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岩佐徹のOFF-MIKE

toruiwa.exblog.jp

実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

カテゴリ:映画が好き( 221 )

築地 WONDERLAND 90


東京湾に朝陽が昇る。新しい一日が始まろうとしている。

しかし、築地市場はすでに日付が変わるころから動き始めている。卸売会社だ。

続けて仲卸商が動く。漁師・卸商と消費者をつなぐ この“物語”の主役たちだ…

残念ながら、フジテレビのアナウンサー時代、築地を取材する機会はありませんでした。

知っているのは場外市場の一角だけです。あと、前立せんがんの手術で通りの向かいの

国立がんセンターに入院中は、毎朝、病室の窓から全体像を見おろしていました。ハハハ。

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この映画は 私が知っていたのは“TSUKIJI”のごくごく一部だったことを教えてくれます。

貴重で素晴らしいドキュメンタリーでした。

ただし、裏側や細部に驚くより しっかり伝わってくる働く人々の“内面”に打たれます。


料理評論家・山本益博が言います。


世界一じゃないよ。世界唯一だ。あれに匹敵するものは世界中に一つもない。

No1ということは2番目、3番目があることになる。そうじゃない。Only oneだ…と。


寿司の名店・九兵衛のオヤジが言います。


あそこがなければ商売にならない。


ほかに、ナレーションや学者や研究者など築地に出入りする人たちの話も出てきますが、

大半がそこで働く人たちのナマの言葉で綴られています。その言葉たちがすばらしいです。

生きています。“作り物”ではない言葉には大きな力があることがよく分かります。

2016112日に幕を下ろす…という当初の予定をうけ、1年以上をかけて制作された

ドキュメンタリー映画です。


1935年に開場した日本最大の卸売市場

広さは23万平方メートル、東京ドーム5個分

そこで働く人、約14000

外から来る購買者、約28000

入場車両、約19000

7つの卸売会社があり、600人の仲卸が日々1600トンの水産物を扱う


数字や情報はたくさんあります。しかし、この映画の主役はあくまで働く人たちだし、

なにより、彼らの“心意気”です。


アイリス・アプフェル、パコ・デ・ルシア、ミリキタニの猫…今年はドキュメンタリーに

いい作品が多いですね。劇映画が振るわないということか?


われらが背きし者 80


ロシア・モスクワ郊外で制服を着た兵士が走ってきた一台の車に停止を命じた。

ウインドウを下げたドライバーに親しみやすい笑顔を向けたのは一瞬だった。

次の瞬間、兵士は自動小銃を車内に差し込むと、ためらわずに引き金をひいた。

後部座席から逃げ出した若い娘を追って林の手前で射殺すると兵士はゆっくり車に戻り、

シートの上に残された木製の箱を持ち去った。


モロッコ中央部の都市、マラケシュ。

休暇中の大学教授・ペリー(ユアン・マクレガー)は妻のゲイル(ナオミ・ハリス)とこの街の

高級レストランで食事を楽しんでいた。しかし、ゲイルの携帯が鳴って、ひびが入った

夫婦関係を修復するための水入らずの時間は終わった。もともと仕事が入る予定はあった。

ゲイルは腕のいい法廷弁護士なのだ。


あわただしくゲイルが去ったあと、隅のテーブルで騒いでいたロシア人のグループから

一人の男がベリーに近づき、一緒に飲まないかと言葉をかけてきた。遠慮するペリーを

男はかなり強引に誘った。ディマ(ステラン・スカルスガルド)と名乗った…

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いささか強引にペリーに接近したディマはロシア・マフィアのメンバーでした。

自分と家族の安全なロシア脱出と引き換えに、巨額のマネーをロンダリング(洗濯)しようと

企てている悪党のリストを西側に提供すると言うのです。

冷戦時代を舞台にしたスパイを描くジョン・ル・カレの小説は数本 映画化されていますが、

私は60年代の「寒い国から帰ってきたスパイ」しか見ていません。主演のリチャード・

バートンの演技が素晴らしかったと記憶しています。


一方、この作品の俳優たちの演技には少し疑問があります。

50年前の 記憶が定かでないバートンと比較するのは不公平ですが、ペリー夫妻がディマに

なぜそこまでかかわっていくのかがよく伝わりません。演出の問題かもしれませんが。


奇蹟がくれた数式 85


ケンブリッジ大学 トリニティカレッジの自分の部屋でハーディは思い出にふけっていた。

インド人の青年とともに難解な数式の研究に取り組んだ日々を。

イギリス人とインド人が互いに理解し合うのはとても難しい時代だった。


二人の出会いは6年前の1914年にさかのぼる。

植民地・インドから届いた一通の手紙が著名な数学者のハーディをびっくりさせた。

差出人はマドラスの港湾局で働くラマヌジャンという若者だった。彼は高い教育は受けて

いなかったが、独学でむつかしい数式を研究した成果を綴ってきたのだ。

ハーディはラマヌジャンを大学に招くことを決めた…

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招かれたことに大喜びのラマヌジャンは新婚の妻を残して、単身 イギリスに渡りますが、

待っていたのは露骨な差別と約束されたはずの研究の発表が彼が思ったほどのペースでは

進まないという冷酷な現実でした。


「『スラムドッグ$ミリオネア」でデビューしたデーヴ・パテール“少年”も今やすっかり

立派な青年になりました。好演しています。



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by toruiwa2010 | 2016-10-28 08:17 | 映画が好き | Comments(0)

男と女 85


赤頭巾ちゃんの物語の一節を話して聞かせるとアンヌは娘の手を引いて浜辺を歩き始めた。

港に立ち並ぶ土産物屋をのぞきながら娘との束の間の時間を楽しむ。スタントマンの夫を

事故で亡くしたアンヌは優しい母親だった。


ジャンは真っ赤なスポーツカーの運転席に幼い息子を座らせ運転の真似事までさせていた。

日没が迫る浜辺でも好きなだけ遊ばせた。会える機会は少ないのだ。限られた時間の中で

母のいない息子に愛情をそそぐ父親の顔を見せていた。


アンヌとジャンがそれぞれの子供を寄宿学校に送り届けたのは門限ぎりぎりだった。

建物の中に入っていく息子を見送ったジャンが車を出そうとしたとき、舎監が彼を止めた。

パリ行きの最終列車を逃したこの人(アンヌ)を乗せてくれないかと。


“男と女”が出会った…

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アンヌにアヌーク・エーメ、ジャンにジャン=ルイ・トランティニヤンが扮し、1966年に

クロード・ルルーシュによって制作されたフランス映画です。

♪ダバダハダ、ダバダハダ、ダバダハダ、ダバダハダ…単調と言えば単調なこの音楽が

もう すでにおしゃれじゃないですか。ハハハ。


当時 劇場で見たのは間違いないのですが、覚えているシーンはひとつもありませんでした。

それはともかく、映像がきれいです。色彩がではありません。どちらかといえば、終始、

暗い色調の中で物語が進みますが、構図と画面のトーンが美しいのです。

そして、50年も前の作品という“古さ”はまったく感じません。むしろ、物語に関係ない

何か所かの会話を無音(ミュート)で処理しているところなど、新鮮で、やるなあと思いました。

ハハハ。

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どこの上映館でも同じかどうかわかりませんが、恵比寿ガーデン。シネマでは本編の前に

「ランデブー」という超短編が見られます。


早朝のパリ。短いトンネルを抜けた車がスピードを上げていく。

ゆったりと坂を上っていくと、やがて遠くに凱旋門が見えて来る。スピードを落とさず、

車はあっという間に凱旋門の横を抜け、人影がほとんど見えないシャンゼリゼ大通りを

猛スピードで走り続けてコンコルド広場へ。


右、左と鮮やかなハンドルさばきでルーブルを過ぎ、オペラ座を過ぎてなお走り続ける。

赤信号を気にする様子はない。目の前に現れる人も車も軽々と交わしていく。


ようやく車が走るのをやめたのは…サクレクール寺院の前。そこに、女性が待っている。


…それだけ。長さは9分、カットなし、ワンテイクで撮ったと聞きます。

知りませんでしたが、これもクロード・ルルーシュの作品です。

ドライバーの顔は映らないし、迎えた女性の顔もアップにならないうちに終わりますが、

十分 “ドラマ”になっています。もうけた気分でした。ハハハ。


永い言い訳 90


作家・津村啓(本木雅弘)が鏡の前に腰を下ろしていた。首からビニールの布が下がっている。

髪が濡れているのが分かる。散髪をしているのだ。彼のうしろでハサミを持っているのは

妻の夏子(深津絵理)だ。テレビからはクイズ番組の音声が聞こえている。

他愛ない会話が交わされていた。


わずかな言葉の行き違いから軽く言い合いになった。いやな空気を残したまま、夏子が

出かけて行った。高校時代からの親友とスキーに行くのだ。

津村は夏子が家を出るとすぐにスマホに手をのばした…

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スランプに陥った津村は不安定な精神状態にありました。売れない時代から支えてくれた

夏子に対しても素直になれません。だから“言い合い”になったのです。

夏子が出かけたあと、彼は若い恋人(黒木華)を家に呼びます。翌朝、“事故”を知らせる

電話がかかりました。夏子が親友とともに 乗っていたバスの転落事故で亡くなります。

そこまでが導入部です。


物語が動き始めるのはバス会社の説明会で津村が親友の夫に出会うところから始まります。

ディテイルに不満がないわけではありませんが、全体の仕上がりはいいと思います。

津村の“心模様”がていねいに描かれているのは、原作・脚本・監督が同一人物(西川美和)

だからかもしれません。彼が“父性”に目覚める瞬間など、やるもんだと感心しました。

ハハハ。


相変わらず 本木がいいですね。主演男優賞の候補になりそうな予感。

重要な人物を竹原ピストルという俳優が演じます。よかったのか悪かったのか、私には

かなり微妙です。奇をてらったとは言わないものの、はまっているようないないような…

みなさんで判断してください。ハハハ。


何者 85


佐藤健、有村架純、二階堂ふみ、菅田将暉、岡田将生、山田孝之…

魅力的な俳優が揃った青春映画です。演劇や音楽に打ち込んで

それぞれに学生生活を満喫してきた若者たちが受験以来の人生の

試練に直面するのは就職活動です。


原作は朝井リョウ、同名の小説で直木賞を獲ったそうです。

“「爺さんには分かんねえだろうなあ」と言われそうなので”

という不純な理由で85点としました。ハハハ。

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ちりばめられたいくつかのエピソードは“就活あるある”的で

正直、何を描きたいのかが伝わりませんでした。もしかすると

原作者の思惑とは違う作品に仕上がったのではないでしょうか?

もちろん、それも“あり”ですが。


どうした、ハカセ?


ここだけの話ですが、昨日、ブログを更新したのが810分、

更新したことを告知するツイートは843分でした。

すると、91分にそのツイートをRTされました。

RTロゴのあとに“水道橋博士さんがリツイートしました”と。

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「どうせBOTだろう」と思ってチェックすると本人でした。

どうも、起き抜けにエゴサーチして自分に関係するツイートや

ブログを拡散するのがハカセの日課のようです。

続けて“イチャモン”が来るかと、少し緊張しました。ハハハ。


間違ったことは書いていない自信があったのに緊張するのは

“炎上”の経験があるからですね。


結局、なにごともなく…。

“余波”なのか、今朝は早くからアクセスが多いですが。


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by toruiwa2010 | 2016-10-21 08:29 | 映画が好き | Comments(2)

ベストセラー 85


1929年、世界恐慌の最中のニューヨーク・マンハッタン。

降りしきる雨の中、男は傘もささず、コートの襟を立ててタバコを吸っている。

彼が見上げるビルの一室でマックス(コリン・ファース)が原稿に眼を通していた。

定評のある出版社の腕利き編集者だ。ドアが開き、新しい原稿がデスクの上に置かれた。

かなりのボリュームだった。

タイトルは「失われしもの」、その下にタイプされた著者の名はトマス・ウルフ…

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マックスの執務室にトムが現れます。

どうせこの出版社でもnoと言われるものと決めてかかり、原稿を引き取りに来たのです。

そんなトムにマックスが言います。

「ウチで出版する。ただし、原稿を半分に削ることが条件だ」。


つらい作業が始まります。書きたいことがたくさんあるトムにとってつむぎ出した文字は

どれも大事なものですから、削ることをためらいます。

お構いなしに削っていくマックスとはしばしばもめますが、辣腕編集者は「傑作を読者に

届けるのが私の役目だ」と言って手をゆるめません。ファースが好演しています。

「失われしもの」とつけられていたタイトルも「天使よ故郷を見よ」に変わりました。

苦しんで書いた文章が削られることに耐えられないトマスですが、出版するたびに本は

売れますから、従わざるを得ません。


売れない時代からトマスを支え、励ます女性にニコール・キッドマンが扮しています。

終盤、マックスが担当していた作家のひとり、ヘミングウエイがさりげなく登場しますが、

“アーネスト”とファーストネームで呼ばれ、ヘミングウエイの“ヘ”の字も出て来ません。

あの大文豪だと気づかなかった人もいたんじゃないかなあ。どうでもいいんだけど。ハハハ。


グッドモーニングショー 70


時計の針が3時を指すと目覚ましが鳴り始めた。ベッドから伸びた男の手がそれを止めた。

澄田真吾(中井貴一)は朝のワイドショーのキャスターをつとめている局アナだが、視聴率が

振るわず、苦戦中だ。

パジャマのままキッチンに行くと、妻(吉田羊)が“まだ”起きてテレビを見ていた。

妻とテレビの間のソファには息子もいた。


妻から爆弾が落とされた。息子が交際中の女性が妊娠した、結婚するそうだと。

「お前、まだ学生じゃないか」と慌てふためく澄田だったが、出かける時間が迫っていた。

「改めて話そう」と息子に声をかけ、支度を整えるとマンションを出て迎えのタクシーに

乗りこんだ。

この日は、ほかにもややこしい話が持ち上がった。厄日なのか…

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番組で共演している女性アナ(長澤まさみ)に“言い寄られ”、電話やメールで泥酔した夜に

何かがあったようにほのめかされるという悪夢。

同期の番組プロデューサーから、「このまま、視聴率の低迷が続けば、打ち切りになる」と

告げられる過酷な現実。


最悪だったのは、放送中に立てこもり事件が発生し、人質をとった犯人が“交渉”相手に

澄田を要求したことでした!

序盤は、今のワイドショーの裏側みたいなものが見られて、その世界にいたのが何十年も

前のことになっている私にも面白かったのですが、澄田が犯人(濱田岳)と“交渉”を始める

あたりから、恐ろしくつまらなくなりました。いい役者を揃えてるのに、もったいない!


人間の値打ち 80


クリスマスの前々日、市内の有名高校のガラが終わった。

後片付けをしていた作業員の一人が先にホールを離れた。

自転車で深夜のミラノ郊外を走っていた彼を車がはねた。

車はそのまま走り去った。ひき逃げだ…

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このイントロ部分はほんの数分ですが、事件は ミラノに住む2人の少年と1人の少女、

それぞれの親たちを物語に引きずり込みます。見ず知らずだった親たちもいや応なしに

絡み合うようになっていきます。三つの家族は構成も家族間の人間関係や社会での階級も

かなり違います。映画は、事件が起きる前、起きたとき、そのあと…それぞれの時間に

それぞれの家族たちに何が起きていたかを説明していきます。


私は物語として楽しみましたが、人によってとらえ方が違うでしょう。

原題は「Human Capital(イタリア語:Il capitale umano」。

“人的資本”ということですが、この言葉の意味も、それとこの映画がどう結びつくのか

さっぱり分かりません。物語として楽しんだ…のは正解かも。ハハハ。


淵に立つ 85


メトロノームを使って蛍が朝のオルガン練習をしていた。章江が「ご飯よ」と声をかける。

夫の利雄はすでに食べ始めていた。口数は少ないが穏やかで夫婦仲は悪くなかった。

章江と蛍は手を合わせ、神に感謝の祈りを唱えてから箸を取った。いつもの朝の光景だ。


妻と娘が慌ただしく出かけたあと、利雄は家に隣接した小さな工場で仕事を始めた。

通りの向こうに一人の男が立っていた。利雄とは旧知の間柄のようだ。会話から 会うのは

久しぶりだと分かる。


章江が戻ったとき、男は機械に向かって仕事をしていた。「手伝ってもらうことになった」と

こともなげに利雄は章江に告げた。

それだけではなく、男はその日からこの家に住みついた。八坂と名乗った…

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八坂(浅野忠信)は謎めいた男でした。

旧知の利雄(古舘寛治)と章江(筒井真理子)、幼い蛍にまで敬語を使って話しかけます。

仕事のとき以外は 白いワイシャツのボタンを一番上までとめて着ています。

夜は「電気をつけたままでないと眠れない」と言い、食事は驚くほどの速さですませます。


…八坂は刑余者です。

それが分かると彼の“ナゾ”は解けます。これ以上はねたバレになるので書けません。

小品ですが、なかなかいいと思いました。

ただし、意図的でしょうが、終盤で“説明不足”の部分があって、置いてきぼりにされた

気持ちがあることも否定できません。ここから先は自分で考えてよとつき離されたようで。

ハハハ。


3人の俳優がすばらしい演技を見せています。

特に、知名度が高くない古舘と筒井はこの作品で評価が上がるのではないでしょうか。


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by toruiwa2010 | 2016-10-14 08:15 | 映画が好き | Comments(0)

ある天文学者の恋文 80


早朝のホテルの一室で激しくキスを交わす男女がいた。初老の男と若い女だ。

キスの合間に、男は「私が知っておくべきことは もうほかにはないのか?」としつこく

女に迫るが、そのたびにはぐらかされていた。


ほどなく自分の部屋に戻った男は着替えを済ませるとホテルをチェックアウトした。

廊下ですれ違った従業員が「おはようございます、教授」とあいさつしていた。地元では

知られているのだ。

男は大学で天文学を教えるエド、女はスタントウーマンをしながら大学に通うエイミーだ。

教授と学生、道ならぬ恋だった…

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ある日、エイミーがエドの講義に出ると、教壇に立っていたのは違う教授でした。戸惑う

彼女のスマホにエドからのメールが届き、「すぐに教室を出なさい」と書かれていました。

そのまま教室に残った彼女は数日前にエドが死んだことを知ります。

悲しみに暮れるエイミーですが、不思議なことにどこかで彼女を見守っているかのように

行く先々にエドから彼女宛の郵便や荷物が届きます。


…カルトや超能力の物語かと思いましたが、そうではありませんでした。すべてはエドが

エイミーの悲しみを少しでも和らげるようと、生きている間に周到に準備したものです。

それが分かってしまうと、ネットなどで言われているように“極上のミステリー”とも

“切ない恋物語”とも思えません。申し訳ないですが。


で、80点は甘すぎます。ハハハ。


函館珈琲 80


洋風アパート・翡翠館を一人の青年が訪れた。東京から来た桧山(黄川田将也)だ。

スーツケースが空港に届いていなかったと言い、丸椅子一つを大事そうに抱えていた。

椅子は彼の先輩が作ったもので、翡翠館には家具職人のその男が入居するはずだったが、

海外に行くことになり、代わって桧山が入居することになったのだ。ここで、古書店を

やりたいのだと言う。


家主の時子(夏樹陽子)はこのアパートに才能のある若者を住まわせていた。

いまは、トンボ玉を作るガラス職人の一子(片岡礼子)、テディベアを制作する人形職人、

ドイツ生まれの相沢(中島トニー)、ピンホールのカメラで函館の町を撮影するカメラマン、

人見知りの激しい佐和(AZUMI)が住んでいる。


紅茶を飲みながら時子が桧山に言った。

「とりあえず一ヶ月、様子を見させてちょうだい」…

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一子、相沢とはすぐに打ち解け、“時間の流れ方が違う”と聞かされてきた函館で、桧山の

新生活が始まります。時子には話しませんでしたが、彼の本職は小説家です。処女作が

賞を獲りましたが、2作目がなかなか書けずに悩んでいるのです。


小品ですが、なかなか良くできていると思います。見たあとの気分は悪くありません。

全体にはっきりしたドラマがあるわけではなく、“まったり”系に入る映画です。

ただし、私の感想は「少しまったりしすぎてないか?」です。加減が難しいですね。

ハハハ。


スクープ 70


狭い後部座席でなじみの女とコトをすませた都城(ミヤコノジョウ:福山雅治)は運転席に

戻るとシガーに火をつけ、満足そうにケムリを吐いた。何をするにも寸暇を惜しむのは

写真誌と契約して芸能人を追うフリーのカメラマンの彼としては常識だ。


この日、彼が追っていたのは野球選手だった。張り込みの途中から新人女性記者・行川

(ナメカワ:二階堂ふみ)が送り込まれてきた。副編集長・横川(吉田羊)に「しばらく面倒を

見てほしい」と頼まれたのだ。都城にとっては足手まといで厄介な“お荷物”だった…

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冒頭の20分ほどでしょうか、この役柄の男()ならこうだろう…と誰もが思い描くような

振る舞い・話し方をする俳優たちを呆れて見ていました。特に福山はどうしちゃったのか?

きれいな二枚目を卒業したいのかもしれませんが、“イタイ”です。フジの月9ドラマ

「ラヴソング」もコケたし、路線変更は大変ですね。もしかすると迷路に迷い込んだかも。

引き出しの多い吉田と滝藤賢一は誇張された演技をこなしていますが、2人を除くほぼ全員、

無理をしているのが見え見えでした。演出なのでしょうが、理解不能です。


始まった途端に 作品全体がチープに見えてしまう作り方をした意図はなんだったのか?

福山、吉田、二階堂のほかにも、滝藤やリリー・フランキーもいて監督は大根仁。

それで、この仕上がりかと思うほどの“駄作”です。最後の20~30分で5 挽回しても

70点がやっとでしょう。


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by toruiwa2010 | 2016-10-07 08:38 | 映画が好き | Comments(2)

ハドソン川の奇跡 90


明け方、自分が操縦するカクタス1549便がマンハッタンの高層ビル群にぶつかる夢を見て

サリー(トム・ハンクス)はホテルの部屋で目を覚ました。似た夢を見続けていた。PTSDだ。

彼はそのまま起き上がると近くのハドソン川に行き、川沿いの道を走った。


実際の事故は2009115日に起きた。夢と同様、彼が操縦するカクタス1549便が

ラガーディア空港を離陸した直後、エンジンに鳥を吸い込んでしまった。エアバス320

両エンジンともに出力を失い、サリーはまずラガーディア空港に戻ることを選択する。

しかし、旋回を始めてすぐに彼の経験は“無理”だと告げる。

近くのニュージャージーの空港までもたどり着けないと判断したサリーはハドソン川への

着水を決め、冷静に成功させた。乗員乗客155人は駆け付けたフェリーなどに救助され

死者はゼロだった。


メディアは“ハドソン川の奇跡”と称え、市民も彼を”ヒーロー”と呼んだ…

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しかし、時間の経過とともに風向きが変わります。データの分析から、左のエンジンが

わずかながら出力を保っていたと分かったからです。「ラガーディアに戻れたではないか。

機長は乗客を無用の危険にさらしたことになる」と非難する声が上がります。

避けられない“バードストライク”で推力を失い、時間が限られた状況下、的確な判断で

真冬の川への着水を成功させ一人の死者も出さなかった“英雄”から、サリーは一転して

“容疑者”になったのです。

彼が悪夢を見た日はNTSB(国家運輸安全委員会)の事情聴取が始まる日でした。


委員が“墜落”という言葉を使うと、サリーがすぐに「不時着水だ、墜落じゃない」と

強い口調で訂正するなど、ヒアリングは初めから緊迫します。委員会側も譲りません。

一貫してサリーの態度は変わりません。決して英雄気取りになることはなく、プロとして

やるべきことをやった、着水の判断は間違っていなかったという誇りに満ちています。

左エンジンに関しても“データが間違ってる”と突っぱね、のちに証明されます。

この映画の成功は実物の機長が高潔な人物であったことに負うところが大だと思います。


ずか7年前に起きたことですから物語は広く知られています。その後の出来事も機長の

人柄も含めて。だからでしょうか、クリント・イーストウッドは余計な“装飾”を排し、

事実をひとつひとつ積み上げることでこの映画を作ろうと考えたようです。

サリーの人柄を示すエピソードの一つ二つはあってもよかったのではないかと思うのは

きっと、私が映画のど素人だからでしょう。ハハハ。


見終わった感想としては、「すばらしかった」としか言いようがありません。

86歳の超ベテラン監督は96分ですべてを語り尽しています。その手際の良さに脱帽です。

そして、私にとっては2016年公開の洋画の中ではNo1だと書いておきます。


蛇足2


鳥の衝突から着水まで328秒だったそうですが、映画はほぼ5分で描いています。

それでも短いと感じます。極度の緊張状態での208秒はあっという間だったでしょう。


「本当にこうだったのだろうか?」と思う気持ちもなくはないのですが、機長の判断が

正しいと分かる検証結果をつきつけられたときのNTSB委員の“潔さ”に感心しました。


君の名は。 75


えーと、さっぱり分かりませんでした。ハハハ。

めっぽう評判がいいので、日本アカデミー賞の候補にでもなったときのために見ました。


彗星が落ちて来る。

“みつは”と“たき君”が入れ替わる。

二人はやたらに夢を見る。

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…分かったのはそれだけでした。どこからどこまでが夢で、今 画面にいる“みつは”なり

“たき君”が本物なのか、入れ替わった彼らなのかが分からないので、物語が進むほどに

どんどんこんがらがってしまいました。これが明解にわかる人は頭の仕組みがおかしいわ。

ハハハ。


ま、評価がすこぶる高いのは見た人の心に届いたからでしょうから、内容を理解できず、

よさも分からない者は感動・感激する人たちを呆然と眺めているほかなく…。ハハハ。


つばめグリル 90


映画の話ではありません。映画の帰りに食事をした店の話です。

少し前にテレビ東京「カンブリア宮殿」で見ておいしそうだったので

行ってみました。この店独特の呼び方をされる“ハンブルグ”は

アルミホイルに包まれて出て来ます。

トマトのサラダ、コーンスープ、デザート(ゴマプリン&イチジクのプリン)

どれもおいしかったです。気に入ったので、時々行くことになりそうです。

これで、どこかに出かけたとき通り道になる渋谷に中華の“銀座アスター”と

並んで行きつけの店が2店になりました。

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by toruiwa2010 | 2016-09-30 08:09 | 映画が好き | Comments(0)

怒り 90


捜査員が到着したとき、現場の状況は凄惨なものだった。浴室に男女の遺体があった。

女は浴槽の中だった。犯人がそうしたのだろう。浴室はもちろん、廊下まで血の海が続き、

物入れの扉に被害者の血で書いたと思われる文字があった。


「怒」。


犯人はすぐに特定され、指名手配されたが、一年がすぎた今も逮捕には至っていない。

変装、整形が疑われた。


三人の若者が登場する。

千葉の漁協で働く槙(渡辺謙)のところにふらりと舞い込んできた田代(松山ケンイチ)

ゲイの優馬(妻夫木聡)がサウナで拾い、その日から自宅に同居させている直人(綾野剛)

内地から沖縄に来た泉(広瀬すず)が離れ小島で出会った“田中”(森山未來)

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槙には家出して風俗で働いていたところを連れ戻された娘・愛子(宮崎あおい)がいます。

優馬の母親は末期がんでホスピスにいます。

泉が小島に行くとき、ボートで送ってくれる少年・辰哉は彼女に好意を寄せています。


笑うところなど1シーンもない映画です。重さが胸の底にズンと響きます。

勧善懲悪ではなく、“一組”を除いてハッピーエンドではありません。

家族を、友を、愛する人をどう信じるかが問われる映画です。見ごたえはありました。


出演者全員が渾身の演技を見せています。この中の誰もが賞に値すると思います。

中でも広瀬すずにやられました。これまでの青春映画で見て来た彼女とは違う一面を

見せています。普通、いま人気絶頂の若手女優はやらないだろうと思うシーンに出会って

彼女の“覚悟”を見た気がします。“迫真”でした。


池脇千鶴、高畑充希も出番は短かったですが、しっかり存在を示したと思います。

現場の空気が彼女たちにも伝わったのでしょう。


蛇足ですが、この映画では男同士の“ラブシーン”も描かれています。正直に言うと、

少しもきれいじゃないし、私はげんなりしました。差別する気はないつもりですが、

これからますますこういうシーンが増えるのかと思うとね。必要なシーンだと言われれば

それまでですが、妻夫木と綾野の激しいキスシーン、見たいですか? えっ、見たい!?

それじゃしょうがないか。ハハハ。


オーバー・フェンス 85


車のドアが開く前から女の声が聞こえていた。

「態度や言葉で愛情を示しているかって言ってるの」と男をなじっていた。

彼女は「ダチョウなんかこうだから」と、奇声をあげながら求愛のダンスを始めた。

それが白岩(オダギリ・ジョー)とサトシ(蒼井優)の出会いだった。


白岩は小さなアパートで一人暮らし、バツイチで子供がいるが、別れた妻のところにいる。

いまは職業訓練学校で大工の勉強をしているが、将来の見通しは立っていなかった。

男のような名前を持つサトシは、昼間は遊園地で働き、夜はホステスをしていた。

ある日、訓練校の仲間、代島(松田翔太)に誘われて行ったクラブで二人は引き合わされた…

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函館を舞台にした映画です。

テアトル新宿で上映開始2日目、3連休日の真ん中の土曜日に見ました。15分前に劇場に

着くと大勢の人がいて、そこには作品への期待感が満ちていました。

私も、こういう小品の中に見逃すと口惜しいものがときどきあるので出かけました。

結果は…“星二つはーん”というところでしょうか。ハハハ。

オダギリ、蒼井、松田…いいですね。オダジョーがラスト近くで泣くシーン、よかった。


せっかく、函館を舞台にしたのなら、もう少し生かしてもよかったかなあと思います。


グッバイ・サマー 80


早朝の日が差し込む狭い部屋でまだベッドの中だったが、ダニエルの目は醒めていた。

家の中のどこからか、朝のルーティンが聞こえてくる。

部屋の反対側の二段ベッドで兄は熟睡中だ。

枕元のデジタル時計の文字が“6;00”を指し、アラームが鳴り始めたとたん、ダニエルが

手をのばして止める。母が出かけて行く気配がした。


小さなキッチンでカフェオレとクッキーで簡単な朝食を済ませたダニエルはベッドに戻り、

めざましを“7;00”に直して二度寝を始めた。兄はずっと熟睡している。父が出かけた。

また、いつもと同じ一日が始まるのかと、ダニエルの気持ちは重かった。

しかし、この日、転校生・テオの席が彼の隣りになったことで退屈な日常が一変する…

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目立ちたがり屋のテオと見かけが女の子のようでシャイなダニエルはたちまち意気投合し、

二人は朝から晩まで行動を共にするようになります。他愛のないことが二人なら楽しい。

やがて、“彼らにとっては”壮大な計画を思いつき、実行に移します。

町中からガラクタを集め、“走る家”を作って旅に出ようというのです。


中学のころを思い出します。そのころは友だちもいたし。ハハハ。

親しかった4人の仲間と奥多摩の方に出かけ、河原にテントを張り、飯盒でカレーを作り、

ワイワイ言いながら楽しみ、いざ、寝ようかというときになって、すぐそばに結構

大きな音を立てている滝があることに気づくという…。ハハハ。


二人の少年が経験する私などよりはるかに豊かな冒険旅行は楽しめます。


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by toruiwa2010 | 2016-09-23 08:20 | 映画が好き | Comments(0)

アンナとアントワーヌ 85


悠然と牛が歩き、道の真ん中に泰然とうずくまるインド・ニューデリーの雑踏。

もっと人が集まり、混然としているガンジス川のほとり。

その中で男がカメラを回していた。インドの名匠、ラウール監督だ。新作の撮影中だった。

街の宝石店で一人の青年が強盗を働き、仲間と逃げる途中で若い娘をはねてしまった。

車から飛び降りて娘を助け、病院に運んだ青年は逮捕されるが、2人は恋に落ちる…という

実話を当事者を起用して撮っていた。タイトルは「ジュリエットとロメオ」。


空港に渋い中年男性、アントワーヌが降り立った、

映画に使う音楽のためにラウールが招いたフランス人の作曲家だった。

その夜、彼のために開かれたレセプションで隣に座ったのインド駐在フランス大使の妻、

アンナだった…

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夫を愛しているのに子供がいないことが悩みのタネだったアンナはインド南部の村への

旅に出ます。聖者アンマに会って抱擁してもらい、子供を授かることを願っての旅です。

ちょっとした経緯でアントワーヌが同行することになります。そこから、お察しの通りの

物語になっていきます。ハハハ。


フランス映画らしく、かなり、しゃれた作りになっています。終わって外に出るとき、

前を歩いていたかなり高齢の女性が首を振りながらぶつぶつ言っていました。

「さっぱり分かんなかったわ。ちんぷんかんぷん…」。はっきり聞こえる独り言でした。

その気持ち、分からなくはありません。一つのシーンを長く描いたかと思えば、断りなく、

カットが変わると 少なくとも数日は過ぎたと思える時間の経過があったりします。

“実は夢だった”というシーンもいくつかあって、観客は頭の中で“この部分は夢”と

修正しながら見ないと混乱するのです。ハハハ。


終わり方がとても気に入ってます。“ノドから手が出るほど”書きたいですが、ネタバレに

なるので書きません。老婦人のように“わけ分らん”と思う人もいるでしょうが。


アスファルト 80


郊外の古びた団地で住民集会が開かれていた。故障したエレベーターをどうするかについて

話し合いが進み、一人当たりおよそ500ユーロを出して修理する方向でまとまりかけた。

しかし、ただ一人、スタンコビッチだけは賛成しなかった。彼の部屋は2階だったから

エレベーターがなくても困らないのだ。「使わないのに金を出す必要はない:と主張する。

賛成派が別室で話し合った結果、スタンコビッチには「金を出さないなら使わせない」と

通告された。別に問題はないはずだった…

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スタンコビッチと看護師、高校生と今は売れなくなった女優、アメリカの宇宙飛行士と

アルジェリア出身のおばあちゃん…3組のエピソードが同時並行で描かれます。

爆笑するような話ではありませんが、“それなりに”面白いです。


はじまりはヒップホップ 85


太平洋を越えて会話が進んでいた。

ニュージーランド本島の東に浮かぶちっぽけな島、ワイヘキからかけているのはビリー・

ジョーダンだ。電話の向こうはラスベガス。ビリーは彼女が振付師としてかかわっている

ヒップホップ・グループを世界選手権に特別出場させてくれないかと掛け合っていた。

“ただの”グル-プではない。メンバーは66歳から94歳までの“シニア”だった。

相手も興味を示し、話を進めることになった。


ビリーはもちろん、メンバーたちの日常が一変した。全員が“ベガスへ行こう”で一致し、

練習にも熱がこもった…

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喜んだにはいいのですが、簡単には生きません。メンバーの生活レベルはいろいろです。

費用は自分たちで工面しなければいけないのですが、出せる人、出せない人がいます。

持病があるためにためらう人もいます。ビリーは一つ一つ解決していきます。長旅を経て

ラスベガスに着いたグループが現地を興奮に巻き込む成功をおさめるまでを描いたこの

ドキュメンタリーはかなり楽しめます。

原題は「HIP HOP_ERATION」ヒップ・ホペレーション…でしょうか?

腰の手術をした老人が多かったために“ヒップ・オペレーション”と“ヒップホップ”で

合成したものです。


四月は君の嘘 85


その少女が演奏を始めた途端、コンクール会場の空気が一変した。

それまであまりにも退屈な楽譜通りの演奏が続いていたせいだ。

宮園かをり(広瀬すず)のバイオリンは実に自由奔放だった。楽譜の指示を完全に無視して

コンクールとしてはダメだったか、魅力があって審査員や観客の心をつかんだ。

有馬公生(山崎賢人)もそのひとりだった。天才少年ビアニストと騒がれたこともあつたが、

ある時を境に演奏中に音が聞こえなくなるようになり、ピアノに向かえなくなっていた。

厳しいピアノ教師だった母の死が関係していた。

一方、相手がたじろぐほど積極的で明るい性格のかをりもまた秘密をかかかえていた…

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物語としては残念ながら平凡です。85点もおまけです。広瀬が素晴らしいからです。

映画でもドラマでも、音楽が大事な要素になっている場合、楽器の演奏シーンは厄介な

ものだと思います。特に、アイドルやイケメン俳優を人気だけを頼りに主役に起用した

作品では「それじゃあ、ちゃんとした音が出るわけないだろう」と呆れるしかない幼稚な

演技を見せられることになります。


この映画の広瀬は堂々として、いかにも“彼女が動かす”弓から音が生まれているような

錯覚を覚えます。

この映画では同世代の高校生を演じていますが、演奏場面でハイヒールを履き、ドレスに

身を包んだ彼女にはもう十分に“大人の女性”の雰囲気があると思いました。

いまはまだ、幼さも残る役柄の広瀬すずを楽しみたいですが、20歳を過ぎてからの彼女が

どんな演技を見せるか、今から期待が膨らみます。それまで元気でいたいです。ハハハ。


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by toruiwa2010 | 2016-09-16 08:30 | 映画が好き | Comments(0)

ミリキタニの猫 95


20011月、寒さの厳しいニューヨーク。

ローワーマンハッタンの人ごみを縫って 背中を丸め、空のダンボール箱を引きずった男が

ゆっくりと歩いていた。たっぷり重ね着した上にダウンパーカを着込んでいる。

ジミー・ツトム・ミリキタ二は日本人の路上生活者だが、本人に言わせると“アートの

グランドマスター”だ…

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9年前に公開された作品にその後の取材も含めて渋谷ユーロスペースで上映されています。

最終的に95点にしましたが、前回見た直後は100点と書きました。それほど感動しました。


久しぶりで自然に涙があふれる映画を見ました。映画を見て

泣いたことはこれまでにもあります。しかし、その大半は

制作側が用意した“泣かせるための”脚本、演出。演技に

よるものでした。このドキュメンタリー映画の制作者

(リンダ・ハッテンドーフ監督)に初めから「感動的な作品」を

作ろうという意志があったとは思えません。


そのときに書いたブログ記事の書き出しはそうなっています。今回もまったく同じです。

むしろ、感動の深さは前回以上だったような気がします。15日で上映が終わるそうです。

時間がある方はドキュメンタリーですが、“物語”もあって、秀作です。是非、見て下さい。

見逃すのはあまりにももったいないです。


彼が描く絵にはしばしば猫が登場します。

全身を見せたものはきわめて少なく、多くは何かの陰から顔を覗かせています。

長い間、彼はそうやってアメリとカ社会を眺めてきたのでしょう。

路上生活をしていても施しは受けません。金を受け取るのは絵と引き換えのときだけです。

彼を支えているのはルーツである日本人としての強い誇りと、第二次世界大戦がはじまり、

強制収容所に入れられたときに、自分からパスポートを取り上げ、市民権を放棄させた

アメリカ政府への怒りです。


出会った年に“9.11”が発生し、有毒な煙が立ち込める街角はよくないと、リンダは彼を

自宅アパートに招きました。世話になっていてもジミーはまったく“卑屈さ”を見せず、

自分の“ルーツ探し”に奔走してくれるリンダにもまったく関心を見せず、「有難う」の

一言もありません。「やるなら、勝手にやりなさい、私は興味がない。アメリカ政府の

世話にはなりたくないし、年金も要らない」…心意気やよし。ハハハ。

生き方が見事です。そのいさぎよさは“美しい”とさえ感じます。この映画に深く感動を

覚えたのは彼の人間性と登場する人物たちの温かさのせいだったと思います。


絵の中にしばしば猫が登場するのは 収容所で彼を慕っていた猫好きの少年への鎮魂の

意味があるのだと思います。私には絵の評価はまったく分かりませんが、彼が描く猫の

目が優しいのはそのせいかもしれません。


この作品を見ると、“感動”とは何かを考えさせられます。

…実況と同じだという結論に至ります。登場人物や状況に感動する要素があるならば、

それを余計なもので“飾る”必要はないのです。

この映画にも“飾り”はいっさいありません。それでも、素材がよければ十分に人の心を

動かすことは可能なんだと思いました。

私の筆力では素晴らしさが伝わらないかもしれませんが、たくさんの人に見てほしいです。

(ユーロスペースでの上映は15日までです)


健さん85


“健さん”はもちろん、一昨年11月に亡くなった高倉健のことです。

中国・日本合作映画「単騎、千里を走る。」で共演した中国人俳優が来日し、高倉の足跡を

たどる形をとったドキュメンタリーです。

亡くなったあとの追悼番組でこの偉大な俳優の行動や言葉はさんざん聞かされましたから

もう新しい話はないだろうと思っていましたが、この映画でこれまで知らなかった一面を

見ることになりました。

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マーティン・スコセッシ(映画監督)、マイケル・ダグラス(俳優)、ジョン・ウー(映画監督)

降旗康男(映画監督)、梅宮辰夫(俳優)、山田洋次(映画監督)…多くの人の証言が男・高倉を

改めて教えてくれます。スコセッシをはじめとする海外の名のある人が社交辞令ではない

“ほんもの”のリスペクトを込めて語る高倉健のイメージが鮮烈です。


加えて、長く付き人をつとめた西村泰治さんがトツトツと話すいくつかのエピソードにも

胸を打たれました。広く知られている誰にでも優しかったという人柄が伝わります。

ダグラスの話を裏付けるのに不可欠な「ブラックレイン」の数カットをのぞくと映画の

フッテージは少ないのですが、それでいいと思います。近く、TSUTAYAに行って何本か

手に入れようと決めましたから。ハハハ。


モントリオール映画祭で長編ドキュメンタリー最優秀賞を獲得しました。おめでとう!


後妻業の女 85


白い波が打ち寄せる海岸にテントがいくつか張られている。その前の浜辺には数十人の

男女が集まっている。年配者が多いようだ。掛け声とともに簡単な体操が始まった。

少し離れたところで日傘をさして小夜子(大竹しのぶ)がその様子を見守っていた。いや、

品定めしていた…と言うべきか…

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集まりは柏木(豊川悦司)という男が主催する街の結婚相談所のイベントです。

この相談所では資産家の年寄りほど歓迎されます。持病があればなお都合がいい。ハハハ。

小夜子は“ジジイ殺し”です。相談所の“リーダー”として、狙いを定めた獲物に近づき、

篭絡して結婚にこぎつけると、さまざまな方法で命を奪い、遺産を手にするのです。


単純に笑える喜劇です。

作品そのものはともかく、大竹と豊川は演技賞の候補に上がると思います。特に、大竹の

“なりきり”の演技はすごみさえ感じさせて見ものです。


イングリッド・バーグマン 85


若い人にはなじみがないでしょうが、バーグマンは絵に描いたような美人女優でした。

年齢が親子ほど違う私もスクリーンに大写しになる彼女を見て「西洋の女性は、なんて

美しいんだろうか」とビックリしたものです。wikipediaを見ると日本で公開された作品は

ほとんど見ています。

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スウェーデン人ですが、広く知られているのはハリウッドに移ってからの活躍でしょう。

少なくとも日本では「別離」、「カサブランカ」、「誰がために鐘は鳴る」、「ガス灯」など

戦前の作品から人気がありました。私も、初期の作品はのちにテレビで見たものですが。


夫や子供がいるのにイタリアの映画監督、ロベルト・ロッセリーニと恋に落ち、アメリカで

大きなスキャンダルになったようです。当時、私はまだ子供でしたが、映画の雑誌などに

二人の名前が並んで出ていたのを覚えています。


このドキュメンタリーを見ると、いつ、どんなときもバーグマンは自分に正直に生きた

女性だと分かります。

懐かしい出演作品の断片が見られるかと思っていましたが、ほとんどありません。

“邪魔”をしたのは本人や父親が残した膨大な量のフィルムです。ハハハ。


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by toruiwa2010 | 2016-09-09 08:17 | 映画が好き | Comments(2)

栄光のランナー 85


1933年秋。

甲斐甲斐しく母が新調のジャケットを着せかけている。小さいころ身体が弱かった少年は

たくましい青年に成長していた。今日、彼は家を出てオハイオ州立大学に入るのだ。

ジェシー・オーエンスは傑出した陸上競技選手として奨学金を得ていた。


バスに黒人専用のシートがあるほど、人種差別の厳しいころだった。

大学に入ると、そこにも差別は待っていた。更衣室では同じアスリート仲間であるはずの

アメフト部のコーチや選手たちから露骨な嫌がらせを受けた。初対面の陸上のコーチも

冷ややかな対応だったが、翌日、ジェシーの走りを見て顔つきが変わった…

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その日から、3年後に迫っていたベルリン・オリンピックへの挑戦が始まります。

この映画は、そのオリンピックのもう一つの側面も描きます。開催国がヒトラー政権下の

ドイツだったのです。アメリカ国内は参加すべきか否かで大きく意見が分かれていました。

ボイコット派の主張は「参加すればユダヤ人に対する弾圧を許すことになる」でした。


当時USOC(アメリカの国内オリンピック委員会)会長だったブランデージは「スポーツに

政治を持ち込むべきではない」という立場でした。ベルリンに乗り込んだ彼は宣伝大臣の

ゲッペルスと会談し、参加の条件としてユダヤ人政策の改善を認めさせます。

一方、人種差別に反対する立場の黒人社会から参加しないように求められたオーエンスは

板挟みになって悩みますが、土壇場で参加を決めます。行かなければ、脅しに“屈する”

ことになるからです。


鑑賞後、劇場を出たところでぴあの担当者に評価を聞かれ85点と答えました。

横で別の担当者に捕まった妻が80点と答えているのが聞こえました。私は普通の人より

5点は甘いと思っていますから、“そんなところ”と思ってください。ハハハ。

ちょうど、オリンピックで陸上競技が始まったタイミングで見たのでレースのシーンは

“安っぽく”てどうにもなりませんでした。いくら80年前でも、短距離レースに出るのに

そんな体形はなかろうと言いたくなる選手も写ったりします。ハハハ。


こまかいことで恐縮ですが、初めの方に「なぜ、子供の話をしなかったのか?」と尋ねた

コーチにオーエンスが「You’ve never asked」と答えるシーンがありました。字幕には

“興味ないかと”と出ました。文字数に制限があるから仕方がないし、物語の進行には

関係がありませんが、「あなたが聞かなかったから」と“興味ない”は違う気がします。

“議論”はなかったのでしょうかね?


なお、原題は“The Race”です。競技のレースと、“人種”という意味をかけています。

日本語に直すのは無理ですね。


オリンピック中のツイート


ヒトラーがアーリアン民族の優位性を

誇示しようと目論んだベルリン五輪で

ジェシー・オーエンスは金メダルを

4 獲った。

幅跳びの表彰台…前は3位の田島直人、

うしろにナチス式敬礼をするロング。

象徴的な写真だね。

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この大会のオーエンスは100㍍、200㍍、4x100㍍と走り幅跳びで優勝しました。

写真の幅跳びは2種目目でした。ファウルで苦しむオーエンスを救ったのはドイツ人の

ロングでした。的確なアドバイスがあったのです。二人の友情はロングが第二次大戦で

戦死するまで続いたそうです。


奇跡の教室 85


パリ郊外にあるブルム高校のゲゲン教諭が新しいクラスを受け持つとき、生徒たちを前に

自己紹介で必ず口にする言葉があった。

「教員歴は20年。教えることが大好きなの。退屈な授業はしないつもりよ」


今度、新しく担任することになったクラスは学校で最も問題児が多いとされていた。

何度か言われるまで帽子を脱がないし、イヤホンを外さない。宗教画の中に地獄にいる

ムハンマドの話をすると、尊敬の対象を侮辱されたと怒って出て行く生徒もいる。

人種や宗教、出身地が違う生徒が集まっていて厄介なクラスだった…

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問題児が集まったクラス+信念を持った教師ですから、物語の結末は想像がつくでしょう。

で、その通りです。ハハハ。

言ってみれば“よくある話”ですが、この映画はハッピーエンドに至るまでの描き方に

わざとらしさが感じられなくてすがすがしい気持ちで劇場をあとにしました。


この映画の原題は「Les Heritiers」…意味は“後継者たち”です。

邦題の副題に“受け継ぐ者たちへ”とあります。

手が付けられなかった子供たちが変化し始めたのはゲゲン教諭が教室に招いた、戦争中、

ナチの強制収容所生還した老人の体験談を聞いたことがきっかけでした。くわしいことは

分かりませんが、フランスの学校では課外授業で強制収容所のことを学ぶようです。

いつまでも語り継がなければいけない…という考え方があるのでしょう。


おまけ:「プレバト」のお題“夕方の江の島”から…

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ほかにも


陽が沈み 地元のサーファー ばかりなり

陽が落ちて かおり強まる 夏の潮

夏の夕 島の向こうに 富士の影


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by toruiwa2010 | 2016-08-26 08:36 | 映画が好き | Comments(0)

ニュースの真相 85

200410月のある日、CBSの記者 メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)

弁護士事務所を訪れていた。社内調査委員会に臨む際の支援を依頼するためだった。

ジョージ・W・ブッシュが再選を目指す大統領選が目前に迫っていた。メアリーのチームは

ブッシュの軍歴詐称を示す文書を手に入れて放送したが、その文書が疑わしいという声が

ネット上で上がり、批判の輪はライバル局にも広がった。危機を察した経営陣が社内に

調査委員会を設置し、メアリーやアンカーのダン・ラザーを召喚することを決めたのだ…

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ベトナム戦争のときにブッシュは兵役にはついたものの、有力政治家だった父親の力を

利用して戦地への派兵を逃れ、訓練も満足に受けていなかったようです。メアリーたちは

慎重に証拠を集め、関係者へのインタビューを進めて番組を作り、放送しました。大きな

スクープをものにして喜びにわく彼らに冷水が浴びせられます。その証拠の文書が現代の

ワードで打たれたものではないかと言うのです。なぜなら、1970年代のタイプライターは

4th 5th のように“th”を右肩に小さく表示する打ち方ができなかったからだと。

この点についてはチーム全員が古い書類をチェックした結果、当時もそのように打たれた

書類が存在することが実証できたが、“偽造”だとする声はやまず、放送で使用した証言の

中にも怪しいものが出て来て、ラザーは番組の中で「検証が不十分だった」と謝罪します。

映画はメアリーの著書をもとにしていますから、彼女から見た物語になっています。

それでも、アメリカのジャーナリズムの有りよう、厳しさの一端を見ることができます。

真実のためにはどんな圧力にも屈しない、最後まで誇りを失わないその姿に圧倒されます。

弁護士以外に味方がいない 四面楚歌の中でメアリーが調査委員会のメンバーと対峙する

ラスト近くのシーンは迫力がありました。

日本では少し前に新しい報道番組のキャスターに決まっていた人物に経歴詐称があって、

急きょ降板する“事件”が世間を騒がせましたが、アメリカではこの“誤報”は21世紀

最大のメディア不祥事と見られているようです。

ダン・ラザーはアメリカを代表するキャスターの一人でした。あまり似ていませんが、

ロバート・レッドフォードはキャスターの雰囲気をうまく出していました。孤立無援の

メアリーをとことん信頼するところも胸打たれます、日本の放送史の中でこれほど強い

信頼関係で結ばれたキャスター・制作者コンビが存在しただろうかとふと思いました。

外から見て、筑紫哲也とTBSスタッフ、久米宏とオフィス・トゥー・ワンの間にはそんな

“絆”があったような気もしますが、そばにいたわけではないから分かりません。どだい、

ニュース番組の作りかたや局のシステムが違いますから単純に比べることはできませんね。

原題は“TRUTH”です。


タンゴ・レッスン 85

神経質なほどていねいに拭いた白い丸テーブルの上に女が白い紙を置いた。

rage(怒り)と書いて違うという風に顔を振って紙を丸めて投げた。イメージする映像を

文字にしようとしているようだ。サリー・ポッター(本人)は映画監督だ。

夜、町に出た彼女は軽やかなバンドネオンの音につられるように劇場に入って行った。

ステージではアルゼンチンの有名ダンサー、パブロ・ベロンが華麗な踊りを見せていた。

トリコになったサリーはバーで見かけたベロンにダンスを教えてほしいと頼み込んだ…

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かつて踊り子になりたかった女流映画監督と映画に出ることが夢だったダンサーの恋物語。

一応、そういう“作り”になっていますが、ストーリーらしいものはほとんどありません。

そして、この映画の主役はあくまで“タンゴ”そのものでしょう。

5センチ、10センチほどに接近して抱き合ったそのままの姿勢で男女が激しく踊ります。

女性の脚が、ときに寄り添うように、ときにじらすように男性の脚にからみつきます。

よく言われるように、“官能的”です。そして一級品の単語は美しいです。圧倒されます。

主演のサリーは監督・脚本もつとめ、かつ、歌います。夜更けの街で二人が踊るラスト・

シーンが見事ですが、このときバックに流れる ヨーヨー・マが弾くチェロに乗せて歌う

「リベルタンゴ」が“なかなか”です。


おまけ…になるかどうかわかりませんが。

昨日の「プレバト」のお題"盆踊り"で相変わらず"ベタ"な俳句を。

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ほかに、こんなのも。


山こえて 祭りばやしが 聞こえくる


盆おどり 笛も太鼓も 踊るよう

踊り手の 白いくるぶし 夏まつり

ふるさとは 盆おどりより 母の味



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by toruiwa2010 | 2016-08-12 08:39 | 映画が好き | Comments(0)