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岩佐徹のOFF-MIKE

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久米宏とNステ~自分的傑作w選~18/07/28

20043月末、テレビ・ジャーナリズムに

革命を起こした「ニュースステーション」が

使命を終えて幕を閉じました。

評価する声も、批判する声もたくさんあって

キャスターの久米宏が貯めこんだストレスは

想像を超えていたと思います。


Nステ終わる

( 2004/03/31初出 )


久米宏さんの「ニュースステーション」が終了しました。

「あれを見ないと一日が終わらなかった」方も多かった

ことでしょう。

“司会者”がニュース番組を切り回すという、それまで

日本では見られなかった手法、その司会者、久米宏が

発する圧倒的なオーラ、斬新なセット…どれをとっても、

注目を集める要素を十分に持っていました。

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話題になっていましたので、ライバル局の番組でしたが、

初めはよく見ていました。

しかし、しばらくすると見なくなってしまいました。

理由は、番組の“売り”である久米さんのキャラクターや

彼が“自分を演出する”そのやり方に“辟易”したからです。

野球やサッカーの中継にまで顔を出すんだもの。ハハハ。


彼の才能のすばらしさは素直に認めます。

思い出すのは、今から30年近く前の若き日の彼です。

たまたま乗ったタクシーのラジオで、売り出し中だった

彼の声を初めて耳にしました。

永六輔さんが司会をする番組、「TBS土曜ワイド」で

外回りのレポーターをやっていました。

短い時間の中に、独特の視点からしっかり自分らしさを

出したレポートでした。


レポートの原点は「その場にいる者にしか分からない

ことを伝える」ことです。

この一点をとっても、久米宏はほかのレポーターとは

はっきり違っていました。

研ぎ澄まされた感覚で自分が感じたことを“そのまま”

言葉に置き換え、明るくテンポのいいしゃべり口で

リスナーに訴えていました。

ほめすぎかも知れませんが、「こんな奴がいるんだ」と、

同業他社の後輩アナの仕事にびっくりしたのは事実です。


はじめはラジオ中心に活躍していました。彼の“基礎”は

そこで出来上がったのだと思います。

その後、テレビに出始めると、「ぴったしカンカン」で

軽妙な司会ぶりをみせました。さらに、黒柳徹子さんと

組んだ歌番組、「ザ・ベストテン」でも大人気でした。

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数年後、フリーになって、日本テレビでやった生番組、

「ニューススクランブル」は、コンビの横山やすしとの

やりとりが緊張感とスリルにあふれて、最高に面白い

番組でした。

1週間のニュースを二人がアドリブで斬るのですが、

両者のキャラクターの見事なまでのコントラストと、

何を言い出すか分からないやすしをコントロールする

久米さんのワザが視聴者をひきつけました。


そんな経験を集大成したのが「ニュースステーション」

だったと言ってもいいのでしょう。

はじめは「さすがだ」と感じ入ったのですが、そのうち、

やり方が気になり始めました。

何よりも、「ずるい、フェアじゃない」と思ったのは、

CM直前の捨て台詞でした。

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“申し子”といってもいいほど、「放送」を熟知しています。

CM前の10秒のカウントダウンに合わせて、ゲストを

斬り捨てるような一言を入れる、テーマについての

自分の考えを放り込むことなど、彼にとってはいとも

簡単なテクニックです。


海千山千の国会議員でもどんなに口の達者な評論家でも、

放送の仕組みをそこまでは分かっていません。

反論しようとしても、そのときには番組はもうCM

入っています。結果として、彼の言葉がそのコーナーの

“結論”であるかのように視聴者の脳に残るのです。


業界内の多くの人が指摘し、批判しました。しかし、

ご本人はいわば確信犯、承知の上でやっていますから、

やめる気配はありませんでした。

番組内の“立ち位置”が違いますから一概に言えませんが、

田英夫、筑紫哲也、磯村尚徳、俵孝太郎、木村太郎…

彼以前の名だたる、そしてかなり強烈な個性を持った

キャスターたちにも見られなかったやり方でした。

だからこそ、視聴者の目には新鮮に映り、アンチ久米を

上回る熱烈な久米ファンが生まれたのだと思います。


ニュースの送り手は、“事実をありのままに伝え、判断は

視聴者に任せるべきだ”と考える私にとって「Nステ」の

最終評価はNOです。しかし、テレビの世界にまったく

新しいニュースの伝え方をプレゼンし、賛否はあっても

それを確立した功績は大きいと言わざるを得ません。

その意味で、日本のテレビ史に、「Nステ」と久米宏の

名前がしっかりと刻まれるのは間違いありません。


大きな功績にくらべればとるに足らないことでしょうが、

そのかげで見過ごされていることに触れておきます。

功罪の“罪”の部分です。

それは“亜流”を作ってしまったことです。それだけ、

影響力があるということなのでしょう。テレビ朝日には、

サッカーの角沢アナ以下、似たようなしゃべり方をする

アナウンサーが何人もいます。女性アナにもいますから

驚きます。残念ながら、形は似ていても、内容もキレも

まるで違いますが。


亜流を作った点では久米さんに代わって新たに登場する

古舘伊知郎さんも同じです。偶然の一致でしょうか、

二人とも極め付きと言っていいアクの強さが持ち味です。

いい意味でも悪い意味でも、“だから”視聴者の神経が

鋭く反応するのでしょう。

今までになかったスタイルを編み出して、“個性”にまで

結晶させたところに値打ちがあります。

そして、それが人気になったり、評価を受けたりすると、

若い人たちがついつい同じ方向を目指してしまうのは、

どの世界にも見られる現象です。


ある局で、大人気のアナウンサーが生まれると、それを

真似る後輩アナが必ず現れます。なぜ、先輩、上司が

注意しないのでしょうか。形だけ真似をしても、そこに

実力が伴わなければ、“久米もどき”、“ミニ古舘”以上に

なることはありえないはずなのに。

“罪”とは言ってもご本人たちにはまったく責任のない

話でしたね。ハハハ。


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さて、古舘伊知郎の「報道ステーション」は楽しみです。

12月に節目の50歳になるようですが、大勝負に出た

ものですねえ。古舘さんにとって「久米のあと」という、

これほどやりにくいシチュエーションはありません。

これまで彼の最大の売りだった、あの“言葉遊び”も

できないのですからね。

なのに引き受けたのはそれなりの勝算があったはずです。

きっと、彼個人だけでなく有能とされる彼の事務所にも

秘策があるのでしょう。同じ放送人として、それが何か

是が非でも知りたいです。 ハハハ。


つづく・・・


by toruiwa2010 | 2018-07-28 07:04 | 自分的傑作選 | Comments(0)
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