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岩佐徹のOFF-MIKE

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実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

カテゴリ:放送全般( 178 )

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なになに、

「日本スプリントのカリスマ」 男子200メートル:末續
「日本スプリントのパイオニア」 男子100メートル:朝原
「侍ハードラー」 男子400ハードル:為末
「ハードル王子」 男子400ハードル:成迫
「笑顔の爆走娘」 女子長距離:福士
「東洋の真珠」 女子走り高跳び:池田
「ミスターUSA」 男子短距離:ゲイ
「黒船ハードラー」 女子100メートル・ハードル:ペリー
「ワールドレコードアーティスト」 女子棒高跳び:イシンバエワ
「母なる大地の女傑ハードラー」 女子400メートル・ハードル:ペチョンキナ


…笑えるもの(いい意味ではなく)、「言われた本人は嬉しいだろうけど、なんだかなあ」、
「失礼だろう」、「考えた奴もやけっぱちだったに違いない」…感想はいろいろですが、
TBSが懲りもせず、日本人選手や有力外国人選手にニックネームをつけまくっています。
センスがいいと思えるものはひとつもありませんね。ハハハ。

「今、自分がTBSのアナウンサーだったらどうするだろう?」と自問する私がいます。
まったく、意味ないけですけど。ハハハ。
「果たして、制作側の要求にしたがって、こういう実況ができるだろうか…それより前に
この屈辱的な制作体制の中で気持ちよく仕事が出来るだろうか?」と考えるのです。
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もちろん、考えるまでもなく、答えは決まっています。
選手の名前を言うたびに“○○のひとつ覚え”のごとく、“意味不明”のニックネームを
つけることを求められる実況が私にできるはずはありません。ハハハ。
6(7?)大会連続で起用されているのですから、きっと「あれがいい」とする視聴者もいる
のでしょうが、スポーツ実況の世界ではるかに長いキャリアを過ごしてきた者から見ると、
どこがいいのかという司会者に仕切られることにもきっと我慢が出来ないでしょう。
「やってられるか、こんなもん!」と、マイクを投げ捨て、荷物をまとめて東京行きの
新幹線に乗ってしまうこと、間違いなしです。
…というか、私の性格では、大阪まで行っていないと思います。ハハハ。

TBSだけでなく、今は“スポーツ・アナ受難の時代”です。
特に地上波のアナウンサーたちには同情を禁じえません。
ゴールデン・アワーに放送されるものはすべてがエンターテインメントと化しています。
どの局、どの種目でも、視聴率を上げるためと称して、派手な演出をすることに血眼です。
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最近は、新聞のテレビ欄で「実況 ○○○○」という表示を見る事がなくなりました。
出ているのは、大金をつぎ込んで連れてきたタレントの名前ばかりで、アナウンサーは
完全な脇役にまわっています。
数年前の全米オープンテニスのときにTBSのスタッフが「司会の二人に金がかかるので、
ニューヨークにはアナウンサーをひとりしか連れてこられないんですよ」とぼやいていた
ことを思い出します。ハハハ。

TBS の世界陸上のHPを見ても、“キャスター紹介”のところに実況アナの名前は一人も
載っていません。ひとごととは思えないほど猛烈に腹が立ちます。ハハハ。

私が若いころのTBSのスポーツ実況陣は、好き嫌いはともかく、粒が揃っていました。
渡辺謙太郎、石井智、山田二郎、石川顕、多田護、松下賢次…亡くなった人も含めて、
華やかな時代を築いた彼らは、今、どんな気持ちで放送を見ているのでしょうか?

今回の実況陣は 林正浩アナを中心に、椎野茂、土井敏之、佐藤文康といったところです。
林アナの実況はさすがにエースらしい出来だと思うのですが、女子100と800メートルの
決勝のあと、“まとめ”のところで言葉がもつれてしまいました。アナウンサーにとっては
“あと”を引くミスを2日連続でやってしまったのは大きな減点になるでしょう。
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全部を見ているわけではないせいもあって、ほかのアナの印象がほとんどありませんが、
棒高跳びを実況した若手アナが、イシンバエワの世界記録への挑戦のたびに、ほぼ同じ
コメントで実況していたのがとても耳障りでした。一般の方には分からないでしょうが、
成功した場合にはその部分だけを大会中に繰り返し使うし、アーカイブに入りますから、
気持ちは分かります。しかし、それにしても、もうすこし工夫してほしいですね。
大差をつけられて予選で敗れた日本人選手に「よくがんばりました」もそらぞらしくて
やめたほうがいいと思うのですが、どうでしょうか?

メインのキャスター席については、「何を言ってもムダ」の心境です。ハハハ。
古舘伊知郎、みのもんた、松岡修造と共通した“押し付け”はいい加減でカンベンして
ほしいですが、どうにもならんのでしょうね。ただでさえ残暑がきびしいんですから、
自分だけ盛り上がるのはやめてほしいなあ。
織田裕二との温度差が大きすぎて、中井美穂が苦労しているのが気の毒です。
これまで彼女が組んだ相手の中でも一番難しいのではないでしょうか。
誰と組んでも“合わせる”ことができる彼女でも、呼吸がまったく合っていません。
誰がやっても合わないでしょうが。ハハハ。

決勝が終わるたびに「67億の1位」と出すのも笑ってしまいます。どうやら、TBSは
男女の別は考えないらしい。ハハハ。

世界陸上が5日目を迎えました。
暑さが厳し過ぎるせいかレースとして面白いものはあっても記録が伸びず、全体としては、
すこし盛り上がりに欠けている気がしますね。
完全に引き込まれたのは、男女100メートルの決勝だけでした。

タイソン・ゲイの後半の走りは、素人目にもまったくフォームの崩れがなく、勝ったのは
当然だったかもしれません。
女子のゴールは、肉眼ではまったくわからず、コンピューターをも悩ませるほど接近した
ものでした。私の目には、2位と判定されたウイリアムズが勝ったように見えましたが、
結果的には「着差ありの同タイム」でキャンベルに優勝をさらわれました。

それにしても、いつも思います。
一流のアスリートたち、特に女子選手の鍛え上げた肉体のなんと美しいことか!!


「世界陸上を見る 2」

仕事が“アナウンサー”なのに、人前で話すことが苦手です。
たとえ5,6人でも目の前に人がいると、話し出して間もなく足が震えだすのが分かります。
意識すると、緊張はますます強まって、アドリブの場合は考えがまとまらなくなるのです。
“アガリ症”と言っていいでしょう。

助かったのは、マイクを持つと、カメラの向こうに何百万の視聴者がいることが分かって
いても、あがらなかったことです。
格好をつければ“プロ意識”なのかもしれませんが、胸を張って言えるほどのものでは
ありません。ハハハ。

最近はあまり耳にしませんが、「日本人は“テンション民族”だ」と言われていたことが
あります。うまい言い方ですね。“テンション”はtensionですから、いろいろな場面で
緊張しがちな民族だと言いたいのでしょう。
自分自身のことを振り返っても、「当たっている」と思わざるを得ません。ハハハ。

沢野は今どんな思いでいるでしょうか?
メダルはともかく、少なくとも長居に集まった観客やテレビ視聴者を楽しませてくれる
だろうと思っていたのに、バーの高さまで体を持ち上げることさえできませんでした。
5メートル40をパスして5メートル55からスタートしましたが、1回目から異変が起きます。
ポールをボックスに突っ込んだ瞬間に、両手のグリップが崩れて、そのままマットに倒れ
こみました。ありえない“大失敗”です。
実況・解説ともにその言葉は使いませんでしたが。ハハハ。
2回目は、途中で助走をやめました。足に違和感があるジェスチャーを見せていました。
持ち時間ぎりぎりで再スタートしましたが、ポールを突き立てるところまでも行かずに
跳躍をやめます。
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すでにほとんどの選手がこの高さをクリアしていましたので、最後の跳躍順が来るまで
時間が短く、回復するのは無理と判断して3回目をパス、5メートル65に賭けましたが、
結果は見えていました。
再び、助走をやり直ししたあと、辛うじて体は持ち上がったもののバーの下をくぐるのが
やっとでした。
この3本目などは、内面の緊張が肉体にまで及んでいるのがありありと分かりました。

“地元開催”はプラス面も多い反面、プレッシャーがかかることは容易に想像できます。
世界の舞台で最高のパフォーマンスを見せることが、口で言うほど簡単ではないことも
よく分かります。しかし、事前の“あおり”番組であれほど期待を持たされた側にして
みると、「もうちょっと、なんとかならないのか」と言いたくなります。
“あおった”のはテレビ局で、選手に罪がないのは言うまでもないことで、責めるのは
不本意ですが。

「オリンピックをはじめ、各競技の世界選手権などに出て行く選手たちはもうそれだけで
立派だ」という意見に異論はありません。
たとえ、持ちタイムや力から考えたら予選も突破できそうにない選手でも、出て行くこと
“そのもの”に意味はあると思います。どんな分野でも“経験”して初めて分かることが
たくさんあるからです。
しかし、せめて自己記録に近いものは出してほしいと思います。

TBSの世界陸上のHPにこんな記事が出ていました。

世界陸上で極端な不振が続く日本選手団について沢木啓祐団長は30日、理由の
一つとして「予選や決勝を見据えた直前の戦略的トレーニングが足りない」との
見解を示した。
また28日からけいれん予防や暑さ対策のため「岩塩」を選手控室などに配備した
ことも明らかにした。沢木団長は男子100mの朝原宣治(大阪ガス)、同200mの
末續慎吾(ミズノ)らの走りに波が大きかった例を出し「調整自体はうまくいっていたが
予選や準決勝で強弱をつけて走る戦術が足りない」と説明。
― 後 略 ― 


…なんだかなあと思います。

緊張のあまり普段のパフォーマンスが出せないテンション民族。
末續(200メートル)、為末(400ハードル)、池田(女子幅跳び)、そして昨日の沢野…
相次いで“惨敗”した日本勢にくらべ、走り高飛びのトーマス(バハマ)や走り幅跳びの
サラディノ(パナマ)が土壇場で見せつけた底力、たくましさ、図太さ…を見ると、
「世界は広い」と考えざるを得ません。
サッカーのビッグ・マッチが終わったときに主力選手たちが「課題は分かった。つぎに
つなげたい」と繰り返すことにも飽きました。「分かったから、結果を見せてくれよ」と
言いたいですね。


それにしても「さあ、これから決勝だ」と、レース前から緊張が高まって行く時間の流れを
じっくり楽しみたいのに、こちらの気持ちとは大きくかけ離れたテンションで中身のない
“熱い”だけのトークを聞かされるのはいい加減でカンベンしてくれませんか。
これは先日書いたこととかぶりますが、ストレスの解放のために、もう一度だけ言わせて
もらいます。ハハハ。

スタンドはがらがらだし、視聴率はいったいどうなっているんですかね?
仮に、良かったとしても決して“KY”織田裕二のせいじゃないぞ、TBS!

「スポーツ万歳:世界陸上を見る」

世界陸上が終わりました。
ある意味、文字通り“喧騒”の大会でした。ハハハ。

陸上はマラソンしか実況の経験がありません(それも一回だけ)が、見るのは大好きです。
もともと、私の持論は「一流のものはすべて面白い」です。
フジテレビで経験した“ワールド・クラス”は、メジャーとバレーボールぐらいです。
しかし、メディアとしては小さいですが、WOWOWで実況した種目は、担当した順番に
挙げると、アイスホッケー(世界選手権、NHL)、ボクシング(マイク・タイソン、イベンダー・
ホリフィールド)、テニス(全豪、全仏、全米)、サッカー(セリエA、ヨーロッパ選手権、
チャンピオンズ・リーグ)、ゴルフ(全米プロ、ライダー・カップ)…金を払ってでも見て
みたいイベントばかりです。
それを、一番いい席(放送ブース)で見ることができるばかりか実況までできるのですから、
これ以上幸せなことはありません。“アナウンサー冥利”に尽きる思いです。


絵画・彫刻、音楽・映画、文学…日常的に私たちに喜びを与えたくれるものはたくさん
ありますが、一流のアスリートが見せるパフォーマンスほど掛け値なしに楽しめるものは
ほかにないでしょう。
ここ数十年、スポーツの世界にもコマーシャリズムが入り込んできて、裏側ではいやな
ことがたくさんあるようですから、それに目をつぶりさえすれば、の話ですが。
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男子の鍛えぬいた筋肉の美しさ、女子の“作り物”ではない美しい容姿に見とれました。
特に、ほとんど素顔に近い形でトラックやフィールドに立つ女性の場合、それは造形的な
ものではなく、内面の豊かさや激しい練習で培った自信が表れた美しさだと思います。

野球では、ホームランを打ったときのバッティング・フォームは美しいと言いますが、
この大会でも、どんな種目でも、勝った選手たちが見せたフォームの美しさも見事でした。
美しくなかったのは、あえて言えば、走り高跳びのドナルド・トーマスと男400ハードルの
カーロン・クレメントぐらいではないでしょうか?…冗談ですよ。ハハハ。
そして、先日も書きましたが、“これが最後のチャンス”というときに、逆転して一気に
トップに立つジャンプや投てきをやってのける精神力にはおどろきます。


放送について、クレームをつけても始まらないことは分かっています。ハハハ。
どうやら、すべての局の製作者たちが、テレビ・スポーツの中継スタイルはこれしかないと
思い込んでいるようですから、彼らが“全とっかえ”にならないかぎり、私たちの声が
届くことはないでしょう。
今でもその傾向は進んでいますが、ゆくゆくはすべてのビッグ・イベントが有料化される
時代になると思います。そうなれば視聴率という“化け物”をそれほど気にすることなく
番組を作れるようになるはずです。無駄な演出は無用になるのです。
そのときがくるまで、視聴者にとっての“冬の時代”は続きます。

今回も、私が名づけた“絶叫中継”がほとんどでしたが、アナウンサーは責められません。
制作サイドがそういう実況を求めているに違いないからです。応じなければ、次回から
外されると思えば従わざるを得ないでしょう。私ぐらいのひねくれ者でなければなかなか
“NO”とは言えません。ハハハ。

私が、“絶叫中継”を嫌う理由はうるさいからだけではありません。
送り手(実況・解説)のテンションが見ている側のそれと完全に一致していれば、違和感は
少ないのですが、多くの場合はそうではありません。騒げば騒ぐほど、そこで起きている
“感動”、“オドロキ”を味わう権利を視聴者から奪うことになっているから“拒絶反応”が
起きるのだと思います。

“その時、その場面は実況者や解説が独占しているのではなく、視聴者と共有している”
ことを忘れてはいけないでしょう。
その、共有している瞬間をともに楽しみ、喜びを分かち合うにはどうすべきかを考えれば、
落としどころは自然に決まってくるはずです。
私は、WOWOWに移ったころから「スポーツの感動はプレーそのもの中にあるのだから
言葉で飾るのはやめよう」と決めました。

2004年7月に、ギャラクシー賞の月間賞をいただいたとき、「やってきたことが間違って
いなかった」という実感がありました。
この年の全仏と、ユーロ2004の実況を評価されたものです。
WOWOWのように小さな局の、しかもスポーツ・アナの仕事がいわば“専門家”の目に
とまったことに驚きましたが、「見る人は見てくれている」と、意を強くしたものです。

NHKにさえ絶叫するアナが出始めています。時代の流れでもあるでしょう。残念ですが、
この傾向はまだまだ続くと覚悟しなければいけないと思います。
“せめてこれだけは”と注文したいのは、実況に、押し付けがましいセンチメンタリズムや
センセーショナリズムを持ち込まないでほしいということ、それに尽きます。
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織田裕二キャスターには、各方面から「違和感」を訴える声があがっています。
視聴者を置いてきぼりにしたテンションの高さはこういったイベントのたびに起用される
タレントに共通したものがあって、年配者は特についていくのが難しいです。ハハハ。

7日目でした。
アメリカのウォリナーが圧勝した男子400メートルが終わって、キャスター席に画面が
切り替わったとき、「43秒45!ダブリュー・エル(WL)!」と、彼がまるでセリフのように
ドラマチックに結果を告げました。
隣の中井美穂が「なんですかWLって?」と聞きました。「ワールド・レコードッ!」と
叫ぶ織田裕二。
パソコンに向かっていたのですが、思わず、「えっ!」と画面を振り返ってしまいました。
ワールド・レコードなら、もちろん“WR”…“WL”はワールド・リーディング=今季の
世界最高 です。

織田が「ダブリュー・エル」と言ったとき、知ってるはずの中井が「ワールド・リーディング、
今シーズンの世界最高ですね」と続ければよかったのでしょうが、彼女は、流れから織田に
言わせたほうがいいと判断して「なんですか?」と振ったのだと思います。
「知っているかどうか試してやれ」などと思ったわけではないでしょう。ハハハ。

しかし、なんということ! 織田裕二は知らなかったのです。
それにしては自信たっぷりに言い切っていました。それとも、“レコード”のスペルが
“L”で始まると思っていて疑問を持たなかったのか。
私は、初めて“WL”を見たとき、すぐに調べました。知らないことは調べる、人に聞く…
アナとして、恥をかかないための鉄則です。ハハハ。

重箱の隅をつついているつもりはありません。その気になれば、長ーい記事になります。
たぶん、織田が「ワールド・レコードッ!」と返してきた瞬間、中井は「しまった!」と
思ったに違いありません。訂正する時間もないままCMに入り、戻ったときにも訂正は
ありませんでした。
CMの間に中井は言えなかったか?言ったけど「かまやしない」と無視されたか?
中井は何も言わず、ディレクターも“シカト”を決め込んだか?
おかげで、今でも「“WL”は世界記録のこと」と思い込んでいる人が全国に何十万人も
いることでしょう。ハハハ。

このレベルのナビゲーターが仕切るスポーツ中継を見せられている視聴者は不幸です。
2009年は、ドイツからですか。いい種目の決勝は早朝になるはずですね。
今回ほど見ないでしょうから、ま、いいか。ハハハ。


“完読”された方、お疲れさまでした。ハハハ。
2007世界陸上を見て書いたものです。


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by toruiwa2010 | 2011-02-06 08:31 | 放送全般 | Comments(10)
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日本のスポーツ実況は、放送局がNHKしかないころに始まりました。もちろんラジオです。
“見たままを言葉にする”からスタートしたのだろうと思います。
「神宮球場どんよりとした雲、黒く低くたれた空、カラスが1羽、2羽、3羽、4羽、
風雲いよいよ急を告げております」
…戦前の六大学野球で松内則三アナが残した名実況です。

1932年のロサンゼルス・オリンピックでは理由は分かりませんが、競技場からの中継が
認められませんでした。そこで生まれた窮余の一策は「実感放送」でした。
アナウンサーが見てきたことをスタジオで描写するのです。
当時でも11秒ぐらいで走ったはずの100メートルなのに、放送では1分もかかってしまう
珍現象も起きたそうです。ハハハ。
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私が子供のころは、NHKのラジオしかない時代でした。
スポーツ大好き少年だった私は、各種のスポーツ中継に熱心に耳を傾けたものです。
その中に、アナウンサーとしては初めて野球の殿堂入りした志村正順さんがいました。
野球と相撲を主に担当した名アナです。
NHKからはその後も、続々と花形スポーツ・アナウンサーが生まれました。
ただし、目に映ったことを言葉にする、という流れは基本的には変わりませんでした。

やがて、テレビの誕生です。
まだ学生のころのことですから、細かいことは覚えていないのですが、新聞でどなたかが
こんな主旨のことを書いていたことを覚えています。
「これまでなら『横綱、照国が西から登場しました』と言うところだろうが、○○アナは
“西から登場したのは横綱、照国”と言った。これがテレビの実況である」
…音声だけのラジオと映像があるテレビでは実況の仕方に違いがあってしかるべきだと
いうのです。なるほど。

しかし、全体としては、“ラジオ的”な実況を続けるアナウンサーが圧倒的に多かったと
思います。
やがて、業界内からも、視聴者からも「見りゃ分かることをしゃべる必要はない」という
声が出始めました。私がフジテレビに入ったのはちょうどそのころです。
当時のアナウンサーたちは「じゃあ、何をしゃべり、何をしゃべらないのか?」について
まだ迷っていました。

実は、この「見りゃ、分かる」をどう考えるかはとても難しいところなんです。
言葉通り、画面を見れば、現場で何が行われているかがすべて分かる人もいるでしょう。
一方、本人は分かっているつもりでも、理解が間違っていたり全く分からなかったりする
人もいるはずです。
先輩たちが迷っていたのは、どこを落としどころにするか、ということだったのでしょう。
また、競技によっては画面ですべて見えていても実況がないと物足りないものもあります。
ボクシングなど、格闘技が典型的な例ですね。

雰囲気的に、ないとおかしな競技もあります。競馬中継に実況がないと落ち着きません。
金銭がからみますから、アナウンサーには“絶対ミスはできない”というプレッシャーが
かかりますが。ハハハ。

最後は、似ていますが、非常に微妙な“盛り上げるため”の実況があります。
見えていることでも、アナウンサーが実況することで視聴者の興奮をさらに高めよう、
というわけです。
その弊害がここ10年ぐらい激増している「絶叫型」の実況ではないでしょうか?

年齢的なことでしょうが、この夏のスポーツ中継、私には暑苦しいです。ハハハ。
バレーボールのワールド・グランプリ、世界水泳、サッカーの東アジア選手権、世界陸上…
まず、スタジオの司会陣が熱すぎて!! 
誰がどう、ということではなく、“生理的に”どうしても受付けないんですから、しょうが
ないですよね。
「この演出が本当に必要か?」「視聴者はこれが好きなのか?」と考え込んでしまいます。
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第一、同業者である、局のアナウンサーたちの気持ちを考えると複雑です。
加えて、テレビ朝日の森下アナを除くと、騒々しいアナウンサーばかりですから。ハハハ。
局の方針もあるでしょうから、アナウンサーばかりを責めることはできませんがね。
今年は、水泳や陸上で、独りよがりの古館節を聞かないですむのが唯一の救いでした。

「数字を上げるためなら、金に糸目はつけない。何をやってもいいから」と、1995年の
バレーボール・ワールド・カップ中継を任された親しいプロデューサーは、バレー中継の
経験の浅い三宅アナに加え、ネット局から“絶叫系”のアナウンサーを二人、呼びました。
「どうですかね?」と聞かれたとき、「そんなの無理だよ」と答えました。
しかし、分からないものです。ふたを開けてみると、三アナをのぞけば、テクニックも
なにもない“やかましいだけ”の放送(ハハハ)が“いろどり”として起用したV6効果も
あって、前回大会を大きく上回る視聴率を稼ぎ出したのです。

私の認識では、プロレス以外で“絶叫型”が誕生したのはこのときです。
あっという間に、各局足並みをそろえて、スポーツ中継は実況中継ならぬ「絶叫中継」に
なっていきました。

アナウンサーが絶叫する理由ですか。いくつか考えられます。

局の方針に従っている
かっこいいと思っている
視聴者の共感を得ていると思っている
盛り上げる方法をほかに知らない
この場面を伝えるにはこれ以外にないと思っている…


こんなところでしょうか。

私の本にも書きましたが(MY BOOK)、状況を考えない絶叫は視聴者が拒否反応を
起こすのだと思います。とても難しいですが、絶叫する場面が視聴者の気持ちの高まりと
“シンクロ”すれば、違和感はないはずです。

絶叫は我慢するとしても、事実に目をつぶって、「まだチャンスはある」「巻き返せる」と、
専門家である解説者まで巻き込んで、視聴者を“間違った方向”に引っ張っていく昨日の
マラソンのような放送の仕方は勘弁して欲しいものです。

WOWOWに移ってからの私は、“癒し系”とか“絶叫とは対極にいるアナ”とか言われ、
いくつかのサイトに取り上げられたことがあります。
私も、“絶叫”しないわけではありません。ここという場面では、放送上の効果を狙って、
声を張り上げることもしばしばですが、全体のトーンが、“おとなしめ”なので、そういう
印象を与えるのだと思います。

今のスポーツ中継は全体として、“にぎやかな演出”を好む傾向に向かっていますから、
若いアナほどその方向に合わせた実況をしなくては生き残れないでしょう。
当面、オーソドックスな実況をするアナウンサーが出てくる可能性は低いかもしれません。

ここ数年は、NHKにさえ、サッカーのJリーグや高校野球に出てくる若いアナの中には、
かつては考えられなかったような絶叫型アナウンサーが時々います。
アテネ・オリンピックでも、若い人の中にはかなり絶叫する人がいてびっくりしました。
「ブルータス、おまえもか?」と言いたいですね。
年寄りには、だんだん見るものがなくなって住みにくい世の中になってきました。ハハハ。


2005年世界陸上のころに書いた記事です。
自分の関心が高いだけかもしれませんが、関連した記事はたくさん書いています。
明日は、2007年世界陸上についてのエントリーを再録します。
いくつかの記事をまとめたものですから、“とてつもなく”長いです。
読むときは覚悟してください。ハハハ。


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by toruiwa2010 | 2011-02-05 08:43 | 放送全般 | Comments(22)
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「シェフチェンコ。切り返して、シュートーッ!」
恥ずかしいほど裏返った声で描写したあと、私は沈黙しました。
振り返ると、隣の早野さんも勘のいい方ですから心得たもので、しゃべり出す心配は
ありませんでした。
2003年5月13日、チャンピオンズ・リーグ準決勝第2戦、インテルを相手にミランが
先制した場面です。手元のモニターには、喜びに沸く数的には劣勢のミラニスタたち、
めずらしく顔面を紅潮させているアンチェロッティ監督、抱き合って喜び合うミランの
イレブン…頭に浮かぶフレーズを飲み込んでゴール・シーンのスローが出るまで31秒、
しゃべるのを我慢しました。ハハハ。
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9月25日。
全米オープン・テニス初日のナイト・セッションでは、第1試合のあとに、偉大な足跡を
残したピート・サンプラスの引退セレモニーが行われました。
舞台がととのったところで呼び出された彼がセンター・コートの入り口に姿を見せると、
2万人を超えるスタンドのファンが立ち上がって拍手を送り始めました。
このときも、出席者たちと挨拶を終えたサンプラスがこのスタンディング・オベーションに
思わず嗚咽し始めたところから司会者がセレモニーをスタートさせるまでの1分53秒間、
黙っていました。

しゃべりたいのを我慢して、画面に語らせる。すべての人に受け入れられるかどうかは
分かりませんが、これが私の好きなスタイルです。
「もう少ししゃべったほうがいい」と考える人の中には、試合のハイライトや年末の
総集編などを担当するディレクターもいます。
「チッ、これじゃ盛り上がんないジャン」(ハハハ)とか言ってるに違いないのですが、
私はそのとき、その瞬間を視聴者と共有することを優先するようにしています。

テレビ放送が始まって50年、「見れば分かることはしゃべるな」とよく言われます。
アナウンサーになりたてのころ、先輩から耳にタコができるほど教えられたものです。
しかし、基本的にはその通りですが、実際はそうも行かないのです。
一つ一つのプレー、技を描写しなくてもいいのは、フィギュアスケート、体操、ゴルフ、
テニス、相撲など限られた種目だと思います。
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まったく実況しないのではなく、「ここからが見せ場です」、「見事に決まりました!」、
「あざやかなパッシング・ショット」、「よく残しました」など、ここという場面では
視聴者の気持ちを惹きつけるために最小限の描写は入れます。
逆に、ボクシング、競馬などは、「見れば分かる」と分かったうえで、ほとんどすべての
動きを言葉で追っていきます。
視聴者が映像を見ながら実況によって気持ちを盛り上げることを知っているからでしょう。
面白いことに、アメリカでもこの両種目は日本と同じようにラジオ風の実況をしています。

残りの種目については、両者の中間、つまり、少し“抑え目”に実況をつけているのが
現状だろうと思います。たとえば、ラジオなら「センターサークルにはボールをはさんで
手前にロナウド、向こうにラウール、その向こうにレフェリーのコッリーナさんの顔が
見えています」としゃべるところをテレビは「顔がロナウド、背中はラウール。
レフェリーはコッリーナさんです」で終わりです。
「そのメンツなら名前もいらない」などとチャチャを入れないように。ハハハ。

このように、“どれぐらい実況するか”は、種目ごとにこれまでの放送の歴史の中で自然に
「落しどころ」が決まってきたのだと思います。あとは個人差でしょう。
ただし、その“個人差”はしゃべり手と受け手、それぞれにありますから微妙です。
わずかな差でも実況が多いと感じれば「いちいち言わなくても分かるよ、うるせえな」、
逆に情報が多すぎると思えば「どうでもいいことばっかりしゃべってないで、ちゃんと
実況しろよ」とお叱りを受けますからね。
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落しどころと似ているものに用語などについての「不文律」もあります。
たとえば、ゴルフでは、「1から10までは英語で、11以上は日本語で」という不思議な
現象が定着しています。つまり、「ワン・アンダー」、「ワン・ストローク」から「テン・
アンダー」、「テン・ストローク」まで英語のあと、いきなり「じゅういち・アンダー」、
「じゅういち・ストローク」になるのです。長年こう聞かされてきた大多数のゴルフ・
ファンには違和感がないでしょう。「慣れ」があるからです。

ところが、10年ほど前、NHKの中継であるアナウンサーが「イレブン・アンダー、
トゥエルブ・アンダー」と言い始めたときには「おやっ?」と思いました。
ディレクターと話し合った上でのトライだろうとは想像がつきました。
しかし、ラウンドが進んで「フィフティーン・アンダー、シックスティーン・アンダー」
あたりになるとやはり違和感を覚えるようになりました。

私の記憶では、この試みはその大会だけで終わり、元に戻ったと思います。
本来おかしな言い方に違和感がなく、正しい言い方のほうがおかしく感じる、それこそ
おかしな現象が起きたことになります。

テレビでラグビーを見ることが減ったので、「定着」しているかどうか分かりませんが、
ファウルがあってプレーが止められたときに「A大学にペナルティーがありました」と
実況するアナウンサーがNHKにもいて驚いたことがあります。
本来、まず「B大学にファウルがあって」その結果として「A大学にペナルティー・キック」
なんですが、ファウルとペナルティーがごっちゃになっているのです。

WOWOWでアイス・ホッケーを担当していたときにもまったく同じことが起きました。
しかも、専門家である解説者が疑問を感じていないので困ったことがあります。
何度か話をして、一度は「確かに言われてみればそうだね」と納得してもらったのですが、
とにかく、何十年もしみ込んでしまっているのですぐ元に戻ってしまい、最後には私が
ギブアップすることになりました。
このあたりのことは書き出すとキリがありません。長くなってしまいましたので、続きは
またの機会ということにしましょう。

10日にメディカル・チェック、11日にはぴあ主催のテニス・トーク・ショーをやって
12日にオーストラリアに向かいます。
では、今年もヨロシクお願いします。

*2004年1月、旧HPに書いた記事です。
“ファウル・ペナルティー”の件については、先日、学生ラグビーの準決勝、決勝を
見ましたが、NHK,の実況アナは今でも、同じ言い方をしているようです。
たぶん、私がこだわりすぎなんでしょうね。ハハハ。

あとで、落合の殿堂入りについて書く予定です。

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by toruiwa2010 | 2011-01-16 08:05 | 放送全般 | Comments(4)
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紛糾し、怒号が飛んだ民主党大会のビデオのあと、、MCの小倉が切り出した。
「活発な議論…という印象かもしれないけど、そうじゃなくて、ぐちゃぐちゃなんだ」
ゲストの田崎史郎(時事通信)が「政党として機能しなくなってる」と応じた。
ここで、大村リポーターが内定している改造新内閣の顔ぶれを紹介。

小倉が、仙石から枝野に替わったことについて尋ねると田崎はこう答えた。
「仙石と枝野は義兄弟のようなもので非常に仲がいい。問題ない」
小倉「それで、うまく行くのかどうか?」
田崎「この政権は、つきつめると、菅・岡田・仙石・枝野の4人で動かしている。
小沢を切ることについても、4人でやってきた。チームワークに問題はない」
小倉「(この人事は)閣僚にとってはいいこと?」
田崎「政権がwork(機能)していくためにはいい人事だと思う」

ここで大村が与謝野馨の著書「民主党が日本経済を破壊する」を紹介。
「…こういう人を閣僚にするのはおかしいんじゃないかという声も…」
岩上「いや、おかしい。(顔面紅潮)どう考えたって…」
小倉「おかしい?」
岩上「おかしいですよ、そりゃ。明らかにね」

岩上の剣幕に小倉はまとめようとする。
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顔面紅潮の岩上氏

田崎「この陣容を見ると節操がない。参議院議長を務めた人がいち閣僚なんて変なこと。
与謝野さんにしてもあれほど民主党を批判してきたし、前の選挙では自民党から
比例代表で当選している」
小倉「岩上さん、与謝野さんは誰に負けたんでしたっけ?」
岩上「東京1区の海江田さんと闘って負けた。その東京1区の勝者と敗者が同じ内閣に
  入って、しかも、昨日まで別の党。“立ちあがれ”にいた人が内閣に座っちゃった。
  立ちあがってた人が座っちゃった。(スタジオに笑い)
  マニフェストでは増税しないと言ってたのに、今度は増税しろという人が入ってくる。  
  でたらめ内閣だ。
  さっき、田崎さんが素晴らしい人事だといったが、とんでもない人事だと思う」
田崎「僕は枝野さんの起用について申し上げた」
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突然かみつかれ当惑気味に口をつぐみ、苦笑いの田崎。

小倉「小沢さんが(閣僚を)入れようとしないからこうなる?」
田崎「それもあるが、家庭内別居みたいなもので、菅・仙石から見ると、小沢サイドが
足を引っ張ると。だから、こっちでやってくんだ…というところもある」
岩上「普通に見たら、逆じゃないか。“小沢排除”って言い続けている側が排除してる。  
  どう考えたって、それは言い方がおかしい」
田崎「おかしいと思わない」
岩上「いやいや、全然おかしいと思う」
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もてあます小倉
なおも、“言いあい“は続いたが以下カット。

底流に、記者クラブや官房機密費をめぐって“既存の”政治ジャーナリストたちを批判し
続けてきたフリーランス・ジャーナリストの一人として、岩上の田崎に対する“一定の
感情”があったと思われる。
このコーナーは小倉が田崎に話を聞く形で進めることになっていたはずだが、横で聞いて
いるうちに、岩上の中で田崎の発言に対する不満がこみ上げて冷静さを失ってしまった。
そのきっかけは、岩上のちょっとした“誤解”だったと思う。

なぜ、そう書くかといえば、大村は“顔ぶれ紹介”の中で与謝野のことにも触れていたが、
小倉と田崎の最初のやりとりは小倉が「仙石から枝野は?」と振ったことから始まったし、
田崎の「いい人事」は枝野について語ったと分かるからだ。
岩上の“不満の爆発”はそれを“与謝野入閣”も含めていると思い込んでしまったためだ。
もともと、田崎-岩上間で意見が一致するとは思わないが、少なくとも最初の田崎発言を
正しくとらえて聞いていたら、あれほど、頭に血がのぼることはなかったはずだ。

いやあ、しかし、久しぶりで面白いシーンを見せてもらった。
本来の意味とは少し違う使われかたをしているが“予定調和”という言葉がある。
あらかじめ決めてある着地点に話を導いて行ってまとめる…というワイドショーの進行は
まさに予定調和の典型だが、昨日の、このコーナーはみごとな予定“不”調和だった。

問題のシーンを見ながらもう一つ頭に浮かんだ言葉がある。“破調の美”…。
台本や進行表通りに話が進むと見た目はすっきりするが、面白くはならない。
番組のリズムが乱れたとき、面白いものが見られる。
違った意見の持ち主が5~6人出演する「サンデーモーニング」でさえ、激しい議論は
ほとんど聞けない。予定調和だ。
誰に話を振るかは項目ごとに決めてあるのだろうし、全員が“その気”で議論を始めれば
エンドレスになる可能性もあるが。ハハハ。
だから、江川vs張本は面白かったのだ。

小倉は少々焦ったかもしれない。短命に終わったが、土曜日に番組をもったときも田崎は
レギュラーだった。お気に入りなんだろう。


ちなみに、これまで岩上の発言に違和感を覚えたことはない。
まさか、フジテレビもこんなことで、番組から消すようなことはしないだろうな。
それほどのアホとは思いたくないぞ。
岩上本人は、昨日の昼ごろ同じような懸念を書いた書き込みにこうつぶやき返している。

ないとはいえません。でも、黙って見過ごすわけにはいきませんでした。

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by toruiwa2010 | 2011-01-15 10:22 | 放送全般 | Comments(1)
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1970年代の半ばごろまではゴルフ中継にも関わっていました。
自分ではほとんどやらないので“勘どころ”がつかみにくくてあまり得意な実況種目とは
言えませんでした。先輩に担当する人が少なかったためにお鉢が回ってきたのです。
やりたい種目、いい種目を担当できるかどうかは“めぐりあわせ”次第です。ハハハ。

当時のフジテレビの解説者は、キャディ上がりの“お茶目な”超ベテラン・Hプロと
プロの経験はないものの、声が良くて話がうまいTさんのコンビでした。
収録開始の30分前ぐらいには放送席にコメンタリーが勢ぞろいして最後の準備をします。
その一つに、マイクテストがあります。簡単に終わる作業ですが、このお二人と一緒だと
テストが済んでも話が脱線気味に延長することがしばしばでした。

私も加わって、収録ホールの紹介などを始めると、カメラも合わせてテストするのですが、
コースサイドの女性ギャラリーが写ると「その子をアップにしてくれ」とか「少し戻って
赤いチェックのスカートをはいてる女の子を写してほしい」とか注文をつけ始めるのです。
スロープに座り込んだ“無防備な”女性を見つけたりしようものなら“文字にできない”
言葉を連発するほどにエスカレートして収拾不能に陥ります。ハハハ。
東京のマスター・ルームから「お話は、回線チェックの関係個所を経由していますので
もう少し、トーンダウンしてください」と注意を受けたことがあります。
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そのころ、男子プロの開幕戦は沖縄・名護で行われる沖縄テレビ主催のOTV杯でした。
OTVにはゴルフの実況ができるアナがいなかったため、私たちが応援に行っていました。
1月の寒い時期に暖かい名護に行けるのはありがたいことでした。
ただし、笑える“困った”話もあります。

ある年、中継が終わったところで沖縄テレビの偉い方から、「7時から公民館で打ち上げを
やるのでお集まり下さい」と声がかかりました。打ち上げは応援の楽しみの一つです。
「どんなにおいしいものが食べられるのか?」と、タクシーに分乗して公民館に到着すると、
玄関の横にヤギが一頭つながれていました。
「あれは何?」と運転手さんに聞くと、「あれを“シメテ”皆さんにお出しするんです。
今晩は“ヤギづくし”でしょう」と言うではありませんか!

いやいやいや、そりゃ駄目でしょう。沖縄では“最高のもてなし”だと聞いてはいますが、
旺盛だった食欲はいっぺんに吹き飛んでしまいました。ハハハ。
その場で、「30分後に迎えに来てほしい」と運転手さんと約束をして、乾杯だけしたあと
会場を抜け出しました。街に出て食べたのは結局、カレーライスでしたっけ。

3日目の土曜日。
早めに放送席についた私が一人で真面目に品のある(ハハハ)おしゃべりをしていました。
「えー、まあ、こうして私たちがお話しすることが○○を経由し、さらに△△を通って
東京タワーから皆さんのお茶の間のテレビに届くわけです」…

10分ほどして、中継車の周辺の動きがあわただしくなりました。
ディレクターが緊張した表情で放送席にやってきます。「なにかまずい話をしたかなあ」と
一瞬身構えましたが、そうではありませんでした。
マイクロ回線の中継点で私の話を耳にした技術者が「えっ、沖縄からの回線の申請なんか
出てたっけ?」と不審を抱きました。
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チェックした結果、申請漏れと分かったのです。
逆ルートでOTVに連絡が入り、大あわてで申請して確保した回線は、予定した時間より
20分ほど遅くなってしまいました。
途中でトーナメントディレクターが最終3組ほどの進行をスローダウンしてくれましたが、
それでも、すべてのプレーヤーがホールアウトしたあと放送時間が15分余っていました!
急きょ、最終組の選手に残ってもらい、グリーン横でインタビューをすることにしました。
1年後輩のMアナが言葉少ない選手たちをリードして10分少々をうまく埋めてくれました。

私が“おしゃべり”をしていなかったら…と思うとぞっとします。

不体裁な放送になった責任を感じたプロデューサーは、仕事が終わったあと、飛行機で
ひとっ飛びの台湾に行って“おいた”をする予定でしたが、そそくさと東京に戻りました。
もう一人は、友人の“不幸”を横目に予定通りに出かけましたが。ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2011-01-12 08:44 | 放送全般 | Comments(2)
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暮れから正月にかけてテレビは“おせち”番組でにぎわいました。
生のものもありますが、事前収録の番組が圧倒的です。画面に出ているタレントたちは
ハワイやグアムの浜辺でのんびり甲羅干ししていたことでしょう。ハハハ。
テレビの世界はファッション業界と並んで季節感のない職場です。かつて人気番組だった
フジテレビの「新春かくし芸大会」などは、10月ごろから廊下に“今日の収録予定表”が
張り出されて、「えっ、いま何月だったっけ?」とあっけにとられたものです。
1年中、番組作りに追われるテレビは忙しい職場の典型かもしれません。
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今では24時間放送が当たり前になりました。Wikipediaによると1987年にフジテレビが
始めたのだそうです。ちっとも知りませんでしたが。ハハハ。
初めから終夜放送だったわけではありません。
手元にある昔の番組表を見ると1961年3月までフジテレビの放送開始は午前11時!!
しかも、午後2時から5時近くまで放送を休んでいたのです。シエスタか?ハハハ。
私が入社した1963年でも早朝に放送を始め0時前後の終了まで休みはなかったものの、
午前9時、午後3時の枠は古~い映画でお茶をにごしていました。映画を見せる、という
感覚ではなく、「どうせ誰も見てないんだから、映画“でも”流しとけ」だったのです。
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テレビ局は番組を作って放送するのが商売ですが、営業的に言うと、“時間枠”を売って
いるのです。当時は、深夜・早朝や主婦が買い物に出かける時間は売れなかったのです。
しかし、24時間放送の時代の到来まで、そんなに時間はかかりませんでした。
経営陣がよく口にしたのは「どんなに頑張っても“24時間”しかないことを忘れるな。
テレビは“限界産業”なんだ」でした。たしかにそうなんですが、経営者はそうやって
社員の危機感をあおって働かせたわけでしょう。ハハハ。


「フジテレビです。JOCX-TV」…
1963年7月、3ヶ月の養成を終え、プロとしてはじめて電波にのせたのがこの5秒のSID、
つまり、STATION IDENTIFICATIONでした。
これは、放送局であれアマチュア無線であれ、電波を出していたら、一定の時間をおいて
アナウンスすることが義務付けられているコールサインです。
CM原稿などは、失敗した場合、スポンサーに損害を与えてしまいますが、こちらは痛くも
痒くもないので、当時の新人は、大体このSIDでデビューしていました。

番組と番組の間をステーション・ブレークといいます。なんでも略してしまうテレビの
世界では“ステブレ”と呼んでいます。そこにSIDや局がやる事業の告知などにまじって
スポットCMが入ります。番組の提供はせずに、商品の宣伝だけをするスポットCMは
テレビにとっては営業収入の大きな柱です。

若い人はご存知ないでしょうが、かつて、“1時間番組”は長さが59分でした。
言っている意味が分かりますか?ハハハ。
8時からの1時間番組は8時59分に終わり、1分間のステブレがあって、9時から別の
番組が始まったのです。

しかし、“限界産業”は頭を使います。
アメリカで1時間番組を55分(つまり54分)にしてそのあとに5分(つまり4分)のミニ番組を
はさむという“荒業”を考え出すとすぐに真似をしました。なぜか?
こうすると、ステブレが増える、つまり、収入が増えるからです。ハハハ。

昔は、電波も局員も休んでいた深夜の時間帯もびっしりと番組で埋め尽くされ、テレビは
これ以上売るものを増やせないというところまで来ています。新しいメディアの成長も
めざましいものがあり、それでなくても視聴率は頭打ちです。
一度書きましたが、製作費も交際・打ち合わせ費も、社旗を立てたハイヤーも使い放題の
日々は遠く去りました。テレビが“砂上の楼閣”となる日は案外近いのかも。

風邪をひきました。回復に向かっていると思ったのですが、昨夜からぶり返しました。
皆さんもお気を付けください。


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by toruiwa2010 | 2011-01-05 07:35 | 放送全般 | Comments(12)
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元日の夕方、「爆笑問題の未来授業」(テレ東)を見た。
教育の専門家もまじえ、子供たちを相手に爆問が仕切っていた。
言葉使いは乱暴でも気持ちが温かい太田が、始まってすぐに子供たちを
ペースに巻き込んで行く。この手の番組ではありがちな、“背伸び”して
ものを言いたがる子供と、“大人目線”でしか話せないゲストたちとの
ギャップを埋めていく太田光の手腕には感心するばかりだ。
その太田がしばしば脱線するのをきわどいところで操る田中祐二の巧みな
手綱さばきも見事だ。

60年前の自分と重ね合わせながら番組を見た。
コンピューターや電子黒板の導入は想像できたが、時代が変わったことを
実感するいくつかの話があった。
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学校に着いた子供が首から下げたPASMOを機械にかざすと、保護者に
「無事、学校についた」旨のメールが送信される…まさに現代ならでは。
英語の授業では、筆記体を教えなくなっているのだという。ワープロや
パソコンの普及で“手書き”をすることがなくなったからだ。

意表をつかれたのは「君が代のキーを高くしてほしい」という要望だった。
低すぎて子供には歌いにくいらしい。
これに対して自民党の石破政調会長「…コケのー、の“のー”が高すぎて
これ以上は無理だから反対」と。
子供相手でも、もう少しうまい言い方をしないと政権は戻ってこない。
ハハハ。

番組にはなりにくいテーマなのに最後まで見せたのは爆笑問題の手柄だろう。
この二人は、西のダウンタウンと並んで、今のお笑いの世界でビートたけしや
さんまのあとを追うグループのトップに立っている。
特に、硬軟両方をこなす点では他の追随を許さない。

NHK「爆笑問題の日本の教養」でも“タダ者でない”ところを見せる。
それぞれの分野で一流の学者や研究者を相手にしても臆するところがない。
ロボットから人工衛星、恐竜から脳科学まで、どんなに振り幅が広がっても
対応できるのは大したものだと思う。一方的な聞き役ではなく話を引き出す
役割も果たせるのは、読んだ本の中身や人から聞いた話を自分流にしっかり
消化吸収する能力が人並み以上なのだろう。

アナウンサーや“なまじっか”の文化人ではこんな真似は出来ない。
“照れ”や中途半端な“教養”が邪魔をするからだ。

今夜の放送は将棋名人の羽生善治がゲストだというから楽しみだ。


箱根駅伝
久々に見ごたえのあるレースになった。
山下りで早稲田の高野が凍った路面に足を滑らせて転倒したときは、一瞬、
息をのんだが、大きなダメージがなかったのは実にラッキーだったと思う。
以後、早稲田は東洋大の追走をかわして総合優勝を果たした。おめでとう。
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国学院大学の1年生・寺田が中継車につられてコースを間違えたときは
もっと驚いた。8位を争う4校のランナーの中で彼の脚に一番勢いがあると
思っていたからだ。
あり得ないようで、ロードレースではたまに見られる光景だ。
寺田がスピードをもったランナーで本当に良かったと思う。

NTVの中継は放送センターの仕切りが悪かった印象が残る。
ほかのアナウンサーが話し終えないうちに別のアナウンサーがかぶせて
行くのは演出のうちだと思うが、今年はダブる部分が長かったように思う。
この局の特徴である、頭の中で作った言葉で話そうとする実況スタイルにも
どうしても、なじめない。そんな中で3号車に乗っていた新谷アナだけは
そのときに見えることを自分の言葉で伝えていた。“資料読み”の悪しき
伝統には染まらないでほしいと思う。

それにしても、“宿敵”早稲田。
野球は大学日本一、駅伝も3冠達成、そして、ラグビーも大学日本一に王手…
やるもんだ。

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by toruiwa2010 | 2011-01-04 08:48 | 放送全般 | Comments(7)
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大みそかは“国民的番組”「紅白歌合戦」を見ました。格闘技を横目に…。ハハハ。
“見たい”という積極的な気持ちはなく、“まあ、見てみるか”ぐらいです。おそらく
視聴者の大半が同じような気持ちでしょう。朝の連続ドラマが驚異的な視聴率だったころ、
「なに、時計がわりに見てるだけさ」と民放で言っていたのと似ています。
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緊張気味の嵐や松下奈緒に対して風格すら感じさせるほどの態度で開幕宣言をした
石川遼には“ほとほと”感心しますね。
1万人の大観衆の前でプレーすることは回数をこなせば慣れるでしょう。しかし、人間は
得意分野でないことをやるとき、ものすごく緊張するものです。経験を積んだあとの私は、
実況やニュースを読むときに上がることはなくなりましたがが、30代後半に、番組の中で
「私鉄沿線」を歌ったときは、何が何だか分からなくなるほど上がりました。ハハハ。
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あの大ステージでライトを浴びて階段を降りてくるだけでも大変なことだったはずです。
“まだ19歳”という事実が信じられません。口にした言葉には“ひな型”があるのだと
思いますが、完全に自分の言葉にしていました。
問題を起こした歌舞伎役者と違って増長する気配が全くないあたり、見上げたものです。
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顔ぶれが大きく変わった司会陣…可もなく不可もなし、でしょうか。
感心したのは、5人いる嵐のメンバーの間で“セリフ”がかぶらなかったことです。
あらかじめ話すことは決まっていても、アドリブの部分では、普通、同時に言葉を発する
ことがあってもおかしくないのですが、まるで“カメラ割り”と同じように“セリフ割り”が
されているみたいでした。よほど仲がいいのでしょう。ハハハ。

去年も…というより毎年感じることですが、なぜ、民放“育ち”のはるな愛やねづっちを
使いたがるのでしょうかね。人気に便乗しようというのでしょうが、“あざと”すぎます。
テリー伊藤などは典型的な“民放人”です。真裏で強力な対抗番組を作るならともかく、
なぜ、全民放の標的とも言うべき番組に出たがるのかもよく分かりません。
駆け出しのタレントのように扱われて、“忸怩”たる思いはないのだろうかと不思議です。
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演出も相変わらずお粗末でした。綾小路きみまろの“ゲゲゲ”ネタは無理矢理やらせた
のでしょうが、もののみごとにすべりました。本人のチョイスではなかったと思います。
下手をすればタレント生命を奪うところです。
大物に若い歌手を応援させたり、その逆だったり…“ショーアップ”じゃないでしょう。
桑田佳祐や福山雅治がホールの外に“逃げた”のは大正解でした。リハーサルに時間を
とられることもなく、歌以外の“雑用”に駆り出されることもありませんから。ハハハ。
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和田アキ子…ひどかったなあ。ボイス・トレーニングをきちんとやってるのでしょうか。
もともと好きじゃないし、暮の「FNS音楽祭」では出だしを間違えるというとんでもない
ミスをしていましたから、彼女にはどうしてもリスペクトが持てません。
芸能マスコミが“ご意見番”と持ち上げるのはそのほうは話を聞き出しやすいからです。
勘違いも甚だしいですね。
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紅白出場となると、本人も事務所も異常に張り切ってしまい、普段の雰囲気をなくした
“違和感”のある衣装で登場する歌手が多いです。
坂本冬実もその一人でした。白いシンプルなシャツにパンツ姿で歌ってほしかったなあ。
逆に、いつもは辟易するばかりの小林幸子はよかったと思います。大道具の一部のような
派手派手衣装に“肯定的な”感想をもったのはたぶん、初めてです。ハハハ。
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私の中で一番よかったのはコブクロの「流星」でした。
ドラマが好きだったからですが、背の高いほう(ハハハ)の歌唱力は大したものです。
そして、いつものことですが、演歌系の歌手はうまいと思います。
熱狂的な演歌ファンではありませんが、うまいことは認めざるを得ません。彼らは歌詞の
行間を表現する力があるし、歌でドラマを創り出します。
北島三郎の魂がこもった「風説ながれ旅」にはしびれました。
「トイレの神様」に時間をとることにクレームをつけたようですが、気持ちは分かります。
記憶が正しければ、かつて布施明の「シクラメンのかほり」が大ヒットした年の紅白で
フルコーラス歌わせて、ほかの歌手から不満が噴出したことがありました。
「トイレ…」も全部歌ったわけではないようです。7分50秒ぐらいでしたから。
物語性が強いことや、テーマが“きずな”だったからなどが理由に挙げられています。
しかし、すべての曲に“物語”はあるのだし、1番と3番しか歌わせてもらえないほかの
歌手から苦情が出るのももっともでしょう。
いい歌だとは思います。しかし、普通の曲の3倍は長過ぎるでしょう。
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本人にも“気負い”があったようです。一生懸命、泣こうとしているように見えたのは
私の考えすぎでしょうか? 副調整室では立ちあがったTD(テクニカル・ディレクター)が
全カメラマンに「誰でもいいから、泣いてる客を探せ!」とゲキを飛ばしている光景が
目に浮かびました。…結果、一人もいなかったようですが。ハハハ。

いかん、いかん、また長くなってしまう。
NYC,AAA,flumpool,HY,クミコ…知らないし。
大好きな吉幾三が出てない。ワールドカップのテーマ曲「タマシイレボリューション」を
歌ったSuperflyも…

きりがないので、文句の続きはまた来年、ということで…。ハハハ。
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by toruiwa2010 | 2011-01-03 08:38 | 放送全般 | Comments(12)