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岩佐徹のOFF-MIKE

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2270「ニックネームはダメよ~始まったぞー、世界陸上~」09/08/16

“暁の超特急”(=吉岡隆徳:陸上短距離)や“フジヤマのとびうお”(=古橋広之進:水泳)、“アジアの鉄人”(=室伏重信:ハンマー投げ)“アイス・ドール”(=クリス・エバート)…

昔から、傑出したアスリートにニックネームがつき物だったのは事実です。

しかし、プロレスあたりから始まった“手当たりしだい”の傾向は、古舘伊知郎がF1

世界水泳の実況をやったときから、“当たり前”になってしまいました。

土曜日に開幕した“待望の”世界陸上はその典型でした。


過去の大会について調べて見ると、以下のようなCC(キャッチ・コピー)が並んでいます。


“ハードルなぎ倒し男”(ジョンソン:110ハードル)

“ワールド・レコード・アーティスト”(=イシンバエワ:棒高跳び)

“雄叫びの砲丸ハルク”(=ネルソン:砲丸投げ)

“笑顔の爆走娘”(=福士:長距離)


2005年ヘルシンキ大会に出場した女子ハンマー投げの室伏由佳(重信の娘、広治の妹)に

つけられたコピーには吹き出してしまいました。 “鉄人DNA最後の後継者”。

こんなニックネームを言わされるアナウンサーの気持ち…笑うしかないでしょう。ハハハ。


しかし、今回の世界陸上では、少し、“異変”が起きています。

TBSの世界陸上HPの選手紹介からCCは消え、実況のアナウンサーもそれらしいことを

口にしなくなっているのです。

<<<男子400メートル・リレーで中心となる塚原直貴が「(高野)強化委員長がテレビ局に

『(CCは)もういいんじゃないか』と言ったみたい」と明かした。>>>そうです。


陸連も相当、腹に据えかねたのでしょう。

「やめないなら、日本選手の取材などに協力できなくなるかもしれないが、いいのか?」

…そこまで言ったかどうかは不明ですが、“匂わせた”ことは想像に難くありません。

「どうせ、ほとんど予選敗退なんだから」とも言えず、しぶしぶ了承して引き下がった

TBS幹部の顔が目に浮かびます。ハハハ。


去年の「放送文化・夏」でインタビューを受けたとき、こんな話をしました。


Q:すべての選手にニックネームをつけるという手法も、大きなイベントではどの局も必ず

やるようになりました。これも視聴者が求めていないギミックの最たる例だと思いますが。

岩佐「アナウンサーにもそれをことあるごとに言わせていますね。そして、スタジオに

タレント司会者をおいて、騒々しい放送をしています。

もちろん、タレントの起用や、過剰な実況にも一定の付加価値はあるでしょう。

でも、本当に普通の中継じゃだめなのか、という検証が行われないまま制作が進んで

いくのは疑問です。

スポーツの感動はプレーそのものの中にあるというのが私の基本的な考え方です。

ゲストで飾り立てないと視聴者の興味を引けない、用意された言葉を並べ、絶叫し続ける

実況でないと、感動を伝えられないというのでは寂しい限りです。

それにしても、局アナたちはよくキレないなと思いますよ。ベタで言いたくないことも

受け入れなければいけないわけですから、まじめなスポーツアナウンサーにとっては

受難の時代といってもいいかもしれません」


Q:では、何をどう変えていけばいいと思いますか?

「作り手の頭の中を変えてもらうしかないでしょうね。

テレビというメディアは、手法的にはもうあらゆることをやりつくしてきています。でも、

プロデューサーは視聴率が落ちたら何を言われるか分からないというプレッシャーの中で、

むりやり変えたり、余計なものを付け加えたりせざるを得ない。冷静に考えてみれば、

多くのイベントが完全な独占放送で、『○○がスタジオで司会をしているから見よう』という

時代じゃないわけですよ。多くの視聴者が余分な仕掛けに辟易しているはずです。その点に

客観的に気がつくプロデューサーが現れてほしいですし、編成部も含めて、制作にかかわる

全体がスポーツ中継のあり方というものを、きちんと見直して、正しい判断をする目を

もってくれれば、と思いますね」 (詳しくは2053,2054をどうぞ)


聞き手との会話の中で、私は「いつか、原点に帰る日がきてほしいと願ってるんですが」と

話した記憶があります。

“余分なもの”を排除して、かつてのスポーツ放送に戻るべきだと気づく作り手が出て

くることを期待する、ということです。


“アラタムルニハバカルコトナカレ”と言います。間違っていたことに気づいたら潔く

振舞うことが大事でしょう。

“圧力”に負けた、という今回の“形”は気に入りませんが、多くの視聴者の違和感が

なくなったのではないでしょうか。

「そんな放送しないでよ」と対象競技が断固拒否する傾向が、ほかの種目にも広がると

“原点”にもどっていく可能性があります。


くれぐれも、「あれがないと物足りない」などと言わないように。ハハハ。


by toruiwa2010 | 2009-08-16 15:12 | Comments(0)
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