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岩佐徹のOFF-MIKE

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実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

カテゴリ:映画が好き( 214 )

恋妻家宮本 85

どこかの街のデニーズ。
窓際の席でテーブルをはさんで座った中年の男と女がメニューを
眺めている。男は中学の教師、宮本陽平(阿部寛)、女はその妻、
美代子(天海祐希)だ。“優柔不断”を絵に描いたような陽平は
なかなか決められないでいた。「オムライスにシーザースサラダ、
食後にコーヒーお願いね」と告げてトイレに立った美代子は
てきぱきした性格で若いときから決断が早かった。

そういえば、妊娠を知らされ、「手術の費用、半分出してね」と
言われ、深く考えもせず、愛情より責任感から「結婚しよう」と
プロポーズをしたのもこの店だった。

27年が過ぎて一人息子は結婚し「震災の報道をしたいから」と
福島の新聞社に就職して家を出て行った。
陽平と美代子は50歳になって再び二人きりになったその夜、
“事件”は起きた…
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時間はたっぷりあるし、本でも読もうかと、陽平がなにげなく
手にした「暗夜行路」にとんでもないものが挟んでありました。
美代子の欄がしっかり記入され、判も捺されている離婚届!
物語はそこから始まります。

2011年に大ヒットしたドラマ「家政婦のミタ」の遊川和彦が
脚本・監督をつとめ、“夫婦の在り方”を描いた作品です。

偶然、妻が書いた“離婚届”を見つけてしまったために、急に
夫としての自信を失った陽平が一人で“あたふた”する様子が
笑いを誘います。爆笑するシーンはありませんが、微苦笑は
あります。
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思うに、日本映画には喜劇、悲劇、人間ドラマ、青春ドラマ、
社会派ドラマ、ロードムービーetcのほかに“阿部寛の喜劇”という
独特のジャンルがあるようです。
体が大きいせいでしょうか、この俳優の僅かなアクションが
人の気持ちをくすぐります。彼を初めて知ったのは「いいとも」の
“いい男さん いらっしゃい”に出ているときでした。今の姿は
とても想像できませんでした。
長身のイケメン・モデルだった彼のこの特異な“才能”に最初に
発見し、開花させた監督は素晴らしいと思います。

この作品も、彼のそんな一面をこよなく愛する人にとっては
90点でしょうが、そうでもない人にはもっと評価が低いかも
しれません。

劇中、美代子が「あなたって、ホント、結婚に向いてないよね」と
陽平に言い放つシーンがありました。
そうかもしれない。でも、果たして、結婚に向いてる人間って
この世にいるのだろうかと、ふと思ったりしました。ハハハ。

阿部寛と天海祐希の夫婦…少し現実味に欠けていましたね。
妄想シーンや早回しなど、小手先に走る必要はなかったような
気がします。そんなこんなの85点です。

ザ・コンサルタント 80

財務省の一室に女性データ分析官のメディナが呼ばれた。
局長のキング (J.k.シモンズ)はメディナが十代だったころの
暗い過去をネタに脅し気味に難題を持ち掛けていた。
闇の組織の金を洗浄しているある男を探し出せと。
定年退職が近いキングはこの男を捕まえることを引退の花道に
したいと考えていたが、たくさんの偽名を使い、常に居場所を
変えるためなかなかしっぽが掴めないのだ。

捜査関係者からは“会計士”と呼ばれるその男、クリスチャン
(ベン・アフレック)はイリノイ州の小さなショッピングモールに
地味な事務所を構えていた。
幼いころの自閉症は軍人だった父のスパルタ・トレーニングで
問題なく社会生活に対応できていたが、強いこだわりがあって
始めたことは最後までやり切らないと気が済まなかった。
そんなクリスチャンには“裏の顔”があった…
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クリスチャンは“裏社会”の金を洗浄しながら世話になった男を
殺した組織への復讐の機会をうかがっています。
射撃の腕は天下一品、相手を“瞬殺”する技も持っています。
まあ、アフレック、ありえないほど強いわ。ただそれだけ?
ハハハ。

そして、神戸

神戸で映画を見るのも7年半ぶりです。
大きな違いは身分証明書を求められなかったことです。
すでに70歳になっていたのに、前回はシニアのチケットを
見せると、3回に2回は「年齢の分かるものありすか?」と
聞かれたものですが。

「恋妻家宮本」を見に行ったとき、通路を挟んだ席に60代の
女性が一人で来て座りました。しばらくすると“シャカシャカ”
という音が聞こえ始めました。見ると、口の中で歯ブラシが
動いていました!!
私が見たことに気づいたかどうかわかりませんが、彼女は黙々と
歯を磨いていました。そして、上映開始から30分を過ぎたころ、
彼女の席からは健やかな寝息が聞こえてきました。

はい、私は間違いなく関西に来ているようです。ハハハ。

by toruiwa2010 | 2017-02-10 08:24 | 映画が好き | Comments(4)

沈黙 サイレンス 85


真っ暗な画面に虫の鳴く声だけが数十秒。

画面の中央に白い文字が浮かび上がる。“SILENCE(沈黙)


時代は17世紀前半、日本に上陸し、貧しい人を中心に静かに

広まっていたキリスト教に対する弾圧が厳しさを増していた。

遠くポルトガルではロドリゴ、ガルーペという二人の神父が

地域の司祭に日本行きを直訴していた。師・フェレイラ神父が

棄教(信仰を捨てる)し、日本人として暮らしていると聞いて、

いても立ってもいられなかった。


「信じない。どこかに潜んでいるはずだ。行って探したい」…。

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日本に到着した二人は熱心な隠れ切支丹にかくまわれながら

活動を続けますが、困難の連続です。思うようにいかないこと、

とらわれた信者たちが受ける苦しみを目の当たりにすることは

彼らに耐えがたい精神的苦痛を与えました。


遠藤周作の小説をマーティン・スコセッシが映画にしました。

厳しい環境の中で信仰に生きようとする村人たちの苦しみや

それを助けようとあがく神父の苦闘と挫折を描いています。

最大のテーマは“沈黙”ですが、ここまでの文章に何度も使った

苦“も見る者の胸に迫ってきます。


力のこもった作品ですが、宗教を描いたものだけに理解するのは

なかなか難しいです。


高校1年のとき、肺結核で兵庫・西宮の療養所に入りました。

世話になったのはキリスト教系の病院でした。医師も看護師も

ほとんどがクリスチャンでした。入院から数週間が過ぎたころ、

事務職の人に「こんなんがあるんやけど?」と見せられたのは

“公教要理”についての説明会への申込書でした。カトリックを

分かりやすく説明するから聞きに来ませんか…ということです。

一度、出席しましたが、ちんぷんかんぷんでした。

それが、私が宗教、信仰というものに最も近づいた瞬間です。


聖書の言葉です。“正しい人はいません。一人もいません”


数年前、スクランブル交差点の人ごみを縫って歩いているとき、

耳に飛び込んできました。キリスト教系の団体の活動です。

なるほどと思いました。言い切ってくれると安心だと。ハハハ。


これも数年前のこと、京都でホテルに向かうタクシーの窓から

大きな寺の塀に描かれた、妙に腑に落ちる言葉を見かけました。


“今、いのちがあなたを生きている”


キリストの言葉、釈迦の教え…として、これまでにたくさんの

ありがたい話を聞いてきました。しっかり噛みしめたくなる

心に沁みるいい言葉もあり、いつか役に立つぞと思ったものも

数多くありました。


しかし、78年の人生のどの時点でも、神・仏にすがりたいとか、

信仰の力を借りたいと思ったことは一度もありません。

そんな私には難解なところも多い映画でした。

見る前は“沈黙”は隠れ切支丹が押し黙っているという意味だと

思っていましたが、信者や神父たちの苦しみを知りながら何も

告げない“神”の沈黙を指しているようです。その意味を。

違いますかね?

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難しいですが、俳優たちの演技を見るだけでも値打ちはあります。

ロドリゴ神父に扮したアンドリュー・ガーフィールドだけでなく

“らしい”キャラを作ったイッセー尾形、浅野忠信、窪塚洋介ら

日本人俳優も頑張っています。アメリカでは、ほかにも序盤で

ほぼ出番が終わる笈田ヨシ、塚本晋也と言った、地味な俳優が

高く評価されているようです。


最後にひとつ。

細かい時代考証については正直よくわかりません。

しかし、外国人が日本や日本人を描いたものを見るときに

よく感じる明らかな違和感がなかったこともこの映画に

85点を付けた理由です。

スコセッシの“敬意”が感じられました。


by toruiwa2010 | 2017-01-27 08:43 | 映画が好き | Comments(3)

2016年に公開された映画を対象とする日本アカデミー賞

各部門の優秀賞が発表された。最優秀賞は33日に決定する。

私が邦画No1に推した「怒り」が最多の11部門で受賞した。

いつも、なかなか意見が一致しないが、今回は納得する。


各賞と、その選考についての岩佐徹的感想w


作品賞

「怒り」

「家族はつらいよ」

「シン・ゴジラ」

「湯を沸かすほどの熱い愛」

64-ロクヨン-前編」


「家族は…」は80点、「湯を沸かす」には85点、

残り3作は90点だった。

嫌味に聞こえるのを覚悟で書くなら、山田洋次監督や女優・

宮沢りえに“弱い”映画ファンが多いことが分かる。

最優秀作には「怒り」を全力で推す。

「セトウツミ」や「永い言い訳」がとれなかったのが残念だ。

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アニメーション作品賞

「君の名は。」

「聲の形」

「この世界の片隅に」

「ルドルフとイッパイアッテナ」

ONE PIECE FILM GOLD


見たのは「君の名は。」と「この世界…」の日本だけでほとんど

興味がない。できれば、「この世界…」にとらせたい。


監督賞

庵野秀明(総監督)/樋口真嗣(監督)「シン・ゴジラ」

新海誠「君の名は。」

瀬々敬久「64-ロクヨン-前編」

中野量太「湯を沸かすほどの熱い愛」

李相日「怒り」


監督の力量を云々することは難しい。よって、スルー。w


主演男優賞

綾野剛「日本で一番悪い奴ら」

岡田准一「海賊とよばれた男」

佐藤浩市「64-ロクヨン-前編」

長谷川博己「シン・ゴジラ」

松山ケンイチ「聖の青春


綾野の「日本で…」だけ見ていない。

最優秀は岡田、佐藤、松山の中から決まると思う。

私に一票があれば「ロクヨン」の佐藤に入れる。

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主演女優賞

大竹しのぶ「後妻業の女」

黒木華「リップヴァンウィンクルの花嫁」

広瀬すず「ちはやふる-上の句-

宮崎あおい「怒り」

宮沢りえ「湯を沸かすほどの熱い愛」


「リップヴァン…」は見ていない。

大竹と宮沢で争うのではないか。

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助演男優

竹原ピストル「永い言い訳」

妻夫木聡「怒り」

東出昌大「聖の青春」

森山未來「怒り」

リリー・フランキー「SCOOP!」


全部見た。

“通ぶる”人は竹原を選びそうだし、妻夫木も票を集めそうだが、

私は森山の演技がよかったと思う。東出とフランキーのそれは

“最優秀”とするほどではなかった。

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助演女優賞

石原さとみ「シン・ゴジラ」

市川実日子「シン・ゴジラ」

杉咲花「湯を沸かすほどの熱い愛」

広瀬すず「怒り」

宮崎あおい「バースデーカード」


問題なく、広瀬で決まりだ。私の一票で決まるなら、だが。

冗談はともかく、あの演技はほかの4人を寄せ付けない。

ぜひ、認められてほしい。


新人俳優賞

杉咲花「湯を沸かすほどの熱い愛」

高畑充希「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」

橋本環奈「セーラー服と機関銃-卒業-

岩田剛典「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」

坂口健太郎「64-前編-」「64-後編-

佐久本宝「怒り」

千葉雄大「殿、利息でござる!」

真剣佑「ちはやふる-上の句-」「ちはやふる-下の句-


「植物図鑑…」と「セーラー服…」は見ていない。

杉咲、坂口、千葉、真剣佑…のだれがとっても異論はない。



キネマ旬報のベストテンも発表されている。

アニメを”を邦画に入れているのに「君の名は。」が圏外、

で、「この世界の…」が1位とか、個人賞の選び方など

いかにも“らしい”選考になっている。ま、お好きなように。

それ以外、言うこともなくて。ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2017-01-19 08:35 | 映画が好き | Comments(2)

アイヒマンを追え 90


1957年のある夜、自宅の浴室でドイツ・ヘッセン州検事総長、

フリッツ・バウアーはゆったりと足を伸ばし、肩まで浴槽に

身を沈めていた。頼まれた買い物を届けにきた運転手が浴室に

声をかけたが、返事はなかった。


そのまま帰りかけた運転手だったが、目の端に異変をとらえた。

浴室のドアの下から水が流れ出ていたのだ。

眠り込んだバウアーが顔まで湯に浸かっていた。発見が早く

一命をとりとめたバウアーは復帰後、精力的に仕事を再開する。

戦争犯罪人、ナチの高官をつかまえて裁きの場に引き出すのが

ユダヤ系ドイツ人でもある彼の使命だった。


ある日、コペンハーゲンの妹に会いに行くために執務室を出た

彼に秘書が手紙の束を渡した。中の一通の差出人に心当たりが

なかったバウアーはその場で封を切った。

読み進むうちに、その顔色が変わっていった…

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遠くアルゼンチンから届いた手紙は、アドルフ・アイヒマンが

偽名を使ってブエノスアイレスに住んでいると告げていました。

アイヒマンは元・親衛隊将校で戦争中に数百万人のユダヤ人を

“強制的に移住”させた責任者でした。とんでもない大物です。


問題は バウアーの敵が旧ナチの高官だけではないことでした。

司法関係の組織を初め身内にもナチの残党がいて様々な妨害や

脅迫が行われました。睡眠薬を飲んで入浴したことが原因の

“浴室事件”のときも、捜査官が スキを見て、残された錠剤を

ポケットに入れていました。重責に耐えられず、バウアーが

自殺を図ったと見せて、辞任に追いこもうとする陰謀です。


正月からなんとなく暗い雰囲気の映画を見せてどうするんだと

思っていましたが、初日の土曜日の2回目、渋谷のbunkamura

ル・シネマは年配客を中心に満席でした。きっと、口コミで

いい映画だと知っている人が多いのでしょう。


2次世界大戦に敗れ、ヒトラー政権が犯した悪行を全世界に

さらけ出したにもかかわらず、終戦から10数年を経てなお

司法機関の中にまでナチの残党が大勢いて、ユダヤ人に対する

嫌悪が存在したという事実に驚きます。


この映画は、出来れば隠したい過去の“汚点”にも触れるなど、

バウアーをヒーローとして“かっこよく”描いていません。

そこに好感が持てます。

そして、この作品を成功に導いたのは間違いなく、バウアーに

扮したブルクハルト・クラウスナーの圧倒的名演技でしょう。


ドイツ語の原題はDer Staat gegen Fritz Bauerです。

意味は「国家対フリッツ・バウアー」。

英語のタイトルはThe People vs Fritz Bauer となっています。

国家=国民…という解釈でしょうか?

アメリカの法廷ミステリーなどを読むと、裁判で扱う事件名を

“○○州対XX(被告の名前)”と呼びますが、バウアーは被告では

ないので、この映画の題名はそれとは違うようです。

それにくらべ、邦題「アイヒマンを追え」は分かりやすいですね。

ハハハ。


去年は136本の映画を見ました。明らかに多すぎます。

今年は少し抑えようと思っていましたが、いきなり90点の

映画に出会えました。ハッピーです。


*映画の感想も書きたいときだけ書くことにします。


by toruiwa2010 | 2017-01-13 08:25 | 映画が好き | Comments(2)

特別に頑張ったつもりもないのに、今年はなんと136本の映画を劇場で見ました。

ふだんは意識的に“なんと”を使わないようにしていますが、人生で最多鑑賞数ですから

ここはやっぱり“なんと”でしょう。ざっと300時間を映画館で過ごしたことになります。

2週間に5本ずつ見た計算になります。

見る予定にしていたのに、結局 見なかった映画も30本はあるでしょう。タイミングを

逃がしたり、あまりにも評判がよくないと知って意欲を失った結果です。かわいそうに。

ハハハ。


恒例ですので、邦画・洋画それぞれのNo1を発表しておきます。

せっかく見た映画だから…と私の評価はどうしても人より甘くなってしまいます。

85点、80点をつける映画がものすごく多くなります。きっと、皆さんの評価より5点は

高くつけていると思います。


基準は以下の通りです。


95:どなたにもお勧め

90:大満足だった

85:見るに値した

80:料金分は楽しめた

75:見なくてよかったかも

70:金と時間を返せ


90点つけたのは邦画9本と洋画9本でした。

異論はあるでしょうが、好みもありますからご容赦を。

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邦画では、この中で「ロクヨン」、「セトウツミ」、「怒り」が特によかったと思いますが、

どうしても一本を選べと言われれば、強烈なインパクトがあった「怒り」でしょうか。

未練がましいですが、「セトウツミ」のユニークさにも大きな魅力を感じます。

洋画No1は「SMOKE」が1995年、「ブリッジ・オブ・スパイ」は2015年の作品だし、

「アイリス・アプフェル」は“ドキュメンタリー”なので除外し、残り6本の中から選ぶと

「ハドソン川の奇跡」になります。デンマークの「ある戦争」も強く印象に残ります。


ちなみに邦画の演技賞候補については…

主演男優賞:佐藤浩市(ロクヨン)、菅田将暉(セトウツミ)、松山ケンイチ(聖の青春)

主演女優賞:宮沢りえ(湯を沸かすほど)、大竹しのぶ(後妻業)、筒井真理子(淵に立つ)

助演男優賞:瑛太(ロクヨン)、森山未來(怒り)、古舘寛治(淵に立つ)

助演女優賞:広瀬すず(怒り)、宮崎あおい(怒り)、樹木希林(海よりもまだ深く)


…見る目がないと笑わないように。


参考までに、邦画・洋画No1を見た直後の感想を再録しておきます。


邦画No1 「怒り」


捜査員が到着したとき、現場の状況は凄惨なものだった。浴室に男女の遺体があった。

女は浴槽の中だった。犯人がそうしたのだろう。浴室はもちろん、廊下まで血の海が続き、

物入れの扉に被害者の血で書いたと思われる文字があった。


怒。


犯人はすぐに特定され、指名手配されたが、一年がすぎた今も逮捕には至っていない。

変装、整形が疑われた。


三人の若者が登場する。

千葉の漁協で働く槙(渡辺謙)のところにふらりと舞い込んできた田代(松山ケンイチ)

ゲイの優馬(妻夫木聡)がサウナで拾い、その日から自宅に同居させている直人(綾野剛)

内地から沖縄に来た泉(広瀬すず)が離れ小島で出会った田中”(森山未來)…

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槙には家出して風俗で働いていたところを連れ戻された娘・愛子(宮崎あおい)がいます。

優馬の母親は末期がんでホスピスにいます。

泉が小島に行くとき、ボートで送ってくれる少年・辰哉は彼女に好意を寄せています。


笑うところなど1シーンもない映画です。重さが胸の底にズンと響きます。

勧善懲悪ではなく、“一組”を除いてハッピーエンドではありません。

家族を、友を、愛する人をどう信じるかが問われる映画です。見ごたえはありました。

出演者全員が渾身の演技を見せています。この中の誰もが賞に値すると思います。

中でも広瀬すずにやられました。これまでの青春映画で見て来た彼女とは違う一面を

見せています。普通、いま人気絶頂の若手女優はやらないだろうと思うシーンに出会って

彼女の“覚悟”を見た気がします。“迫真”でした。


池脇千鶴、高畑充希も出番は短かったですが、しっかり存在を示したと思います。

現場の空気が彼女たちにも伝わったのでしょう。


蛇足ですが、この映画では男同士の“ラブシーン”も描かれています。正直に言うと、

少しもきれいじゃないし、私はげんなりしました。差別する気はないつもりですが、

これからますますこういうシーンが増えるのかと思うとね。必要なシーンだと言われれば

それまでですが、妻夫木と綾野の激しいキスシーン、見たいですか? えっ、見たい!?

それじゃしょうがないか。ハハハ。


洋画No1 ハドソン川の奇跡


明け方、自分が操縦するカクタス1549便がマンハッタンの高層ビル群にぶつかる夢を見て

サリー(トム・ハンクス)はホテルの部屋で目を覚ました。同じような夢を見続けていた。

PTSDだ。彼はそのまま起き上がると近くのハドソン川に行き、川沿いの道を走った。


実際の事故は2009115日に起きた。夢と同様、彼が操縦するカクタス1549便が

ラガーディア空港を離陸した直後、エンジンに鳥を吸い込んでしまった。エアバス320

両エンジンともに出力を失い、サリーはまずラガーディア空港に戻ることを選択する。

しかし、旋回を始めてすぐに彼の経験は“無理”だと告げる。

近くのニュージャージーの空港までもたどり着けないと判断したサリーはハドソン川への

着水を決め、冷静に成功させた。乗員乗客155人は駆け付けたフェリーなどに救助され

死者はゼロだった。


メディアは“ハドソン川の奇跡”と称え、市民も彼を”ヒーロー”と呼んだ…

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しかし、時間の経過とともに風向きが変わります。データの分析から、左のエンジンが

わずかながら出力を保っていたと分かったからです。「ラガーディアに戻れたではないか。

機長は乗客を無用の危険にさらしたことになる」と非難する声が上がります。

避けられない“バードストライク”で推力を失い、時間が限られた状況下、的確な判断で

真冬の川への着水を成功させ一人の死者も出さなかった“英雄”から、サリーは一転して

“容疑者”になったのです。

彼が悪夢を見た日はNTSB(国家運輸安全委員会)の事情聴取が始まる日でした。


委員が“墜落”という言葉を使うと、サリーがすぐに「不時着水だ、墜落じゃない」と

強い口調で訂正するなど、ヒアリングは初めから緊迫します。委員会側も譲りません。

一貫してサリーの態度は変わりません。決して英雄気取りになることはなく、プロとして

やるべきことをやった、着水の判断は間違っていなかったという誇りに満ちています。

左エンジンに関しても“データが間違ってる”と突っぱね、のちに証明されます。

この映画の成功は実物の機長が高潔な人物であったことに負うところが大だと思います。


わずか7年前に起きたことですから物語は広く知られています。その後の出来事も機長の

人柄も含めて。だからでしょうか、クリント・イーストウッドは余計な“装飾”を排し、

事実をひとつひとつ積み上げることでこの映画を作ろうと考えたようです。

サリーの人柄を示すエピソードの一つ二つはあってもよかったのではないかと思うのは

きっと、私が映画のど素人だからでしょう。ハハハ。


見終わった感想としては、「すばらしかった」としか言いようがありません。

86歳の超ベテラン監督は96分ですべてを語り尽しています。その手際の良さに脱帽です。

そして、私にとっては2016年公開の洋画の中ではNo1だと書いておきます。


蛇足2


鳥の衝突から着水まで328秒だったそうですが、映画はほぼ5分で描いています。

それでも短いと感じます。極度の緊張状態での208秒はあっという間だったでしょう。


「本当にこうだったのだろうか?」と思う気持ちもなくはないのですが、機長の判断が

正しいと分かる検証結果をつきつけられたときのNTSB委員の潔さに感心しました。

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by toruiwa2010 | 2016-12-29 08:40 | 映画が好き | Comments(0)

アイ・イン・ザ・スカイ 90


アフリカ東部、ケニアの首都ナイロビ郊外に粗末な住宅が立ち並ぶ一角がある。

早朝だったが、一軒の家の庭で少女がフラフープをしていた。父親のお手製だった。


この日、同じ時間帯のナイロビ上空20000フイートには米軍の無人機、ドローンが飛び、

イギリスで、アメリカでも緊張をはらんだ慌ただしい動きがあった。その中心にいたのは

イギリス陸軍のキャサリン・パウエル大佐(ヘレン、ミレン)だった。国際的な共同作戦で

テロリストを追っていた。6年をかけてようやく見つけ出したイギリス人とアメリカ人の

ターゲットをこの日 捕獲することになっていた…

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戦争ではなく、テロとの戦いを描いています。

当初、この作戦では上空を飛ぶ米軍のドローン“リーパー”と地上に展開する諜報員が操る

ハチドリや虫の形のロボット・カメラで標的が一軒の家に集まったことを確認できたら、

ケニア軍が急襲して“生け捕り”にする予定でした。しかし、ロボットのカメラが 別室で

自爆テロの準備が進んでいる映像を送ってきたことでこの作戦は一変します。

その場で殺害しないと大勢の犠牲者が出るからです。


キャサリンはアメリカ・ネバダ州の米軍基地を介して“リーパー”からのミサイル発射を

依頼する一方、イギリス国内の作戦本部に攻撃の許可を求めます。発射準備は整いますが、

一般市民を巻き添えにすることを恐れて許可はなかなかおりません。遠く離れた本部で

議論されるのは少女の命よりも、リスクを冒してGOを出したときの政治的、法律的な

責任がどうなるかに比重が置かれています。

しかも、やっと許可が下りたかと思えば今度は標的の民家の横にオープニング・シーンで

フラフープを回していた少女・アイアが来て母親が焼いたパンを売る準備を始めます!


新しい問題が持ち上がり、やきもきするキャサリン、作戦本部、ミサイル発射を担当する

ネバダの基地、そして、発射ボタンに指をかけて命令を待つ兵隊の気持ちは ロボットや

ドローンのカメラがとらえる精密な映像を前にして千々に乱れます。


現代の戦争で用いられるドローンが陰の主役になっているのがこの映画の特徴です。

今回はアフリカ上空のドローンをネバダの基地の一室から操作していました。

実際の戦場から数千キロ離れた場所から戦闘に参加するのです。絶対に自分には身体的な

危険が及ぶことはありません。物語として見る者には“ゲーム”の感覚です。…であっても、

自分たちの決断・命令・行動が引き起こす結果は高精度カメラの画像で突き付けられます。

非現実のように見えるけど“現実”です。


作戦が終了したとき、作戦本部に参加していた女性の政府関係者が「恥ずべき作戦ね」と

本部を取り仕切り、キャサリンと直接やり取りしていた将官に言います。的を射ています。

しかし、彼は厳しい顔で言い返しました。


「テロの直後の現場を5回も見ている

戦争の代償を知らぬなどと、二度と軍人に言うな」。


戦争の現代的な側面を伝える映画として高く評価します。


ヒトラーの忘れもの 85


19455月、デンマーク。

5年に及んだドイツによる占領が終わり、敗れたドイツ兵が長い列を作って行進していた。


翌日、海岸に駆り出された14名の兵士の一群があつた。少年兵だった。

“戦争の後始末”として彼らに与えられた任務は海岸に埋められた地雷の除去作業だった。

ドイツ軍は北海に面したデンマークの西海岸一帯に220万個もの地雷を敷設していた。

連合軍の上陸を阻止するためだった。


彼らに命令を下し、監視するのはカールという名の鬼軍曹だった…

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鑑賞中ずっと、緊張を強いられました。上映時間の何割か分かりませんが、少年たちは

浜辺に腹ばいになり素手で砂をかき分けながら地雷から信管を抜いて処理していきます。

どの瞬間かに爆発する 膨らみ続ける風船をリレーするゲームをやっている感覚でした。


少年とはいっても捕虜になったドイツ兵ですから困難な作業を命じられるのも仕方がない

かもしれませんが、本当に幼い顔つきの彼らがカールの容赦ない罵声を浴びて、必死に

地雷に取り組む姿を見ていると、彼らもまた戦争の犠牲者だと思えてきます。

その意味では、珍しく、原題の“Land of Mines”「地雷の土地」より邦題の方がぴったりです。

地雷も少年兵も“ヒトラーの忘れもの”ですね。


見て楽しい映画ではありませんが、この機会に歴史に埋もれた知られざる事実を知るのは

いいことかもしれません。


この世界の片隅に 85


昭和85月の広島市江波。

この瀬戸内海に近い小さな町で、まだ幼かった浦野すず(声:のん)の毎日は、おだやかに、

平和に過ぎていた。それは、戦争が始まっても、しばらくは変わらなかった。

昭和19年、すずは望まれて海軍の街で知られる呉(くれ)で鎮守府に努める男に嫁いだ。


つかみどころがなく、のんびりした性格のすずは優しい夫の愛情に守られて新しい環境に

なじんでいくが、戦争の厳しさは都会を遠く離れた呉にも及ぶようになる

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苦手なアニメだし、見るつもりはまったくなかったのですが、あまりにも“騒がしい”ので

出かけることにしました。見てよかったと思いました。勧めてくれた方に感謝です。


“戦争反対”を前面に押し出す映画は多いですが、静かに反戦を訴えるこの種の映画には

共感を覚えます。終盤ですずが口にする「ぼうーっとして、なにも考えないウチのまま

死にたかった」という短くさりげないセリフにすべてが込められている気がします。

そして、そのメッセージはしっかり伝わります。


今年のアニメでは「君の名は。」の方が人気は上でしょうが、私の感想点は75点でした。

“入れ替わる”ということが理解できず、最初から最後まで、キツネにつままれた気分で

楽しめませんでした。こちらは分かりやすく、絵の雰囲気も使われている色もおだやかで

見やすかったです。


SMOKE 90


オーギー(ハーヴエイ・カイテル)がタバコと雑貨を扱う店はブルックリンの16丁目と

プロスペクト・パーク西の角にあって近くの住民のたまり場になっていた。

彼らの多くは競馬新聞とスポーツ紙しか読まない連中だったが、常連の一人、ポール・

ベンジャミン(ウイリアム・ハート)はインテリだ。


作家だが、長い間 新作を書いていなかった。数年前、妊娠中だった妻が銀行強盗事件に

巻き込まれて死んで以来、立ち直れていないのだ。オーギーはその日の彼女を覚えている。

もし、彼女が釣りの要らないぴったりの小銭を持っていなかったら、もし、店がもう少し

混んでいたら、ほんの少しの差で彼女は死ななくて済んだかもしれない…

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ある日、オーギーの店でたばこを買った帰り、トラックにはねられそうだったポールを

間一髪で助けた黒人少年、ラシード、遠い昔に家族を捨てたラシードの父親、サイラス、

18年前にオーギーを裏切って彼の元を去っていったルビー、そんな登場人物の人生の

“一コマ”が描かれています。


どのエピソードもどことなく“漂っている”感があって、それがSMOKEなのかもしれません。

1995年に公開された作品のデジタル・リマスター版です。

小品ながら、丁寧に作られた秀作です。クリスマス・イブに しみじみと心に沁み入ってくる

いい映画に出会いました。


皆さま、ごきげんよう ???


今年たぶん最後の映画…作者の独りよがりとしか思えない、訳の分からん1本だった。

35分我慢したが、隣を見ると妻が深く首を折っていたので即、退散した。

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by toruiwa2010 | 2016-12-27 08:23 | 映画が好き | Comments(2)

海賊とよばれた男 85


終戦から2日後、昭和20年8月17日の東京は一面の焼け野原だったが、その一角に

かろうじて焼け残っていたのは油の売買で財を成した國岡商店だった。

集められた社員たちは、皆、将来への不安でいっぱいだった。

そこに姿を見せたのは社員たちからは“店主”と呼ばれる國岡鐵造(岡田准一)が声をかけた。


「愚痴を言うな。誇りを持て。日本人がいれば必ず日本は立ち上がる。

心配するな。誰もクビにはしない」…

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油を扱う商人としてのし上がっていくときに強引な手段も用いたため同業者から“海賊”と

呼ばれた時代もある出光興産の創業者・出光佐三を描いています。

オープニング・シーンからおよそ6割のシーンで岡田は60歳を超えた鐵造を演じます。

36歳の“アイドル系”の俳優がこういう老け役を演じるのは極めて珍しいことでしょう。

特殊メークを施し、年齢に合わせて声も太く、かすれたものにして違和感をなくしています。

国村準、小林薫、堤真一、染谷将太、吉岡秀隆、鈴木亮平…脇を固める豪華な俳優たちに

支えられて力を出し切ったと思います。145分の長丁場を引っ張ったのは彼の力でしょう。


第38回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を獲った「永遠の0」に続く“百田尚樹原作・

山崎貴監督・岡田准一主演”の作品ですが、それほど高い評価が得られるとは思いません。

前作にくらべると全体に“一本調子”で盛り上がりに欠けています。

(綾瀬はるか)との関係がエンディングでよみがえり、泣かせる場面になるのですが、

伏線の張り方が十分ではなかった気がします。


ミス・シェパードをお手本に 85


ロンドン近郊のカムデンは有名人も多く住む静かな住宅街だ。その中心街から少し外れた

グロスター・クレセント通りの路上に停めた古ぼけたバンで老女が暮らしていた。

地域の住人から“マダム”と呼ばれることもあるその老女、ミス・シェパードは 垢に汚れ、

べとつく衣服をまとい、異臭を放っていた。


隣人たちは、通りを転々としながら暮らす彼女とつかず離れずの付き合い方をしていたが、

気持ちの優しい劇作家、ベネットはそういうわけにはいかなかった。ある日、たまたま

通りかかったときにバンを押してくれと頼まれたのをきっかけに懐かれてしまつたのだ…

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ミス・シェパードに難問が持ち上がります。町の規則が変わって路上に車をとめることが

出来なくなったのです。“お人よし”・ベネットは彼女の求めに応じて庭先にとめることを

認めてしまいます。ほんの数か月のつもりでしたが、奇妙な“同居生活”はなんと15年!も

続くことになります。


1999年に舞台でもこの役を演じていますが、100%、マギー・スミスありきの映画ですね。

イギリス演劇界の“至宝”は現在81歳ですから、80歳のときの作品でしょうか。

短いセリフだけで、あるいは、何も言わず表情だけで、ホームレスではあっても 頑固で

決して“thank you”を言わない誇り高い老女を見事に演じています。


今の日本の女優なら樹木希林でしょうが、彼女だと当たり前すぎて…。

頭に浮かぶのは杉村春子です。彼女なら強い性格の持ち主、ミス・シェパードをスミスと

同じレベルで演じたと思います。もう、彼女の名前を知る人も少ないでしょうが。


原題はThe Lady in the Van(ヴァンの中のレディ)です。邦題は“いじり”すぎてますね。

ハハハ。


Rotten Tomatoes…とは?


今週は見た本数も少なかったので、“スペース”が余りました。ときどき、参考にしている

Rotten Tomatoes(腐ったトマト)について少し書いておきます。


映画のレビューをまとめたサイト…というとらえ方でいいと思います。

話題作かどうかで集まるレビューの数にバラつきがありますが、100~250でしょうか。

NYタイムズを初め、名のある新聞・雑誌をほぼすべて網羅しています。

で、Rotten Tomatoesは記者・評論家の記事を読んで、作品に対して好意的か否定的かを

判断します。“新鮮”(fresh)腐っている”(rotten)かに置き換え、それぞれのアイコンを

それぞれの記事の頭に表示します。

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好意的なレビューが全体の60%以上なら新鮮60%未満だと腐っていると判定します。

そして、75%以上を獲得すると“新鮮保証”(certified tomatoes)のアイコンが与えられます。

集まったレビューの中で好意的なものが占める割合を数字で示しているわけで、決して

それぞれの記事の評価点の平均ではありません。混同するとややこしいです。


過去の経験で“いい映画・悪い映画”と“面白い映画・面白くない映画”が一致しないことや

専門家の見方が絶対ではないことを知っていますから、アメリカでの評価はどうだったか

それほど気にするわけではありません。

このサイトでは、たとえば、「第三の男」、「市民ケーン」、「イブのすべて」など古い映画が

すべての専門家から高評価を得て100%を獲得していますが、99%で「オズの魔法使い」が

史上のベストにランクされています。


21世紀になってからの実写映画で最高の評価(98)を受けているBoyhood(邦題:6才のボクが、

大人になるまで」を私は85点しかつけませんでした。評論家が専門家の目で見て推すものと

ファンとして観客が見た感想は必ずしも一致しませんね。私が参考にするのは見ようかどうか

迷ったときぐらいです。


ちなみに、最近5年間の私の洋画ベスト1をこのサイトがどう見たかチェックしてみると…

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そして、今日公開される話題の「ローグワン」の評価は85%となっています。

私はまったく見る気がありません。ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2016-12-16 09:00 | 映画が好き | Comments(0)
ブルーに生まれついて 85

1950年代、たばこの煙が立ち込めるマンハッタンの名門ジャズクラブ、バードランド。
テーブルを縫って若い男(イーサン・ホーク)がステージに上がった。その右手には愛用の
トランペットが握られている。男の名前はチェット・ベイカー、“ジャズ界のジェームス・
ディーン”と呼ばれていた。

成功を収めたベイカーだったが、50年代後半から へロインに溺れてしばしばトラブルに
巻き込まれるようになっていく。
公演先のイタリアでも留置場にぶち込まれたが、ある映画監督が救い出した。彼を主演に
映画を製作する意図があった。

撮影は順調に進んでいたが、ある夜、相手役の女優、エレイン(カーメン・エジョーゴ)と
食事をした帰り、数人の暴漢に襲われた。ヘロインの代金が未納になっていたようだ。
頸椎とあごに重傷を負い、トランペッターの生命ともいうべき前歯も数本折られた…
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映画は、エレインの助けを借りてベイカーが立ち直り、ミュージシャンとして再び脚光を
浴びるところまでを描いています。
1950年前後の日本で音楽と言えば、古いイメージの“流行歌”でした。大人たちは楽しんで
いましたが、若者の多くはアメリカから入ってくる音楽の主流だったジャズに夢中でした。
中学生だった私もほんの少し“かじった”ことがあってベイカーも聞いたことがあります。

ただし、この映画を見るのにジャズの知識があるかどうかはまったく関係ありません。
マイルス・デイビスとディジー・ガレスピーの名前が出たら、それはジャズの巨人だと
思えば十分でしょう。ハハハ。

ホークの演技は絶品です。なり切ってますね。口パクのようには見えないのですが、
ハスキーな声で歌う♪ My Funny Valentine は魅力たっぷりでした。

マダム・フローレンス 80

莫大な財産を受け継いだフローレンス・フォスター・ジェンキンス(メリル・ストリープ)は
音楽愛好家だった。子供のころにホワイトハウスでピアノを披露したこともあり、今は
専門家から歌のレッスンを受けている。音楽への熱意と愛情には疑いの余地はない。

しかし、致命的な問題があった。音程がかなり狂うのだ。
もっと問題なのは本人が気づいていないことだったし、周囲が教えないことだった…
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他人が歌うのを聴くのは大好きです。水曜日のFNS歌謡祭もたっぷり楽しみました。
そんな私もフローレンスと同じように音痴です。
ただし、私の場合、正確には“リズム音痴”の方が問題だし、音程が狂うことにはしっかり
自覚があるので人を辟易させたことはないはずです。

写真は数十年前の暮、フジテレビの奥様向けワイドショー「3時のあなた」で野口五郎の
「私鉄沿線」を歌ったときのものです。「何か歌え」と言われ、好きだったので選びました。

♪改札口で 君のこと いつも待った ものでした
電車の中から 降りて来る 君を探すのが 好きでした
悲しみに 心とざしていたら 花屋の花も かわりました…

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ここまではまずまずでした。しかし…、しかしです。
案の定、「ぼくの街で もう一度だけ…」の「ぼくの」が早くなってしまいました!
そこをとちったらダメじゃん、というところで思い切りとちってしまったのです。
このときを最後に、人前で唄ったことはないはずです。
バンドに助けてもらいました。ビデオが残っていなくてよかったわ。ハハハ。

話がそれました。
フローレンスは幸せな女性だと思います。夫・シンクレア(ヒュー・グラント)をはじめ
周りの“ディフェンス”が完璧でした。SNS全盛の今はこんな風に自分のことを知らないで
過ごすことは不可能です。

“音楽好きでお金持ちのマダム+音痴”という図式を描いた映画は今年2本目ですね。
春に公開された「偉大なるマルグリット」も“まあまあ”面白かったのですが、私の評価は
やはり80点どまりでした。こう書いています。

“そこはかとなく”おかしい映画です。楽しめます。
しかし、正直に言うなら、彼女が歌う時間帯は苦痛でした。


”奇遇“ですね。「マダム・フローレンス」についての感想はまったく同じです。
歌を聴くのは好きですが、あくまである程度の水準に達してないと。ハハハ。
ストリープはもともと音楽的才能のある人だと思いますが、出演に当たってはオペラの
コーチのもとで2カ月間、アリアを“正しく”歌うトレーニングを受け、最後の2週間で
“音程を外す”練習をしたそうです。音痴を演じるのは、音痴にも歌上手にも難しいんだなあ。
ハハハ。

by toruiwa2010 | 2016-12-09 08:41 | 映画が好き | Comments(0)

胸騒ぎのシチリア 80


圧倒的な人気を誇るロック歌手・マリアン(ティルだ・スウィントン)は、恋人・ポール

(マティアス・スーナールツ)と手術をしたばかりの声帯を癒しながら休暇を楽しんでいた。

イタリアのシチリア島とアフリカ大陸のちょうど中間、地中海の真ん中に浮かぶ小さな島、

パンテッレリア島は忙しいスケジュールを逃れて恋人同士が過ごすには絶好の場所だった。


彼らが借りている家は丘の中腹にあり、食事や買い物でふもとの村に出かけるとき以外は

まともに服も身にまとわないでいられる。その“自由”は上空を飛ぶ飛行機からの電話で

あっさり終わりを告げた。迷惑な声の主はマリアンの“元カレ”でポールもよく知っている

音楽プロデューサー、ハリー(レイフ・ファインズ)だった。


しぶしぶ空港に出迎えた二人の前に姿を見せたハリーはやたらテンションが高かった。

あとからゲートを出てきた若い女(ダコタ・ジョンソン)を娘だと紹介した。


二人の悪い予感は的中する…

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見に行くなら、物語の舞台を頭に入れておくといいかもしれません。

鹿児島の桜島、熱海の初島のように、パンテッレリア島はシチリアの近くにあるとばかり

思っていましたが、こんなところにあるんですね。大金をつぎ込んだリゾート地ではなく

お忍びカップルのプライバシーが保てるのが売りというタイプの観光地のようです。


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金持ちたちは素朴な自然や完全なプライバシーを求めてこの島に来るのでしょう。

酒と食事とセックス…彼らがいささか“乱れた”生活を送る島の沖合の海では中東の難民が

毎日のように命を落としています。描かれてはいませんが、話として伝わります。真意は

分からないものの、制作者には伝えたい気持ちがあったのだと思います。


日本人にはハリーという人物が理解しにくいかもしれません。少なくとも私は、いきなり

彼がマリアンと別れたあとの苦しみについて話すことに強い違和感がありました。

「君の生活ぶりを見てると、とてもそんなことでへこむようには見えないぜ」と言いたい

衝動にかられます。ハハハ。


この映画は最後の30分ほどで思いもかけない展開を見せます。そして、私に言わせれば、

かなりいい加減な終わり方をします。ネタバレになるので書きませんが、イタリア人が

見たらきっと“vaffanculo!”(バッファンクーロ)と言うでしょうね。アメリカの映画人は

イタリアに行ってもしばらくはカラビニエリに近寄らない方がいいかもしれません。ハハハ。


余談ですが、ヌードも披露するスウィントンが撮影した当時、55歳だったとあとで知って、

腰が抜けるほどびっくりしました。その年齢で“脱げる”日本人女優って誰がいるだろう…と

考え込んでしまいました。かろうじて頭に浮かんだのは宮沢りえだけでした

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もう一つ驚いたのは、NYタイムズ、LAタイムズ、ボストン・グローブ、ワシントン・

ポスト、USAトゥデイ、AP、ローリング・ストーン、ヴァラエティといったメディアの

コラムニストたちが好意的な記事を書いていることです。

ときどき参考にしている“くさったトマト”では35人の記者・評論家たちのうち30人が

書いた記事について「この映画を“新鮮”と認めている」と判定しています。


ま、エロティックなシーンやぼかしの入った裸を見たければどうぞ。

ちなみに、初日の2回目、1055分からの回、ピカデリーは30人ぐらいしか入って

いませんでした。


ハンズ・オブ・ラヴ 85


ニュージャージー州オーシャン郡の女性刑事、ローレル(ジュリアン・ムーア)は自分が

同性愛者であることを相棒・デーン(マイケル・シャノン)にも隠していた。オーシャンは

保守的な土地だったし、警察という組織の性格も決して“オープン”ではなかったからだ。

自動車整備工のステーシー(エレン・ペイジ)と出会い、郊外の一軒家で同居が始まった。

しばらくは、それなりに幸せな生活が続いたが、ある日、ローレルにがんが宣告された。


かなり進行した肺がんだった…

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問題はそれだけではありません。余命が短いことを知ったローレルは自分が死んだあと、

ステーシーが遺族年金を受け取れるようにしたいと考えます。“妻”なら問題ないのですが、

当時のニュージャージー州はまだ同性婚を認めていませんでした。

命の期限を切られ、周りの目も厳しい中でローレルはステーシーやデーンの助けを借りて

抗議行動を続けます。


同性愛についてはどんなに努力してもよく理解できません。

現在の私の周囲にはいませんが、若いころに友人がそうだったら、少しずつ疎遠になって

いったでしょう。差別する気持ちはないものの、“不自然”という気持ちは抑えられません。

ただし、この映画の主題は同性愛ではなく、権利を求めて戦う人の強さです。

その部分では十分に訴える力がある映画でした。「胸騒ぎ…」とは逆に“くさったトマト”の

評価はびっくりするほど低かったのですが、私の基準では85点に値すると思います。


ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち 85


第二次世界大戦前夜、チェコスロヴァキアはナチスドイツの脅威にさらされていた。

特にユダヤ人は戦争の足音が高まる中で子供たちの命をどう守るかが喫緊の課題だった…

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この映画で初めて知りましたが、チェコで本当にあった物語です。

当時の記録映像やニュース映像と一部再現ドラマで構成された映画の主人公はイギリスの

ビジネスマン、ニコラス・ウィントンです。

自分たちはどうなってもいい、せめて子供の命を助けたい…絶望的な親たちの依頼を受け、

ウィントンは子供たちを自分の母国に送り、そこで希望するイギリス国民と養子縁組する

仕組みを考えて実行に移したのです。


この仕組みによって669人もの子どもたちの命が救われましたが、ウィントンの存在は

長い間、世に知られていませんでした。“救出劇”から50年後の1988年、彼の妻が物置で

ほこりをかぶったスクラップブックを見つけたことで明るみに出ました。そこにすべてが

記されていたからです。


一人の男の行動がきっかけで命を救われた669人の子どもたち、彼らの子や孫…どこまで

“裾野”が広がっていくかを考えると感動します。終わりに近いころ、館内にはたくさんの

すすり泣きが聞こえました。


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by toruiwa2010 | 2016-12-02 08:41 | 映画が好き | Comments(0)

(さとし)の青春 90


1階は商店、2階はアパート、そんな建物が並ぶ大阪の下町。

朝、金物屋の主人が店先に出てきて大きく伸びをする。視線の先に異様なものがあった。

ゴミ置き場の横に体の大きな男が一人 鉄の柵にもたれかかっていた。2階の住人だった。

スーツ姿でネクタイを締め、身なりはきちんとしている。駆け寄ったオヤジに男が言った。

「会館まで連れて行ってくれませんか」。


将棋会館に到着したタクシーから降りるとオヤジの肩を借りてかろうじて部屋につく。

盤の前の座布団に正座すると、盤上の駒袋から駒を取り出し、一枚ずつ並べていく。

立ち合い人に促されて第一手を指す。7六歩。9枚並ぶ歩の左から3番目を突いて出た。


男は村山聖(さとし:松山ケンイチ)、関西では怪童と呼ばれる棋士だった

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将棋界では羽生善治(東出昌大)が史上初の五冠を達成し、飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

聖はその羽生を追うグループの一人として将来を嘱望されていましたが、大きなハンデを

背負っていました。幼いころから重い腎臓病、ネフローゼを患っていたのです。

羽生を倒さなければ将棋の世界でトップになれないと、意を決して東京に移ったころには

病気が進行していました。しかし、回復に半年、1年かかると聞いて手術を拒みます。


羽生を倒すことだけを目標とする聖の前に病気が立ちふさがっていたのです。

時間が限られている聖は人生のすべてを将棋に集中させます。焦り、いらだつ聖を松山が

余すところなく演じています。病気が原因で太ってしまう聖に扮するため20キロ増量し、

体形が変わってしまった松山はまったく別人のように見えますが、そうしないと聖には

なり切れないと思ったのでしょう。役者魂と言いますが、それを超えるものを感じました。


羽生との友情の在り方がいいですね。挫折を知らずにトップに駆け上がった羽生に対し、

病魔と闘いながらその羽生に追いつき追い越そうと努力を重ねた村山、キャラクターが

真逆に見える二人の間に流れた“相手を認める”感情は美しいと思いました。

やりたいことがあるのに残された時間は短かい…つきつけられた厳しい現実と格闘し、

29歳で逝ったという村山聖は“無念”だったでしょうか?

私には、生き切ったことに満足感があるように見えますが、答えはもちろん本人にしか

分からないことですね。


蛇足ですが、東出は羽生に似せようとしすぎて失敗した気がします。


92歳のパリジェンヌ 85


鏡を見ながらマドレーヌは口紅を塗っていた。今日は家族に話そうと心に決めていた。

娘のディアーヌの家で92回目の誕生日が祝われることになっていて全員が集まるのだ。


祝いの席でマドレーヌが告げた。

2ヶ月後の1017日に逝くことにしたわ。その日が来たのよ」と。

しばらく、家族の誰ひとり 口を開かなかった…

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“老い”の問題は厄介ですが、誰にもやがて必ず訪れます。有名でも金持ちでも。ハハハ。

この映画の評価は見る人の年齢によって大きく分かれると思います。78歳の私にとっては

きわめて身近な問題ですから、そう遠くない将来、我が身にも起こることとして見ました。

当然、“身につまされる”シーンが何度も出てきました。


彼女は通いの家政婦に手伝ってもらって一人暮らしをしていますが、きつくなっています。

車を運転すれば、せまい道でエンストを起こして渋滞を招くし、先日は尿もれでシーツを

汚してしまいました。家政婦のヴィクトリアは優しく慰めてくれますが、“いよいよだ”と

覚悟しました。気力がなくなって、日常生活で不便なことが増えてきたら、この世から

いなくなろうと決めていたのです。


マドレーヌは家族に迷惑をかけたくないとかたくなに思っています。私も同じです。

自分で判断できるうちに逝きたいと願っています。私も同じです。

そこから先は人それぞれです。個々の事情に大きく左右されるでしょう。

物語の結末についての感想も人によって違うでしょう。また、こういう映画の評価には

信仰を持っているかどうかも影響を与えるでしょうし、一定の条件のもとで“安楽死”を

認めている国があるヨーロッパと日本では受け止め方に差があるだろうと思います。


ブルゴーニュで会いましょう 90


シャルリのテイスティングが続いている。定評のある評論家だった。

色、香り、味、そして後味まで手際よく判定し、短くコメントする。女性アシスタントが

メモを取っている。最後に総合点をつける。20点満点だが二桁に達するものは滅多にない。

今年で7年目になる彼のワインブックはよく売れていた。

シャルリは束縛を嫌い、父親に反抗して若いころに家をとびだし、パリで評論家として

頭角をあらわしていた。目下、順風満帆だった。


父・フランソワはピンチを迎えていた。

先祖から受け継いできたワイナリーが巨額の負債を抱え、人生をかけてきたブドウ園を

売却しなければいけないところまで追いつめられていた…

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結局、シャルリがブルゴーニュに戻って立て直しを図ることになりました。

この手のタイトルには何回となく騙されてきましたが、期待以上に良かったです。


絵のように美しいブドウ畑。

改めて知るワイン造りのプロセス、自然との闘い。

少しうまくいきすぎるなあと思う部分はあるものの、いろいろなエピソードがいい具合に

溶け合っています。普通だったら“不倫だ”と非難されそうなシャルリと隣の農園の娘との

恋物語さえ、美しいと思ってしまいました。“ゲス”でない不倫。ハハハ。


原題は“プレミエ・クリュ”…1級の畠と言うことのようです。シャルリのブドウ園全体を

指すのではなく、極めて質の高いブドウが取れるのはわずかな一角らしいです。


マイ・ベスト・フレンド 85


小学生のとき ジェスがアメリカからロンドンに来て、ミリーのクラスに編入されて以来、

二人は親友だった。派手で社交的なミリー、地味で控えめなジェス、性格は正反対だが、

気が合った。どこに行くのも、何をするのも一緒だった…

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二人の友情は結婚してからも続きます。

しかし、ミリー(トニ・コレット)2児を授かりますが、ジェス(ドリュー・バリモア)

懸命の努力にもかかわらず子宝に恵まれません。それでも友情は変わりませんでした。

ある日、ミリーに乳がんが宣告されます。ほぼ同時にジェスは懐妊します!

親友には死の宣告、自分には念願の妊娠…運命のいたずらです。


ミリーの不屈の精神力には圧倒されます。ジェスの変わらぬ友情も美しいです。

しかし、二人の関係は“理想”でしょうね。現実には、なかなかここまで思い合う友達は

いないだろうと思います。えっ、いますか? 

まあ、普通の友人も少ない私には何も言えませんが。ハハハ。


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by toruiwa2010 | 2016-11-25 08:41 | 映画が好き | Comments(0)