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岩佐徹のOFF-MIKE

toruiwa.exblog.jp

実況、ドラマなど放送全般、映画、スポーツ全般、 旅、食、友 etc

カテゴリ:映画が好き( 231 )

不能犯 60


多田友子(沢尻エリカ)は凶悪事件を追う女性刑事だ。バディを

組む新米刑事をいつまでも「おい、新人」と呼ぶ。

管内で奇妙な事件が続発していた。殺人事件のように見えるが、

証拠がなく、死に至る経緯や殺害の動機もはっきりしない。

有力な容疑者はいた。いずれの現場でも黒いスーツの男の姿が

目撃されているのだ。


(松坂桃李)は宇相吹(うそぶき)と名乗り、神出鬼没だった。

一度、任意同行を求めて取り調べたが、聴取に当たった多田の

先輩女性刑事も餌食になって命を落とした…

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宇相吹(松坂桃李)には特殊な能力が備わっています。自分は

手を下さず、独特な目力で相手を死に導きます。公衆電話の

ボックスの下に張り付けた依頼のメモをもとに行動しますが、

彼には動機がなく、彼の行為では人を殺すことはできません。

警察ではこれを“不能犯”と呼びます。


あらかじめ、どんな映画かは知っていました。しばらく 沢尻を

見ていないからなあと思って出かけました。正直にに書くなら、

時間と金の無駄でした。ハハハ。


若手の中で松坂は好きな俳優です。才能も豊かです。…だけに、

こんな作品に出なくてもいいんじゃないのかと思います。

台本をちゃんと読んだのかなあと。せっかくの才能なんだから

無駄遣いしちゃだめだ。


沢尻にも同じことを言いたいです。魅力のある女優だと思って

いるのですが、作品を選んでほしいです。

ただ、典型的な童顔ですから役が難しいですね。


羊の木 70


日本海に面した北陸の町、魚深(うおぶか)市。

新幹線の駅はあるのだが、人口の減少に歯止めがきかない。

市役所に勤務する月末一(つきすえはじめ:錦戸亮)に課長から

声がかかった。転入者が6人いる。雇用先と住むところはもう

決まっている。彼らの受け入れを担当してくれと告げられた。


まず、新幹線の駅に迎えに出た月末の前に現れたのはどこか

そわそわと落ち着きのない男だった。二人の男が一緒だったが、

彼らは改札口を出ることなくホームに戻って行った。

町に帰る途中に立ち寄った食堂で、男は 注文したラーメンと

チャーハンをむさぼるように食べた。


空港に出迎えた二人目は女だった。パフェを食べ終えるたあと

しきりに 着ているセーターのにおいを気にして言った。

「ずっと保管してもらってたのでカビ臭いの」


在来線の駅に降りてきた3人目も女だった。同行してきた

二人の女性は月末に何も言わず、きびすを返した…

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月末の中で大きく膨れ上がった“彼らは何者か”という疑問には

周囲から断片的に答えが出てきます。

衝撃的なのは6人の転入者全員が元殺人犯だということです!

刑務所を効率的に運用するために真面目な受刑者たちを早めに

釈放し、過疎化が進む地方都市に受け入れてもらう。“職住”を

保証したうえで。そんな政府の計画に魚深市が乗った結果です。


しかも、映画が語るところによれば、市長がほぼ独断で決めて

市に伝え、指示を受けた課長が若い職員に丸投げしています。

素性も理由もタウげずに! いくらなんでもねえ。ハハハ。


“訳あり”な人物が多すぎます。彼らを語るには4時間ぐらい

必要でしょう。その時間は撮れないから、みんな中途半端な

描き方になっています。6人の素性が明らかになるところまでは

ともかく、そこから先はいただけません。木村文乃のギターは

ひどかったなあ。ハハハ。


元殺人犯の一人に扮した松田龍平がいいと思いました。

彼にしか出せない雰囲気を漂わせていました。

演技を見るのは“ほぼ初めて”の錦戸が自然体でいいですね。

優香も“頑張って”いました。そんなばかな…という役ですが。

そして、このところ“好調”な北村一輝に凄みを感じました。

作品としては70点がやっとです。


MAN HAUNT 50


なんでしょうねえ。

何かを語る気にならない映画…久しぶりに雨にかかりました。

そう、北野武の「龍三と七人の子分たち」以来でしょうか。


数千発の銃弾が発射され、どんどん人が死にます。ただし、

どんなに撃っても、“そのとき”が来るまで、主な登場人物には

決して当たりません。その代わり、どうでもいい奴には簡単に

命中します。“中国式”…と呼ぶべきかも。

あ、そう言えアバ、たけしの映画も同じ図式ですね。ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2018-02-16 08:14 | 映画が好き | Comments(0)

スリービルボード 90


アメリカ中西部の小さな町、ミズーリ州エビング。

町を出てフリーウエーに向かうさびれた道を1台のステーション

ワゴンがゆっくりと走っていた。ハンドルを握っているのは

近くに住むミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)だ。

彼女はカーブに沿って立つ3基の大看板(ビルボード)に目を

やりながら考えごとをしている。やがて、意を決したように

ギアチェンジし、スピードを上げて走り去った。


町に戻った彼女は広告会社に行き、看板を借りたいと告げた。

「あそこは車も通らないし、最後に使われたのはだいぶ前だ」と

言われても気持ちは変わらなかった。一つだけ念を押した。

「看板に使ってはいけない言葉があるか?」と…

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数日後、3基の看板にメッセージが張られます。

「瀕死の状態でレイプされた」

「まだ、誰も逮捕されていないわね?」

「なぜなの ウイロビー署長?」


7ヶ月前、若い女性がこの道路沿いの草むらで暴行されたあと

焼き殺されるという残酷な事件が起きていました。被害者は

ミルドレッドの娘でした。“看板”は 遅々として進まない捜査に

業を煮やした彼女の”復讐”のメッセージだったのです。


あいにく、署長は町民から圧倒的に支持され、人望もあります。

しかし、“怒れる母”、ミルドレッドはまったくひるむことなく、

その言動はエスカレートしていきます。

乱暴な言葉が飛び交い、暴力が画面を覆います。

しかし、奇妙なことに、見終わって感じたのは“温かさ”でした。

説明が難しいですが、見ればわかります。


…これじゃ、レビューにならないか。ハハハ。


なお、アカデミー作品賞の候補では「ダンケルク」と本作しか

見ていませんが、同じ90点でもこちらの方が上です。


参考

原題:ThreeBillboards Outside Ebbing, Missouri

Tomatometer93%

観客スコア:87% (Rotten Tomatoes)


ベロニカとの記憶 90-


トニー・ウエブスターはいつものように簡単な朝食を終えると、

徒歩で自分が経営する中古のカメラショップに出勤した。

出がけに受け取った手紙を読もうとして封を切ったところで

客がドアをノックした。“冷やかし”だった。

その日の午後、彼は別に暮らしている娘のお供で妊婦講習に

出かけた。別れた妻が足の骨を折ったからだ。


手紙は法律事務所からで、学生のころ交際していたベロニカの

母親が亡くなり、いくばくかの金とともに“添付したもの”が

彼に遺されていることが告げられていた。ただし、配達された

手紙には何も“添付されて”いなかった…

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物語は年老いたトニーの現在と 記憶の中にある1960年代の

多感だった学生時代を行ったり来たりします。

人間は“過去”は美しい出来事として記憶しているもの…という

古今東西を問わない心理を巧みに織り込んでいます。


元カノ、ベロニカの母がトニーに遺したものとは彼の親友で

若くして自ら命を絶ったエイドリアンの日記だと分かります。

ここから先はネタバレになるので書けません。ハハハ。


少し甘いかなと思いつつ、90点をつけました。物語の流れも

テンポも私好みだし、ストライク・ゾーンの真ん中でした。

元夫婦、娘、高校時代の同級生同士、教師…登場人物たちの

“距離感”がとてもいい感じでした。セリフ(日本語訳)もよく

練ってあります。

高校時代のシーンで、トニーの級友が口にした二つのセリフが

“なかなか”でした。


「歴史について言えるのは“何かが起きた”ということだけ」

「歴史は勝者の嘘」


〇〇がこう言った。このとき、○〇はこう考えた。

…“史実”とか言ったって、みんな、高名な作家や学者たちの

頭の中で生まれたものじゃないか、と、私が“歴史”について

いつも思っていることとよく似ています。ハハハ。


参考

原題:The Sense of an Ending

RottenTomatoes

Tomatometer74

観客スコア:52%


by toruiwa2010 | 2018-02-09 08:13 | 映画が好き | Comments(0)

デトロイト 90


1967723日、ミシガン州 デトロイト。

市内でアフリカ系退役軍人を称えるパーティが開かれていた。

そこを市警察が急襲した。違法酒場だったのだ。

Party's over(パーティは終わりだ)」。踏み込んだ警官たちが

一斉に叫び、抗議の声を無視して、客を店の外に追い立てる。


裏口から出すことができず、人目につく表通りに大勢の客が

並ばされた。すぐにやじ馬が集まり始めた。

事情を聞くため、パーティ客を警察に運ぼうとするのだが、

護送車の到着が遅れ、取り囲む住民の数は膨れ上がっていく。


3台目の護送車が現場を離れるころ、群衆の暴動が始まった。

白人が大多数を占める警官隊は必死に鎮静化を図るが、騒ぎは

大きくなるばかりだった。暴徒と化した住民たちが商店を襲い、

略奪や店舗への放火を始めるまで時間はかからなかった。

二日目、市長は州兵の派遣を求め、非常事態を宣言した…

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街の一角にあるモーテルで起きた射殺事件を中心にいくつかの

エピソードが語られます。途中ですこし“中だるみ”しますが、

差別主義の白人警察官による黒人住民への理不尽で暴力的・

一方的な尋問を女流監督 キャスリン・ビグローがくどいほど

丁寧に描きます。142分の上映時間の大半がこのシーンなので

見ているのがかなり苦痛でした。しかし、この作品に込めた

監督の“熱量”に打たれます。その感想は第82回アカデミー賞で

作品賞、監督賞など6部門に輝いた「ハード・ロッカー」を

見たときのものと同じです。


事件の模様を伝えるテレビのニュースキャスターがはっきり

“ニグロ”という言葉を使っていました。60年代は白人と黒人の

対立が先鋭化していた時期のようです。監督の“粘り”はその

ことと関係があるのでしょう。


85”点かなあと思いましたが、“90-”としました。

年末にベスト1を決めるとき、90点の作品がないと困るので…。

ハハハ。


参考

原題:Detroit

Tomatometer:84%

観客スコア:79% (Rotten Tomatoes)


祈りの幕が下りる時 90


百合子が夫と一人息子を残して家を飛び出し、身寄りのいない

仙台にやってきたのは1985年のことだった。自分を知る人が

一人もいない町が良かったのだと話していた。


小さなスナックに雇われた彼女はそこで長く働き、ママや客に

好かれていたが、心を開かないタイプの女だった。ときどき

町に現れる綿部(わたべ)という男といい仲だったようだが、

ハッキリしたことは分からない。

海に近いマンションの一室でひっそり暮らしていた百合子が

布団の上で冷たくなつているのを見つけたのは店のママだった。

心不全だった。千代に来てから16年のときが流れていた…

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百合子は日本橋署の刑事・加賀恭一郎(阿部寛)の母親です。

ママの連絡を受けた加賀が仙台に行き、遺品を引きとりました。

彼の住所をママに教えたのは綿部です。そして、綿部は当然、

百合子から聞いたのでしょうが、加賀は疑いを持ちました。

母親は加賀の居所を知らないはずだったからです。


この件と、そのころ東京で起きた2件の殺人事件の間に微妙な

関係が見つかり、本庁所属の松宮刑事(加賀の従弟:溝端淳平)

加賀がタッグを組んで真相を追うことになります。

捜査の過程で 元女優、現在は演出家として活躍する 浅居博美

(松嶋菜々子)の存在が浮上します。


物語を展開していくために必要な舞台や登場人物たちの紹介に

かなりの時間をかけています。タイトルが画面に現れるのは

上映開始から25分ぐらいあとでした。

で、とても面白いです。犯人の“動機”の部分が少し弱いような

気がしますが、最後まで楽しめます。


阿部寛、気合が入っています。

1980年代だったでしょうか、「笑っていいとも」の“いい男さん

いらっしゃい”というコーナーに風間トオルらと出ていたのを

見ていますが、当時は想像もしなかった大きな俳優になりました。

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松嶋菜々子…個々の”パーツ”はそうでもないのに、“仕上り”は

やっぱりいいなあ。…と言ってみたかっただけ。ハハハ。

映画の中で加賀が「やっぱ、超きれいだ」と思わず言いますが、

その通りですね。はじめ、“きれい”だけだったのに、松嶋の出演が

決まったとき、監督が“超”を加えたと聞きます。納得です。


博美の父親を演じる小日向文世もいいです。高く評価されて

いいと思います。


by toruiwa2010 | 2018-02-02 08:36 | 映画が好き | Comments(2)

嘘を愛する女 85


2011311日。

東北で強い地震が起き、東京でも交通機関が止まった。

地上への出口に向かって移動する大勢の人の中に体調を崩した

由加利(長澤まさみ)がいた。こらえきれなくなってその場に

うずくまった彼女に声をかける者は一人もいなかった。


群衆の中でスニーカーの足が止まった。

「大丈夫ですか」と声をかけ、持っていたバッグを路上に置き

その上に腰をおろすように言った。小出桔平(高橋一生)だ。


回復し、地上に出たあと、ハイヒールで会社まで歩くと言う

由加利に、桔平はいきなり 履いていたスニーカーを脱いで、

これを履いて行きなさいと勧めた…

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後日、偶然、再会した二人は意気投合して間もなく由加利の

マンションで同棲を始めます。医療機関で研究員をしている

桔平の給料は少ないので生活費は由加利が負担していますが、

相性がいいのか、同棲生活は順調でした。


5年が過ぎたある日、由加利の母が上京してきます。

渋る桔平を説き伏せて、3人で食事をする約束をしました。

彼を正式に紹介しようと考えたのです。しかし、その夜、

桔平は現れず、深夜になっても帰宅しませんでした。


かなり遅い時間になってようやくチャイムが鳴りましたが、

ドア口に立っていたのは彼ではなく、刑事でした。


桔平はくも膜下出血で倒れたのです。そして、身元確認のため、

運転免許証を照会すると偽造だと分かります。

こん睡状態に陥っている桔平が何者かを知るため、由加利は

私立探偵・海原(吉田鋼太郎)を雇います。

ここから、わずかな手掛かりをもとに由加利と海原は桔平の

ルーツを探す旅に出ることになります。


途中から、ロードムービーの趣があって、面白く見ました。

主演は長澤&高橋ですが、後半の立役者は間違いなく吉田です。

彼なしには、この映画は成り立たなかった気がします。

舞台出身ですが、よくぞ“映像”の世界に来てくれたと思います。

彼の登場で、日本の映画・ドラマは質が上がった気がします。

ほめ過ぎでしょうか?


高橋は、キャラクターとしては“はまって”いると思いましたが、

その演技は可もなく不可もなし。

長澤は着実に演技の幅を広げているようです。

ドラマ「若者たち2014」あたりからそれを感じていましたが、

映画「海街diary」、「追憶」、「散歩する侵略者」でも、すっかり

“演技派”に脱皮したところを見せています。


ただし、予告編を見たときにツイートしたことが引っかかります。

桔平が身分を偽っていると告げられたときの驚きの表情です。

私には、“それこそ”嘘っぽく見えました。ベテランの刑事なら

「あゝ、この女、驚いたふりをしてるな」と思ったはずです。

ハハハ。


監督はなぜあの演技でOKを出したのか?

思い出すのは小堺一機による怪優・勝新太郎の逸話です。

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会食の場で“驚き”の表情についての話になったとき、いきなり

大声で店員に“言いがかり”をつけ、びっくりして部屋を出ていく

店員を指さして「あれが本当にびっくりしたたときの顔だ」と

話したといいます。 *ほかにも、似たような話がいくつも。


素人の戯言(ざれごと)だから読み流してもらって結構です。

小さなことが気になるタイプなもので(by 杉下右京)。ハハハ。


翌日、各サイトの評判を見て、あまりにも悪いのにビックリ。

ただし、私も海原が吉田じゃなかったら85点にしたかどうか

自信はありません。


by toruiwa2010 | 2018-01-26 08:48 | 映画が好き | Comments(0)

気がつけば、新しい年も半月が過ぎました。

毎年、ひっそりとやっていることですが、

去年 見た映画のまとめを忘れていました。

遅ればせながら、61本しか見なかった中での

岩佐徹的ランキングです。長くなりますが、

よろしかったら、どうぞ。


邦画

追憶、家族はつらいよ2、三度目の殺人 


邦画で90点を超えたのは3本しかありませんでした。

ぎりぎりで85点に抑えた「幼な子 われらに生まれ」、「彼女が

名を知らぬ鳥たち」、「あゝ、荒野」に後ろ髪ひかれつつ(ハハハ)

2017No1は「三度目の…」を推すことにしました。

以下に、見た直後の感想を再録します。


三度目の殺人 90


夜更けの河原を二人の男が歩いていく。

一人は三隅高司(役所広司)、その前を行くのは元雇い主だ。


ふところに手を入れて何かを取り出した三隅がものも言わず、

背後から殴り掛かった。倒れ込んだ相手に、何度も何度も、

手にしたものを振り下ろす。

息絶えた男にガソリンを振りかけて三隅は平然と火を放った。


逮捕、起訴された三隅に接見するため三人の弁護士が訪れた…

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謎めいたエンディングに不満があるものの、こまかいところを

丁寧に描いていて、“完成度”の高さは認めざるを得ません。

それでいて、長いと感じさせない出来上がりは見事です。


三隅を訪れた3人の男の一人、主任弁護士の重盛に扮したのが

福山雅治ですが、初めて登場したシーンのセリフを聞いたとき、

うん、なんだ、ミスキャストじゃないのかと思いました。

本人のせいではなくて気の毒ですが、“二枚目すぎる”ことが

邪魔をして、セリフの一つ一つが素直に入ってこないのです。

ただし、この作品では、時間の経過とともに、なぜ 是枝監督が

気に入って使うのかが少し分かる気がしました。


役所はこの映画でも納得の出来ですが、被害者の娘を演じた

広瀬すずが素晴らしい演技を見せています。

特に、後半で弁護士たちに自分の暗い過去を告白するシーンは

圧巻です。助演女優賞の候補に名前が挙がるだろうと思います。


おまけ

暮から各映画賞が続々と発表されています。

「あゝ、荒野」の評価が高いようです。私も「いいなあ」と

思いつつ、いくつかの不満をトータルして後編の感想点が

80まで下がってしまったので…

参考までに、前後編を見たあとの感想です。


あゝ、荒野 前編85 後編80


歌舞伎町に暮らす新次(菅田将暉)と健二(ヤン・イクチュン)

ともに経験の浅いプロボクサーです。


二人を育てるマネジャー、堀口(ユースケ・サンタマリア)は

怪しげなオーナーからジムを預かっています。そして、試合に

向けた練習を監督するトレーナー、馬場にでんでんが扮します。

韓国出身のヤンは初めて見ましたが、実力を備えたクセの強い

役者が揃いました。おかげで、その演技はどうなの?という

シーンはほとんどありませんでした。


前・後編だし、合わせて5時間強だし、どうしようかなあ、

だけど、乗ってる菅田将暉だしなあと迷い、評判を見てからに

しようと決めていました。公開後、どのサイトを見てもバカに

評判がいいので行くことにしたのです。

前編を見たときは「これはいい。85点はある。後編次第では

90点になるかも。菅田は今年の主演ではNo1じゃないか」と

思ったほど気に入っていました。

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…分からないものです。

後編も途中まではいい感じだったのに、徐々に暗転しました。

“因縁”の相手とグラブを交えた試合あたりから“怪しく”なり、

主人公同士が戦う試合があまりにも“劇画チック”だったこと、

最後の20分のいくつかのエピソードの描き方が雑だったこと

などで評価が下がってしまいました。


ボクシングを本物っぽく撮るのは難しいでしょうし、監督には

考えがあってあのように描いたのでしょうが、無茶すぎます。

終盤のエピソードの描き方も原作者・寺山修司の思いを何とか

伝えたかったからだと思いますが、そこまでの流れからすると

“木に竹を接ぐ”違和感がぬぐえません。同様に“水と油”感が

ぬぐえなかったのが自殺防止のための集会や“なにやら法”に

反対するデモでした。制作者の思いは分かりますが、それが

空回りしていました。


設定が“2021年”になっている意味も私には理解不能です。

オリンピックのあとですが、その“空気”はどこにもありません。

そういうものは歌舞伎町とは無縁だといいたいのでしょうか?

寺山が生きていたらこれらの設定を納得したでしょうか?


ユースケ、でんでん、木村多江、さすがです。

名前が分かりませんが、芳子の母役の女優さんがグッドでした。

ヤン…熱演に好感を持ちましたが、序盤で、原口あきまさに

似てると気づいてから、最後まで集中できませんでした。

ハハハ。


さらに…

よか作品と対照的に途中で席を立ったり、世間の評価と

まったく異なる点数になったものもありました。


ビジランテ 65

散歩する侵略者 60 

アウトレイジ最終章 60

無限の住人 45


今年は、“ギャップ”作品が例年より多かった気がします。

私が意固地なだけかもしれませんが。ハハハ。


…個人賞についてはすでに菅田将暉(あゝ、荒野etc)と蒼井優

(彼女がその名を知らない鳥たち)がほぼ“独走”していますが、

異論はありません。ただし、以下に挙げる俳優たちがとっても

おかしくないと思います。

受賞、または候補になってもいい人たちを挙げておきます。

主演と助演をどう分けるかが微妙な人もいるので男優/女優で

挙げることにします。(順不同です)

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男優:役所広司(三度目の殺人、関ヶ原)、ヤン・イクチュン(あゝ、

荒野)、桐谷健太(ビジランテ、火花)、佐藤健(8年越しの花嫁)

西島秀俊(ラストレシピ)、阿部サダヲ(彼女がその名を…)

妻夫木聡(愚行録) 、生田斗真(彼らが本気で編むときは、先生)

野村萬斎(花戦さ)、仲代達矢(海辺のリア)、浅野忠信(幼な子

われらに生まれ)、岡田准一(追憶、関ヶ原)、役所広司(関ヶ原)

宮藤官九郎(幼子われらに生まれ)、小栗旬(追憶)


女優:長澤まさみ(追憶、散歩する侵略者)満島ひかり(愚行録)

前田敦子(散歩する侵略者)、広瀬すず(三度目の殺人、先生)

有村架純(3月のライオン)、水崎綾女()、木村多江(あゝ、荒野)

土屋太鳳(8年越しの花嫁)

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洋画

アイヒマンを追え、沈黙、マリアンヌ、ダンケルク、

ドリーム、マンチェスター・バイ・ザ・シー


90点+は6本でした。「マリアンヌ」以下の4本が微差ですが、

洋画No1は 好みもあって「ドリーム」にしました。


ドリーム 90


1961年のアメリカはまだ人種差別がはびこつていた。

人間を乗せたロケットを宇宙に向けて打ち上げようとする

NASAでさえ、それは同じだった。


組織の中枢である技術関係の職場には白人しかいなかつた。

トイレ、水飲み器、コーヒーメーカーなど、いたるところに

差別が見られた…

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この作品は、そんな時代に、国家的事業としての宇宙開発を

陰で支えた黒人女性たちの姿を実話に基づいて描いています。

中でも、幼少時から数学の天才だったキャサリンは 配属された

特別研究本部でずば抜けた計算能力を発揮して、さまざまな

宇宙計画の成功に大きく貢献します。コンピュータが本格的に

登場する前ですから彼女の存在はものを言いました。

彼女の能力が あからさまな差別をしながら偉そうに振る舞う

白人たちの鼻をあかすシーンは 見ていて痛快でした。


技術部門でエンジニアを希望しながら、超えなければいけない

壁の高さを知っている女性のセリフが胸に突き刺さります。

「私は黒人ですから、叶わない夢は持ちません(大意)」。


そして、いまも差別があることを世界中が知っています。

若いころからアメリカが好きな私も最近は少々うんざりです。

この国は進んでるようで遅れてるんですかね。


すでに、いくつかの映画賞が発表されています。

キネ旬、日本アカデミー賞(優秀賞)などを見ると、

毎年のことですが、私の感覚と相当ずれてます。

31日の日本アカデミー賞の授賞式では盛大に

突っ込ませてもらいます。ハハハ。
by toruiwa2010 | 2018-01-17 08:11 | 映画が好き | Comments(0)

否定と肯定 85


ユダヤ系のアメリカ人歴史学者、デボラ・リップシュタットは

著書でイギリスの歴史家、デービッド・アービングを批判した。

「ホロコーストはなかった」と主張する学者だったからだ。

ある日、大学で出版記念の講演を行い、質問を受けているとき、

一人の男が立ち上がって叫び始めた。「私を侮辱するのか!」と。

アービングだった。


数か月後、アービングはデボラを名誉棄損の罪で訴えた。

“イギリスで”というところがポイントだった。

アメリカの裁判では原告に被告の罪を立証する義務があるが、

イギリスでは被告が原告の誤りを立証しなければならないのだ。

デボラの闘いが始まる。代理人にはダイアナ元妃の離婚訴訟を

成功に導いた弁護士、ジュリアスを、法廷弁護人として熟練の

ランプトンを雇った…

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ナチスが第二次大戦中に行ったユダヤ人の大量虐殺を指して

“ホロコースト”と呼ぶことは知っています。たくさんの映画で

扱われてきました。そのせいか、歴史的事実としてまったく

揺るぎないものだと思っていました。その存在を“否定”する

学者がいるとは思いもしませんでした。しかもイギリスに!

米英で裁判のやり方が真逆であることも初めて知りました。


その意味で、なかなか興味深い映画でした。熟練弁護士役の

トム・ウィルキンソン、“ヒール”・イギリスの学者に扮した

ティモシー・スポールの演技にも惹きつけられました。

実話なので仕方がないのでしょうが、弁護士たちが採用した

法廷戦術が気に入らないデボラがしばしば理性を失うことに

違和感がありました。


なかなか示唆に富んだセリフがありました。

英語でどのように言ったか聞き取れませんでしたが、字幕で

読んで記憶に残ったのはこの二つです。どちらも老弁護士が

語った言葉です。


卑怯者は安全なときだけ居丈高になる

人は 目線をはずして非難されると苛立つ


なお、原題は“DENIAL”、つまり“否定”…だけです。

配給会社がなぜ、“肯定”を足したのか、理由を知りたいです。

ハハハ。


8年越しの花嫁 85


2006317日、自動車整備工の尚志(ひさし:佐藤健)

調理師をしている麻衣(土屋太鳳)に初めて会ったのは先輩が

セッティングした飲み会だった。

職業は車いじり、趣味も車いじりと仲間にからかわれる尚志は

こういう席が苦手だった。


二次会に行く参加者に「俺は…」と断って停留所に向かった。

一人の女の子が追ってきた。「なぜ盛り上がろうとしないの?

楽しくなくても顔に出さないのが大人でしょう」となじった。

それが麻衣だった。


一方的に怒りをぶつける麻衣に「おなかが痛かったんだ」と

尚志が告げてようやく誤解は解けた。それがきっかけになった。

付き合い始めると相性はぴったりで 交際は順調に進んだ。

尚志が結婚を申し込み、麻衣が受け入れて、婚約が成立した

帰り道、式場も予約した。出会った翌年の317日だった。

慌ただしかった一日の最後に突然の頭痛が麻衣を襲った…

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原因不明の病気で倒れた麻衣は長いこん睡状態に陥ります。

尚志は雨の日も風の日も病室に通って回復を祈ります。

数年後に意識を取り戻し、長く厳しいリハビリが始まります。

タイトルにある通り、“紆余曲折”はあるものの、基本的には

絶望的な状態から生還した麻衣と深い愛情で待ち続けた尚志が

最後には結ばれるという、これも実話がベースにある物語です。


泣かせよう、泣かせようという映画だったらすぐに出よう…

そう思いながら席につきましたが、上映開始から5分ほどで

土屋の笑顔にやられてしまいました。ハハハ。

そして、作りもそれほど“えげつない”ものではなかったので

若い人が多い劇場で最後まで楽しみました。


泣くまい…と心に決めていたからか、ハンカチを使ったのは

麻衣の両親が尚志を呼び、「君の人生まで壊したくない。麻衣の

ことは忘れていい」と告げた場面だけでした。こういう役を

演じる杉本哲太に弱いのです。ハハハ。


土屋が熱演でしたが、佐藤健もいいですね。

大河ドラマ「龍馬伝」やTBSのドラマでは「冬のサクラ」、

「とんび」、「天皇の料理番」でいい演技を見せていました。  


花筐 HANAGATAMI 75


1940年代はじめの日本、戦争前夜の日々を生きた若者たちを

大林宣彦が独特の感性で撮った力作です。すべてのカットに

“大林イズム”が沁み込んでいます。

鑑賞中、ずっと“耽美”という言葉が頭から消えませんでした。


インタビューを聞いても、この人の“物言い”はユニークです。

その話し方は嫌いじゃないのですが、作品はどちらかというと

苦手です。”圧”の強さに耐えられません。ハハハ。

本作も“ひとりよがり”がすぎて高い評価にはなりませんでした。

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撮影が始まる日に癌の告知を受けたそうです。作品のトーンに

影響を与えたかもしれませんね。

1938年生まれの“タメ”が余命宣告をはねのけ、命をけずって

作った映画ですが、監督の思いは私には届きませんでした。

映像的に納得のいかないシーンがたくさんありました。


HELP!


昨日から、当ブログの本文、コメントともに

勝手に太字になってしまいます。

妻のPCでは普通に表示されるようです。

私のPCだけかもしれませんが、考えられる

原因は何でしょうか?

お分かりの方、ご教示ください。

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by toruiwa2010 | 2017-12-22 08:17 | 映画が好き | Comments(7)

ビジランテ 65


深夜の川の中を数人の人影がこちらに向かってくる。3人いる。

子どものようだ。水しぶきを上げ 大柄な男が彼らを追っている。

先頭で上がってきた年長と思われる少年が 岸辺の土を掘って

持っていた四角い缶を埋め始めた。


追いついた大男によって少年たちは家に連れ戻された。

彼らは暴力をふるう父親から逃げ出そうとしたらしい。

激しいせっかんにたまりかねた長男が家を飛び出していった。


25年が過ぎて、父親が死んだ。父の地盤を継いで市会議員に

なっている二男・二郎(鈴木浩介)が葬儀の喪主をつとめていた。

声をかけてあった三男・三郎(桐谷健太)はとうとう来なかった。

地元暴力団の下で数人の女を抱えてデリヘルの店長をしている。


二郎は会派のボスから 父親が所有していた土地を相続しろと

厳命されていた。市が誘致するモールの用地にするためだ。

しかし、父親の死を知って ふらりと故郷に戻ってきた長男・

一郎(大森南朋)が「あの土地は俺がもらう」と言い放った。

公正証書を持っている…

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先週の金曜日、初日、初回のテアトル新宿に出かけました。

10時の上映開始20分ぐらい前に劇場に着くと、長い行列が

出来ていてびっくり!

本編が始まる寸前、場内を見渡すと八分ぐらい席が埋まって

いることにまたビックリ!

へきえきしながらも、最後まで見て、真っ先に劇場を出ると、

入場を待つ人でロビーが込み合っていて3度目のビックリ!

ハハハ。


ある程度、予想はしていましたが、物語と関係のないセックス・

シーンの多さにも驚きました。もし、“サービス”のつもりなら

too muchと言っておきます。


意外なほど客が多いのは“口コミ”のせいでしょうが、きっと、

誰かプロが褒めているのだろうと想像できます。見つけました。

高名な()山根貞男という評論家が朝日新聞に書いています。


まず、記事の2/3が物語の中身…ってのはずるいわ。ハハハ。

そして、“日本社会の縮図を思わせる映画で、重苦しい。それを

集約して3兄弟は苦渋にまみれる”からようやく映画評らしく

なっていきます。一読して、同意できるのは”俳優3人が個性

豊かに演技合戦を繰り広げる“という部分だけです。

特に、“しめ”の文章にはまったく納得しません。


監督は入江悠。自らの脚本で入魂の一作を撮った。


“入魂”って、こういうことを言うのだろうか?

えっ、まさか、あの大勢の観客はこの評を読んで、来たの?

「あなた、見事に騙されましたね」と同情します。ハハハ。

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配給元らしいアカウントがさっそく、「昨日の朝日新聞夕刊にて

映画評論家の山根貞夫さんが『ビジランテ』を〈入魂の一作〉と

激賞して下さいました!」と“利用”されていました。

これはあれだ、つまい、持ちつ持たれつ…っていうこと?

ちなみに、ぴあの初日満足度ランキングでは90点近い評価で

「仮面ライダー」「鎌倉ものがたり」についで3位だったとか。


封切直後は“バカに”高評価でしたが、その後、私の感想に近い

評価に“下がって”きたのでほっとしています。

3人の熱演は認めます。特に桐谷は素晴らしい演技でした。

しかし、映画そのものは 私には暑苦しすぎました。

桐谷、大森、鈴木…みんな好きな俳優なので申し訳ないけど。

ハハハ。


オリエント急行殺人事件 80


1934年のエルサレム。

観光や礼拝の人々でごった返す嘆きの壁の広場を一人の少年が

懸命に走っていた。ホテルの食堂ではエルキュール・ポワロが

待っていた。ベルギー人の探偵だ。毎朝食べる二個のたまごは

サイズが同じでなければいけないし、ゆでる時間は“きっかり

4分“と決めている完ぺき主義者だった。必死に運んだたまごは

サイズが違うと言われ、哀れな少年はふたたび走り出した。


依頼を受けた事件を前日までに解決したポワロは 食事のあと、

船でイスタンブールに渡り、そこからオリエント急行に乗った。


事件が起きた…

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原書で小説を読むときはほとんどがミステリーです。基本的に

推理物は嫌いじゃないのでしょう。映画やドラマもこの分野の

作品はよく見ています。なぜか、ポワロやホームズが主人公の

ものは、映画よりドラマの方が出来がいいような気がします。

えっ、そう思うのは私だけ?


予想したよりは面白かったのですが、この映画もNHKで見た

ドラマ版に及びません。まず、私の頭の中でポワロと言えば、

イギリスの俳優、デヴィット・スーシェのイメージで固まって

いますから、違和感が消えるまで時間がかかりました。ハハハ。

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有名な アガサ・クリスティの原作は読んでいませんが、何度か

ドラマで見ていますから、“物語”はよく知っています。従って

“謎解き”の面白さは半減します。なにで惹きつけるか?

映像の美しさ?魅力的な女優?ビックリするような仕掛け?

残念ながら、どれも“決定打”はありませんでした。

“腐ったトマト”も58と、低い評価でした。納得です。

あ、妻は大納得していたようです。ハハハ。


ひとつだけ。

ポワロにつぐ“準主役”・オリエント急行の走る姿が美しかった。

ハハハ。

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by toruiwa2010 | 2017-12-15 08:18 | 映画が好き | Comments(0)

探偵はBARにいる 80


一面の雪に覆われた札幌郊外。

畑の中の一本道を一台の大型トラックが走っていた。

やがて、行く手に小型のバンが道路をふさぐ形で止まっていた。

トラックを運転していた男はぶつぶつ言いながら、運転席の

横に放り出してあった拳銃を手に取ると降りて行った。


バンの屋根を叩きながら「なにをしてんだよ」と怒鳴る男に

応答するように一発の銃声が響いた。車の中から撃たれたのだ。

弾かれるようにうしろに飛んだ男はそのまま雪の上に倒れ込んだ。


バンから降りた人物は、トラックの後ろに回り、扉を開けた。

毛ガニの箱が山積みになっている。黙々と、荷物をバンの

荷台に積み替える様子をトラックの助手席からふるえながら

見守る女がいた。麗子(前田悦子)だ。


市内の高級クラブでは、探偵 (大泉洋)が集めた関係者を前に

別の事件の謎解きをしていた…

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シリーズの3作目になります。探偵と、北大の研究所に籍を

置きながら探偵の助手兼運転手をつとめる高田(松田龍平)

呼吸もぴったりです。探偵の粋がりかたも高田のとぼけ具合に

くすくす笑っているうちに物語は勝手に進んでいきます。

あそこがおかしい、ここが変…と突っ込んでも始まりません。


松重豊、リリー・フランキーらが見せる“なりきり”ぶりなどを

楽しんでいるうちに映画は終わります。ハハハ。


大泉洋…なかなか達者な俳優です。で、俳優にしてはトークが

秀逸ですね。この人が出るバラエティはほとんど見ています。

爆笑することは少ないですが、脇腹をくすぐられているような

笑いが止まりません。この人の持ち味で、「探偵は…」も同じ

テーストで仕上がっています。


今回が第3作ですが、過去2作も私の“感想点”は80でした。


80


東京の南に浮かぶ離島、美浜島が津波に襲われ、生き残った

島民たちは散り散りになった。

20年後、中学生だった信之(井浦新)は川崎市役所の職員になり、

結婚して一人娘、椿の父になっている。


閉塞した島で唯一 信之が心を許す相手だった同級生の美花

(みか:長谷川京子)は東京に出て女優になっている。


島では弟分だった輔(たすく:瑛太)は同じ川崎市内の工場で

溶接工として働いていた。汚い木造アパートにしばしば女が

通ってくる。信之の妻、南海子(なみこ:橋本マナミ)だ…

信之、輔、美花の三人は島で起きた秘密を共有しています。

あることをきっかけに、信之が美花の頼みを受けて裏山の森で

島を訪れた男を殺し、輔はその遺体をカメラに収めたのです。


三浦しをんの原作を映画化したものですが、物語が物語だけに

全編、かなり重苦しい空気に覆われています。加えて、何回か

挿入されるシンボリックな音楽が観客の神経を逆なでます。


圧倒されるのは瑛太と井浦の演技力です。二人の才能なしには

この映画は成立しなかったと思います。

橋本マナミ…うーん。頑張ったことは認めますが、この二人に

はさまれるとかなりつらいですね。脱いでくれた“うしろ姿”、

あまりきれいじゃなかったし。生活感は出たかもしれないけど、

監督の狙いは“そこ”じゃなかったと思います。ハハハ。


きわどいシーン、セリフがある映画です。

14歳の美花を演じた女優が17歳だと聞いてほっとしました。

きっと、納得して出演したのだろうと思えるからです。

幼稚園児、椿は変質者に連れ去られる役でした。6歳の子役は

間違いなく何の自覚もなくセリフを言わされたのでしょう。

将来、いじめの材料にならなければいいがなあ、と思います。

映画を見て、俺はいったい何を考えているのだろう?
ハハハ。

by toruiwa2010 | 2017-12-08 08:22 | 映画が好き | Comments(0)

火花 80


ご存知、又吉直樹の芥川賞受賞作品を映画化したものです。

若手漫才コンビ“ザ・スパークス”の徳永(菅田将暉)が偶然に

出会った先輩・“あほんだら”の神谷(桐谷健太)にほれ込んで

弟子入りを志願し、神谷は伝記を書くことを条件に許します。

そこから始まった“師弟”の日常が描かれていますが、一言で

感想を書くなら、“残念”です。

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正直、お笑いの世界に生きる板尾創路が監督をしていることに

期待していました。残念ですが、又吉の原作の世界は描かれて

いないと思います。劇中で演じられる漫才や神谷が披歴する

笑いの哲学が板尾“ワールド”(それが何かは分かりませんが)

なり過ぎていて原作とテーストがかなり違います。

小説と映画ですからそれでいいのだと思いますが。ハハハ。


桐谷と菅田はよく頑張ったと思います。特に、猛烈な勢いで

仕事をこなしている菅田には驚きます。どの仕事もまったく

手抜きをせずに"やり切って"いるのが見事です。

目立ちませんが、菅田の相方をつとめた川谷修士がいい味を

出していました。プロの漫才師(二丁拳銃)だというのが

ミソだと思います。


今年の春、NHKで放送された、ドラマ(10)を見たときも

原作とはだいぶ味わいが違いましたが、面白いと思いました。

ここでも徳永(林遣都 好演)の相方を演じたのはプロ漫才師の

好井まさお(井下好井)でした。映画を見て、相方にプロを配し、

俳優が頑張れば漫才として格好がつくのだと分かりました。

役者ってすごいと思いました。ハハハ。


永遠のジャンゴ 85


1943年、ナチス占領下のパリ。

男はセーヌ川のほとりで釣り糸を垂れていた。市内の劇場では

満員の観客が彼の登場を待っているというのに。

男の名はジャンゴ、ジプシーのミュージシャンだ。

しびれを切らした客から口笛が飛ぶころようやく劇場に着いた

ジャンゴはマネジャーを務める母親に急かされてもゆったりと

支度を整えて、悠然とステージに出て行った。


演奏が始まり、彼の指がギターの弦をはじくと、その瞬間から

観客は一人残らず彼の音楽に惹きこまれていった。客席には

ドイツ軍将校の姿もあった。


大成功の舞台が終わってごったがえす控え室をひとりの将校が

訪れた。以前からジャンゴにドイツでの公演を持ち掛けていた。

「オリンピック・スタジアムなど大きな舞台を用意している。

ゲッベルス宣伝相が来る予定だ。総統が来るかもしれない」と…

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ジャンゴにはパリを離れるつもりはありませんでした。

おれはギター弾き、誰に強制されることなく、聴きたい人に

音楽を提供するだけ、という“反骨”の男でした。


ところどころ、「ああ、よほど予算が厳しかったんだなあ」と

思わせるシーンがありましたが、なかなかいい出来でした。

祝日(初日)1140分の回でした。小さい“小屋”とはいえ

有楽町ヒューマントラストは満席でした。口コミでしょうね。


初耳ですが、ジャンゴ・ラインハルトは実在の人物で、多くの

ギタリストに影響を与えたジャズ・ミュージシャンだそうです。

映画は次第に強まるナチスの“ジプシー弾圧”に激しく抵抗する

ジャンゴたちを描いていますが、胸を打たれたのは劇中に流れる

音楽の素晴らしさです。

オープニングで、焚き火を囲んだジプシー仲間を前にギターと

バイオリンが奏でる悲しげなメロディー。中でもリーダー格の

老ジプシーの渋い歌声。何度も披露されるジャンゴのギター、

彼が即興で弾くパイプオルガンの数小節、レマン湖のほとりの

“キャンプ”で演奏されるバイオリンのむせび泣くような旋律、

そして、最後の“幻”のレクイエムまで、どれも心に残りました。

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2008年公開の「ジプシー・キャラバン」を思い出しました。

ジプシーをルーツとする人たちが作るいくつかのバンドが

アメリカを演奏旅行する模様をドキュメンタリーで紹介した

映画でした。ジプシー音楽の素晴らしさに触れました。

うーんCDを買おうかな。すぐからめとられるタイプです。

ハハハ。


by toruiwa2010 | 2017-12-01 08:15 | 映画が好き | Comments(0)

ラスト・レシピ 85


福祉施設・すずらん園の一室にひつぎが置かれている。

窓ぎわに立ち庭に集まった弔問客に目をやりながらスマホを

手にした健(綾野剛)が怒りを叩きつけていた。

「絶対 来いって言ったよな。どうして来ないんだ⁉」

相手は、ともにこの施設で育ち、故人にまるで息子のように

可愛がられていた充(みつる:二宮和也)だった。


その充は、料理道具が詰まった大きなキャリーバッグを引いて

“客”の病室を訪れていた。重い病気で先が長くない患者が望む

最後の料理を作るためだった。

一度 食べた料理の味を決して忘れない“麒麟の舌”を持つと

言われた充は超一流の料理人として内外からの客を集めていた。


しかし、自分にも周囲にも厳しく接するやり方がスタッフや

なじみの客を遠ざける結果となった。店を閉め、あとに残った

膨大な借金を返済するために始めたのが高額の謝礼が得られる

“最後の料理”づくりだった。


ある日、意外なところから依頼の電話が入った。北京からだ。

300万円の謝礼に惹かれて北京を訪れた充に依頼主は名乗った。

「楊晴明(ようせいめい)です」…

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物語の舞台は旧満州国です。時代は1930年代が中心です。

数十年後の充が物語の“案内役”になっています。

「成功報酬は5000万円」と告げた楊は充に ある“レシピ”を

探すよう求めます。映画は“レシピ”を探し求める充の作業を

中心に描いていますが、実は、レシピを作った人物の物語でも

あるのです。


1932年の建国から数年後の満州に宮内庁で天皇陛下に料理を

作っていた山形直太朗(西島秀俊)が送り込まれました。

この西島こそ物語の主人公です。満州に着いた山形に関東軍の

将校・三宅(竹野内豊)が告げたのは天皇陛下が行幸する際に

提供する史上最高のメニューを考えてくれということでした。

それを“大日本帝国食菜全席”と称することも。

全編を引っ張る西島の演技が光ります。形の上では、“主演”は

二宮でしょうが、この映画を支えたのは西島だと思います。


レシピにはいろいろ、“からくり”があるのですが、ネタバレに

なるので止めておきましょう。ハハハ。


90点に近い出来でしたが、最終的に85点に落ち着きました。

いくつか、納得いかないことがあるのです。

オープニングから間もなく、“びんた”の場面があるのですが、

これが、“ゆるい”んだなあ。相手が少年だからしょうがないと

思いつつ、それなら、両肩を摑んで揺さぶるとか、いくらでも

演出のやり方はあるはずです。「おくりびと」の監督にしては

“ぬかった”なあと。ハハハ。


もう一つ、日本の軍部が”統治”していた当時の満州だったら

通りの表記やホテル名などが“左横書き”(左から右に書く)

なのはおかしいのではないかということです。


さらに、屋外の映像になると、合成感、CG感がありありで、

もっとうまい処理の仕方はなかったのかなあと思いました。


ル・コルビュジエとアイリーン 75


近代建築の巨人と称されるル・コルビュジエとインテリア・

デザイナー、アイリーン・グレイの伝記映画です。

…はいはい、実は、アイリーンは建築家としても素晴らしい

ものを残しています。南フランスに建てたE.1027と呼ばれる

彼女の別荘は建築史上の傑作だそうです。その割に、あまり

丁寧に見せてはくれませんが。ハハハ。

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で、ル・コルビュジエはこのことで激しく彼女に嫉妬します。

人生で唯一 嫉妬した相手だとさえ言われています。

で、彼は理解不能な行動に出ますが、激怒して当然なのに、

アイリーンは具体的な抗議はしません。ル・コルビュジエを

深くリスペクトしているからのようですが、これについても

映画は十分に観客を説得しきれていません。


もう一つ、アイリーンには建築評論家の“恋人”がいるのですが、

この二人の関係もかなり“もわーっと”しています。映像的には

美しいけれど、見たあとの“もやもや”は否定できません。

ル・コルビュジエは 亡くなったとき、国葬が行われたほどの

建築家ですが、この映画で描かれているのは“小物”です。

遺族は納得してるのか? と、不安になりました。ハハハ。


ノクターナル・アニマルズ 80


スーザン(エイミー・アダムス)の新しい画廊のくオープ二ング・

パーティは大成功だった。深夜に帰宅した自宅も大きな金属の

自動ドアがついた豪華なものだった。しかし、二度目の夫との

関係は決してうまくいっていない。パーティにも、最後まで

顔を見せなかった。


ある日、彼女のもとに小包みが届いた。開けてみると元の夫、

エドワード(ジェイク・ギレンホール)からだった。「本を書いた。

読んでみてほしい」というメモが添えられていた…

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現在進行形の話、最初の夫との間にあったこと、“本の内容”が

行ったり来たりします。ギレンホールが一人二役で”劇中劇”の

主人公も演じます。


いきなり、映像化されて出てくる本の内容がかなり強烈です。

いささか辟易して、妻を促して立ち上がろうかと思いましたが、

外食の予定まで時間が余り過ぎると、思いとどまりました。

“帰りに食事”だったために途中でギブアップしなかった映画が

かなりあります。ハハハ。


タイトルを日本語にすると”夜の獣たち”…本の題名です。

辛口の腐ったトマトの評価は73%でした。“評価”は必ずしも

正確ではありませんね。好意的な記事を書いた専門家・記者が

全体の73%いるという意味です。見に行こうかどうしようかで

迷ったときには参考になります。日本でもこういうサイトが

出来ないものかと、いつも思います。


最後の疑問:“彼”はなんで現れなかったのか?

細部まで、全部説明してくれとは言いません。

しかし、“思わせぶり”はほどほどに。ハハハ。


by toruiwa2010 | 2017-11-10 08:10 | 映画が好き | Comments(0)