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岩佐徹のOFF-MIKE

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2211「保険をかける?」09/05/28

Yankees got an insurancerun!!

正確かどうか自信はありませんが、メジャーの英語実況を聞いていると、アナウンサーが

こんなことを言うときがあります。「ヤンキースは保険となる得点を挙げました」です。

新聞記事にも同じ言葉が使われます。はじめは何のことかさっぱり分かりませんでした。

しかし、試合の状況や流れを見ているうちに「なるほど、これは日本で言う“ダメ押し点”の

ことを指しているんだな」と合点が行きました。

3-1でリードしていたヤンキースが8回裏に4点目、5点目を入れたときなどにピッタリの

表現です。「リードはしていたが、これで勝つことが保証された」という意味になります。

うまい表現だな、と思いました。スポーツなどでよく使われる日本語の“ダメ押し”も、

その言葉が何を意味するかは皆さんご存知でしょうが、もともと、囲碁からきた言葉だと

分かって使っている人は少ないと思います。

しかし、“保険”なら、誰でもよく知っている言葉です。

何度か、「ヤンキースの勝利に保険がかかりました」としゃべって、なぜ、そんな言い方を

するかについて、説明をしたものです。ハハハ。


私の実況では、別の意味で“保険”を使うことがありました。

直接、この言葉を口にしないで“保険をかけて”いたのです。


サッカー中継では、折にふれて「逆サイドからサイド・バックの○○が上がっていきます」、

「ベンチのうしろで何人かの選手がアップを始めています」、野球では「センターの○○が、

守備位置を少し左に寄せました」、「ブルペンで動きがあるようです」など、画面には映って

いない、本来の動きから離れた描写をしておきます。


この“しておく”のが、私的な保険です。

テレビの前の視聴者は、アップの画面で選手の表情やプレーのこまかいところを見られる

特権がある反面、画面の外で起きている動きについては、どんなにがんばっても見ることが

できません。

スタンドにいる実況者として、目に入る情報を、ムダを覚悟で話すのは、そんな視聴者の

ストレスを少しでも減らせれば、と思うからです。


・上がっていったサイド・バックがゴール前で得点にからむ

・左に寄ったセンターの正面に鋭い打球が飛ぶ

・サブが投入されたり、投手交代が行われる

…直後にそんなシーンがあれば万々歳です。ハハハ。


ほとんどの場合、そうはなりませんが、必ずしもムダではありません。画面に映っていない、

これらの情報を聞くことで視聴者のイメージは膨らむはずだからです。

その意味では、「いま、どこかが痛いような表情をしましたが、大丈夫でしょうか?」、

「少し、疲れが出てきたようです」など、現場にいるからこそ見えること、感じたことを

視聴者に伝えるのもアナウンサーにとっては大事なことだろうと思います。


私の実況生活の中で、一番“成功”したのはユーロ2000の決勝でした。

フランス対イタリアの対戦は延長に入りました。その前半13分に、ピレスが左サイドの

コーナー付近に持ち込んだところで、「正面にトレセゲがいる」と“言っておいた”のが

生きて、フランスの鮮やかなゴールデン・ゴール勝ちを気分よく実況できたのです。


これは、きわめて珍しいケースで、私の保険は“掛け捨て”になることがほとんどです。

さらに、掛けておくべき保険を掛け損なって、悔しい思いをしたことも何度となくあります。

詳しくは「MY BOOK 39」(http://blogs.yahoo.co.jp/toruiwa2006/archive/2008/10/19)に

書いてあります。


by toruiwa2010 | 2009-05-28 23:48 | Comments(0)
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