では長くヒソヒソ話のネタにされるはずだ。そして、かつて紅白歌合戦で都はるみを

“ミソ()”と言いかけたベテラン・アナをほどなく地方局に飛ばした(少なくとも形は)

実績を持つ局だけに鳥海アナに何が起きるか分かったものではない。47歳か。

NHKの“次代”を担うアナだと期待しているのでなんとかこのピンチを切り抜けてほしい。


この話には続きがある。

耳を疑うようなアナウンスを聞いてすぐに呟いた。


ブラジル優勝!おめでとう!

「決めたっ!」と言ってしまった! アナとしては痛恨のミス。

NHKはこのあと、この部分をどのように"修正"するか? 

「決めた」を削るしかないかな? そのまま…局としての恥を

そのまま流し続けることはなかろう。


決定的な場面でのミスだから、NHKだけでなく、収録しながら見ていた各局の担当者が

サッカーを知っている人なら「あっ」と声をあげたに違いない。すぐにディレクターと

話し合って「削れるなら削る」という結論を出しただろう。

“不幸中の幸い”は、「決めた」と「止めた」の間に微妙な“間”があったことだ。

ミスをしてとっさに作った“間”ではない。偶然 生まれた“間”が実によかったのだ。

もし「決めた」のあと、慌てて「いや、止めた」 などと言っていたら“いや”が削るのが

難しかったと思う。

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…で、興味を持った各局の対応はと言えば…

NHK正午のニュースでは「ドイツが一人失敗のあと…」というコメントで処理していたが、

夕方6時過ぎの「デイリー・ハイライト」のときには「決めた」が丁寧に削ってあった。

ハハハ。


TBSは夜7時半からのオリンピック枠でダイジェストを見せたが、“まんま”だった。

編集する時間は十分にあったが、“思いやり”、“武士の情け”はないらしい。

フジテレビ昼のニュースが削ってあったほか、各局のニュースはいずれもナレーションで

処理してあった。優しいのか、単に日曜日でニュースの枠が短かっただけかは分からない。

ハハハ。

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彼も“日本人”だろう?


男子マラソン

日本人3選手の話は当然たくさん出ているが、

カンボジアに国籍を変えて出場している猫ひろし…

スタート前のスタジオ部分をふくめ、一回も名前を

聞かない気がする。 "5キロを何位で通過"ぐらいは

言ってやるべきだと思うがどうか?

芸人だからか?冷たいね。


実況だけの問題とは言えないかもしれない。

男子マラソンの制作陣は解説・実況とどんな打ち合わせをしたのだろうか?

当日の新聞のラテ欄はこうなっていた。

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“カンボジア代表で出場猫ひろしも注目だニャ”。


お堅い局に似合わず、“注目だニャ”と謳っているじゃないか。

どうしても知りたい…とまでは思わないかもしれない。しかし、「そう言えば、猫ひろしも

出てるんだよなあ。どうしてるんだろう?」と思った人は多かったはずだ。

日本人選手が先頭争いをしているなら、あえて触れなくてもいいが、そうじゃなかった。


5キロ通過のとき、〇〇分〇〇秒で〇位でした」ぐらい言ってもいいんじゃないか?

データは放送席のモニターに出て来てるはずだし、10数秒あれば言えるコメントだ。

もともと芸人だった彼が国籍を移してまで出たいと思い、困難を乗り越えて夢を実現し、

どんな気持ちでコースを走っていたかを考えたら、そんなに冷たい仕打ちはできないはずだ。


朝日新聞(ジタル)にはこんな記事もあったぞ。


「僕を選んでくれたカンボジアでも放送されている。

絶対に歩かないぞ」。

猫ひろし、完走者の中では下から 2番目でしたが、

観客からカンボジアコールがわき起こりました。

ゴール後は「ニャー」。


明日は“ポエム実況”について書く。


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by toruiwa2010 | 2016-08-23 08:20 | アナウンサー・実況 | Comments(4)
NHKに「ファミリー・ヒストリー」という番組がある。以前は金曜日の夜10時だったが、
3月から木曜日の夜7時半に変わった。この番組も好きだが、これまで木曜日の夜8時は
民放のバラエティを楽しんでいた人たちには選択を強いることになった。ひどいわ。ハハハ。
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有名人の家系をたどり、彼らの祖先がどんな生き方をしたかを映像化して伝える趣向だ。
時間も手間もかけた いかにも“NHKらしい”好番組だ。
スタジオに来ているのは“有名人”でもその祖先は多くの場合“市井の人”だし、彼らが
生きたのは戦争をはさみ、コンピューターなどない時代だから残された資料は少ない。
その僅かな情報をもとにスタッフがカメラとともに各地に飛んで丹念に調査していく。
たまに山場がない回もあるが、多くの場合、思いがけない“ドラマ”に出会う。

先日はフジテレビ「とくダネ」のキャスター、小倉智昭が取り上げられていた。
多くの出演者と同様、彼もまた父親から家族の歴史をあまり聞いていなかったと言うが、
スタッフが見つけてきた事実には心底 驚いていた。
母方の祖父は雑誌「實業の世界」の記者としてたくさんの記事を書き、中国の革命家・
孫文に直接会って取材していた。
今 孫の小倉が情報番組の司会をしているのは決して偶然ではないということか。
この番組では 遠い祖先がやっていたこととその子孫である出演者の現在の職業の間に
少なからぬ“血のつながり”を感じる事実によく出会う。

父親は台湾で生まれ、苦労しながら学校に通い、優秀な成績を残したそうだ。
番組後半でスタッフから当時の成績のコピーを渡された小倉はしばし無言で見つめたあと
突然、肩を震わせ始めた。珍しいことだ。 涙をこらえながら言葉を絞り出した。

「これは父親に上げたかったですねえ。苦労しましたから」
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額に収まった黄ばんだ成績表を見ているうちにさまざまなことが思い出されたのだろう。
本人も予想外の涙だったに違いない。彼に限らず、テレビに慣れていると無意識のうちに
素顔を見せないように“身構える”ものだが、このときは“無防備”だったから、“素”の
小倉智昭が出てしまったのだと思う。
父が苦労して生きた証を目の当たりにして涙する姿は美しいものだった。意表を突かれて
私もうるっとなった。

大嫌い…というほどではないが、“何でも知っています”ぶった物言いや“上から目線”で
偉そうな態度があまり好きじゃないのは確かだし、ほぼ毎朝 見ているからしばしば厳しい
ことも書くが、妬み嫉みがあるわけではない。むしろ、同じ時代に同じ商売をしてきた
仲だから、どこかで“親しみ”を感じているぐらいだもの。
そのうえ、“このシーン”を見ちゃったらこれからなんも言えなくなるなあ。ハハハ。

で、「ファミリー・ヒストリー」だが、小倉の回は“証拠”書類もしっかり揃っていたから、
まったく問題はなかったが、ときに たった一人の話を聞いた(らしい)だけなのに、以後の
ナレーションでは“間違いのない事実”のように語られることがあって、違和感がある。
さるジャーナリストの家系図に“でたらめ”だとクレームがついたそうだが、心もとない
話を材料にして、人物やできごとを断定するからそうなるんじゃないかな。
そうしないと、話が先に進まないから仕方がないけどね。ハハハ。

ちなみに、3月から5分短くなっただけなのに、微妙な物足りなさを感じる。
その上“進行係”(今田耕司+女性アナ)を置くようになったが、どう考えても必要ないね。
プロデューサーが交代したのかな?

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by toruiwa2010 | 2016-06-20 08:55 | アナウンサー・実況 | Comments(0)
…また大きな揺れが来るのではないか、そんな不安から
なかなか次のステップに踏み出せない被災地の苦しみを
熊本からお伝えしてきたつもりですが、我々の取材そのものを
不快に思われた方もいらっしゃったかもしれません。
我々もどう取材し、何をお伝えすべきか葛藤の毎日でした。

そんな中、先日、従業員の方々が被災されてトマトが
収穫できないという情報をお伝えしました。放送を見た
ボランティアの方が収穫を願い出てくれる…ということが
起きました。残念ながら収穫は実現していませんが、
我々の放送がこうして少しでも被災地の支援につながれば
いいと思います。マスコミの取材を不快に思われた方には
心よりおわび申し上げます。

これからも我々メディアが被災地のためにできることを
日々考えていきます。
“負けんばい”の気持ち、心から応援していきます。

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熊本で最初の地震が起きてから2週間、4月29日、フジテレビ「みんなのニュース」の
エンディングを見ていた人は「おやっ?」と思ったかもしれない。現地にいる伊藤利尋
キャスターがマスコミの取材について思いがけない“謝罪”の言葉を発したからだ。
発生の翌日から現地に入り、2週間にわたってそこから精力的にリポートを続けていた。

今回の災害では、中継車が給油の列に割り込んだのをはじめ、ヘリの騒音や取材方法など
メディアをめぐってさまざまな批判が出ていた。彼には現地で取材する者の一人として
思うところがあったに違いない。どちらにしても、東京のスタジオにいる番組責任者とは
打ち合わせをしていないようだ。翌日、いったん帰京することになっていたので言おうと
思っていたそうだ。彼が考えたのはこういうことだ。

「被災者の人たちを怒らせたり、不快にさせたりするために
現地に入っているつもりではありませんから、そんなつもりは
ないんですよ、と。
でも、いるだけで不快に思う方もいらっしゃるので、ちゃんと
お詫びするべきではないかという強い思いがあったんです」

彼らしい。
番組ではユーモアを交えて柔らかく伝えるが、根は“超”がつくまじめな男だ。
現場での取材歴も長いから世間の“風当たり”が変化していることも敏感に感じ取って
いたはずだ。細かく神経を使い、真摯に取り組んでいるつもりでも、ちょっとした行動や
言葉が特別な精神状態にある被災者の気持ちを傷つけることはある。
番組の顔として悩んだ末のコメントだったのだと思う。

この“謝罪”を私は生で見ていなかった。ネットで知って大急ぎで見た。
ずっと気になっていることがあったからだ。

04/17のツイート

今の救出場面で伊藤が老夫妻に声をかけた回数は
放送されたものだけだと信じたい。
彼は節度を持ったキャスターだと思うからだ。
こういう事件・事故では彼のスポーツ実況での
経験も生きている。


4月17日の「ノンストップ」で放送されたビデオを見てこのツイートをした。
“不謹慎狩り”の標的になる可能性があると思ったからだ。

16日深夜の“本震”のあと、取材に出ていた伊藤のクルーが 家屋に閉じ込められた人を
救出に向かう消防隊と偶然出会い同行した映像がフジテレビの“スクープ”になった。
無事に救出されたお年寄りに彼が何度かマイクを差し出す場面を見て「おっと」と思った。
自分がそこにいたらためらわずにまったく同じことをしただろう。逆に、何もしなければ
報道マンとしての仕事を放棄したと職場で非難される。
現場ではとりあえずマイクを差し出す。撮れた映像を使うか使わないかは東京の担当者の
判断に任せるしかないのだ。

しかし…
「おっと」と思ったのは、5年前ならあまり言われなかったと思われるこの取材方法だが、
今の“風潮”の中ではまずいのではないかと考えたからだ。
現地の状況を余さず伝えるのが報道の任務だが、“余さず”の定義が変わってきている。
かつては“報道”が錦の御旗になり、カメラとマイクがあったらどこへでも入って行き、
誰にでも話を聞き、何でも放送した。どこからもクレームはつかなかった。今は違う。
些細なことでも「やめろ」と言われる。「やりすぎだ」と非難される時代だ。

伊藤はどんな思いであのお年寄りにマイクを向けたのか?無理はなかっただろうな?
放送を見てどう思ったかな?と、経験者として思うところがあった。
放送の中での“謝罪”はよかったと思う。放送人としての姿勢が伝わったからだ。
しかし、この件について一言でも触れたらともっと訴えるものがあった気がする。

ちなみに、独断で謝罪することを責められたら「それはそう思ったんで言いました。
すみませんって言うつもりだった」そうだ。これも彼らしい。

*伊藤キャスターへのインタビューはここで。
http://exci.to/1sNoBLA


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by toruiwa2010 | 2016-05-24 08:21 | アナウンサー・実況 | Comments(0)
今月1日の天皇賞でNHKがやってしまった。ああいう組織だから謝罪はしなかったが、
民放がしでかしたらえらいことになっていたと思う。

言うまでもなく、天皇賞は競馬では重要なレースの一つだから、どの局でも実況するのは
エース級のアナウンサーだ。NHKはベテラン・藤井康生アナが担当した。相撲実況では
No1のアナだ。しかし、NHKの競馬実況陣の中で彼がどうランクされているかは知らない。
これまでもこのレベルのレースを実況してきたのか?
あるいは、来年1月の定年を前にしてこの大レースを“花道”として実況させたのか?

もちろん、それはどうでもいいこと。
肝心なのはレースの“格”にふさわしい実況だったかどうかだ。
スタートと同時に1枠1番のキタサンブラックが先頭に立った。騎手は武豊だ。
レースの主導権を握ったキタサンブラックはトップをキープして第4コーナーを回った。
以下、藤井アナの実況を再録する。
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…大歓声の中、キタサンブラック 先頭。
そして二番手に 、ゴールドアクターが二番手に上がった。ゴールドアクターか。
三番手には、三番手にはトーホウジャッカル。トーホウジャッカル、外から。
*ゴールドアクターの内にいたカレンミロティックを見落としていた。

(残り200を通過)

そして内にキタサンブラック、もう一度差し返す
トーホウジャッカル。外からトーホウジャッカル、外からトーホウジャッカルが上がった。
そして内のほうでカレンミロティック。トーホウジャッカル三番手か。
内でキタサンブラック粘っている
なんとなんと、カレンミロティック 先頭。
カレンミロティックぅーッ!! ( ゴール板通過時)

なんとカレンミロティック。これは驚いた。驚きの結末。キタサンブラックは二着か。
まさかまさかの八歳馬。せんば初の天皇賞制覇か。(間)池添も天皇賞初制覇。

文字に起こしたものでは分かりにくいが、ゴールの瞬間からここまでの 実況を聞いた限り、
“勝ったのはカレンミロティック”だと伝えていた印象が強い。
“修正”が始まったのはこのあとだ。ゴールから28秒が過ぎていた。

いや直線、しかし二頭の闘い、たたき合いは内にキタサンブラック、
その外に合わせたカレンミロティック。ほとんど並んでゴールですが、さあどちらか?
非常に微妙です。いや、もう一度キタサンブラックが差し返した…かもしれません。
何とも言えません。

(タイムなどデータに触れたあと)

藤井「XX(解説者)さん、どうですかね?もう、ほとんど・・・」
かぶせてXX「ほとんど一緒でしたね。でも、若干キタサンが勝ったような気がしますね」
藤井「差し返したかもしれませんが(XX「ええ」)何とも言えません」

ここまでで別アナが引き取った。

首の上げ下げ、どちらが勝ったか、というレースになりました。
1番キタサンブラックか3番カレンミロティックか…いう状況です。
(絵作りはカレンミロティック中心だった)
(最終結果が確定したのはゴールから4分30秒後)

3着の馬名は別アナが言った。 *関テレも3着の馬名を言ったのは着順確定後だった。

まさか天皇賞を“相撲の”藤井アナが実況したとは
思わなかったが、やらかした。
キタサンブラックとカレンミロティックがハナ差の
勝負になったのだが、実況はカレンミロティックが
勝ったように聞こえる。 競馬ではあり得ないミスだ。
きわどいのになぜ、“言い切って”しまったか?


ネットでこの件を知ってビデオを見たあとのつぶやきだ。
一番大きなポイントはきわめてきわどいレースだったことだ。肉眼で100%の自信をもって
どちらが勝ったと言い切れる人はいなかったと思う。
二番目に大きなポイントは、競馬中継では「着順にかかわるミスは絶対に許されない」だ。
藤井実況とNHKの映像を見ていれば、カレンミロティックが勝ったと思っただろう。
さすがに、キタサンブラックの単勝馬券を破り捨てた人はいないだろうが。ハハハ。
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藤井アナは大相撲実況の第一人者だ。これだけ口うるさい私が彼の相撲実況に関しては
“ほぼ”文句なしに褒めるのだから間違いない。
相撲の実況だったら、物言いがつくような取組では絶対に“断言”しないだろうに、なぜ
この場面で“言い切って”しまったのか? 訳が分からない。
しかも、これだけの“ミス”について放送終了まで一言も釈明しなかった。難しいけどね。
 
今年だけでもまだ重賞レースは残っているが、彼が実況することはもうないだろう。
依頼があっても断るだろう。競馬場に行くのが恥ずかしいもの。
ベテランらしくないミスだった。

名指しで一方的に他人の失敗を指摘するのはアンフェアだから自分のミスも書いておく。

何年だったか、どういうカードだったか、こまかい点をまったく覚えていない、UCLの
実況でどうにもならないミスをした経験がある。
グループ・リーグの終盤だったと思うが、計算を間違えて、「これで○○〇〇は準々決勝
進出のチャンスがなくなった」と試合終了後のスタジオでアナウンスした。ミスだった。
ほかのチームの結果次第で可能性は残っていたのだ。再放送用に撮り直すことになった。
準備が整うまでの間、取り直しのために残ってくれた解説者の顔を見られなかった。

関東ではフジテレビが中継した。実況は関西テレビ・吉原功兼アナだったがゴール板を
通過以後のアナウンスはこうだった。

カレンミロティックかキタサンブラックか、
カレンミロティックかキタサンブラックか。これは接戦!
内、差し返したキタサンブラック。
そして外からカレンミロティック、最後、キタサンブラック差し返した。
カレンミロティックと譲らないこの争い。春の盾は譲れない。
キタサンブラックか、外 カレンミロティック…先に抜け出したカレンミロティックを
内からかわしたかどうかキタサンブラック。これはきわどい。分かりません。
キタサンブラックまた“祭”になるのか。
それともカレンミロティック、ベテラン8歳馬の悲願か?
春の盾は両者ともに譲れない。

競馬実況としてはこちらが正解だ。
毎週、競馬場に通うアナと、たぶん、開催日の半分も行っていないアナの差かもしれない。

この日の夜の「サンデースポーツ」が面白かった。視聴者は気づかなかったと思うが、
“テレビ屋・元アナ&いじわる”の耳は鋭かった。ハハハ。

普通は、4コーナーを回ったあたりからゴールまで実況を聞かすものだが、違った。
残り200㍍を過ぎたあとの“キタサンブラック 粘っている”の一言だけを残して、あとは
実況をバッサリ落としていた。残したのはスタッフの“温情”だね。ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2016-05-10 08:57 | アナウンサー・実況 | Comments(0)
4月と10月は“改編期”として、テレビ局は1年で最も忙しい時期だ。
3月末にいくつかの番組が終わり、“卒業”と称して出演者の誰かが去り、4月になると
いくつかの番組が新たに登場し、フレッシュな顔が画面に出て来る。
視聴者にとっても、慣れ親しみ、気に入っていた番組やタレントが消えていくのだから、
“悲喜こもごも”の時期でもある。

今年は例年にくらべ“動き”が大きかった気がする。
テレビ朝日の看板番組「報道ステーション」から古舘伊知郎キャスターが去り、局アナの
富川悠太があとを引き継いだり、フジテレビの人気女性アナ、加藤綾子がこれも看板の
情報番組「めざまし」を去ったりした。
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最も“変わった”と感じるのは古舘から富川アナにキャスターが交代した「報ステ」だ。
オープニングもセットも変わった。月曜日、画面に現れた富川はとんでもなく緊張して
いるようには見えなかった。39歳だという。前任の古舘がキャスターに就任したとき
49歳だったのに比べればかなり若いが、久米宏が「ニュースステーション」を始めたのは
41歳だったそうだからあまり変わらない。
ただし、富川アナの“39年”は当時の久米の“41年”にくらべ、実績・経験や中身の点で
大きな差があるような気がする。

始まったばかりでそんなことを言われても…と思うだろうが、TBSのエース・アナとして
達者なしゃべりと豊かな経験で名声を得ていた久米や、スポーツ実況の実績とトーク力で
放送界に確固たる地位を確立していた古舘では、見た目のインパクトが違うのは仕方ない。

1回目の月曜日を見た。
この間まで、政府批判が目立つ古舘のトークショー的な趣きがあって、コメンテーターは
“添え物”という印象だったが、はっきりと変わった。富川が質問し、コメンテーター
(月‐木は後藤謙次)が答えるというシンプルな形になった。
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初日のトップ項目ではG7外相会議の出席者たちが広島の原爆ドームを訪問し、アメリカの
ケリー国務長官は自発的に原爆資料館も見学した件を扱った。
ビデオが一段落したところで、富川が切り出した。

「資料館の中の写真、映像は一切 許可しなかった。
一方で、こう言ったアメリカと日本が仲睦まじい写真***が
世界中に拡散している。これは何を意味するのか」
「アメリカ社会が抱える“ダブルスタンダード”を浮き
彫りにした」と後藤が応じる。
(中略)
富川「この写真を配信したAPによると“政治的配慮のため
アメリカの指導者が長年 避けてきた場所をケリー長官が
訪問したことでアメリカは進化を遂げたと言える”と…
褒め称えているんですね」
後藤は「我々からすると“半歩”という印象が非常に
強いですけどね」と答えていた。


“誰の”かは分からないが、“意図”を感じるね。

資料館内の写真・映像を許可しなかったのが誰なのか…肝心の主語がどこにもない。
全体のトーンとしては“犯人”はアメリカだと言ってるようなものだが。

写真が世界中に拡散している…主語は“写真”だ。“誰が”は言っていないが、紛らわしい。
写真はどう考えたってAPが流したものだろうし“拡散”したのは受け取ったメディアだが、
“アメリカが”こっちの写真は撮らせず、そっちの写真は拡散した…と聞こえるように
説明したと受け取られても仕方がないのではないか?

そして、“半歩”にしても、最後に後藤は“アメリカの進化”を認めていた。
ならば、上記のやり取りはもっと違う角度から伝える方がよかったと思うが、どうか。

富川は見た目も悪くない。新登場の各局キャスターの中では最も落ち着きがある。
何より、前々任者、前任者のように“目をむいて”自分の考えを押し付けるようなことは
しないから、“圧”を感じないですむ視聴者は助かる。ストレスもたまらない。困るのは、
「それが好きだったのに」と言う人たちも多いことだ。ハハハ。

全体としては番組に安定感があるが、この部分での彼は“プチ古舘”と化していた。
局アナだから古舘とは立場が違う。「やれ」、「言え」と指示されたら断れないこともある。
そこが彼の苦しいところだ。個性を出すにも時間がかかるだろう。当分は“背伸び”せず、
自然体でやっていくしかないような気がする。

「報ステ」だけで長くなってしまった。ほかの番組についてはいずれまた。

***ケリー長官が右手を岸田外相の背中に回して
  話しかけている写真

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by toruiwa2010 | 2016-04-13 08:45 | アナウンサー・実況 | Comments(2)