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岩佐徹のOFF-MIKE

toruiwa.exblog.jp

実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

カテゴリ:映画が好き( 238 )

ウィンストン・チャーチル 80


第二次世界大戦が始まって間もない194059日。

イギリス議会は紛糾していた。両陣営から激しいヤジが飛ぶ中、

労働党の議員がチェンバレン首相の退陣を強く要求していた。


その日、チェンバレンは辞任を決意する。後継を誰にするか?

浮かび上がったのは保守党内にも敵が多い一人の男だった。

“嫌われ者”、ウィンストン・チャーチル。

本人も この時期に首相になりたいと思ったわけではないが、

ほかに選択肢はなかった…

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国王から首相に任ぜられたチャーチルは挙国一致内閣を組織し、

戦線を拡大させるナチス・ドイツと対立することになります。

就任から2週間後、イギリス陸軍の兵士30万人がフランスの

ダンケルクに追いつめられる事態もあって、閣内にはこれ以上、

若者の命を失わないためにも、ドイツとの和平を模索すべきだ

とする意見が強まっていきます。


太い葉巻を手にして皮肉っぽいうすら笑いを受かべる肥満体の

チャーチルの写真は子供のころからたくさん見てきました。

見た目どおりの人物だと思っていました。この作品を見ると

必ずしもそうではないようです。祖国への愛や首相の責任感に

ぶれはないものの、個人に戻れば尊大、独善、頑固な男として

描かれています。アカデミー・主演男優賞を獲得したゲイリー・

オールドマンはそんな歴史上の有名な男に扮して“ふさわしい”

演技を見せていたと思います。


ただし、同じようにオスカーを獲ったメーキャップについては

首をかしげてしまいました。横から撮ったスチル写真を見ると

たしかに似ていると思いましたが、映画的には、私の頭の中の

チャーチル像とはだいぶ違いました。あくまで映画ですから、

100%似ている必要はないのでしょうが。


作品そのものも、全体の出来は残念ながら、アカデミー賞に

ノミネートされるほどのものとは思いませんでした。

原題は“The Darkest Hour”。夜明け前が一番暗いという意味です。

監督が描きたかったのはチャーチル個人ではなく、イギリスが

迎えていたこの”時代”だったはずですが、成功していません。

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前評判が高かったこの作品をオープン直後の東京ミッドタウン

日比谷で封切り初日に見ました。5番スクリーンは満席でした。

それはいいのですが、地下鉄の改札口からシートに座るまでに

結構な時間がかかりました。大勢の社員やアルバイトが整理に

当たっていましたが、エスカレーターの前にできた列は、日光・

いろは坂みたいに何重にも折れ曲がっていました。ハハハ。



しばらく、この混雑は続きそうな気配です。お出かけのときは

覚悟した方がいいかもしれません。


参考

原題:The Darkest Hour

Tomatometer85

観客スコア:82


ペンタゴン・ペーパーズ 95


ケイ(メリル・ストリープ)に一本の電話がかかつた。

ホワイトハウスからだった。有力紙、ワシントン・ポストの

女性社主にかけて来た旧知の男はこう告げた。

「言いにくいのだが、おたくのジュディス記者は招かれない

ことになった」。


ニクソン大統領の長女の結婚式の件だつた。

明らかに、ジュディスが数年前に、次女の結婚式を台無しに

するような記事を書いたことへの意趣返しだ。


ポストの編集会議で幹部の一人がぼそっと言った。

ここ三ヶ月、ニール・シーハンが1本も記事を書いていないと。

NYタイムズのエース記者が“何か”をやっているのだ。


編集長のベン(トム・ハンクス)はインターンの一人を呼び、

ニューヨークに行ってタイムズ社にもぐり込み、シーハンが

何をしているか探れと命じた…

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ストリープとハンクスという 大好きな二人の俳優が共演し、

監督がスティーブン・スピルバーグですから、見逃せません。

期待に応えてくれました。今年 見た中で邦画・洋画を問わず

最高の映画でした。


シーハンが取り掛かっていたのは、ベトナム戦争についての

政府の最高機密文書に関するスクープ記事でした。

出し抜かれ、激怒したベンは部下に 残りの文書(ペーパー)

手に入れるよう厳命します。


この文書は当時の国防長官・マクナマラが のちの研究のために

作製させたベトナム戦争の調査・分析資料です。国民にとっては

知りたいことですが、政府にとっては 4代の大統領が国民に

ウソをついていたことが分かってしまうだけに、なんとしても

隠したいものです。国益を盾に発行を禁止したい政府と国民の

知る権利を掲げて世に問いたい新聞の激しい攻防になります。


“報道の自由”vs“国益”という深刻なテーマをスピルバーグは

巧みに整理し、“エンタテインメント”として提供してくれます。

その手腕はオスカーに値すると思いますが、ノミネートされて

いませんでしたね。ハンクスが主演賞候補になっていないのと

合わせて、大いに不満です。私としては、「シェイプ・オブ・

ウォーター」よりこの作品、オルドマンよりハンクスの方が

オスカーにふさわしいと思います。


参考

原題:ThePost

Tomatometer88

観客スコア:73


by toruiwa2010 | 2018-04-05 08:29 | 映画が好き | Comments(0)

修道士は沈黙する 80


空港のコンコースの雑踏をヒジャブをまとったイスラム教徒の

女性の一団が歩いている。その後ろに、白い僧服に身を固め、

鞄を下げたサルス修道士がゆっくりと歩を進めていた。


空港前の歩道に出たサルスの前に黒塗りの乗用車が止まった。

降りてきた運転手が声をかける。「Father !」。

走り続ける車を上空のカメラがフォローする。

着いたのは海辺に建つ瀟洒なシャトーのようなホテルだった…

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神父と前後して、厳重に警備されたこのホテルには見るからに

VIPという空気を漂わす男女が到着しています。先進主要国で

財政を担当する大臣たちです。彼らはIMF(国際通貨基金)

ロシェ専務理事の呼びかけで、集まってきました。このとき、

世界は大きな金融危機に直面していました。


財政の専門家会議にサルスはゲストとして招かれたのです。

初日の夕食後、ロシェはサルスを自室に招き、こう告げました。

“告解(こっかい)”をしたいのだと。

告解…宗教的には違うようですが、“懺悔(ざんげ)”と同じと

考えていいのでしょう。自分が犯した過ちを神父に話すことで

神の許しを得ようとする行為です。告解を聞いた神父はそれを

他言してはなりません。“守秘義務”です。


翌朝、ロシェが死んでいるのが見つかります。


ロシェの死は自殺か他殺か、金融危機の中身は、それについて

主要国の財務相会議では具体的にどんな対策が決められたのか、

告解でロシェは何を話したか、サルスは いつも手にしている

ICレコーダーにそれを録音したのか…


観客は…少なくとも私はいくつもの疑問についてきちんとした

答えを見つけられないま、劇場をあとにすることになります。

テンポも全体によくありません。それでも80点をつけました。

なんでしょうね。よくわからないんですが、物語や舞台となる

建物のたたずまいなど、全体の雰囲気が悪くないのです。

108分、ゆったり時間をつぶせます。1100円は高くありません。

1800円払う人は良く考えた方がいいかも…。ハハハ。


参考

原題:Le Confessioni

Tomatometer50%

観客スコア:なし(アメリカ未公開?)


あなたの旅立ち、綴ります 80


身じろぎもせず、窓の外を眺めるハリエットの後ろ姿。

何かが気に入らないようだ。広告業界で成功し、悠々自適の

生活を送っているが、庭の手入れをする東洋人、料理をする

黒人の家政婦…自分の周りのあらゆるものに不満があるのだ。

彼女がやれば、すべて完璧だから。


ある日、グラスを倒してテーブルにワインがこぼれた。

慌てて そばにあった新聞をかぶせて吸い取ろうとしてとき、

目に入ったのは“OBITUARY”の文字だった…

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オビチュアリー、アメリカのどんな新聞にもある死亡記事です。

日本の新聞にもありますが、もっと大きく紙面を割いています。

私の印象では、地方に行けば行くほど、新聞社も購読する人も

重要視しているページだと思います。故人がどれほど地域に

貢献した人物であるかが詳しく書かれるからです。

死んだとき、地元紙のオビチュアリーで、自分の功績や人柄を

どれぐらい称賛されるかが一種のステータスになるのでしょう。


ハリエット(シャーリー・マクレーン)は自分についてはどんな

記事が書かれるのだろうかと気になり、地元紙・ガゼットの

編集部に乗り込みます。

新聞社には死亡記事専門とする記者がいます。ガゼット紙では

アン(アマンダ・セイフブライド)という若い女性記者でした。


広告を通じてガゼットに貢献しているつもりのハリエットは、

さぞかし“大満足”の記事が書かれると思い込んでいましたが、

期待は大きく裏切られます。普通なら、家族には愛され、同僚・

上司からは慕われ、可愛がられ…と誉め言葉が並ぶのですが、

アンが書いた記事にはどこにもそんな言葉がありません。

口うるさい彼女は周囲から嫌われていたのです。ハハハ。


ハリエットに言わせると、オビチュアリーにはいくつか大事な

要素があるそうで、その一つが 冒頭で故人の名前の前に書く

フレーズです。彼女はそれをワイルドカードと呼んでいます。


1990年代に、8年間 市長だった…

オリンピックで金メダルを二つとった…

メジャーで6年プレーした…

町営図書館で司書として25年務めた…


自分にはそれがない…


こういう映画には“ありがちな”エンディングに向けて物語は

進んでいきます。腹を抱えて笑うようなシーンはありませんが、

マクレーンが好きだったら十分楽しめます。館内には若かりし

彼女のファンだったのだろうと思える年配者が大勢いました。


「アパートの鍵貸します」など、ハリウッドのコメディには

欠かせない女優でした。私の中では“キュート”と同義でした。

しかし、分からないものです。英語の記事の中に「マクレーンは

メディアや共演者からは”無礼な”、“いやな”、“気むづかしい”、

“わがまま”な女優と形容されてきた」という記述がありました。


スクリーン上の俳優と“素”の間にギャップがあるのは当然です。

しかも、この映画の監督がマクレーンに十分な敬意と愛情を

持っていることはハッキリしています。ハハハ。


巷の評価は高くありませんが、こちらも108(奇遇!)

ありふれた物語ですが、それなりに楽しめます。


参考

原題:TheLast Word

Tomatometer37%

観客スコア:64%


おまけ


この映画は銀座シネスイッチで見ました。

理由は知りませんが、オンラインで予約できません。

好きな席で見たければ、早めに行ってチケットを

買わなければいけません。時間が余ります。


近くのマロニエゲート(旧プランタン)まで歩き、

“アンジェリーナ”でモンブランを食べることに。

(w/アイスコーヒー)

ゆるいダイエット中ですが、こればかりは

どうにもなりません。ハハハ。

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この日は、夜も近くの“らん月“ですき焼き。

何が、ゆるいダイエットだ!

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by toruiwa2010 | 2018-03-30 08:14 | 映画が好き | Comments(0)

しあわせの絵の具 90


身を寄せている叔母の家に兄がやって来たとき、迎えに来て

くれたのだと、モードは思った。しかし、違った。兄は彼女の

荷物を持ってきたのだと言う。なぜかと尋ねるモードに兄は

「あの家は私が相続し、売ったのだ」と言って去っていった。

子供のころからモードは絵を描くことが好きだった。

重度のリュウマチを病み、手と足が不自由だった。歩き方が

おかしいとからかわれ、子供たちに石を投げられることもあった。

一族の中でも“厄介な”存在だった…

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文化村のル・シネマの客層にピッタリの映画だからでしょうが、

封切りから2週間以上たつのにほぼ満席でした。小品だけど光る

こういう映画を多くの人が見ていると知って嬉しかったです。

そして、見逃がさなくてよかった。ハハハ。


序盤は画面も物語も暗くて、少し滅入ります。

しかし、ひょんなことがきっかけになって、彼女の描く絵が

世間の注目を集め始めるところから”トーン”が変わります。

見終えてエレベーターに向かっているとき「よかったねえ」と

自然に声が出ました。温かみのある映画でした。


「シェイプ・オブ・ウォーター」でオスカーの候補になった

サリー・ホーキンスがモードに扮しますが、“憎いほど”うまい!


参考

原題:Maudie

TOMATOMETER89

観客スコア:89


ちはやふる-結び- 90


2016年公開の「上の句」、「下の句」をうけた3作目です。

百人一首を愛する3人の幼馴染の物語が3年生の夏、最終章を

迎えました。千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(あらた:

新田真剣佑)を中心に若者たちが”競技かるた“という特別な

舞台で青春を謳歌します。そう、楽しいことも苦しいことも、

笑うことも悩むことも、過ぎれば すべてがいい思い出になる

あの”青春”です。

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青春映画の“王道”を行っています。

あそこはどうなの という欠点がなく、完成度が高いと思います。

最初から最後まで楽しめました。

「ほめ過ぎだ」と言われそうですが、広瀬ありきの映画です。

監督もカメラマンも彼女に“ぞっこん”なことが分かります。

中盤のスローモーションの映像を見れば納得するはずです。


思えば、「海街diary(2015)で目に留まった広瀬がまったく

テーストが違う「ちはやふる」に出ているのを見て、彼女が

成長していく過程を見たいと思い、東京オリンピックに続いて、

“長生きしなければ”とがんばる理由が増えたことを思い出します。

ハハハ。


出番は少ないですが、松岡茉優も光っていました。


リバーズ・エッジ 70


2月に封切られた古い作品だったので最後まで迷いましたが、

結局 出かけたのは「Blank13」のような“拾い物”に出会うかも

しれないと思ったからです。

結果として、“期待”は裏切られました。教訓としては、滅多に

出会えないからこそ“拾い物”なんだという真理を学びました。

いまさらですが。ハハハ。

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原作は“伝説のコミック”だそうです。なるほど、と思いました。

岡崎京子は「へルター・スケルター」の原作者であることも

映画を見たあと知りました。これも、なるほど、です。ハハハ。

日本の若者の青春を切り取っているのか、いないのか…


監督は行定勲。

2010年の「今度は愛妻家」、去年の「ナラタージュ」の2本を

見ています。前者は豊川悦司の“男の色気”で5点プラスしても

80点だったし、後者は70点でした。私の評価は高くないです。


蛇足ですが、この映画は演出上、“絶対に必要”とは思えない

性描写が多くて驚きました。中には、名前が分かりませんが、

監督による“パワハラ”、“セクハラ”じゃないのかと思わせる

演技をさせられている女優がいました。監督、頭おかしいぞ…

そう思わせる映像でした。劇場で公開される映画で ここまで

露骨なシーンを見たのは初めてのような気がします。

彼の作品に出る女優は用心すべきです。


「今度は…」の公開前に大竹まことのラジオで“ふざけた”話を

しているのを聞いて、名前を聞くと微妙な感情が動きます。

http://bit.ly/2FVsdFg


それはともかく、70点は80歳近い爺さんの感想点です。

若者には共感する部分があるかもしれません。

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ご近所・桜


昨日は、映画の帰りに一駅手前で降りて

神田川沿いを歩きました。

頭の中にあった枝垂れ桜が満開でした。

気分良し!

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by toruiwa2010 | 2018-03-23 08:26 | 映画が好き | Comments(0)

北の桜守 75


物語は1945年の南樺太(からふと)から始まる。

江連(えづれ)徳太郎(阿部寛)の一家が大人の身長ほどに育った

桜の木の周りに集まっている。中学生になっている子供たちが

生まれたときに植えた桜が今年初めて花を咲かせたのだ。


本土では終戦が近づいていた8月、突然 ソ連が参戦した。

兵として樺太に残る徳太郎と別れ、妻のてつ(吉永小百合)

二人の子供を連れて北海道・網走に行くことになった。

「必ず、また、家族で桜を見よう」と約束をして…

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1945年・樺太の部分で物語のベースが語られたあと、映画は

大きくとんで1971年の北海道に舞台を移します。

アメリカ帰りのてつの二男・修二郎(堺雅人)が現地で結婚した

(篠原涼子)とともに、ハンバーガーの日本1号店を開きます。


経営に苦労する修二郎のもとに、ひとりっ暮らしの母について

気になる情報が飛び込んできます。


吉永小百合ファンはここから先 読まない方がいいです。ハハハ。

古い読者は知っていると思いますが、私は彼女が苦手です。

演技もセリフの言い方もいつも同じだし、なにより、共演者や

制作陣の彼女を称賛する言葉の“いろあい”がいつも同じ…と

いうのが気持ち悪いです。


世間的には、掛け値なしの偉大な女優さんなのでしょう。

しかし、“強情&頑固でへそ曲がり”(謙遜ですよw)の私は認める

気になりません。これまで、かなりの数の出演作を見ましたが、

唸るような演技に出会っていません。木村拓哉と似ています。

典型的な吉永流の演技が冒頭で見られます。


戦場に向かう夫を追っててつがすがりつく。

「好きな人、死なないでね」と言ってじっと見上げる…。

セリフもしぐさも呆れるほど“作法通り”でした。ハハハ。

こう書くと、憎んでいるように読めるでしょうが、違います。

演技以外の活動で認めるものがたくさんあります。


「おくりびと」であれほど感動させてくれた滝田洋二郎監督も

永小百合は吉永小百合でいいと思っていたのでしょう。全編に

彼女が発する“昭和”のにおいが“手つかず”で漂っていました。

逆に言えば、それが好きだとおっしゃるファンたちにとっては

まさに“どストライク”の作品かもしれません。


恥を忍んで…

1ヶ月ほど前に手にした宣伝チラシに“舞台演出:ケラリーノ・

サンドロヴィッチ”と書かれていました。おやおや、外国人まで

呼び寄せたんだ…と思ってしまいました。日本生まれ&育ちの

日本人演出家らしい…と知ったのは帰宅してからです。ハハハ。


ま、彼の出自は問題じゃありません。

エンディングを含め、数か所に差し込まれる 彼の演出による

“舞台劇”のシーンに強い違和感がありました。木に竹を接ぐ。

これも、滝田ファンにしてみれば「さすが」なんでしょう。

”部外者”が見ちゃいけない映画かも。ハハハ。


ついでに書いておくと、堺雅人…「半沢直樹」に出たことが

プラスになっていないんじゃないか?


去年の冬、きみと別れ 75


郊外の豪邸で火災が起き、写真のモデルをつとめていた盲目の

女性が焼死した。家の所有者、アーティスティックな写真で

売り出し中のカメラマン、木原坂雄大(斎藤工)が逮捕された。

殺人容疑だった。しかし、「撮影中にろうそくが倒れて火がつき、

手のほどこしようがなかったのだ」という木原坂の供述を得て、

担当検事は罪名を保護責任者遺棄致死に切り替えた。

判決には執行猶予がつき、彼は釈放された。


数年後、大手出版社の腕利き編集者、小林良樹(北村一輝)

若いライターの耶雲恭介(岩田剛典)が訪ねた。木原坂に密着して

本を書きたいと言う。

小林は「もう、終わった事件だ」と渋ったが、「大化けするかも

しれないから」と上司が口説いて、結局取材はスタートした…

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又吉直樹がいつも褒めている芥川賞作家、中村文則に興味は

あるのですが、この映画の原作は読んでいません。


ネタバレになりますが、木原坂が二人の女性を焼き殺すに至る

動機や気持ちの動きが描き切れていないと思います。映像では

語れないし、彼のセリフに込めるのも難しいのでしょうが、

この物語の“肝”なのに…と不満が残ります。


一定の評価を得ているという設定の木原坂の写真も観客には

ほとんど見せてくれないのもなぜなのか?

文章で描けるものと映像化しなければならない映画の違いが

はっきり出ています。「北の桜守」で“舞台”に逃げたシーンにも

同じことを感じます。


厳しいようですが、若いライターに扮した岩田、その恋太役の

山本美月…ともにミスキャストだったのではないでしょうか?


by toruiwa2010 | 2018-03-16 09:21 | 映画が好き | Comments(4)

シェイプ・オブ・ウォーター 75


家全体が水に沈んでいた。家具が浮き、魚も泳いでいる。

ソファに自分が寝ている。サイレンの音で目が覚めた。

不思議な夢だった。


起き上がったイライザは同居する友人のためにゆで卵を作り、

バスルームに向かう。たっぷり湯を張ったバスタブに身を沈め、

自慰を始める。いつものイライザの一日が始まる…

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会話の中に“キューバ危機”の話が出ていたから、1960年代の

前半でしょう。冷戦の時代だったし、米ソが宇宙開発をめぐり、

激しい競争を繰り広げていた時代です。

イライザの職場はボルチモアの航空宇宙研究センターです。

仕事が始まるのは深夜0時です。彼女は掃除婦として早朝まで

働いています。

子供のころのケガがもとで、話すことができません。


“その日”、きわめて貴重な生き物がセンターに運び込まれます。

鋼鉄の容器に入れられて。

アマゾンで発見・捕獲された“彼”は両棲類でとても人間に近い

形をしています。将来、人類が宇宙での生活に適応できるか

どうかを知るうえで大事な研究対象になるとされていました。


サラは一目見たときから“彼”に強く惹かれます。

時間の経過とともに二人の間に特別の感情が生まれ…


どんな物語か分かっていました。苦手なカテゴリの作品ですが、

アカデミー作品賞の最有力候補と聞いて見ることにしました。

やっぱりついていけませんでした。“ファンタジー”の中にも

受け付けるものはあるのですが、あまりにも“ありえない話”を

もっともらしく描いているだけ…という印象でした。肝心の

“生き物”がちっとも美しくないし。ハハハ。


妻は始まって30分足らずで“もぞもぞ”し始めていましたが、

外食の予約をしていたので我慢しました。ハハハ。

どこかで少しは感情移入ができるかもしれないと、淡い期待を

抱いてみ続けましたが、“無駄”でした。


…で、アカデミー作品賞は「スリー・ビルボード」だろう、と

根拠もなく確信して授賞式を見ましたが、あえなく敗れました。

今世紀になってからの作品賞で一致するのは「シカゴ」(2003)

「ミリオン・ダラー・ベイビー」(2005)、「ハート・ロッカー」

(2010)、「英国王のスピーチ」(2011)、「スポット・ライト」

(2016)ぐらいですから、予想が外れても「あ、そう」です。


日本の作品賞はちょくちょく的中しますから、洋画となると

どうにもなりません。要するに、国民性、歴史、文化、宗教、

食いものの違いから来るのだと思うことにしています。ハハハ。


参考

原題:TheShape of Water

Tomatometer92 %

観客スコア: 77%


1517分、パリ行き 80


大勢の人のざわめきか聞こえる。

かぶせるように女性の声でアナウンスが流れている。

雑踏を縫ってがっしりした体格の男が歩いていく。

リュックを背負い、キャリーバッグを引いている。

たしかな目的を持った歩き方だった。

男が列車に乗り込むとすぐにドアが閉まった。


画面が変わって、オープンカーが走っている。若い男が三人、

乗っている。白人が二人と黒人が一人。子供の頃からの親友だ。


そこから、物語は彼らの小学校時代にさかのぼっていく…

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20158月にヨーロッパ大陸を走る列車の中で実際に起きた

テロ事件を映画化したものです。武装した犯人に立ち向かった

3人のアメリカの若者の武勇伝は世界的に話題になりました。

ヒーローたちや列車に乗り合わせた旅客のうち 主だった役を

“本人”が演じていると聞いていたし、なによりも、クリント・

イーストウッドの監督作品ですから迷うことなく出かけました。


“イーストウッド”と聞いて、必ず思い浮かべる言葉があります。

手練れ(てだれ)…熟練して技芸などが優れていること。

初期の監督作品は見ていませんが、「許されざる者」以後は

ほとんど見ています。好きな監督の筆頭です。本作も 興味深く、

面白く見ました。ただし、珍しく、不満が残りました。


全体に占める“過去”の話が多すぎます。なぜ、こだわったかが

よく分かりません。ストーリーテラーとして定評があるのに、

3人とテロリストとの対峙に至るプロセスが省かれている上に

クライマックスがあまりにもあっけなく、拍子抜けしました。

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「アメリカン・スナイパー」、「ハドソン川の奇跡」と最近の

2作も実話をベースにした話を手際よくコンパクトにまとめる

手腕を見せたイーストウッドにしては…と、残念です。

事実を“饒舌に”かたるのでなく、テンポよく、簡潔にまとめて

クライマックスに持っていく作法はいつも通りですが、全体の

バランスが悪すぎます。


“腐ったトマト”()が激辛評価をしています。

私の感想としてはここまで低くないのでびっくりしました。

同時に、アカデミー監督賞に2度輝いている“大御所”に対して

ダメなものはダメと、厳しい評価を下すアメリカのメディアは

素晴らしいと思いました。


イーストウッドには次作「A Star Is Born」で名誉を挽回して

もらいたいと願っています。


参考

原題:The 15:17 to Paris

Tomatometer25%

観客スコア:45% (Rotten Tomatoes)


by toruiwa2010 | 2018-03-09 08:29 | 映画が好き | Comments(0)

金曜日に日本アカデミー賞の授賞式が行われて日本テレビが

録画で放送した。壊れたレコード(今は通用しないたとえだがw)

のようで恐縮だが、相変わらずお粗末な演出だなあ。

収録から放送まで時間がない撮って出しだから編集が雑だし、

オープニングに始まり、MCの間のチェアに1人ずつ移動して

受ける優秀賞受賞者(=最優秀賞の候補者)のインタビュー、

プレゼンターの一言…歴史も“風土”も違うから同列に語るのは

無理があるが、“本家”の放送より前でよかったとつくづく思う。

間違いなく反感を買うのを覚悟で書いておくと、女優たちの

ドレス姿もどこか中途半端だったよね。身についてない…。No?


どうしても“好み”が作用するから、映画の評価は難しい。

以下“「三度目の殺人」がよかった!~2017 映画の総括~”に

書いたことと合わせて、各部門の結果と改めての感想を。


助演女優賞…

尾野真千子「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

北川景子「探偵はBARにいる3

夏川結衣「家族はつらいよ2

広瀬すず「三度目の殺人」

薬師丸ひろ子「8年越しの花嫁」

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全作品を見ている。

広瀬以外の4人より 水崎綾女()、木村多江(あゝ、荒野)

前田敦子(散歩する侵略者)、…の演技が私は気に入っていた。


ただし、9月に作品を見たとき「今年の助演賞は決まった」と

確信した。それほど広瀬の演技は異彩を放っていた。だから、

“最優秀”発表前に「断然、広瀬が光っていた」とツイート。

去年は杉咲花(湯を沸かすほどの熱い愛)に持っていかれたが、

「怒り」の広瀬の方が上だったと思っている。本人の気持ちは

分からないが、私的には”リベンジ”を果たせてガッツポーズ!

ハハハ。


助演男優賞

西田敏行「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

西村雅彦「家族はつらいよ2

松田龍平「探偵はBARにいる3

村上虹郎「武曲」

役所広司「三度目の殺人」

役所広司「関ヶ原」

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村上だけ見ていなかったし、西田、西村、松田は“最優秀”と

するほどではなかった。少なくとも、当該作品での演技は。

むしろ、小栗旬(追憶)、宮藤官九郎(幼子われらに生まれ)

ヤン・イクチュン(あゝ、荒野)がいいと思っていた。

発表前に呟いた。


最優秀賞に値するのは「三度目…」の

役所以外にいないと思う。


その通りになった。広瀬と同じように、彼の受賞にはかんりの

自信があった。演技の幅が広い、今の日本映画界では最高の

役者だと思っている。


主演女優賞

蒼井優「彼女がその名を知らない鳥たち」

新垣結衣「ミックス。」

土屋太鳳「8年越しの花嫁」

長澤まさみ「散歩する侵略者」

吉高由里子「ユリゴコロ」

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吉高は見ていないかった。

私としては、満島ひかり(愚行録)、有村架純(3月のライオン)

演技は素晴らしいと思っていた。ただし、最優秀となったら、

蒼井と土屋のどちらかで決まると予想していた。

土屋の熱演も捨てがたいが、今回、賞レースで勝ち続けている

蒼井の優位は動かないかな…と。


映画を見た人なら蒼井が選ばれたことに異論がないだろう。

蒼井優ありきの作品だと思わせる、入魂の演技だった。


主演男優賞

大泉洋「探偵はBARにいる3

岡田准一「関ヶ原」

佐藤健「8しの花嫁」

菅田将暉「あゝ、荒野 前篇」

藤原竜也「22年目の告白」

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全作見ていた。上記5人の中に大泉と藤原がいたことに驚いた。

この二人ならあの演技は“普通”だから。

むしろ、桐谷健太(ビジランテ、火花)、西島秀俊(ラストレシピ)

阿部サダヲ(彼女がその名を…)、妻夫木聡(愚行録) 、生田斗真

(彼らが本気で編むときは、先生)、野村萬斎(花戦さ)、仲代達矢

(海辺のリア)、浅野忠信(幼な子 われらに生まれ)らの名前が

挙がらなかった理由を聞きたい。ハハハ。


賞レース連勝の流れを見て、菅田が取ると思いつつ、佐藤でも

納得だなあと思っていた。去年1年の菅田の活躍は目を見張る

ものがあった。初めは好きじゃなかったが、「セトウツミ」で

完全にはまった気がする。今じゃ、自分の“守備範囲”ではない

カテゴリの映画でも彼が出るなら見てみようか…となってる。

将来がますます楽しみな俳優だ。


作品賞

「君の膵臓をたべたい」は見てない。

「三度目の殺人」90

「関ヶ原」85

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」75

「花戦さ」75 (数字は私の評価点)

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「君の…」は、そのうちに…と思っていたら終わってしまった。

優秀作に選ばれなかった「あゝ、荒野」は前編85点で、後編は

80点だったが、ほかの賞で最優秀に選ばれても納得していた。

しかし、この5作なら「三度目…」だと思っていた。


今年はこれだと思っていた「三度目の殺人」が6冠を達成した。

大満足だ。関係者を心から祝福したい。そして…。

えっへん。

主要部門について私の予想(=希望)がほぼ100%的中した。

別に見る目があるわけじゃない。たまたまアカデミー会員と

意見が一致しただけだ。去年は半分ぐらいしか当たらなかった。

好みがものを言うから当たることもあれば、外れることもある。

当たれば単純に嬉しいし、外れたら好きなように“つっこみ”を

入れてストレスを発散すればいい。その意味でこの番組はいい。

それにしても、聞いてるると、“好み”が坂上忍とほぼ同じ!

喜んでいいのかどうか分からん。ハハハ。


by toruiwa2010 | 2018-03-06 08:06 | 映画が好き | Comments(0)

blank 13 85


隣り合わせのように建つ二つの寺で告別式が行われている。

具合が悪いことに、どちらも“松田家”だった。

サオリ(松岡茉優)が受付に立っているのは松田雅人(リリー・

フランキー)の、通りの奥の立派な門構えの寺で行われているのは

松田宗太郎の告別式だ。サオリに香典を渡し、芳名録に記帳を

すませてから間違いに気づく人が先ほどから何人もいる。


ギャンブル好きで借金まみれだった雅人が死んだ。行方不明に

なってから10数年後に見つかったとき、余命3ヶ月だった…

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この役者が斎藤工だと認識して初めて見たのは20111月期、

テレビ東京で放映したドラマ「最上の命医」でした。留学先の

アメリカから帰国する飛行機の中で妊婦の出産を成功させる

小児外科医を演じていました。なんだ、こんなにいい俳優が

いるんじゃないか、というのがそのときの印象で、それ以後、

彼が出る作品はよく見ています。

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何本か短編は撮っていたようですが、blank 13は彼が初めて

監督した長編です。

実は、途中まで“とりとめ”のなさに戸惑いました。このところ、

私の感想点が70点以下の映画を5本続けて見せられています。

70点”は金と時間を返せ…という点数です。ハハハ。


おい、おい、6本連続かよ、とため息が出ました。

しかし、全体の2/3を過ぎたあたり、雅人の告別式で 数少ない

出席者たちが故人との“つながり”を話し始めてからは 俄然、

展開に惹きこまれました。


見つかった雅人が余命3ヶ月で入院していることが分かっても

長男・ヨシユキ(斉藤)と母親(神野三鈴)は見舞いを拒みます。

雅人には 苦しめられた思い出しかないからです。

子供のころにキャッチボールをしてもらった記憶がある二男・

コウジ(高橋一生)は病室をたずねましたが、一回で終わります。

10数年たっても雅人は何も変わっていなかったからです。


…しかし、岡宗太郎(佐藤二朗)を初めとする参列者たちが語る

いくつかのエピソードは家族の中の雅人のイメージを覆します。

この映画の見どころは最後の25分ほどに凝縮されています。

長編と言っても、上映時間は1時間10分です。淀川長治じゃ

ありませんが、鑑賞したあと、映画っていいなあと思えます。

斎藤工の才能の一端を見た思いです。


そして、佐藤二朗、最高!


空海 美しき王妃の謎 ???


8世紀、当時の中国を支配していた唐に渡った若き僧がいた。

のちの空海(染谷将太)だ…

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70点以下の5本目がこの映画です。ハハハ。

初めから無理だろうなとは思っていましたが、我慢できたのは

45分ほどでした。それ以上はどうしても無理でした。

“負け”を覚悟して試合に臨んだ(ハハハ)のはかなり前に見た

「グリーン・デスティニー」の記憶があったからです。

いかにも中国…という映画でした。アカデミー作品賞の候補に

選ばれるほど好評でしたが、私はそれほどでも。ハハハ。


ただ、映像がきれいだったなあという記憶があって、染谷だし、

阿部寛も出るし、楊貴妃に扮する女優がどれほどきれいかにも

興味があって、ちょっとだけ見てやろうじゃないかと。

結局、阿部が演じる阿倍仲麻呂や楊貴妃が登場する前に劇場を

あとにしました。ハハハ。


特撮を多用し、膨大な数のエキストラの動員など、blank 13

100倍ぐらい金がかかっているのではないかと思わせます。

何も知らねえな、と言われそうですが、それだけの金を使って

こんな映画を作るなよ。10分の1でも斉藤に回してやったら

どうなんだ、と毒づいてやりました。ハハハ。


by toruiwa2010 | 2018-03-02 08:20 | 映画が好き | Comments(0)

不能犯 60


多田友子(沢尻エリカ)は凶悪事件を追う女性刑事だ。バディを

組む新米刑事をいつまでも「おい、新人」と呼ぶ。

管内で奇妙な事件が続発していた。殺人事件のように見えるが、

証拠がなく、死に至る経緯や殺害の動機もはっきりしない。

有力な容疑者はいた。いずれの現場でも黒いスーツの男の姿が

目撃されているのだ。


(松坂桃李)は宇相吹(うそぶき)と名乗り、神出鬼没だった。

一度、任意同行を求めて取り調べたが、聴取に当たった多田の

先輩女性刑事も餌食になって命を落とした…

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宇相吹(松坂桃李)には特殊な能力が備わっています。自分は

手を下さず、独特な目力で相手を死に導きます。公衆電話の

ボックスの下に張り付けた依頼のメモをもとに行動しますが、

彼には動機がなく、彼の行為では人を殺すことはできません。

警察ではこれを“不能犯”と呼びます。


あらかじめ、どんな映画かは知っていました。しばらく 沢尻を

見ていないからなあと思って出かけました。正直にに書くなら、

時間と金の無駄でした。ハハハ。


若手の中で松坂は好きな俳優です。才能も豊かです。…だけに、

こんな作品に出なくてもいいんじゃないのかと思います。

台本をちゃんと読んだのかなあと。せっかくの才能なんだから

無駄遣いしちゃだめだ。


沢尻にも同じことを言いたいです。魅力のある女優だと思って

いるのですが、作品を選んでほしいです。

ただ、典型的な童顔ですから役が難しいですね。


羊の木 70


日本海に面した北陸の町、魚深(うおぶか)市。

新幹線の駅はあるのだが、人口の減少に歯止めがきかない。

市役所に勤務する月末一(つきすえはじめ:錦戸亮)に課長から

声がかかった。転入者が6人いる。雇用先と住むところはもう

決まっている。彼らの受け入れを担当してくれと告げられた。


まず、新幹線の駅に迎えに出た月末の前に現れたのはどこか

そわそわと落ち着きのない男だった。二人の男が一緒だったが、

彼らは改札口を出ることなくホームに戻って行った。

町に帰る途中に立ち寄った食堂で、男は 注文したラーメンと

チャーハンをむさぼるように食べた。


空港に出迎えた二人目は女だった。パフェを食べ終えるたあと

しきりに 着ているセーターのにおいを気にして言った。

「ずっと保管してもらってたのでカビ臭いの」


在来線の駅に降りてきた3人目も女だった。同行してきた

二人の女性は月末に何も言わず、きびすを返した…

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月末の中で大きく膨れ上がった“彼らは何者か”という疑問には

周囲から断片的に答えが出てきます。

衝撃的なのは6人の転入者全員が元殺人犯だということです!

刑務所を効率的に運用するために真面目な受刑者たちを早めに

釈放し、過疎化が進む地方都市に受け入れてもらう。“職住”を

保証したうえで。そんな政府の計画に魚深市が乗った結果です。


しかも、映画が語るところによれば、市長がほぼ独断で決めて

市に伝え、指示を受けた課長が若い職員に丸投げしています。

素性も理由もタウげずに! いくらなんでもねえ。ハハハ。


“訳あり”な人物が多すぎます。彼らを語るには4時間ぐらい

必要でしょう。その時間は撮れないから、みんな中途半端な

描き方になっています。6人の素性が明らかになるところまでは

ともかく、そこから先はいただけません。木村文乃のギターは

ひどかったなあ。ハハハ。


元殺人犯の一人に扮した松田龍平がいいと思いました。

彼にしか出せない雰囲気を漂わせていました。

演技を見るのは“ほぼ初めて”の錦戸が自然体でいいですね。

優香も“頑張って”いました。そんなばかな…という役ですが。

そして、このところ“好調”な北村一輝に凄みを感じました。

作品としては70点がやっとです。


MAN HAUNT 50


なんでしょうねえ。

何かを語る気にならない映画…久しぶりに雨にかかりました。

そう、北野武の「龍三と七人の子分たち」以来でしょうか。


数千発の銃弾が発射され、どんどん人が死にます。ただし、

どんなに撃っても、“そのとき”が来るまで、主な登場人物には

決して当たりません。その代わり、どうでもいい奴には簡単に

命中します。“中国式”…と呼ぶべきかも。

あ、そう言えアバ、たけしの映画も同じ図式ですね。ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2018-02-16 08:14 | 映画が好き | Comments(0)

スリービルボード 90


アメリカ中西部の小さな町、ミズーリ州エビング。

町を出てフリーウエーに向かうさびれた道を1台のステーション

ワゴンがゆっくりと走っていた。ハンドルを握っているのは

近くに住むミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)だ。

彼女はカーブに沿って立つ3基の大看板(ビルボード)に目を

やりながら考えごとをしている。やがて、意を決したように

ギアチェンジし、スピードを上げて走り去った。


町に戻った彼女は広告会社に行き、看板を借りたいと告げた。

「あそこは車も通らないし、最後に使われたのはだいぶ前だ」と

言われても気持ちは変わらなかった。一つだけ念を押した。

「看板に使ってはいけない言葉があるか?」と…

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数日後、3基の看板にメッセージが張られます。

「瀕死の状態でレイプされた」

「まだ、誰も逮捕されていないわね?」

「なぜなの ウイロビー署長?」


7ヶ月前、若い女性がこの道路沿いの草むらで暴行されたあと

焼き殺されるという残酷な事件が起きていました。被害者は

ミルドレッドの娘でした。“看板”は 遅々として進まない捜査に

業を煮やした彼女の”復讐”のメッセージだったのです。


あいにく、署長は町民から圧倒的に支持され、人望もあります。

しかし、“怒れる母”、ミルドレッドはまったくひるむことなく、

その言動はエスカレートしていきます。

乱暴な言葉が飛び交い、暴力が画面を覆います。

しかし、奇妙なことに、見終わって感じたのは“温かさ”でした。

説明が難しいですが、見ればわかります。


…これじゃ、レビューにならないか。ハハハ。


なお、アカデミー作品賞の候補では「ダンケルク」と本作しか

見ていませんが、同じ90点でもこちらの方が上です。


参考

原題:ThreeBillboards Outside Ebbing, Missouri

Tomatometer93%

観客スコア:87% (Rotten Tomatoes)


ベロニカとの記憶 90-


トニー・ウエブスターはいつものように簡単な朝食を終えると、

徒歩で自分が経営する中古のカメラショップに出勤した。

出がけに受け取った手紙を読もうとして封を切ったところで

客がドアをノックした。“冷やかし”だった。

その日の午後、彼は別に暮らしている娘のお供で妊婦講習に

出かけた。別れた妻が足の骨を折ったからだ。


手紙は法律事務所からで、学生のころ交際していたベロニカの

母親が亡くなり、いくばくかの金とともに“添付したもの”が

彼に遺されていることが告げられていた。ただし、配達された

手紙には何も“添付されて”いなかった…

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物語は年老いたトニーの現在と 記憶の中にある1960年代の

多感だった学生時代を行ったり来たりします。

人間は“過去”は美しい出来事として記憶しているもの…という

古今東西を問わない心理を巧みに織り込んでいます。


元カノ、ベロニカの母がトニーに遺したものとは彼の親友で

若くして自ら命を絶ったエイドリアンの日記だと分かります。

ここから先はネタバレになるので書けません。ハハハ。


少し甘いかなと思いつつ、90点をつけました。物語の流れも

テンポも私好みだし、ストライク・ゾーンの真ん中でした。

元夫婦、娘、高校時代の同級生同士、教師…登場人物たちの

“距離感”がとてもいい感じでした。セリフ(日本語訳)もよく

練ってあります。

高校時代のシーンで、トニーの級友が口にした二つのセリフが

“なかなか”でした。


「歴史について言えるのは“何かが起きた”ということだけ」

「歴史は勝者の嘘」


〇〇がこう言った。このとき、○〇はこう考えた。

…“史実”とか言ったって、みんな、高名な作家や学者たちの

頭の中で生まれたものじゃないか、と、私が“歴史”について

いつも思っていることとよく似ています。ハハハ。


参考

原題:The Sense of an Ending

RottenTomatoes

Tomatometer74

観客スコア:52%


by toruiwa2010 | 2018-02-09 08:13 | 映画が好き | Comments(0)

デトロイト 90


1967723日、ミシガン州 デトロイト。

市内でアフリカ系退役軍人を称えるパーティが開かれていた。

そこを市警察が急襲した。違法酒場だったのだ。

Party's over(パーティは終わりだ)」。踏み込んだ警官たちが

一斉に叫び、抗議の声を無視して、客を店の外に追い立てる。


裏口から出すことができず、人目につく表通りに大勢の客が

並ばされた。すぐにやじ馬が集まり始めた。

事情を聞くため、パーティ客を警察に運ぼうとするのだが、

護送車の到着が遅れ、取り囲む住民の数は膨れ上がっていく。


3台目の護送車が現場を離れるころ、群衆の暴動が始まった。

白人が大多数を占める警官隊は必死に鎮静化を図るが、騒ぎは

大きくなるばかりだった。暴徒と化した住民たちが商店を襲い、

略奪や店舗への放火を始めるまで時間はかからなかった。

二日目、市長は州兵の派遣を求め、非常事態を宣言した…

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街の一角にあるモーテルで起きた射殺事件を中心にいくつかの

エピソードが語られます。途中ですこし“中だるみ”しますが、

差別主義の白人警察官による黒人住民への理不尽で暴力的・

一方的な尋問を女流監督 キャスリン・ビグローがくどいほど

丁寧に描きます。142分の上映時間の大半がこのシーンなので

見ているのがかなり苦痛でした。しかし、この作品に込めた

監督の“熱量”に打たれます。その感想は第82回アカデミー賞で

作品賞、監督賞など6部門に輝いた「ハード・ロッカー」を

見たときのものと同じです。


事件の模様を伝えるテレビのニュースキャスターがはっきり

“ニグロ”という言葉を使っていました。60年代は白人と黒人の

対立が先鋭化していた時期のようです。監督の“粘り”はその

ことと関係があるのでしょう。


85”点かなあと思いましたが、“90-”としました。

年末にベスト1を決めるとき、90点の作品がないと困るので…。

ハハハ。


参考

原題:Detroit

Tomatometer:84%

観客スコア:79% (Rotten Tomatoes)


祈りの幕が下りる時 90


百合子が夫と一人息子を残して家を飛び出し、身寄りのいない

仙台にやってきたのは1985年のことだった。自分を知る人が

一人もいない町が良かったのだと話していた。


小さなスナックに雇われた彼女はそこで長く働き、ママや客に

好かれていたが、心を開かないタイプの女だった。ときどき

町に現れる綿部(わたべ)という男といい仲だったようだが、

ハッキリしたことは分からない。

海に近いマンションの一室でひっそり暮らしていた百合子が

布団の上で冷たくなつているのを見つけたのは店のママだった。

心不全だった。千代に来てから16年のときが流れていた…

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百合子は日本橋署の刑事・加賀恭一郎(阿部寛)の母親です。

ママの連絡を受けた加賀が仙台に行き、遺品を引きとりました。

彼の住所をママに教えたのは綿部です。そして、綿部は当然、

百合子から聞いたのでしょうが、加賀は疑いを持ちました。

母親は加賀の居所を知らないはずだったからです。


この件と、そのころ東京で起きた2件の殺人事件の間に微妙な

関係が見つかり、本庁所属の松宮刑事(加賀の従弟:溝端淳平)

加賀がタッグを組んで真相を追うことになります。

捜査の過程で 元女優、現在は演出家として活躍する 浅居博美

(松嶋菜々子)の存在が浮上します。


物語を展開していくために必要な舞台や登場人物たちの紹介に

かなりの時間をかけています。タイトルが画面に現れるのは

上映開始から25分ぐらいあとでした。

で、とても面白いです。犯人の“動機”の部分が少し弱いような

気がしますが、最後まで楽しめます。


阿部寛、気合が入っています。

1980年代だったでしょうか、「笑っていいとも」の“いい男さん

いらっしゃい”というコーナーに風間トオルらと出ていたのを

見ていますが、当時は想像もしなかった大きな俳優になりました。

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松嶋菜々子…個々の”パーツ”はそうでもないのに、“仕上り”は

やっぱりいいなあ。…と言ってみたかっただけ。ハハハ。

映画の中で加賀が「やっぱ、超きれいだ」と思わず言いますが、

その通りですね。はじめ、“きれい”だけだったのに、松嶋の出演が

決まったとき、監督が“超”を加えたと聞きます。納得です。


博美の父親を演じる小日向文世もいいです。高く評価されて

いいと思います。


by toruiwa2010 | 2018-02-02 08:36 | 映画が好き | Comments(2)